2021/11/24 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁」にさんが現れました。
ご案内:「風紀委員会本庁」に神代理央さんが現れました。
> スーツ姿の男が委員会街を歩く、その足が向かう先は風紀委員会本庁
人好きのする笑みは、どこか晴れ晴れしく いつもより明るいものであった
足取り軽く風紀委員会本庁へとたどり着き 笑顔の受付へと手短に要件を伝える

”教師になりに来た”

困惑している受付の顔を眺めては、待ってくれているであろう人物の
その名前を一緒に告げ のんびりと待とう

神代理央 >  
『教師になりに来た』

そんな事言われても…と困惑した様子の受付ではあったのだが。
受付が再度男に声をかける前に――姿を現す少年の姿。

「時間通りだな。教師を目指すなら、先ずはそうでなくては」

穏やかな声色。
本庁の玄関ホールに現れた少年は、至って真面目な表情で男に声をかける。

「………こっちだ。ついて来ると良い」

くるり、と男に背を向けて。本庁の中を歩きだす。
振り返る事は無いが、早足という程でも無い。元より体格差もある。
かつり、こつり、と。男を導く様な足音と共に、少年は本庁の奥へと。

>  
確かに受付に行っても困惑するだけだろう
困惑している姿を楽しげに眺めながら待っていれば

「ええ、そこはもちろん。時間と闘うのも覚悟の上ですので」

穏やかな声色は 此方を安堵させるような、そんな色を含んでいて
背を向け、歩き出す少年の後を 本庁の奥へと 歩いていく

どこに連れて行かれるのだろうか そう考えても数パターンしか考えられない
まずは尋問でもされるのだろうか そんな事をのんびりと

神代理央 >  
男の考えは、大凡正しかった。
何をするにも先ずは話を――いや、此の場合は『調書』が必要になる。
風紀委員会は、彼の願いを無条件に叶える程の善性を持ち合わせてはいない。厳格な法の執行者でもあるのだから。
自分が、その立ち位置にいるのか、と自問すれば。自嘲めいた笑いしか、少年は浮かべる事が出来ないのだけれど。


そうして案内された場所は、男の予想通りか。或いは予想外か。
エレベーターと長い廊下。巨大な風紀委員会本庁を踏破した先に案内されたのは。
『特務広報部執務室』
落第街に戦禍を持ち込む部隊の巣窟。猟犬の主の住処。

「そこに座ると良い。ああ、余り固くなる必要も無い。
此処は我等の本拠地。我等の城。万が一君が暴れたところで、1分も持たぬだろうさ」

促されるのは、部屋の大きさに見合わない豪奢な応接ソファ。テーブルの上には、既に湯気を立てたティーカップが準備されている。

「まあ、君が今更暴れ出すとも思っていない。だから結果として、私も君も肩肘を張る必要が無い」

「気を楽に。話を聞くだけだからな」

尊大な態度の少年は、先に男の対面となる位置のソファに腰掛けて。
静かに彼を見つめて、着席を促すだろうか。

>  
少年の後をついていくこと暫し、長い廊下とエレベーターを超え
見えてきたのは執務室の文字 流石に驚きを隠せなかった
目を見開いてそこの文字を眺め この場所まで本当に来たのだと 認識する
まさか、ここに通してもらえるとは思っても見なかった

「ははは、まさにその通りです。
 私が暴れても秒で制圧されるでしょうね。いやはや」

促されたのは応接ソファだ、それも豪奢な
テーブルの上のティーカップを眺めた後は 言葉に小さく笑いながら

「そうですね 今更暴れることはありえません
 ええ、ありがとうございます」

話を聞くだけ、どこまで聞かれるかによるが
内容によっては黙秘を行使しようとも考えている 虫のいい話だろう
そうして、浅く着席すれば、テーブルの上のカップへ目を

「頂いても?」

神代理央 >  
「勿論。安心したまえ、毒など入っていないよ。
ただ、値段はそれなりにする。味わって飲んで欲しいな」

なんて、軽い冗談を交えながら此方もカップに口を付ける。
二人とも中身は珈琲だ。テーブルの上にはミルクと砂糖も陶器の入れ物の中に準備されている。


「さて」

砂糖とミルクを大量に投入した珈琲で喉を潤した少年は、静かに口を開く。

「名前や年齢といったパーソナルデータ。それと、略歴。
所持していれば、住民番号まで」


「そして」

「君が"話すべきこと"を全て。話したまえ」

メモなどを取る様子はない。まあ、何処かで記録装置が動いているのだろう…くらいには。
柊程の男なら考えを巡らせるまでもなく気付くだろう。
そんな彼に、告げた言葉は"話すべきことを話せ"
静かに彼を見つめる少年の言葉は、それだけ、だった。

>  
「ふふ、そこは安心しておりますよ 
 貴方に限ってそんなことはしないでしょう
 ええ、味わっていただきましょう」

高いコーヒーと 聞けば少し驚いたような そんな表情の後
カップに手を付け一口、ブラックでいただこう その後は顔を顰めて
ミルクと砂糖を目一杯入れてかき混ぜ

やってきた質問 前半は、理解できた 後半は どこまで話すか
それを考えた後

「本名は釜雲蓮司、27歳 18歳まで常世学園の生徒をしておりまして
 18歳に妹が重病のため、お金が足りず銀行強盗を企て失敗
 そこからは落第街で生きておりました 住民番号は――」

住民番号、それまで話し終えて一息つく
相手の様子を見るに 記録装置が動いているのだろう
できるだけはっきりと発音し 少年をまっすぐに見て

「落第街で悪徳金融『雲雀』を設立 今は”元”頭取です
 そこで色々な人間を闇に落としてきました」

それだけ 話したら、口を閉じよう

神代理央 >  
「………学園に認可されていない金融業、という事だけであれば」

かちゃん、とカップを置く音が二人の間に響く。

「それだけならば、別に事は大きくならない。また、人々を闇に落とした…とも言うが」

「違反行為ではあるが、それは極論借りた人間の責任だ。
決して、柊自身に罪が無いとは言わぬが。
借りたものが返せないのなら、相応の報いを受ける可能性は借りた時点で察するべきだろう」

一見、彼を庇う様な言葉の羅列。
しかし、『調書』を取るにあたって決してそんな慈悲の言葉を投げかける様な性質では無い事は。
柊にも、分かっている筈だ。

「はっきり聞こう」

「『雲雀』は他の違反部活へ金を流したか。
流した違反部活を、全て語るつもりはあるか。情報を渡す気はあるか」

そこで一度、言葉を区切る。
最初と変わらない。静かに、男を見つめた儘少年は再び口を開く。

「落第街の仲間を、我々に売るつもりはあるか?」

>  
「ありがとうございます、救われる思いです」
 
耳に届く言葉は 聞くだけ聞けば此方をかばうような
そんな言葉の羅列だ、その言葉 それを嬉しく考えながら
しかし こういった場所で相手は優しさを見せたりはしないだろう
ただ思った事実を 言っているだけだ

そしてやはりというべきかその質問は、答えられない類のものだ

「……それは」

勝手に裏切った 自首した身だ 
答えれば教師の道が待っているのだろう
それでもやはり 応える言葉を持っていなかった

「誠に 誠に申し訳ありません 
 そればかりは、言えません 売れません」

これで、教師になれなくても それは仕方ないだろう
こんな中途半端なものが、表に出るなどと
意味はないと分かりつつ 此方の気持ちとして、深々と頭を下げよう

神代理央 >  
「………………」

言えない、売れない、と。
此方の言葉を否定した柊を、じっと見つめる。
暫くの沈黙。5秒?10秒?
室内に流れるのは、空調機の機械音だけ。

「もう一度だけ、聞こう」

静かに、口を開く。

「風紀委員会に貢献して」

「常世学園に、平和と安定を齎す為に」

「仲間の情報を喋ろう、というつもりは」

カップを手に取る。
ふわり、と二人の間に漂う珈琲の香り。

「そのつもりは、ないのだな?」

>  
白を切っても良かった それは絶対に違う気がして
出来なかった 深々と頭を下げて 暫くの沈黙は 心が締め付けられるような
そんな沈黙だった

それを破ったのは、やはり少年

もう一度だけ 耳に届いた言葉 これは分水嶺だと悟った それでも

「裏を、裏切ったけじめとして 言えません
 私はどうしてくれたって構いません ですがそれだけは」

中途半端な自分でも これだけは譲れなかった
頭を下げ続け、覚悟を決める

「誠に、誠に申し訳ありません」

神代理央 >  
 
 
「………そうか」
 
 
 

神代理央 >  
 
 

「残念だよ、柊」
 
 
 

神代理央 >  
 
 
「其処で売る、と言ってくれれば、今日私は犯罪者を捕らえて点数が稼げたのだがね?」
 
 
 

神代理央 >  
悪戯っ子の様に、くすくすと笑みを浮かべて。
頭を下げる柊に向ける視線は、決して責める様なものではない。

「仲間を売る様な者に、教師などさせる訳がないだろう」

「そこで安易に情報を喋ってくれれば、全部聞き出してから地下牢行きだったさ」

「しかし、お前はきちんと義を通した。少なからず、守るべきものは守った。
であれば、私はそれ以上聞く事は無い」

ゆっくりと、珈琲を口に含んで、飲み込む。

「意地悪な質問だった。すまないな、柊」

>  
「誠に、誠に申し訳なく…!」

残念だ その言葉が聞こえ やはり駄目なのだと悟った
妹に心の中で謝る そうして聞こえてきたのは 悪戯っ子のような
そんな笑いで 勢いよく下げていた頭を上げて みると

「え? は? いいの、か…? あ、いえ、よろしいので?
 は、はは……おっかないお人だ」

この少年は なんて優しいのだろうか なんて寛大なのだろうか
涙が 最近になって溢れるようになった 涙 
それが涙腺から流れ出て、ぼろぼろと流れ落ちる

「いえ、いえ……誠にありがとうございます
 貴方の優しさに 寛大さに感謝を
 ああ、歳を取ると涙もろくなっていけない」

流れる涙を袖で懸命に拭い、どうにか涙を収めよう
そうした後、誤魔化すように此方も笑って珈琲へと手を伸ばし
一口 ほう、と息が溢れた

「それと、柊 その名は今ここで捨てようと思います
 これからは釜雲蓮司として、生きていこうと思います」

神代理央 >  
「……言っておくが、全てを許された訳じゃないぞ。
君には、償うべき相応の罪がある。
此処で泣いて私に感謝を告げたところで、それが無くなる訳でも
軽くなる訳でもない」

敢えて、厳しい言葉を投げかける。
無罪放免…という訳にはいかないのだ。
彼には、きちんと償って貰わなければならない。
相応の、手段で。

「学園内では、暫く風紀委員の監視の目がつくだろう。
また、週に一度定期的な教師としての活動記録の提出。
2週に一度、本庁に出頭して担当の風紀委員と面談…ああ、勿論私じゃないぞ。流石に其処までは甘やかさない。
永続では無いが…まあ、暫くの間はな」

訥々と、言葉を紡ぐ。
涙を零す彼に…敢えて、優しい言葉も慰めの言葉も。
気遣う言葉も、投げかけない。
それはまあ――もっと、相応しい人物がいるだろうし。

「教師としての給与も、暫くは懲罰対象になる。
君が違反部活の活動で得た資産も、場合によっては凍結、没収処分となり得る。
『表に戻る』とはそう言う事だ。厳しい道程だ。暫くは、不自由な思いもするだろう」

「しかし――」


「それでも尚、教師として生きていくのなら。
歓迎するよ。"釜雲蓮司"
教師になれば、私も生徒の一人だ。お手柔らかに頼むよ?」

まあ、何だかんだ最後には。
涙を拭う彼に困った様な笑みを浮かべた後。
穏やかに微笑んで、頷いてしまうのだろう。
『罪』を認めた彼に、敬意を示す様に。

>  
「ええ、分かっております。償わねば教師という職業にはつけない
 それでも、貴方には感謝を、神代理央さん」

厳しい言葉でも、嬉しかった 教師になれるのだと分かって
夢が形になるのだと分かって もう一度頭をさげて礼を
頭を上げた次に、償う手段について 聞かされる

「ええ、構いませんよ――諸々、把握いたしました」

この少年には一生頭が上がらないだろう
それだけのことをしてくれた 恩義がある
告げられる言葉に、嬉しそうにしながらこくこく 頷き

「ええ、一から全て始めます
 厳しい道程でも、そこに道があれば問題ありません
 不自由な思いも覚悟の上です」

そう、覚悟の上でここにきたのだ
教師になれないかもとも思っていた
それでも、道はあるのだと示してくれて 嬉しそうなまま 笑おう

「ありがとうございます……本当に
 ふふ、先生になったら、授業来てくださいね?
 ああそれと、長いので、蓮 とでも呼んでください」

これからは教師となれる、そのことに わくわくした 子供のような様子で
珈琲を飲み その甘さに 舌鼓をうって、穏やかに微笑んでくれた
少年をじっと 見つめて

「貴方が女なら絶対に口説いてましたね 間違いない
 あ、それで、いつから着任できるのでしょうか」