2021/12/04 のログ
幣美奈穂 >  
煙突、というのに目をびっくりさせましてから。
ちょっと優しい目を神代様に向ける美奈穂です。

「理央お兄様・・まだ煙突からサンタクロースのお爺様が来られると思っておられますのですわね・・」

口元をサンタさん人形で隠してくすりっ、と微笑ましそうにする美奈穂です。
煙突から入るなんて幻想、美奈穂は2年も前に卒業しています。
ですが、通気口とかは想像もしていなかったのです。
そう、「煙突から入ってくる」はお話だと分かっている美奈穂、
サンタクロースののお爺様は勿論信じています。

「えっ!? お兄様、飛べるのですか!?」

脚立を借りに行こうとしまして、足を止めて振り返りまして目を輝かせる美奈穂です。
この前、ディステニーランドと言うところに捜査?で行きました時、ふわふわ浮かぶのを見たのです。
なんだか期待するお顔を見せるのですが。

肩車・・!

「あっ、そうすれば、高いところまで飾り付けできますわっ!」

飾り付けしたいオーナメントは沢山あります。
見下ろされまして、「?」と微笑みながら首を傾げさせる美奈穂です。
半分ぐらいの高さまでなら・・いけそうです!

神代理央 >  
「……いや、まあ。そうだな…煙突はもう時代遅れだったかな…」

ちょっと解せない。解せないけど反論できない。
そりゃあ今時煙突付きの建造物なんて早々無いけれど…!
自分が子供扱いされるとは思ってもみなかった。
それでも少女の純粋な瞳を見ると何も言えなくなってしまうのだけれども。

「ああいや、飛ぶというか跳ぶというか…。ジャンプ…かな…。
届くかは分からないけど…」

少女の期待を裏切ってしまった様でちょっとだけ申し訳ない。
少しバツが悪そうな表情で、困った様に首を振って――

「……ふむ。肩車でもやはりてっぺんまでは厳しいか。
んー……後で私がやっておくよ。少し大きめの脚立が必要そうだし。
先に出来る範囲の飾りつけだけ済ませてしまおう。
それでも大丈夫かな?」

肩車でも届かない。魔術で跳躍してもかえって危ないかも知れない。
手伝いに来たのに少女にあちこち駆け回って貰うのも申し訳ない。
と言う訳で。一度てっぺんの星を預かって、後で飾り付けても大丈夫かな?と、
己を見上げる少女と視線を瞳を合わせて。小さく首を傾げてみせるだろうか。

幣美奈穂 >  
くすくすっと小さく笑う美奈穂です。

「いえ・・今年も煙突からサンタのお爺様が来られたらいいですわね」

夢があっていいことなのです。
と、神代様の夢を崩さないように、煙突がある建物はほとんどないことを指摘しないのです。
最近のサンタクロース様は、玄関からとか、宅急便とかで配ったりしますのに。
ですが、夢を壊さないために言わないのです。

「・・ジャンプですか・・。
 あんな高く届きますのですわね!」

ふわふわと飛ぶ神代様を想像しましたので、ちょっとへにょり。
残念そうなお顔を一瞬浮かべてしまうのですけれど。
でも、ジャンプでもすごいことです、と改めてお顔を明るくして見上げます。

「あっ、はい。じゃあ、こっちとかですわね!」

お星さまを残念そうに渡しまして、新しい綿雲やキラキラなモール、様々なオーナメントです。
立派に飾り付けたい派な美奈穂は、きちんと手入れして倉庫に仕舞っておいたので、
欠けたり割れたりもしていないのです。
綿雲を持って、はいっ、と見上げて元気にお返事する、気合が入った美奈穂なのです。

神代理央 >  
本当は少女に頂上の星をつけて欲しいのだが。
態々少女に取りに行かせるのも気に食わない。
自分が借りに行こうかとも思ったが、必要な備品は金で揃えていたので
何処に聞けば良いのか分からない。備品係か…?
まあ、兎も角――

「……有難う。まあ、私は良い子と言うには些か年齢が高いからね。
サンタさんにも、私より小さな子にプレゼントを配って欲しいものだな。美奈穂みたいなね」

何だか子供扱いされてしまった。
腑に落ちない…落ちないが、楽しそうに笑う少女の夢…というか、今の空気を壊す訳にはいかない…!
従って、曖昧な表情で笑うだけに留めるのだ。
世の中の大人と言うものは大変なんだな、とか思わなくもない。

「ん。それじゃあ早速……何を飾れば良いかな?」

と元気よく返事を返してくれる少女に微笑んで。
此方も飾りつけを手伝おうと飾りつけの入った段ボールを探り始めるだろうか。

幣美奈穂 >  
一番上にちょこりと自分で付けれましたら、どんなにいい笑顔をするでしょうか。
ですが立派なツリーだと難しすぎるのです。
高いところ、結構苦手ですし。
子供ツリーならできたのですが・・!

「そうなのですの?
 でも、大人でもいい子にしてましたら頂けますわ。
 ほら、サンタクロースのお爺様から見ましたら、こーんな大きな大人だって
 子供ですもの」

両手を使ってサイズを表現するのです。
浮かれているためか、小さい子扱いされたのにも気付いていませんん。
にゃんこさんたちも、うなぁっと真似してか、立ち上がって前足でかきかきと。

「この雲を雪の様に乗せまして、あと、モールをぐるりとさせますの。
 こっちの小さな飾りは散りばめまして、大きなのは目立つように高めに飾りたいと思いますわ」

小箱から、えっさえっさ、色々なオーナメントを取り出します。
赤、白、緑に金と銀と言った、大小さまざまなオーナメントボールや、
紅白の色をした杖、ベル、柊と松ぼっくりで作られたの輪とか。
クリスマスらしい飾りが色々です。

「あと、これは天使様です」

白い翼が背中にあるお人形なども取り出すのです。

神代理央 >  
「…ふふ、そうだね。でも大人は子供に夢を与える側だからね。
良い子にしてても、やっぱり最初にプレゼントを貰うべきは子供から。
美奈穂の気持ちは嬉しいけどね。私はそういう年齢でもない……ないのか…?」

どうなんだろう、と自分で言っておいて少し悩む。
確かに16歳という年齢は世間一般では子供だが、サンタクロースを
信じるには些か、という中途半端。
まあ、そんな些細な悩みも両手いっぱいに"大人"のサイズを表現する少女を見れば、相好を崩すと同時に悩みも崩れてしまうのだけれど。

「ふーむ、意外と大変だな。まあ、ぼちぼちと……。
…天使、か。綺麗だな。見てるだけで、優しい気持ちになれるよ」

少女が取り出した天使の人形。
それに僅かに目を細めて――クスリ、と笑みを浮かべる。
自分には間違いなく相応しくないモノだが、少女が握るそれはとても神々しく見える。
見習って、少しは自分も人に優しく――


「……ん、あれは……。
ああ、丁度良かった。おい、貴様。そうだ、そこのお前だ。
脚立を持って来てくれ。このツリーの頂上まで届きそうなやつ。
急げ。ダッシュ。今すぐに」

人に優しくしようと決めた瞬間。
視界に移ったのは自分の部下である特務広報部の隊員。
顎で使うかのように脚立を持ってくるように命じれば、少し怯えた表情で隊員はダッシュ。廊下で走っちゃいけません。ここロビーだけど。
そんなやり取りの後、少女に視線を戻して。

「……というわけで、脚立は直ぐに来るよ。この星は、美奈穂がつけるといい」

と、差し出すお星さま。
今のやり取りを見られたのは情操教育に良く無かったかな、と思わなくも無いが。

幣美奈穂 >  
「でも、お兄様もサンタクロース様が・・ふふっ。
 あの、お兄様も貰えたらいいですわね?」

煙突からサンタ様が来ると信じているらしいお兄様です。
可愛らしいことなので、夢を壊してはいけません。
微笑ましい感じで見上げてしまう美奈穂南夫です。

「そうでしょう?
 沢山飾りがありますの。
 あっ、天使様がお好きですか?
 じゃあ、これはお兄様が付けてくださいませ」

きちんと作られた天使様や、誰かの手作りらしいフェルト人形など。
それらをはいっ、と両手に乗せて神代様に見せるようにします。

「あっ・・えと、・・はいっ!」

とたんに走っていく方を見かけました。
あれでしょうか・・壁新聞部、意外と体育会系なのでしょうか?
少し戸惑ったのですが、お星さまを一番上に付けていいというのに、
ちょっと驚いた後に、笑顔でお返事です。

「~~~♪」

なんとなくなクリスマスソングを鼻歌で歌いながら、丸いオーナメントを、
付けれる範囲で。
余りしたばかり飾りが多くなってもバランスが悪いのでほどほどですが、
小さめなのを幾つか、時にはちょっと離れて見栄えを見定めながら付けていくのです。
ふわり、鼻歌に合わせ空気が優しい感じに浄化されている感じがするでしょうか。

神代理央 >  
「…そうだな。なら、今のうちにお願いするプレゼントを決めておいた方が良いかな?」

と、小さく苦笑い。
大抵のものは金で買えてしまう自分としては、先ずお願いするものが余り無いのだけれど。
それでも、少女の純粋さに引っ張られる様に。自分だったら何を頼むだろうかと思案顔。

「…え、いや、私は………。
…ああ、そうだな。じゃあ、こうやって、と…」

一瞬、躊躇った。
天使の人形とそれを差し出す少女。
それに触れて良いものかどうか、少しだけ悩んでしまったから。
けれど、少女の掌に乗せられた人形からそっと天使を手に取って。
恐る恐る、ツリーに飾り付けて…ちょっとだけ、微笑んだ。


さて、そうこうしてる内に大急ぎで脚立を抱えて走って来た隊員。
敬礼。脚立セット。敬礼。退散。
これ以上厄介事を押し付けられる前に逃走した、と言う方が正しいだろうか。

「……ええと、これなら届きそうだけど……。
…私がつけようか?その、随分高い…けど…」

可愛らしく鼻歌を歌う少女と、大きなツリーの頂上にも届く様な
脚立を見比べる。
流石にこれに少女を登らせるのは危ないんじゃないか…?
と首を傾げつつ。それでも一応、少女の希望を聞いておこうと。

幣美奈穂 >  
「あっ、まだ決めておられませんの?
 わたくしはもうお願いしてありますわ」

ちょっとびっくりです。
早めにお願いしておかないと、サンタ様も困るのではないでしょうか?
自分なんて、夏休みに帰省した時に、家族と相談して決めてありますのに!
と、少し心配になり、眉がへにょりとなるのです。

「しんぐるへ~る、しんぐるへ~る、すずが~なる~。
 きょおは~たのしぃくるしみます~。へいっ。
 おひとりで~なべたべて~。
 けぇきはどくせん、すてきなよるにぃ~」

楽し気なリズムはともかく、口ずさむ歌は不穏。
にゃんこさんもなぁごなぁごと鳴きます。
聞こえたのか、受付のお姉様が苦しみだします。

「あっ、ありがとうございますわっ!
 天使様も喜んでおられますわね!」

脚立が運ばれてきたのでいそいそ近寄り・・見上げます。
とても高いのです。

「――頑張りますわ」

むんっ、小さな手を握ってお胸の横で気合いを入れる感じ。
あまり気合は見えませんけど。
それはともかく、設置された脚立にさっそくにゃんこさんが昇り始めてますけど。

神代理央 >  
「ほう?美奈穂が何をお願いするのか、是非聞かせて欲しいな」

自分のことは一回棚に上げた。
表情が曇った少女に、少し慌てた様に。
先ずは少女が何をお願いするのか、と言葉を投げかけよう。

「美奈穂?その歌は何と言うか……少し違うんじゃないか?
何人か死んでる気がするんだけど。主に男子生徒が」

ロビーで胸を掻き毟る大量の男子生徒と、少数の女子生徒。
思わず心の中で彼等に合掌しつつ、ちょっとだけ困った様な表情で少女に言葉を紡ごう。
……あ、受付の女子が悶えてる。手遅れだったか…。
ごめんね、と言う様に軽く手を掲げておこう。


「……ええと。大丈夫かな。本当に大丈夫かな…」

とはいえ、少女の決意を無碍にする訳にもいかない。

「じゃあ、脚立は抑えておくから。足元には気を付けるんだよ?」

まあ、抑えるくらいなら身長は関係無い。
よいしょ、と脚立が万が一にも倒れない様に両手で支えながら、声をかける。
先に昇ってしまった猫の姿には、苦笑いを零してしまうけど。

幣美奈穂 >  
「わたくしのお願い、言ってもいいのかしら?
 ・・えと、大きなうさぎさんのぬいぐるみも欲しかったですけど。
 あと、新しいお琴とかもいいなぁ~とか思ったのですけれど・・」

口元に指をあてて少し上を見ます。
サンタ様のお願い事を口にしてもいいのでしょうか?
神様じゃなくて聖人だそうですからいいですわよね、と頭の中でした。

「――新しいワンピースとコートを、お願いしちゃいましたの!」

両手を胸の前で合わせて、嬉しそうに言っちゃう美奈穂です。
大きくなってきましたので、お洋服も着れないのが増えてきたのです。

「・・え?、あっ、お友達のさっちゃんが教えてくださったのですわ。
 あの歌には、隠された歌詞が幾つもありますって・・」

胸を押さえて苦しむ委員、何人か。
傍目から見れば風紀委員会本庁のロビーで起きたテロです。

一番上の広いところで丸まるにゃんこさん。
ぐるぐるとご満悦そうです。
それを見上げまして――。

「い、行きますわ」

身体を固くした美奈穂、大事そうにお星さまを抱え・・ステップをちょっと登ります。
もう少し登れば、顔の高さが同じ。
既に目元が震え潤んできています。

「は、離さないでくださいませ。絶対です・・」

と、途中で袂の袷に星を入れて両手で・・はた目にもぷるぷる震えています。
ゆっくりと震えながら登り、お尻が神代様の頭の位置・・そこから上に行きますと。
・・裾の短い行灯袴、下にはいた褌が丸見えです。

神代理央 >  
「…へえ、ワンピースにコート、か。
良いじゃないか。サンタさんはきっと届けてくれるさ。
美奈穂に良く似合う、可愛いワンピースとコートをね」

微笑ましいお願いごとに、くすくすと笑みを零す。
少女らしいお願い事。それは、荒んだ任務を繰り替えす自分にとっては精神的な癒しなのだから。
とはいえ、まあ。新しい洋服を欲する原因までは分かりかねたので、まだ微笑ましいものだと笑っていられたのだが――


「ああ。気を付けるんだぞ?」

ゆっくりと脚立を昇り始めた少女を見上げつつ、心配そうに声をかける。
まあ、余り声をかけ過ぎても気を散らせてしまうかもしれないから最低限にしてはいるのだけれど。

「うん、絶対に離さないから。だから目を離さずに――」

そこで、押し黙る。というか、黙らざるを得ない。
何故なら視線の先には、見えてはいけない少女の――


少しだけ顔を赤らめて。勢い良く視線を逸らせる事に成る少年。

幣美奈穂 >  
「はいっ!。
 お姉様たちと、カタログ見てお願いするものを決めましたから!」

25日の朝に、宅急便で「サンタクロースさんより」と送り元に書かれたプレゼントが届くのが楽しみです。
今からでもそわそわとしてしまう案件です。

「ですから、お兄様も出来るだけ早くお願い事をしませんといけませんわよ?」

直前にお願い事を頼まれたら忙しくて困ると思うのです。
サンタ様、沢山の方にお配りしないといけませんから。

「絶対離しちゃダメですから・・」

まだ足が2m離れてませんが、見た目にもがくぶると震えている、
太腿半ばまである白いソックスに包まれた細い脚です。
涙声がとても不安そうに揺れています。

途中から、怖いからと目を瞑って。
手探りで階段を探りんしょっと、ちょっとずつ登ります。
周囲もはらはらと見ているかもしれません。
梯子の上から下を見ているにゃんこさん、うなぁおっと応援である。
別のにゃんこさんもいいところに、という感じで登ったり降りたりするのです。

「離してません?
 揺らしちゃダメですからぁ・・」

ぐすぐすと泣き始めてしまっている美奈穂です。
あと1mぐらい登ればいいところまで登ったのです

神代理央 >  
「……そうだな。まあ先ずは"いい子"でいるようにしないといけないな。
私は今のところ、サンタさんからプレゼントを貰える様な良い子ではない…かも知れないから」

そう。自分は『良い子』だと声高に叫べる自信は無い。
でもそれを少女に零すのはお門違いだ。
だから、良い子になれるように頑張るよ、と。
曖昧に笑うだけに留めるのだろう。
少女には少しだけ悪いと思うのだけれど。

「は…離さない。離さないから。だから、美奈穂も集中して昇って欲しい…な…!」

まあ、それはそれ。これはこれ、である。
此方だって健全な青少年。視線の先に映るものが気にならないと言えば嘘になる。
それを鋼の精神で抑え込んで、どうにか視線を逸らしているのだから自分の事を褒めてあげたい。
思うだけで決して口にはしないけど。

…だから、と言えば言い訳になってしまうが。
少女が目を瞑って昇っている事には流石に気付けない。
脚立を離したりはしないけど、少女に視線を向ける余裕が無い。

「大丈夫。ちゃんと掴んでいるよ。絶対に離したりしないから」

と声をかけることしか出来ない。
少女が昇れば昇る程、視線を向けるのは危険なのだ。
色んな意味で。

幣美奈穂 >  
「大丈夫ですっ。
 理央お兄様も、壁新聞部、頑張っておられますもの。
 あっ、この前、お手伝いしているブロッコリーおじ様もお見かけしましたもの」

商店街の掲示板を張り替えている現場をお見かけしたのです。
常世島全体で張るお仕事も大変なのでしょうし。

「は、はいっ。頑張ります・・!」

下を見たらもう動けなくなってしまうかもしれません。
それほどの高所です。
果敢に上を目指す美奈穂の脚も、震えて力が抜けそうです。
ですが、上に星を掲げるという大きな使命。
風紀委員として、ベテランな先輩委員として、見せなければいけないのです――。

足が床から2m弱。
そこで動きが止まってしまった美奈穂でした。
足をあげて、上がりきらなくて滑らして。「あっ」と梯子にしがみついたり。
頑張れがんばれと、にゃんこさんも手を掛ける次の段から鳴き声で合図してくれます。

何度か手を滑らせたり足を滑らせたりして、時間をかけて上に登る美奈穂。
一番上に手を掛けて・・恐る恐る目を開けますと、目の前にツリーのてっぺん。

「やっ、やりましたっ・・!」

と、笑顔になって下を見て、顔と身体が固まります。

神代理央 >  
「……ブロッコリーおじ様?」

何だそれ。特務広報部にそんな愉快な奴いたかな…。
いや、壁新聞部と勘違いしている様だから、案外本当に新聞部か
何かの部員かも知れないけれど。
ブロッコリーおじ様…?と、?マークを脳内に大量発生させる少年。

まあ、疑問符を浮かべている間にも天空へと至る少女の冒険は続く。
そこから目を離して怪我でもされたら大変。とはいえ、視線を向けられないので精一杯脚立を握り締めているだけなのだけれど。
ベテラン委員として気合いを入れる少女の姿を、視界に収められない少年である。

猫の鳴声と、少女の悲鳴が聞こえる度に心配そうに視線を向けて。
そして慌てて逸らせる、という行為を何度繰り返したか。
しかし、漸く少女は頂点へと至り、歓喜の声が聞こえてくる。
やっと少女の希望が叶ったか、と。
此方も視線を少女に向けて――

「やったな。おめでとう美奈穂――」

固まった少女と、ばっちり目が合った。
何だか、嫌な予感がする。

幣美奈穂 >  
こくりっ。
頷きます。

「・・ほら、頭がブロッコリーな感じのおじ様で・・」

説明をするのですが、どうにも通じない様子・・はっ!?
もしかして、壁新聞部ではブロッコリーな感じの頭の委員が多いのでしょうか?
自分が見かけていないだけで・・!

勇気を持って、3m弱ほども登った美奈穂です。
そこから手を伸ばせば・・お星さまを乗せれるのでしょうけれど。
下を見てしまったのです。

――高いっ。

それで足と手が強張ってしまったのです。
視線が神代様と合いますと、ぷるぷろ震えまして。
交じりに涙の珠が浮かんでくるのです。

「あぅ・・あの・・」

身動き取れなくなっている美奈穂、言葉も上手く出せません。
にゃんこさんが、ぎゅっと白くなるほど梯子を握りしめた美奈穂の手を前足でてふてふさせ、
嘗めて緊張を取ろうと頑張ってくださっています。
梯子の下から見上げる子も、心配そうに啼いているのです。

神代理央 >  
「……頭が…ブロッコリー……?」

二回目の呟き。
説明されても良く分からない…強いて言うなら山本か…?
彼のアフロはブロッコリーと言えなくも…いや、どうなんだろう…。
少女の深刻な思い込みに気付かぬ儘、考え込んでしまうのだった。

さて。
下を見てしまった少女と、上を見上げてしまった少年。
ばっちり目が合った先で、少女の瞳に浮かぶのは大粒の涙。
躰が震えているのが、此方からでも分かる。

「……待て。落ち着け、落ち着くんだ美奈穂。
動かなくていい。そのまま、そのままだ。
今から、そっち行くから」

支えていた脚立から手を離すのは憚られたが。
見上げた先で震える少女を落ち着かせる様に、静かに、ゆっくりと言葉を紡ぎながら。
自分が乗る事でバランスが崩れない様に注意しながら、少しずつ、少しずつ脚立を昇っていく。
ぎし、みし、と。体重をかける場所にも気を遣いながら、一歩ずつ。一段ずつ。

「大丈夫。今から行くから。だから泣かないで、こっちだけ見ていればいい。床とか見なくていい。私だけ見ていれば、怖く無いだろうう?」

少しでも少女が落ち着いてくれれば、と言葉を途切れさせる事無く。
じわじわと少女に近付いていくが――

幣美奈穂 >  
残念ながら、ブロッコリーおじ様のお名前を存じていないのです。
いえ、会議でお会いしてお名前を聞いた覚えはあるのですけれど・・頭の髪型のほうに気を取られ過ぎまして。
そして印象が強すぎたのです。
山本様・・。
それはさておき、壁新聞部にはブロッコリーヘアーが複数いるらしいとの
新情報を得てしまった美奈穂なのでした。

「あぅ・・あの、う、うん・・」

いつもの元気なお声が、震えて小さくなってます。
がくぶるしながら、小さく頷くのがやっと。
ぎゅうっと余計に脚立を握り、痛いはずなのにそれにも気が向けれません。

「あ、はっ、きゃぁっ」

脚立から手を離しちゃだめですって言いたくとも言葉にならず。
そして揺れると悲鳴を上げてぎゅっと目を瞑ってしまうのです。

「はいぃ・・あっ、ひゃっ」

すっかり縮こまってしまっております。
下を見て、少し揺れると悲鳴を上げて小さくなる。
ゆっくりと近づいてくる神代様、そのおかげで、握りしめ白かった手が少し緩みます。
うなぁお、なぁおっ、と応援するにゃんこさんたちや、
はらはらして見ている周囲の人たちなのです。

神代理央 >  
少しずつ、少しずつ。
脚立を踏み締めて、一歩ずつ昇っていって。
時間的には、大したこと等無かったかも知れない。
けれど、少女と自分にとっては――少なくとも、自分にとっては。
随分と長く感じる、短い時間だった。

しかし、どんな事にも時間にも。何れ終わりは訪れる。

「……全く、心配かけさせるんじゃない。ほら、おいで?」

少女から2段下。
そこで止まって、そっと少女に手を伸ばす。
手を引いて一緒に降りるのも良し。
何なら、少女を抱き締めた儘気合いで降り立っていい。
先ずは、こうやって震える少女の不安を消せればいい。
それだけなのだ。

「……お前達も!見ている余裕があるなら脚立を抑えぬか、馬鹿者!」

と、そこで。
此方を見守っている面々に鋭い声を飛ばす。
最初から頼んでおけばよかったじゃないか、という不満は受け取らないし受け止めない。

幣美奈穂 >  
思わず、手を伸ばそうと片手を外しかけた美奈穂。
それでぐらっとなり、きゃっ、とまた脚立にしがみつきます。
落ちそうに感じて胸が早鐘の様に打つ美奈穂なのです。

「あう・・は、はいっ・・」

手を剝がそうにもなかなか離れずに、それをにゃんこさんがぺろぺろと舐めて解してくれます。
時間を掛けながら、伸ばされた手にしがみつくようにして。
ぎゅっと目を瞑って神代様の胸のうちに飛び込むような美奈穂です。
人の温かさを感じて、強張っていたからだが少しほぐれるのです。

「お、思ったように高かったです・・」

そろりと顔をあげた美奈穂、目はうるりとしてます。
まだ高さに怖い感じは抜けていないのです。
神代様の腕の中でも、フルフル震えている柔らかい軽いものなのです。

言われて、慌てて脚立を支えに来る方もいる中。
受付のお姉様、「尊い・・」と何かつぶやいたようないてないような。
あと、総務部のお姉様がたも見物に来ているとかなんとか。

「・・あの、お、お星さま・・」

震えながらも、そっと懐に入れたお星さまを見下ろしてから神代様を見上げます。
これ、付けないとクリスマスツリーにならないのです。

神代理央 > 『此方のリミット事情により、後日継続にて一度中断致します』
ご案内:「風紀委員会本庁ビル」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「風紀委員会本庁ビル」から幣美奈穂さんが去りました。