2022/02/01 のログ
ご案内:「いつかの話」にとある女生徒さんが現れました。
■とある女生徒 >
常世学園には、"監視対象"とされる生徒がいる。
不思議なことにその等級区分やそもそも厳密な規則すら個人個人でまちまちで、
ただ興味があれば現在の監視対象が誰で何級でどういう状態かということは、
いち生徒である自分にも閲覧することができる。
とはいえ、開示されている情報の割合も、また十人十色である。
極端に綿密に記述されている高等級、逆に全く情報の足りない低等級。
未だ、入学して間もない、"いち風紀委員"にとっては、なんとも不思議な存在に思えてならなかったものだ。
■とある女生徒 >
なぜなら、"監視対象とは、そもそもどういうものなのか"ということ自体、
自分くらいの階層の生徒には降りてこない枠組みなのだから、
彼らはただ"監視対象である"と了解するしかないというのが正直なところだった。
彼らは学園にとって脅威である?――これはノー。
では他の生徒や教員にとって脅威である?――場合によってはイエス。
すなわち、「彼/彼女は少し問題がある生徒だから、干渉は自己責任で」という注意書きのようなもの。
そう考えれば、むしろ周囲の安全を保証するための、健全な学校生活を営むための必要な措置であるといえる。
でも、それでは個人にとっての脅威は除けない。
本当に恐いのは、何でもないような顔をして「ふつうの生徒」のように振る舞って潜んでいるようなものであるから。
■とある女生徒 >
少し考え方を変えてみる。
そもそも、なぜ"監視対象"というカテゴライズをし、
特別に人員を割いてまで学校生活を営ませているのだろう。
彼らは何も"特別"な存在ではない筈だ。
この女生徒は、こう考える。
学園にとって、世界にとって、"特別"な存在などいないと。
もしいるとすれば、すなわち全てだと考えている。
……………。
"監視すること"が目的ではないとしたら?
"制御すること"が目的ではないとしたら?
"警告すること"が目的ではないとしたら?
それらすべてが、何らかの目的に対する手段でしかないとしたら?
これは推理ですらない単なる仮定だ。
■とある女生徒 >
きっとどこかで、彼ら自身も気づかなかったかもしれないどこかで、
"選ぶ"場所はあったはずなのだ。
監視対象という枠組みに当てはめられずに済んだかもしれない可能性が。
選んだにせよ選ばされたにせよ、"監視される"こともまた、自己責任の帰結。
"監視下だからこそ生まれ得るなにか"を期待された者たち。
そう考えると、少し面白くなってくるとは思いませんか。
ただ監視するだけでは、コストパフォーマンスが悪い連中ばっかりなんだから。
でも、それはただ"ひとりで考えろ"ってわけではないと思うんですよ。
■とある女生徒 >
そうじゃなきゃ、ただ石の牢獄に押し込めておいて、
懸賞だけで生活する企画みたいにカメラで監視してればいいだけなんですから。
よりにもよってわたしたちが条件付きで接触できるのって、
それつまり"やれ"ってことだと思いませんか。
わたしたち風紀委員にも期待がかかってるんじゃないですか。
"あの連中を使って何かしてみろ"って。
彼らが風紀と公安の管轄下にいるっていうことは、
はれもののように扱えということではなくて、
監視対象だとかいういわくつきの人材を、効率的に運用し、成果を挙げてみせろって――
そういうことなんじゃないですかね。
■??? > 「……月夜見さんはレイチェルさんを困らせたいだけじゃないの?」
■とある女生徒 >
そうですよ。いつ――
「次の突入作戦には、追影くんを使いましょう。
もちろん、監視役は、旧知の仲のレイチェル先輩ですけど」
と提案したものかと、わくわくしているんです。
今は、それを通すための根回しを色々と――
■とある女生徒 >
――でもねえ、わたしたちは今、外側からこんなこと言ってますけど。
これは本音なんですよ。
監視対象っていうめんどくさそうな立場でしかできないこともある。
レイチェル先輩に言ったら怒鳴られそうなので先輩が聞いてください。
さっき追影くんの資料を見ていた時にね、
いいことを思いついたんですよ――――
ご案内:「いつかの話」からとある女生徒さんが去りました。