2020/06/14 のログ
■月神 小夜 > 「ん、オッケー♪」
まずは着替えたいと言うので、手頃なお店の化粧室を借りることに。
小夜も貴女が選んでくれた服のうち、ハーフパンツの方に着替えて戻ってきた。
「どう、似合う? やっぱセンスあるわ~、くるみ」
目の前でくるりと回ったりして着心地を確かめる。
厚底のサンダルに躓くこともなく、こなれた調子だ。
■咲坂くるみ > 「ふふ、でしょう?
なんか知らないけど、気がついたら【可愛い】に妙なこだわり持ってたのよね……。
おかげでこの間、やたら凝っちゃったし」
変な硬さが取れ、今までより明るく振る舞う。
とりあえず自分でも思うけど、今日だけでも吹っ切れたので、変な遠慮はなくなった気がする。
明らかに行動が違う。
ただ、その。
……名前こそ出さないが、正直フィフティーンの制作周りは自分でもやりすぎたって思う。
「で、こっちはどう? なんか大人っぽい、ぽい?」
レースの黒キャミにロングスカートを重ねて白コート。
軽く翻して見せれば、さながらファッションショーのよう。
というか、そういう動きを参考にしたのだけど。
そして。
「……えへへ」
憧れの麦わら帽子。
まさかかぶる日が来るなんて思わなかった。
■月神 小夜 > 「うんうん、ちょー似合ってる! めっちゃオトナ~~~! って感じ!」
アタシのセンスもなかなかでしょ~なんて笑いながらスマホを取り出し記念撮影。
写真にして切り取ると、モデルと言われても遜色ない雰囲気だ。
もちろん、目の前で嬉しそうにはにかむ本人には到底及ばないが。
「……てゆか、それ気に入ったん? 麦わら帽子」
選んだのは自分だが、そんなに喜ばれるとは思わなかったので首を傾げている。
■咲坂くるみ > せれなさすが~なんて言いながら、お互いにきゃいきゃい記念撮影。
ああ、本当にこんなコトしてていいのか。すごいなふつう。
「ん……ほら。
水着とか麦わら帽子とかって、割と日常中の非日常アイテム属性が強くてさ。
特別感あったんだよね」
嬉しそうに、心底嬉しそうにしみじみと。
こんな時間……二度とないかもしれないんだし。
「私にはこう、向こう側にある手の届かないものだって。
ずっとそんな感じだったから」
【ふつう】を持ってる人が、その特別な使い方をするときに身につけるもの。
休みなんて……存在すること自体嘘みたいなもの。
だからこう、かぶってるだけで特別になれた気がして。
なんか嬉しくなって笑みがこぼれてしまう。
■月神 小夜 > 二人でオシャレして、写真を撮って、はしゃぐ様は傍から見れば普通の女子高生となんら変わりない。
小夜にとっては日常的なやり取りのはずなのに、相手がくるみというだけで、いつもよりずっと楽しく感じた。
「なるほどね~。でも、ほら。今は手が届くトコにあるわけだし?
水着も買ったんだから、海開きしたら一緒に行こーねっ」
そう。帽子も水着も、これからの季節こそ本当の出番なのだ。
当然のように、貴女と一緒に夏を満喫するつもりで約束を口にする。
いつ失うかも分からないなんて、月神小夜には似合わない考え方だから。
「あっちにクレープの屋台あるじゃん、食べよ食べよっ」
そのまま屋台へと貴女の手を引いていくだろう。
■咲坂くるみ > 「手が届く……そうかも。
とりあえず、いまのところはね」
そう、いまのところは。
10秒先はわからないけど、いまのところは。
こんな世界、あってもいいのかって思う。なんだこれ。
「クレープ……ああもう、こういうのホント憧れてた……!」
くるみや萩森きりはとか、そういう目線ではともかく。
ファミリアとしては初体験だ。
みんなこんな自由持ってるのか。
なんの理由もなく……こんなことして、楽しんでいいとか。
眩しすぎないか、コレ。
■月神 小夜 > 「まーたそゆコト言う~」
このこの、なんて突っつきながらクレープ屋台の前へ。
甘い香りと豊富なメニューが女子高生達の心を掴んで離さない、学生通りの人気商品だ。
中でもオススメは特盛イチゴホイップという、大量のイチゴと生クリームの暴力みたいなクレープ。
「今日はくるみの日常デビュー記念ってことで、アタシが奢ったげる! 何味がいい?」
まずは貴女の希望を聞いて、それとは別の味を選んでシェアするつもりだ。
■咲坂くるみ > 「んー、じゃあお言葉に甘えてベリーベリーブラウニースペシャルにしようっかな~」
せっかくだからでかいほうを選ぶ。
ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリーにストロベリーアイスとチョコソース。
更にチョコブラウニーまで盛られたフルセット。
二度と食べられないかもしれないのだし。
と思って注文したのだが。
「あ……ええと。機械だし、たぶん食べれる……よね?」
実際でてきてみると見本どころではない、大きい。
今まで、胃袋容量を気にして食べたことはさすがに、ない。
■月神 小夜 > 「うわ、めっちゃ美味しそう! んじゃアタシはコレで」
ベリーベリーにベリーではシェアのし甲斐がないので、小夜が選んだのはダブルバナナキャラメル(標準サイズ)。
スライスしたバナナと丸ごと一本が同時に楽しめるクレープだ。
「あははっ、でっか! ウケる!」
ベリーベリーブラウニースペシャルのボリュームには笑うしかない。
甘いものは別腹理論、果たしてアンドロイドにも適用されるのだろうか。
「ま、食べきれなかったらアタシがもらうし。
そうじゃなくても一口ずつくらい交換したいじゃんね……はむ」
言いながらダブルバナナキャラメルをぱくり。
中にぶっといバナナが一本突き刺さっているので、咥え込むような形になる。
■咲坂くるみ > 「それで標準……くっ」
サイズが倍くらい違う気がする。なんだこの店あきらかにおかしい。
周りを見てそれくらいだと思ってたのに、おのれ。
「うわ、えっろ……無意識にそういうとこあるよねせれな……まあ美味しそうなんだけど」
どう考えてもそういう漫画に出てきそうな食べ方をしている。
この間のペットボトルでもそうだったけど。
そういう才能でもあるんじゃないかと思うほど、艶かしく物を口に運ぶ。
さて、それはともかく。
目の前にそびえる山は登らなければ制覇できない。
ゆっくりとロングスプーンで口に運ぶ。
「……うっま。うわやだ涙出そう……出さないけど」
シチュエーションごとものを味わうなんて初体験で、思わず感極まりそうになるが、さすがに制御する。いちごうま。
うまいのはともかくそこまでやったら、屋内と違ってココでは完全な変態ぽくなる。
それはさすがに自重する。
「ほら、交換。あーん」
こちらはいちごにブルーベリー、いちごアイスとチョコブラウニーをうまく盛って。
互いにスプーンで食わせあう。
絶妙に盛ったクリームで口の周りベタベタになるがよい。
■月神 小夜 > 「ちょw そんな目で見る方がエロいと思うんですけど~?」
抗議の声を上げつつ、舌をぺろっと出して挑発的な笑みを浮かべた。
意識してもしていなくてもこれである。
「そんな美味しそうにされたらアタシも気になるじゃん。あ~んっ」
差し出されたスプーンを躊躇なく頬張った。今さら間接キスを気にするほど初心でもないが。
口の中に広がるいちごとブルーベリーの甘酸っぱさ、ブラウニーの甘さが互いに喧嘩せず絶妙な調和をもたらしている。
端的に言えば───超うまい!
「んん~っ♡ 何コレうっま! くるみもはい、どーぞっ」
貴女の思惑通り、口の周りをクリームまみれにしながら幸せそうに味わう。
こちらもダブルバナナキャラメルを差し出す……のだが、スプーンを貰わなかったのでクレープごとだ。
眼前に小夜が口をつけたばかりのバナナが突き出ている……
■咲坂くるみ > 「ずるいなぁ、もう……」
ずるいもなにもないのだが、差し出されたら食べるしかない。ココでのスプーンは許されない。
「あむ……、んぅ……っ…………ん、ん……」
そして、結局。
ファミリアが、口の中に広がるキャラメルバナナクリームのハーモニーに恍惚とする様はだいぶアレだった。
しかしなんにしても。
どちらも見た目よりクリームが軽い。
当然同じクリームを使っているから当たり前ではあるが。
そこまでちゃんとこの手のものを味わおうとして食べたことがないので、案外行けてしまうなという感じはした。かも。
そういえば考えたこともなかったが、胸焼けとかするって機能はあるんだろうか……。
いや、なくていいんだけどね……。
それでもアレだ。
「お願い手伝って……一人じゃもうムリ」
■月神 小夜 > ───前言撤回。
バナナを頬張り、唇に付いたクリームを舐め取る姿はとてもエロい。
咥えてって頼んでくる男は結構いたけど、あれを特等席で眺められるなんて羨ましい……
「へっ? あ、うん。任せて任せて」
日の高い内から浮かべた邪な考えを振り払い、巨大クレープの救援要請に応じる。
二人がかりで踏破したのは、それから数十分後のことだった───
■咲坂くるみ > 「うーあー……つよかった、つよつよ」
なんとかラスボスを撃破。
アンドロイドがこんなにクレープ向きじゃないとか聞いてない。
スイーツ向きのソフトなモデルじゃなくて、ハード面で強いことを再確認した。
特殊後方処理はともかく、一般系残務処理には向いてない。
いや美味しかったんだけどね。量がね。
「……で、さあ。せれな」
それから唐突に切り出した。
「できればその……下着姿も見たいなって」
見れるうちに、ね。
まだ消されないっていうことは、とりあえず一段落するくらいまでは安全かもしれないから。
とは言わなかったけど。
せれなには伝わってしまいそうな気はした。
■月神 小夜 > 「けふ~……美味しかったけど今日はもうクリーム系はいいや……」
少しぽっこりしたお腹をさすりながら一息。
スイーツに関しては無敵を誇る女子と言えど、一度に大量の生クリームを摂取すれば胸焼けもする。
海開きまでにダイエットしなきゃ……とか考えていたところに下着の話を切り出され、紙袋の中身を思い出して軽くむせた。
「けほっ……ま、選んでもらったからには着るけどさぁ」
悔いのないように、とか考えてるんだろうか。
そういう考え方自体は賛成だ。自分だって明日死んでもいいように今を全力で楽しんでるから。
けれど、小夜のそれは楽観的なもの。彼女のそれとは正反対だ。
「それじゃ、いつものホテル行こっか」
くるみの不安を拭えるくらい安心できる存在になりたい。
そんな風に思いながら、立ち上がって手を差し伸べるのだった。
■咲坂くるみ > 「……ん」
差し出された手。
いつまで握っていられるのだろうか。
きゅ、と少し強めに。
感触を確かめるように握ると、満面の笑みで頷いて、ホテルへと足を進めた。
……よるが、近づいていた。
ご案内:「学生通り」から月神 小夜さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から咲坂くるみさんが去りました。
ご案内:「学生通り」にシュルヴェステルさんが現れました。
■シュルヴェステル > 休日の学生通りは、普段の学生通りよりは少しばかし人が少ない……気がする。
商店街や歓楽街と、遊ぶ場所は常世島内でも少なくない。
というのに、学生通りにやってきては難しい顔をしている男がいる。
「……壊れたのか?」
学生通りの自動販売機の前に立ち。
真っ赤な「売り切れ」のランプが見えているのだかいないのだか。
そのボタンを何度も何度もしつこく押している青年がいる。
パーカーのフードを被って、キャップもその下に被っている根暗そうな男。
「…………」
ストトトトト、と何度も手際よくボタンを押す。
何度何度と押したとて、飲み物が出てくることはない。
ご案内:「学生通り」にアリソンさんが現れました。
■シュルヴェステル > 自動販売機には、500円玉が投入されたことを示す表示。
そして、どうにもウンともスンともいわない売り切れボタン。
青年は、こめかみを軽くおさえてから呻き声に似た声を漏らす。
「……壊れたのであれば仕方ない、か」
やれやれ、といった調子でくるりと500円の入ったままの自販機に背を向け。
「――ッ!」
そのまま、自動販売機に勢いよく回し蹴りを入れる。
自動販売機は、未だ沈黙を貫いている。
「…………なんだと?」
■アリソン > やっと届いた真新しい制服に袖を通して、長い髪の毛はポニテにしたものの長くて鬱陶しい。
休日の学生通りを散策するという学生らしいことを漸く出来るという喜びをしたくてあっちこっちと歩いていたら。
何かに向けて空気を切り裂く音、続けて自販機かごみ箱かに回し蹴りをぶちかました存在を音で捕捉。
音の主は何ですか、乗り物ですか、それとも違う何かですか、と
異能で改めて視……自販機に足を振り上げた男子学生????
え、なんですかそれ、と気になって近づく黒髪の女子生徒。
「……あの、どうかなさったのですか?器物損壊は如何なものかと…」
申し訳なさそうに伺う様な姿勢で男子学生へと声をかけて様子を。
■シュルヴェステル > 「?」
掛けられた声にぴくりと指先を僅かに動かして反応する。
半身だけ引いてから、どうやら学生らしい女子生徒をちらりと見る。
そして、咎められたのが自分であることを悟れば。
「……ああいや、叩き直してやろうと」
根性を。自動販売機はそういう根性論で動いているものではないのだが。
目の前の青年は何やら、自動販売機のやる気が問題だと思っているらしい。
「既に損壊しているものだ。問題はなかろう。
……それに、見るに壊れているらしい。こういう時はどうすればいい?
叩いてもびくともしない」
申し訳無さそうな少女に、いやにふてぶてしい青年が問いかける。
学園都市の自動販売機は強い。
異能、超常がありふれたここでは、蹴り程度で自動販売機はどうにもならない。
いまも、堂々と自動販売機は鎮座している。
■アリソン > 一寸短い制服スカートをひらひらとさせながら、男子学生へと近づく女子生徒。
咎めるというか理由もなしにこの学生通りで物事を仕出かすと
公安やら風紀委員やらその他諸々がわんさか来るという非常に面倒な事案となりかけてしまう。
「叩き直せるほどそんな強固な作りは…寧ろ警報装置が鳴りあらぬ罪に重ねられる恐れが御座います」
(自動販売機の内部構造…を異能で視てみた。異常がない。どこに異常があると???
損壊?は表面に一発あるかないかのへこみ具合がある位、ではこれが今目の前にいらっしゃる男子生徒の攻撃ですか。)
暫く眺めていたが 男子生徒へと体の向きと姿勢を正して見上げて
「恐れ多くも、損壊個所は見受けられません。
叩いてもびくともしないのであられましたら
…自販機の表面に貼られております自販機設置の会社の電話番号に連絡して頂くか、
今一度コイン返却をして違う飲み物をご購入して頂く方がよろしいかと思われますが、
わたくしで貴方様のお立場でいるとするのならば既に自販機にコインを入れていた場合ですが、
返却ボタンをして戻すことを致しまする」
助言と解決策を一通り男子生徒へと伝え 「ご清聴感謝致します」、と軽く丁寧なお辞儀をしましょう。
■シュルヴェステル > スカートの裾が目に入れば少しばかり眉根を寄せる。
自動販売機にまたすぐ視線を戻してから、「ふん」と短く鼻を鳴らす。
「見受けられない?」
訝しげな声色でそう言ってから、顎に手を当てて考え込む仕草。
自動販売機からしたらかすり傷にすらなっていないへこみを見て、唸る。
「ぱっと見てわかるものか?
……貴君はこの機械に詳しいのか。
なれば、どこをどう見れば判断できるのかご教授頂きたいが――」
再び、売り切れのランプの灯っている自動販売機のボタンを押す。
ストトトト。何度押してもうんともスンとも言いやしない。
「損壊箇所が見当たらないなら、出ないのはなぜだ?
金銭を投入し、そのままボタンを押せば出てくると教わったが。
……返却ボタンを押してもいいが、壊れていないのに出ないのか?」
■アリソン > こちらの自販機、と手のひらを自販機の表面へとそっと触れつつ
アリソンは自販機に手を当てたまま男子生徒へと視線をそらさない。
「内部構造上、異常故障および不具合に至るまで御座いません」
異能での目撃観察ですが、とは言わないが、異能ではどう見ても異常はない。ないのだが…。
自販機のボタンを触っては眺めを暫し…あ。
「少し特殊なものが御座いまして。
機械というより…………売り切れてません?その押されているボタンもしや。
妙な音も聞こえますし、恐らく表示が売り切れでは?
自販機内部にもその商品は補充されない限り押しても出ません。
欲しいお気持ちは残念に思いますが、他の商品をご購入されては如何でしょう?」
男子生徒が押しているボタンの表示は分らないが、そんなに押しても出ないのは=売り切れ!
他の在庫ありの表示ランプを押せば解決はすぐそこに。
■シュルヴェステル > 不審そうな視線をずっと向けたまま。
「壊れていない」と何度言われたとて、目の前の少女がすこし見ただけで、
中身が壊れていないと判断して断言できる理由がわからない。
「……そうか」
特殊なもの、と言われたら多少の納得はできる。
この島の学生だ。異能、もしくは魔術に準じる《なにか》だろう。
だから、そのどちらもに心当たりのない自分にはわからないが相手はわかる。
つまるところ、相手には目があるが自分にはそれがないだけ。
自動販売機を前に、難しそうな表情を浮かべたまま立ち尽くす。
「売り切れ? 中身はいつも入っているのではないのか?
……押せばいつでも出てくると教わったのだが……そういうのも、あるのか」
異邦人の青年には、難しいことはわからなかったが。
いま、自分が選んでいるものが手に入らないという部分だけはわかった。
故に、軽く頭を下げてから「感謝する」と告げる。
「……教示の礼だ。好きなものを」
自動販売機を示す。自分は既に怪しげな表示のドリンクを片手に持っている。
■アリソン > 此方なり自販機に向けられる視線には気づかない素振りを。
特段不審に見られたとして真実が見えている限りは揺らぐ事がない。
そっと自販機に添えていた手を下ろせば要約視線を落として。
「いえ。」
敢えて見える風に装う位は慣れたもの、
目ではない眼で物事を見通し見抜く、応用も少しあるけど
視覚がない分他が鋭いだけ、解決するか否かは彼が決める事でしょう。
「この季節は冷たいものが早くも売り切れ、
補充が追い付かない事が屡々起こりえます。
この手の自販機は通常 売り切れれば補充される筈なのですが、
まだのようですね…如何せん補充は人の手が大半であるが故」
元々異世界からやってきた異邦人だがもうそう名乗っていない。
人に早く溶け込めるように相当努力したが何かと難しい事はある。
感謝を、と耳にすれば 「どういたしまして」、と返す。
「…そうですね、此方を頂きます」
自販機のある部分を示しーそれは ぷるるんバナナナタデココとかいう謎のドリンクだった。
礼の対価にそれを押し 頂く。…冷たい…。
■シュルヴェステル > 彼女のその装いは見事に成功している。
彼女がどうやって何を見ているかなど、青年にはわかっていない。
せいぜい、「普通の《地球》の異能者で、透視かなにか」をしているくらいの認識だ。
「こんなにも発展しているのに、人の手が入用か。
すべからく自律駆動しているものかと勘違いしていた。
人間は教わらなくとも、自然にそういうものを学ぶものなのか?」
ふと疑問を口に出し。
見えていないとも知らず、学園でちらほら散見される謎ドリンクが落ちてくる。
そして、慣れた様子で味わっているのを横目で見ながら。
「学年を問うても」
見えていないはずの少女よりも、よっぽど見えていない青年がそう、問う。
■アリソン > 何を男子生徒は見ているのかは分からない。
向けられている視線の種類が分からないだけでそれが敵意でない限り気にしないのがアリソンのルール。
「社会は回っているのです、全てを無人 全てを機械に委ねると
人は術からず怠けるイキモノに逆戻りです。完全自立駆動して
いるのは時々見られる高難度駆動精密機器、いわゆるパトロール人型端末では。
学ぶのは恥を忍んで学ぶと宜しいのでは。」
何を買ったかはちょっとわかっていない、表面の凹凸か刻まれている。
僅かに顔色が微妙になったが―飲んで益々複雑に。美味しいけれど…。
「2学年 アリソン、と申します。」
なんだかんだあっという間に飲み終えると、
一言名乗りを口にして深々とお辞儀を一回。
■シュルヴェステル > 「……全てを無人、全てを機械に委ねると。
人はすべからく怠ける生き物に逆戻り。……なるほど」
彼女の口にした言葉を復唱する。
つまり。彼女の中では、彼女曰く。
怠ける生き物は、それは人以下であるとも取れる。
青年は、彼女の言葉を「そう」認識したし、青年も同意見だ。
「ああ、そうだな。私もそう思う。
……どれだけ無為でも、非効率的でも、人の手を使うことは」
「大事である、と、私も考えている」
真剣そうな声色でそう呟いてから、自分の飲み干した空き缶をゴミ箱に放る。
彼女の表情を伺ったものの、どう声を掛けたものかと悩んで敢えて触れず。
そして、名を答えられれば少しだけ目を細めて。
「先達に謝辞を。1年、シュルヴェステルという。
もし、またなにかあらば――教示頂けると、幸いである」
見えていないことも知らぬまま、視野の狭い青年は頭を下げ、踵を返す。
おつりは、まだ自動販売機に入ったままだった。
ご案内:「学生通り」からシュルヴェステルさんが去りました。
■アリソン > 男子生徒を見送った後 ふと自販機のつり銭が残っている事に気づく。
そのまま置いていくのは誰かに使われるのもあの後輩に悪いと思う。
であるのならば また違う機会に逢える事を思いつつ、身を屈めて
自販機のつり銭出し口に手を突っ込み、数枚のコインを手に。
「1年のシュルヴェステル 様。記憶の中に刻みましょう。
釣銭置いて行かれてますが 後程届けるようにしなければ…。」
程無くして見えぬ異能持ちの女子生徒も学園通りを後にしていく。
後日 後輩には人づてを経て釣銭を律義に届けたのは―。
ご案内:「学生通り」からアリソンさんが去りました。