2019/05/15 のログ
ご案内:「学生通り」にアイノさんが現れました。
アイノ > 金色ツインテールの少女が、ポストの前で佇んで。
夕方の学生通りには人も少なく、だから、ポストの前でしばらく佇んでいても邪魔にはなるまい。

故郷を離れてしばらく経った。
遠くに住んでいる家族に近況を報告する、それだけの手紙。

友達もできました。
いろんな国の生徒がいて、いろんなお話もできています。
私はここでは変わり者ではなくて、よくいる普通の子です。
楽しくやっています。

便箋に故郷の言葉を書き連ねて、小さく折りたたんで本に挟んで。
その本を箱に入れて、更に送り主の部分に架空の書店の名前を書く。


「………よし。」

小さな箱を胸に抱えて、ポストの前で少しだけ。

アイノ > 今日は割と清楚なオーラを放つ格好。
肩は出しつつも真っ白なワンピースに、白い麦わら帽子。
まあ、暴れるつもりも、スポーツをするつもりもないからいいんだけど。フローターボードは抱えているが、今日は使わずにここまで来た。

「私も嫌われたもんだよなぁ。」

はっは、と笑う。

異能者として迫害された時に、彼女は迫害する側に対して対決姿勢を取った。
取り過ぎた、とも最近は思えるくらいに、他人を憎んで、刺々しく周囲に当たり散らし。
その結果悪評が雪だるまのようにひっついて。

今は、自分の名前を書いて手紙も出せない始末だ。

……よい、しょ。

ことん、と小さな小箱をポストに落とす。

アイノ > よ、っとポストの上に手をついて身体を持ち上げれば、まるでベンチのように腰を下ろす。
身軽な動きは変わらぬまま、夕日をぼんやりと眺め。

「天才は理解されないもんだな。」

言い聞かせるように言葉を連ねて、足をぷらんぷらん、と揺らす。

地に足が付かない。
時折、帰る場所を失っている自分に、どうしようもなく不安にもなる。
卒業しても、故郷には戻れない。

「自分の器がワールドワイド過ぎて怖いな。
 収まりきらんなー、私の才能。」

は、っと自分で自分を茶化すように、堂々と言葉にして、ん、っと伸び。

アイノ > 「届けてくれよ。」

届けるのはポストではないけれど、ぽん、と優しくポストを叩いて。
もう帰れないとは思う。
胸の内に隙間風はいつだってぴゅうぴゅうと吹いているけれど。
その隙間からあの森が、あの街並みが見えれば、それでもその風を心地よく思えるかもしれないから。


「今日はなんにすっかなー。」

欠伸をしながら、ぴょい、っとポストから飛び降りる。
これ以上夕日を眺めていたら、きっといろいろ暗くなってしまう。
これ以上暗くなる前に、帰った方が良さげだな、なんて。

ボードを抱えて、くるりと回す。

アイノ > キュィィィ、っという駆動音と共に、フローターボードが浮き上がる。
ワンピースでこれを使用するのは割と攻めの姿勢だけれど、今日はそういう気分だ。

「……っと、ぉっ!」

風でふわりと飛んでしまった麦わら帽子を、己の念動力でぎゅう、っとつかみ取って。
ぱふん、っと自分に被せ。

ぱ、っとワンピースの少女が坂道を飛ぶように、ボードで駆け下りて行く。

ご案内:「学生通り」からアイノさんが去りました。