2019/05/02 のログ
ご案内:「学生通り」にアリスさんが現れました。
ご案内:「学生通り」にアイノさんが現れました。
■アリス >
私、アリス・アンダーソン。
不思議の国で恐怖体験をして、PTSDになった哀れな女の子。
惨劇の館で死の匂いが染み付いてまだ一週間も経っていない。
まだゴールデンウィーク中だけど、学校に通えるようになるかはわからない。
人もまばらな公園のベンチで、空を見ている。
どこまでも続いていそうな、憂鬱な青空を。
ふと。周囲が暗くなった。
いや、違う。あの時の景色が、血が、異形が。
フラッシュバックしている。
「ううう………!! どうして私がぁ……!!」
涙を流す。頭を抱えて、ベンチに座ったまま足をばたばたさせた。
心的外傷後ストレス障害。それは不眠やフラッシュバックで、私の心を蝕む。
■アイノ > 「大分慣れてきたな……っと。」
トレードマークのツインテールがひらひらと風に靡いて、春の風を突っ切って滑る小さな姿。
新品だったフローターボードはところどころが禿げてはいるが、彼女自身にはまだ大きな怪我は無い。
スケートボードとは少し感覚が違うから、最初は二回三回派手に転んだが、もうすっかり手足のようだ。
やはり天才だな、私、なんて一人頭で自画自賛しながら、板の先端を強く踏み込んで下り階段をジャンプで飛び越える。
飛び越えながら目の端で金色を捉えれば、お、と小さく口が開いて。
言葉から一瞬遅れて、ぐわん、っと着地。ガツンとくる着地とは少し感触が違うが、もう慣れた。
「………お腹でもやっちゃった?」
しゅるる、っと空気を切りながら傍にやってこれば、後ろを強く踏んでブレーキをかけ、空中に静止しながら声をかける。
つい先日と同じように、ボードの上にしゃがみ込んで。
顔を上げれば、金髪少女がにひ、と笑顔で片手の掌だけを見せて、ひらひらと振って見せるだろう。
■アリス >
声をかけられて、顔をあげると。
そこにはあの館の風景は広がっていなくて。
知らない金髪の少女が立っていた。
跳ねる心臓を必死に押さえつける。
声を整えて、平然を装う。
「だ、大丈夫………」
日本語で来たから、つい日本語で返したけど。
同郷だろうか……?
「お、お腹が痛いわけじゃないの。でも、病気なのは間違いないわ」
ハンカチを錬成して、涙を拭う。
…変わったボードを持っているなぁ、とか思う。
■アイノ > 前とほぼ同じ少しローライズ気味なハーフジーンズと、お腹を全部露出させたチューブトップ。その上に黄色のパーカーを羽織って……頭に被ってはいない帽子は猫耳。流石に恥ずかしいわ。
「トイレならあっちにあるけどあそこあんまり綺麗じゃないんだよねぇ。
………ふーん、病気ね。」
途中までお腹が痛い路線で話を進めながら、病気と語る相手をふーん、と見つめる。
ハンカチを一瞬で取り出す姿にひゅう、と口笛を吹いて。
……少しだけ考える仕草を見せて、口を開く。
とぼけ続けてもいいが、あまり意味はなさそうだ。
「……ついこの前、似たようなことを言われたよ。
とんでもない目に合って、なんでもないところで突然思い出すってさ。
……あー、私はアイノ。アイノ・ヴィーマ。
ちょっと前に転入してきた初心で真面目な可愛い新入生でーす。」
名乗らないのも失礼か、と、にひひ、と笑いながら自分の頬に指を当てててへ、とあざとい笑顔を見せる。
■アリス >
白いワンピースに麦藁帽子スタイルの自分が言うのもなんだけど。
ちょっと大胆な服装の子だなと思った。
と、同時に自分の発育の悪さが恨めしく思えた。
「それって………」
アガサがメールに書いてた、後輩の女の子って。
なんだかすごい偶然。
「アイノ・ヴィーマ………私はアリス。アリス・アンダーソン」
「自分で言うことなの、それ」
くすりと笑って、ハンカチを放り捨てると地面に落ちる前にそれは無害な大気成分に分解された。
「もしかして、アガサとクレープ食べたっていう子?」
■アイノ > 「人に言ってもらう3倍は自分で言わなきゃね。
何処を切り取っても事実だし。」
相手が少しだけ微笑めば、ケケケ、と悪そうな笑みを浮かべる。
「そうよ、アガッさ………アガサ先輩が同じように座ってたからさ。
か弱い後輩にジュースを奢ってくれたわけ。
アリス先輩もぉー、可愛い後輩を可愛がっとくのは後々お得かもヨ?
今日はスポーツドリンクが飲みたいな?」
この呼び名は嫌がっていたな、と切り替えながら、猫撫で声を出して甘えるように。
フローターボードの出力を弱めて少し沈めて、芸の細かい上目遣いを披露してくる。
表情はコロコロ変わるが、どうにも調子がいい。
最後のリクエストなんか、ウィンクをしたらハートがちょっととんだ。
美少女はハートくらい飛ばせる。
当たり前のように何かを空中から取り出して、消す。
それはしっかり観察はしているのだけれど。
■アリス >
「くっ……なんたる自信………」
私も堂々とそこまで言い切れる自信が欲しい。
胆力と言い換えても問題はなさそう。
「アガサは親切だなぁ……」
「私は違うわ、ジュースくらい自分で買えばいいじゃなーい」
にひひと笑って、自分の手を見る。
震えが止まっていた。
「アガサにはどこまで聞いたの? 私たちのこと」
「って今のどうやったの? こう? こう?」
ウインク(下手)を連射する。
くっ、これは美少女のしわざじゃ!!
■アイノ > 「親切だったよ、まあ、結局クレープは奢ったし、その対価で美味しい店教えてもらったし、トントンってとこじゃない?
へいへい、アリス先輩も飲む?
先輩に差し入れの一つでもしとかないとねー。」
種明かしをしながら、先ほどとは正反対のことを言ってフローターボードでするすると滑って隣の自販機へ。
ちぇー、なんて唇を尖らせるけれど、その表情もどこか大げさなコメディチックなもの。
「聞いたよ、いろいろ。
綺麗で強くて恰好いい同学年がいるってさ。
……この話は先輩には秘密な。 こういうの、耳に入ったことを知るの、恥ずかしいだろ。
………ちぇ、やり慣れてない感が逆に可愛いとかズルくねー?」
自販機に腕時計をかざしてスポーツドリンクをごとん、と購入。
いる? と振り向いて目線で尋ね。
■アリス >
「ふふ、アガサは人懐っこいからね……そういうところ、あるある」
「私はいいわ、喉は渇いていないもの」
そう言って小さく手を左右に振る。
直後、自分の手が途中で切断されていて、槍のようなものがくくりつけられた姿を幻視をした。
突然、私の顔から笑顔が消える。
私は。いつまで。こんな状態で生きなければ。
「ふふふ、私こそがレア異能を持つ美少女、アリス・アンダーソンだからね」
「でもわかる、アガサもアイノも可愛いわ」
作った笑顔で、努めて明るく言う。
落ち着け、落ち着け。
もうあの館は無い。これは幻覚で、幻想で、虚構だ。
■アイノ > 「……そー? せっかくの後輩の優しさ50%の心をー。
残り50%は他の後輩連中より良くしてもらうための賄賂だったのにー。」
相手の表情が変わるのを見ながら、こっちは変わらぬ笑顔……ただし悪役の笑顔を浮かべたまま。
「アリス先輩、今、手冷たいだろ。」
フローターボードからひょいと下りれば、それをベンチの横に立てかけて。
隣に勝手に座りながら、ずばりと切り込む。
缶のスポーツジュースを開ける仕草を見せながらそうつぶやいて、………ついでにどうしても我慢できなくなって、アリス先輩の腕にぺたーんと缶をくっつけてやる。
パーカーの帽子をかぶって、猫耳をちょん、とつけたままにひひ、と笑って……次々とちょっかいをかけてくる後輩女子。悪戯好きらしい。
■アリス >
「なにそれ、面白い子ね……」
苦笑して帽子を被りなおす。
怯えを気取られることすら今は怖かった。
「手? どうして?」
そう聞くと隣に座ったアイノに視線を向け、
悪戯を二の腕に受ける。
「のうっ!?」
全くカワイくない声を上げて、恨めしそうにアイノを見る。
「アーイーノー。あんたって子は本当に……」
愛嬌がある後輩の行動に、苦笑して。
ああ、まだ私の中に日常は残っている。
■アイノ > げらげらと下品に笑いながら、ベンチの上で器用に横にズレて、てへー、と笑って見せてごまかそうとする。
「今の声録音しときたかったわ……あー、天才の不覚だわー。」
全くごまかそうとする気はなかった。まだけらけらと笑っている。
笑いながら、よいしょ、っともう一度近くにまで移動すれば、缶のジュースはとりあえず横に置いて。
「身体の末端が冷たくなんだよ、そういう時は。
だから、そうだろ。」
ベンチで足をぷらつかせながら、視線は空を見上げつつ、そんなことを口にする。
「手ぇ貸してみ。両手。」
言い方や言葉遣いは女の子らしくないけれど、ほれ、と相手に自分の掌を差し出して。
■アリス >
「今の声を録音されたらお嫁にいけなくなるわ、全く」
怒ったフリをして、すぐに笑う。
苦笑の後、手を貸せと言われたら。
相手の意図を測りかねて、両手を拭ってからアイノに差し出す。
「これでどうするの?」
両手を相手に預ける。
初対面の人間相手に不思議だけど、アイノにはそういうことをしてもいいと思える何かがあった。
■アイノ > 「なんも。」
小さく呟きながら、両手でぎゅっと握って。
両手でもちょっと自分の手が小さいから、目いっぱい自分の手を広げて。
ただ握ったまま、それだけ。
……そこから少しだけして、少しだけしかめっ面をして口を開く。
「昔さー、小さい頃、どうしても眠れない時にさ。
誰かと手を繋いでさ。 ……その人と自分の間に、橋をかけるイメージをするのさ。
んで、自分の中にあるなんか黒いものを、半分くらい持って行ってもらうわけ。
………ずーっと昔の私の思い出話だよ。
………これ二回言うの恥ずいんだけどな。」
最後の一言は、相手に向けたものではなくて独り言。
末端を温める方が落ち着くって、ちゃんとした理由もあるけど、そんなことは口にはしない。
ただ相手の手を握って思い出話をしただけ、にしておきたい。恥ずかしいから。
■アリス >
両手をぎゅっと握られる。
それから、相手の言葉に。
確かで温かなものに。
「っていうことは、アガサにもしてあげたんだ?」
「ありがとう、私の親友を気遣ってくれて、今は私も」
「……お礼も二回分、言っておくわね」
涙がぽろりと、ヒトシズクだけ流れて。
「いやいや、これで泣くのどんだけよ」
ごしごしと二の腕で目元を擦って、笑う。
「いくらぼっち時代が長かったからって、人に手を握られて泣くとか……恥ずかしい」
両手を預けたまま、ぽつりと言う。
「私、アガサに謝りたいの」
「私は異能の反動か体質か、年に14回程度死にかけるレベルでとにかく運が悪くて」
「その不運にアガサを巻き込んで、彼女が傷ついたんじゃないかって思うと、何より辛い」
後輩の。初対面の。女の子に。
こんなことを相談するのは、間違っているだろうか。
「ということをモヤモヤと、グダグダと、いつまでも考えてるのよ、悪い?」
意味もなくプチ逆切れ。
■アイノ > 「なんもー。ああ、してやったかな。缶ジュース二の腕にべたっと。」
ケケケ、と笑いながら足をぷらんぷらん。
話を大人しく聞きながら、両手をぎゅっと握ったままでいて。その手は表情や足と違って、少しも動かない。
相手の言葉にも返事や合いの手は入れずにじっと聞いていて。
その上で、ふぅん、と最後の最後に声を漏らした。
「私はさぁ、才能に恵まれてるから、何が起こっても頼られるんだよね。
天才の宿命って奴?」
唐突に、ドヤ顔で語り始める少女。 主語はあくまでも自分。
仕方ないよねー、なんてウィンクを一つ。
「近所のヒルダなんて、何かあるたびに私を呼んで、困ったら私を呼んで。
私が元気でいる間はずーっとニコニコしてんの。 ひでーよな。
精神安定剤じゃねーんだぞ、って。」
立て板に水。さらさらと思い出話を語り続けるツインテール。
気だるそうな目で肩を竦め、んべ、と舌を出してうんざりした表情を軽く見せて。
その上で、そこで話をいったん止めて、目線を青空に向ける。
「私にゃ傷ついたかどうかもわからんし、どれくらいの深さかもわからん。
ただ、先輩を頼りにしてるようだった。 すげーな、べた褒め。
……ちょっと羨ましいよな、頼る相手がいるって奴は。」
そんなことないよとも言わないし、元気を出せとも言わない。
ぺらぺらと自分勝手に語って、この前の話した印象だけを伝えることにする。
その上で、ぱちん、とウィンクを一つ。
■アリス >
彼女の話が終わると、ウィンク一つ。
ハートがばちっと見えた。
「……そっか」
と、短く返した。
私はまだ。アガサの親友でいていいのかな。
手を離してから、両手を見る。
もう震えてはいないけど、手汗とかアイノについたら正直ハズかしい。
相手もそういう年頃なのだから理解してくれるはず。
「天才美少女は、頼るような相手が欲しいわけね」
からかうように言うと、微笑んで。
「ところで、あなた出身国はイギリス? だったら同郷なのだけれど」
「違ったらごめんね、子供の頃に日本に移住したから合ってるかわかんなくて」
■アイノ > 「頼られる方が、いざって時は傷は深いもんだ。」
手を離せば、そうとだけ呟く。ぽん、と手の甲を一度だけ撫でた。
その上で、にひひ、と笑って。
「そうねぇ、金銭的に支援が欲しいとこかナァ。
能力的には完全無欠だから、一生頼られる側なんだけどネ。」
からかわれると、ドヤァ…って音がするくらいの顔でお返しをして。
「あ? ……あー、辺境にあるムーミン・バレー。
いやあ、冬の間はみんな冬眠するらしくて暇なんだよねぇ。」
テキトーを口にしながら、国だけはちゃんと伝えて、ころころと笑う。
「私はついこの間よ。
アリス先輩はずっとこっちで暮らしてんだな。」
■アリス >
「自分で完全無欠と言い切れるのスゴくない?」
素直にすごいと思う。
でも金銭的援助は私も欲しい。
それにしてもすごい。すごいドヤ顔だ。今、擬音が聞こえた気がする。
「ああ、あの……住民が冬眠するとその間、旅人はいづらい、あの」
鈴がなるような声で、明るく笑う彼女の笑顔。
いいな、と思いながらも口には出さず。
「ええ、結構長いわ。それにしても言語で苦労してないのは本当に天才なのね」
言い方。
■アイノ > 「太陽を明るいって言うのに不安な奴いないだろ。」
ニィ、っと笑ってそんなことを言う。
本気なのか虚勢なのかはわからないが、とりあえず圧倒的な自信だった。
「まーな。
っても、割と計画立ててこっちに送る話にはなってたみたいでさ。
結構前から仕込まれてたんだよね。
遠くまで来ちゃったもんだよなぁ。」
しみじみと言いながら、スポーツジュースの缶をもう一度拾い上げて。
なんやかんや、故郷から離れたばかりの少女。
声のトーンが少しだけ落ちかけて。
「録音しまーす。」
自分の声が少し落ちたことに自分で気が付いて、ごまかすようにスポーツジュースの缶をもう一度アリスの素肌にくっつけようとする。
■アリス >
「うっ、ま……眩しい…後輩の圧倒的自信が眩しい…」
両手で陽光を遮るジェスチャーを向ける。
「ふーん………?」
「ま、遠くまで来たのは確かね。でも、本土にいても異能者とそうでない人の壁が高いし」
「今は気に入ってるわ、この島」
頻繁に死にかけるけど。嫌いではない。
「ひうっ!」
首筋にジュースが当てられるとまたカワイくない声を出して。
ムガーッと両手を挙げて猛抗議。
■アイノ > 「だろーだろー。」
ぺかー、といい笑顔を向けてやろう。
「そうだなー、いい先輩もいるしな。
悪戯をしてもすぐに笑って許してくれるしぃー?」
猛抗議をする相手に、てへ、と可愛く笑ってごまかしにかかる。
録音? した。
「…どうも話を聞けば、アブナイことも多そうだけどな。
困ったナー、頼りになる先輩にいろいろお話を聞きたいナー。」
悪い顔をしたかと思えば傲慢さがにじみ出る顔をして、次の瞬間には猫撫で声からの甘える後輩スタイルに。
ころころと表情や仕草を変えながら、とりあえず今は、ねー? なんて肩に頭をこつんとぶつけて甘えてみよう。
■アリス >
「録音しておいて笑って許すわけないでしょー!」
「消しなさいよ、消してー!」
ぎゃーぎゃー騒いで、笑って怒って。
そして直後にころっと甘える方向に転じられると、溜息をひとつ。
「ああ、もう。わかったわよ、それじゃ色々教えてあげるから」
「条件としてさっきの声、消してよね」
それから、常世の危険スポットなんかの話を色々して。
その日は、帰ってから喋りつかれて眠ってしまった。
久しぶりの安眠だった。