2021/02/17 のログ
ご案内:「風紀・神代理央の執務室」にラヴェータさんが現れました。
ラヴェータ > 「ふむ、理央はいないか
まあ、ちょうどいいか」

隙間から入り込む僅かなものを除き明るさと言うものが存在しない執務室。
主人が不在の暗闇に閉ざされた室内に突如として湧くように現れたのは白い毛並みと黒い軍服の狐。
自身の主人が不在である事を確認して独り言を発すればその足を主の執務机へと向けて進めて。

「バレンタイン...か
女が男にチョコレートを渡す日だったよな」

こちらの世界にきて既に数年が経過しているがバレンタインなぞロクに気にしたことはなかった。
せいぜい美味いチョコレートが安価で食えるイベント程度に考えていたのだが、実際は違ったらしい。
普段より比較的安価に扱われていたあれらは贈り物のためのものであり自分で買って食うものではなかったらしい。
なんならこの時期の男どもの一部がやけに殺気立っていたのもこのイベントのせいらしい。
ふむ、前の監査役にも送ってやれば良かったな。
そんな事を考えながら執務机の角に腰掛けて。

ラヴェータ > 「チョコレートを贈る相手が恋人であれば本命、それ以外は義理というのであればこれは義理チョコなのだろうな
...ふむ、響きがなんとなく納得いかんが本命ではないからな
義理でいいだろう」

冗談でもなんでもなく、自らの飼い主に特段そう言った情...恋愛感情を抱いた覚えはない。
だが義理という響きはなんとも冷たい気がしてならないと、不満げな表情を浮かべて。
懐から取り出したのは明らかに安物ではない包装が施された直方体の箱。
中には丸いチョコレートことトリュフが8つ入っているらしい。

「しっかりと事前に調べておくべきだったな...まさかバレンタインがこれほど熱狂的なものだと思っていなかった」

チョコレートを彼に贈ること自体は以前顔を出した翌日には決めていたのだが、チョコレートを買いに行ったのはバレンタイン当日だった。
まさかイベント当日にめぼしいものが売り切れているなどと
そんなこと全く予想しておらず。
結果数日遅れでなんとか探し出したこれは通常価格でリボンも巻かれていないものを買うはめになり。

「バレンタインはチョコを安く食えるイベントのはずだったのだがな
...まあわざわざ高い時期に買った事を馬鹿らしいとは思わんがな」

などと下らないとも取れるような笑みを浮かべて。

ご案内:「風紀・神代理央の執務室」にラヴェータさんが現れました。
ラヴェータ > 手に持ったチョコの入った箱を眺めながら直接渡せば良かったのではないかと改めて考える。
なんなら執務室ではなく彼の住処に直接置いておくでもいい。
彼にとってはある意味ここも家のようなものであると考えると別にわざわざここに置きに来る必要はなかったのだろうが...

「...直接渡すのは小っ恥ずかしいというのもおかしいがな
適当に渡してやればいいはず...なのだが
...わからんな
それに変に揶揄う口実を与えるのもなんだかしゃくだな
自分で食ってしまおうか...?」

いや、彼奴であればそんなことはなく甘味に純粋に喜びそうなものでもあるが。
彼奴の甘味に対する執着は他全てを置き去りにする勢いである。それは彼も自覚している程であり。
ともあれ持ち帰って食うという選択肢はない。
せいぜいここにおいていくのを先延ばしにする程度だろう。

ラヴェータ > 「ええい、いつまでも迷っていても何も変わらん!
さっさとおいて退散するぞ!」

いつまでも机に腰掛けて悩んでいても仕方がない。
逆にそんな事をしていても恥じらいは右肩上がりで止まるところを知らない。
さっさとおいて退散するぞ(二回目)。
首を激しく二、三度左右に振ってから振り向いて執務机の椅子のあたりに視線を向ける。

「さて...どこにおいて行こうか...」

執務机に腰掛けたままチョコを持っていない方の手を顎にあて悩む。
一応「義理チョコだ ラヴェータより」とかいたメモを用意してあるがどうやっておいておこうか...
チョコを渡すにも直接は小っ恥ずかしい、ぐらいの考えでしかなかった。

「...これでいいか」

少し悩んだ末、執務机の引き出しのなかに箱の上にメモを載せて置いておくことにした。
これで人目にはつかないだろうし理央もすぐに気付いてくれることだろう。

「...なんだかやり切った気分だな...
まあ、なんだ...
喜んでくれるといいな」

達成感と喜びが見て取れる表情を浮かべて満足げに呟いて机から降りれば...
そのまま影の中へと落ちて消えた。

ご案内:「風紀・神代理央の執務室」からラヴェータさんが去りました。