2020/06/17 のログ
ご案内:「学生通り」に鹿波 依月さんが現れました。
鹿波 依月 > 「あ゛~~~」

じわじわと日照りを浴びながらやや猫背になり、思わず唸ってしまいながら学園を目指す。
まだ本格的に暑い、というには足りないが。

「……」
じくじくと身体を蝕む暑さと纏わりつく不快感。

そう、湿度という1点においては真夏をはるかに凌駕する月。
つらい。
そう心で呟きながら歩く。
昨日の雨は残りはしなかったがこの湿気という形でまとわりつくのは正直勘弁願いたい。

顔から滴り落ちそうになる汗を手の甲で拭えば、鞄からペットボトルに入った水を取出し、こくっこくっと喉を鳴らし飲む。
飲み水ではあるものの『有事』の際の貴重なモノではあるが背に腹は代えられない。

「あー……」
飲み下された水が身体を冷やしていく感覚を味わいながら、足取り重く、学校へと歩き続けていく。

鹿波 依月 > 「サボればよかった……」

道半ばであるが今更後悔の念が押し寄せてきてる。
何時もの道のはずが異様に遠く感じる。

これは別に湿気がどうとかやる気がないとかどうとか以前の昨日の晩は夜更かしをしたという凡そパフォーマンスの低下を招く最大要因である。

時間泥棒なゲームを割引して期間限定で販売しているのが悪い。
そう、彼女の中では結論付けられており、これっぽっちも自分は悪くないのである。
無いのである。
むしろその中でしっかりと登校する時間には起きれたことを誇るべき、すら思っている始末であった。

ぺた、ぺた。
ぺた、ぺた、ぺた、と勿論そんなこんななので一向に歩みが軽く様子も無く。
元気そうな他の生徒がさっさと追い抜いていく中を本当にゆっくりと歩いていく。
止まりそうではあるが。

鹿波 依月 > 「このまますっげーゆっくり歩いてたらそのまま授業なくならんかなーならんかーそうだよなー」

周りには流石に聞き取れない声でぼそぼそ言いながら。
だらりと弛緩して片手にペットボトルを持ち、ジト目は更に細められている。
日差しが目に痛いのである。

「……」

ぴた、と歩みは止まった。
ここまでつらい思いをして学校に行く意味とは?

しかし周りはそんな彼女の考えなどお構いなしに学園への道を進んでいく。
一種の集団同調のような状況。
実際道で止まっただけなのに多少人目を集めるワケで。

「んん……」

軽くごまかす様に咳込んでみた後。
それはそれで気恥ずかしくなり、ちょっとずつまた前に進み始めた。

せめて立ち止まるならもうちょい人がいなくなる処、だ。

鹿波 依月 > しばらく歩き、途中にコンビニがあるのを確認すれば。

「あーそういえば買うものあった」

と特に誰に言い訳しているのかわからない言い訳をしながらコンビニへとこそこそ脚を運ぶ。
自動ドアが開けば外とは比べ物にならない程に快適な空間。

「……はー」

息を吐く。
とにかく効いた冷房が心地よい。
じっとりとにじんだ汗を感じながらもしばらくは時間をつぶそう、そう決めて店内を物色し始める。

鹿波 依月 > コミック棚にある週刊誌を適当に拾い、ぱらぱらと眺める。
追っていた連載の部分を探すが見当たらず。

「えっ……今回休載かあ」

がっくりと雑誌を戻し、気を取り直し飲料売り場へ。
決まって立ち止まるのは水。

己の異能に最も密接に関係する為、あれこれと手に取ってみる。
まあほぼほぼ水は水であるのでよっぽど何かしら中に入っている、とかではなければ大丈夫なのだが。

「前これの別の買ったけどイマイチだったしなあ」
うーん、と以前買ったもののバリエーションを手に取る。

単に持ち歩くんだから飲むこともあり、それなら美味しい方がいい、と言うだけの何とも適当な拘りではある。

鹿波 依月 > 口元に拳を当てて考え込む。

飲んだことのない2種の水を手に取りうーん、と悩む。
両方買えばいいのだがとはいえ水を持ち歩く、という行為はそれなりに重いのである。
物理的に。
異能を発動させれば勿論重さは無くなるがそもそも異能を発動させている状態の方が面倒くさい。

「どっちかなー」

片方はよく飲む奴の別のもの。
値段はちょっと高めで、もう片方は値段はそこそこで以前飲んだ時に合わなかった奴の別のもの。
けち臭い話であるが水2本を買ったところでそこまでお金はかかるまいが。
そこはそれ、という奴で。

『課金や趣味には万単位で気にせずするのにスーパーでの買い物はたとえ数百円のものでも一度買ったことのある値段より1円でも高いとなんか買う気が失せる』というそんな状況である。

異能は大事だがそれは趣味には勝てないのだ。

という事で数分ほどしゃがみ込み、うんうんとどっちの水を買うか悩むという絵面が出来上がったのである。

鹿波 依月 > 「よし」

決めた一本を手に取りレジへ。

会計を済ませれば外に出て。

周りと逆走していく。
まあ一日ぐらい休んでも怒られないだろう(※怒られます)

部屋に戻って今日買ったやつのレビューを取りつつ買ったゲームの続きをしよう、と決めて。

明らかに足取り軽く、授業をサボる事にした彼女であった。

ご案内:「学生通り」から鹿波 依月さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に矢那瀬陽介さんが現れました。
矢那瀬陽介 > 今宵は晴天。日が沈み汗ばむ熱気から涼やかな空気に変わる学生街。
昼間の茹だる暑さから解放された人々が遅くまでのショッピングに歓喜のざわめきが湧く。
半袖では薄ら寒さを覚えた少年は着替えた薄手の濃緑のパーカーのポケットに手をツッコミながら歩んでいく。
歩む通りはどこにでもある商店街。けれども自分が新しく過ごす街並みの一つ。
なれば記憶に刻むように今宵の曇天よりか鮮やかな黒の眸を嬉々と巡らす。

「色々とあるね。BARとかもあったりして?」

独り言も喧騒に飲まれる学生街に黒髪を揺らめかせ弾むように進む足が……不意にぴたりと止まる。

「おぉ……」

まるで学生街を見下ろすように巨大に聳える高層建造物。
明かりもなければ重々しい影で天を貫く「扶桑」に擡いで望む黒瞳が大きく瞬いた。

矢那瀬陽介 > 壮大な建築中のショッピングモールに暫く呆然と佇んでいれば背が歩行者とぶつかり。

「っと、ごめんなさい」

ぶつかった人に謝り再び歩行者の流れに乗って動き出した。
でもどうしても気になる背後の建造物に視線を流して。

「あんな大きなお店が出来たらどうなるんだろ?この商店街も潰れちゃうかな?
 ――ううん、大丈夫さ。それより開店に向けてバイトを募集してるかも。
 帰ったらネットでチェックしてみよう」

心に思うこと言葉に変えていく内に、くぅ……と腹が鳴る音。
誰にも見られてないというのに気恥ずかしくて、目元にさっと朱を引いて手で抑えた。

「いけない……晩飯を食べに来たんだった」

ご案内:「学生通り」にA.昼さんが現れました。
A.昼 >  
 腹を鳴らしながら通りを歩く少年。
 その後ろから不意に、中年男性の声が聞こえてくる。

「なんだ兄ちゃん、腹減ってるのか?」

 振り向いても、それらしき人影はないだろう。
 いや、そもそも声が聞こえた高さが合わない。
 もっと下、それもかなり足元の方から聞こえたように感じるだろう。
 気のせいだとして無視すればよし。
 きっとその方が幸運に違いない。
 もし、万が一、間違って、足元に視線を向けてしまったのなら……

「昼だよ」

 片翼を挨拶のように上げながら、あなたを見上げるカモ科のマガモを原種とする家禽、所謂、アヒルに似た生き物がいることでしょう……。

矢那瀬陽介 > 肩を並べたブランド店から食指唆る薫り立つ飲食店の並びに変わる。
鼻を鳴らしながら財布の中を覗き込む。
立ち食い故に安いステーキ店、ご飯お替り自由の学生に優しい食堂チェーン、逆に学生馴染みないワインに合うイタ飯。
どれも視覚も嗅覚も良く刺激してくれるのだが……財布に紙幣が一枚もないことに曇る顔。
その表情が変わったのは何処からか聞こえてきた声の為。

「……誰なの、気配全然感じない。どこ?」

周囲への気配察知は怠らない。くるりと見渡す黒瞳には声の主は目に入らない。
とりあえず財布をしまおうとした視線を下に戻した矢先。

「わっ」

己の身の丈の半分もない小さな真鴨に声が弾む。まるでマスコット人形のように羽を手のように挨拶する彼に。
おそるおそると身を屈めたのなら凝っと警戒と好奇心綯い交ぜに大きく開く黒瞳を向けて。

「こんばんは。今は昼じゃなくて夜だよ。
 夜でご飯を食べているからお腹を減ってるんだ。
 君はどうしたの?真鴨なら池で眠ってる時間でしょ?」

A.昼 >  
 見つけられれば、この鳥類は表情の読めない鳥顔であなたを見返すでしょう。
 そしてこのみょうちくりんなUMAと目が合ってしまう。

「昼だよ。
 この時間は涼しくて散歩にちょうどいいからな。
 ちょいと野暮用もあったもんで、星でも眺めながら歩こうと思ってな」

 もちろん昼ではない。
 空には夜空と星が浮かんでいるので、きっと昼ではない。
 鳥類はやけに親し気に話しかけてくるだろう。

「あー、ここらの飯は悪くねえが、コレだ! って店はねえなあ。
 いや悪いわけじゃねえ。
 どこも良いところはあるさ。
 が、俺にいわせりゃまだまだ一流じゃねえってところだな……と、こんなところで言うのもよくねえか」

 口が滑ったとでも言うように、翼で黄色いくちばしを撫でながら、回りの店を眺めながら言った。

矢那瀬陽介 > 彼の言葉に首を振りながら商店街を照らす街灯を指差し。

「いやいや、夜だってば。あれ見えるでしょ。
 もう季節は夏になるから昼より夜の方が散歩にちょうどいいんだよ。
 それで、野暮用でここ歩いてたの?踏まれるの怖くなかったの?」

周囲には絶え間ない雑踏鳴る。小さな真鴨では踏まれるのではないかと首を小さく傾げ。
続く言葉に唇を大きく尖らせてゆく。

「真鴨に食を問い正された!どっちかと言えば食べられる側なのに……。」

嘴を隠す羽を指先でちょん、ちょん、と突こうとしながら言葉を続けて。

「そうじゃないんだ。美味しいお店を探してるんじゃなくて。
 お財布に優しいお店を探してるんだよ。
 今手持ちが500円ちょいしかないから、ココらへんのお店は予算オーバー。
 君がコレだ!という店より遥かにランクが落ちるファーストフードしか食べれそうにないって悩んでたんだよ」

折り曲げた膝に腕を回して語りかける少年はがくり、と頭を下げてゆく。
コミカルに動く真鴨とそれに声をかける少年に、衆目は好気の眼眸を注いで見守っていた。

A.昼 >  
「昼だよ」

 抑揚なく即座に返されるワード。
 しかし、どう考えても昼ではない、はずなのだ。

「まあ多少踏まれたり蹴られたりはあったが、そんなもんだろ。
 人間、案外足元ってのは見えてねえもんだからなあ。
 相手に悪気があるわけでもねえし、俺は丈夫だからな。
 しいて言うなら、兄ちゃんはちゃんと足元の見える地に足が付いた大人になれよって事くれえだな」

 うんうんと、一羽で頷く鳥類。

「あー、俺を食べるのは推奨はしねえが、止めねえよ。
 人から聞いた話じゃ結構美味いらしいからな」

 伸ばされた指先に翼の先で握手? するように触れ返す。

「なるほどな、世の中金がないと何もできねえからなぁ。
 俺も一文無しだぜ、世知辛いもんだ」

 はっはっは、と笑いながら「昼だよ」と鳴きつつ、自分の翼の下をくちばしでまさぐり始めた。

「いよし、ここで会ったのも縁ってやつだ。
 兄ちゃんには俺がごちそうしてやろう。
 何か食いたいものはあるか? なんでもいいぞ」

 周囲の人間は一人と一羽を遠巻きに眺めている。
 さすがの常世島民でもこの光景には驚いちゃうね。

矢那瀬陽介 > 「夜だってばさ。
 もしかしてジョーク?
 アヒルと掛けてるの?」

肩に雪崩た黒髪がつかんばかりに首を傾げる。
90度傾いて見える真鴨の顔に更に黒瞳を細めて。

「へぇ、いい奴じゃん。嫌な目にあっても悪意がないなら許せるんだ。」

しかし顔を戻せば軽く眇めて睥睨し。

「でもなんか偉そう。何が地に足がついた大人になれだよ。
 せんせーみたいなこと言ってさ。
 それに食べられても良いって本気で言ってるの?
 俺、鳥を捌いたことがあるから本当にヤっちゃうよ」

突いた指先はいつしか風切羽と握手を交わしていた。

「俺はヤナセヨウスケ。
 よろしくね。
 あー、文無しは分かる。君がお金をもっていても何も買えそうにないもんねぇ」

動きは人間じみてる癖に羽繕いするのはまさに鳥の其れ。
不思議な存在に中腰に重ねた膝上に顎を乗せて見守ってゆく内に周囲を見渡し始め。

「あはは、ありがとう。優しい真鴨さん。それじゃ何を食べようかな」

無論、家禽に何か食べさせてもらうつもりはない。
戯れに興じているだけ。
しかし、網焼きの焼鳥屋が目に入ると、大きく喉が波打ち。

「焼鳥おいしそ」

真鴨の前でそんなことを呟いてしまう。

A.昼 >  
「昼だよ」

 淡々と繰り返されるだけで、どうやら冗談の類ではない――というくらいは感じ取れるだろう。

「ははは、おっさんになるとなどうにも偉そうになっちまうもんでよ。
 ついつい説教臭い事が口からまろび出ちまう。
 しかし、鳥を捌けるのは大したもんだな。
 将来は料理人にもなれるんじゃねえか?」

 羽と握手を交わしてもらえれば、喜んでいるのかクワックワッと声を上げて笑った(?)

「おう、ヨウスケだな、覚えたぞ。
 俺は▲〇⊿Ω◆だ。
 まあ人からはよく【アヒル】って呼ばれてたが、まあ好きに呼んでくれ」

 少年が周囲を見渡すと、鳥類も周りを見る。
 そして、ぽつりとこぼした言葉は、しっかりと聞き取っているのがこの鳥類だ。

「お、焼き鳥か、いいな。
 そんなら確かいい肉とタレがあったはずだ……よし、焼くか!」

 と、言うが早いか。
 どこから取り出したのか、物理法則を無視してやや背の低い調理台が現れた。
 その上には羽を剥かれた一羽の鳥……形状的には鳥のような物体なのだが、それはなぜか漆を塗りたくったかのような色をして、表面がぬらぬらとしている。
 そんな鳥のような何かを、どこからともなく取り出した包丁――これもまた、どうやって握っているのか鳥類の翼に張り付くように持たれていて、目を疑う暇もなく手早く鳥のような何かを捌いていった。
 その手際は非常に手馴れており、熟達した料理人のようにも見える……が、どこからどう見ても鳥類だ。
 しかも、調理前にはきっちり翼をアルコール消毒しているあたり、衛生観念もしっかり持ち合わせているらしい。
 周囲の人間は、いよいよぎょっとした目を向け始めたようだ。

矢那瀬陽介 > 繰り返されるやり取りに眉を八の字にまで下げて。

「……そんじゃ昼でいいよ。
 鳥が捌けるのは生きるためだよ。この学園にたどり着くまで大変だったんだ……。
 大変容の傷跡はまだ社会に深く爪痕を残してるんだよ。
 君もその一人でしょ?普通の真鴨じゃない」

何処か遠く見遣るように視線を馳せてから溜息一つ。
続く聞き取れぬ発音に瞬きを落とし。
そして少しだけ声を荒げた。

「やっぱり昼とアヒルと掛けたジョークじゃないか!
 君、アヒルじゃないから。どうみても真鴨でしょ。
 何がアヒルだよ!その羽のどこが白……ぇぇ!?」

捲し立てるツッコミも終わらぬ内に始まる異変。
某米国のアニメのように彼のサイズに合わせた調理台、それに材料。

「速ッ」

動体視力に自信も崩される包丁さばきに驚いて立ち上がる。

「これが、アヒルの異能……どこでも何かを作れるってこと?」

ざわつく人垣と調理に専念する真鴨を交互に眺めて表情から色を失う。