2021/01/04 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁 特務広報部室」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
「……ええ。特務広報部は現在、神宮司の手から離れています。厳密には、完全に影響下から脱した、という訳ではありませんが」
部室の奥。其処まで大きくない部屋に似付かわしくない大きな執務机。
其処に鎮座するこれまた大きな椅子に、飲み込まれる様に腰掛けている小柄な少年。
「従って、本来私が求めていた動きにシフトする事が可能になりました。……ええ、勿論。人員の不足については、打開策が必要ですが」
『SOUND ONLY』と表示された画面へ、淡々と語り掛け続ける。
咥えた儘の煙草の先端に、鈍く火種が灯った儘。
「――落第街、と呼称される区域に対する弾圧。居住者そのものへの過剰な攻撃。
決して悪手とは言いませんが、此の島でそれを行うのは早過ぎた。
また、此方側の戦力も。理解者も十二分に揃えられてはいなかった。見切り発車、というところでしょうか」
「まあ、本来であれば学園都市には不要な対応の筈ですからね…。……え?ああ、いや。そう言う事ではありませんよ。
揶揄わないでください。私はまだ16歳ですよ?
権謀術数は、貴方達の仕事でしょう。私は、明日の宿題に頭を悩ませる学生でしかない」
■神代理央 >
「……本題に戻りますよ。
人材の確保については、其方の動きもあって優秀な者が一人。
……ええ、特別攻撃課からの出向、でしたか。
今日から初仕事と聞いていますよ。きっと、良い結果を出してくれるでしょう」
ぷかり、と吐き出す紫煙。
甘ったるい香りが、部屋を包む。
「……というか、本当であれば私も現場に出たかったんですけどね。
急に連絡してくるのは、如何なものかと思いますよ。
………言い訳は聞きたくありません。それでも『学園』の担当者ですか。罷免しますよ?」
「………冗談ですよ、冗談。私にそんな権限は――
……ああ、そうですか。それはまた。父様……支社長は相変わらず人が悪い」
「まあ、どうでも良い事です。此方の要望は、先程伝えた通りですから。
………ええ、ええ、そうです。あくまで此方の"予算内"になる様に、値段の方は勉強して下さいね?
…………はは、それはそれは。此の島で戦争でも起こすつもりですか?私はごめんですよ。唯の学生ですから」
■神代理央 >
「注文書は送っておきますから。見積もりを返信してください。
なるべく早急に。どうせ、必要なのは私のサインだけですからね。
……ええ、それではまた。今度ぜひ、常世島に遊びに来てください。
美味しいスイーツの店をご紹介しますよ」
涼やかな笑みで締め括れば、画面の表示は消える。
後に残されたのは、真っ暗なPCの画面と、漂う紫煙。
物思いに耽る少年が一人。
「……失敗は取り戻さなければならない。
大丈夫。今度は上手くやればいい。"内部"の敵を、抑え込めればそれでいい」
ぎしり、と椅子に身を預ければほんの僅かに軋む音がする。
それでも、小柄な己の体躯を預けるには十二分過ぎる程。
「……特務広報部は、再び畏れられる名にならなければならない。
その為に、最善の事をすればいい。最善の選択をすればいい。
私の仕事は…そういう事だからな」
半分ほど灰になった煙草を灰皿で押し潰す。
手狭な執務室を眺めて、もう少し広い部屋に移りたいな、なんてぼんやりした思考を巡らせるのだろう。
■神代理央 >
己が不在である特務広報部の今日の任務。
今のところ、危機的状況にあるとの報告は上がってきていない。
今日が初任務の出向者を早速部隊に投入しているが――戦力面では、どうやら優秀と評価してもいいらしい。
「…他の隊員達も、此れくらいの戦力に…というのは、些か期待し過ぎかも知れんが…」
槍使いの少女。
妖刀使いの少女。
そして新たな出向者。
此の三人は、戦力として十分に機能するだろう。
しかし、それ以外の隊員達はやはり訓練が必要である様に思える。
それと、出来れば副官が欲しいところではある。
まあこれは贅沢かもしれないが…頼んだらココア入れてくれるような優秀な副官とか。
「……家事ロボットでも買うかな」
自分で入れれば済む話ではあるのだが。
くぁ、と欠伸を零しながらそんな胡乱な事を考えていたり。
■神代理央 >
「……さて、後は報告を待って――」
と、其処で鳴り響く通信端末。
特務広報部が交戦状態へ突入。
それに応じて、各風紀委員へも警戒態勢を取るように――との事。
「……流石に、初任務にしゃしゃり出る訳にはいかんが…」
部下の功績を邪魔する趣味は無い。
だが、何処かの現場に出る必要はあるだろう。
「……何事も無く終わればいいんだがな」
小さな溜息を吐き出して、少年は部屋を後にするのだろう。
ご案内:「風紀委員会本庁 特務広報部室」から神代理央さんが去りました。