2020/06/26 のログ
ご案内:「学生通り」に雪城涼子さんが現れました。
■雪城涼子 > 「さて、と。今日は一杯買い出ししちゃったわねぇ」
小柄な少女姿には、少し厳しそうな大荷物。
案の定、少々ふらついている。
「陽くんが、準備で色々買い込まないとっていうから思わずはりきりすぎちゃったわね……」
荷物の山でだいぶ視界も危うい。
どうしよう……と、ちょっと思いながらも目的のお店めざしてふらふら、ふらふらと歩みを進める。
■雪城涼子 > 「そもそも、運が良かったのが悪いのよ……」
かなり矛盾した愚痴を口にする。
いくら急に大金が入ったとはいえ、無計画に買い物をするほど短絡的ではない……つもりだ。
でも、特売が――
特売がよくなかった。
良いものがお得なお値段で、あれも、これも……
主婦の血が騒いでしまったのだ。
普段ならお財布の紐も固いんだけれど……
「だって、買えちゃうんだもん……」
ぼそっと、子供のような言い分をつぶやいた。
ご案内:「学生通り」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 前期期末試験を控え、風紀委員達にも交代で『試験休暇』の様なものが与えられる事になる。委員会活動で単位が認定されるとはいえ、学生の本分は学業。本気で単位を取りに行く者。自分の研究を進める者など、風紀委員の間にもアカデミックな雰囲気が漂い始めるのだろうか。
しかし、試験期間だからといって風紀委員の活動を疎かにする訳にはいかない。試験勉強に励む委員がいるのなら、当然そのしわ寄せを喰らう委員もいる訳で。
「……だからといって、学生街の巡回とはな。まあ、致し方ないとも言えるが…」
先日、落第街にて怪異の少女と遭遇した事を報告。ついでに試験期間は別にシフトに入る事は問題ない事も報告。
その結果、取り合えず安全な場所の警邏へ回される事になった。退屈な任務を与えられるくらいなら、家にいた方が良かったか、と溜息交じりに巡回していたのだが。
「……ん、あれは――」
大量の荷物を抱えてふらつく銀髪の少女。その後ろ姿には見覚えがある。何せ、糖分の事に関してはこと記憶力に自信がある方なのだ。
「随分な大荷物だな。週末の買い出しにしては幾分多過ぎる様に見えるが」
と、のんびりと歩み寄れば背後から彼女に声をかけるだろうか。
■雪城涼子 > 「前、見えな……ん、んー……」
なんとか顔をあげ、少しでも視界を確保しようとする。
しかし、割と無駄な努力であった。
そもそもの身長が足りないのだから仕方ない。
とにかく、前を見ることに必死だった。
あと、バランス。
「きゃっ?!」
とにかく歩くことに集中しすぎて、誰かが近づいていること、ましてや声をかけられるなど想定外であった。
思わず小さな悲鳴を上げてしまう。
あ、ばらんす……
■神代理央 > 「……おい、馬鹿……っ!?」
まさか声を掛けた瞬間、悲鳴をあげてバランスを崩しかける少女。
それは此方にとっても想定外の事態。というより、原因は十中八九己である。
咄嗟に身体が動いた。バランスを崩しかけた少女を支えようと大股で近付き、その華奢な肩に手を伸ばそうとするだろうか。
少女が倒れなければ良し。万が一バランスを崩しても、此方に重心を傾ければ何とか受け止められるだろう。
出来れば、少女の荷物も無事であって欲しいのだが果たして――
■雪城涼子 > 「わ、わ、わ……ぁ、きゃ……っ!? に、にもつ……っ」
転ぶのはいい。
どうせ、最悪ノーダメージで済ませられる。
でも、大事な大事な仕入れ品は替えが効かない……わけでもないが、
せっかく買った大事な食材、無駄にするのは忍びない。
転びかけながらもわたわたする。
する、が――悲しいかな、運動神経というものがついてこなかった。
「きゃ…… ……あら?」
この食材たちは我が子も同然……っ、などと思いながらかばおうとして――
なにかに受け止められたことを感じ取る。
地面……じゃ、ないわよね?
■神代理央 > 運が良かった、と言うべきなのだろうか。
声をかけただけで転びかけた少女を、間一髪のところで受け止める事に成功した。というより、失敗してたら女の子を脅かした挙句転ばせた極悪人だ。また常世広報が号外をあげかねない。
というわけで、大荷物共々己の体に倒れ込んできた少女を無事に受け止めて先ずは一息。
荷物が転げ落ちない様に、掴んだ肩からそっと手を離しながら己より一回り小柄な少女に一言。
「……あー、その。大丈夫か?驚かした様で悪かったな」
■雪城涼子 > 見れば、見知った男の子が自分を受け止めていた。
最初はちょっと気まずい感じだったが、最近はスイーツ愛好会あらためスイーツ部の設立に際してなんだか異様に尽力してくれた件でだいぶ気安くなった相手だ。
「えっと……理央くん、こんにちは」
ちょっとした気恥ずかしさも込で、なんだか間の抜けた挨拶をしてしまう。
我ながら、なんともみっともない……穴があったら入りたい……
「ぁ、うん。大丈夫、平気平気。こっちもちょっと注意力散漫だったし……」
まずは大人の余裕、を見せたいところ……だけど、いまいちダメね、これ
■神代理央 > 「…こんにちは。買い出しも良いが、買い過ぎも考え物だぞ。大量に買い込む予定があるなら、友人なり家族なりを頼らぬか」
はあ、と溜息を一つ吐き出しながらも、律義に挨拶を返してからの小言。そのままつかつかと彼女の正面へと回り込み、ひょいひょいと絶妙なバランスで彼女の手の中にある荷物を己の手の中へ。
「…大丈夫なら良かった。何処迄だ?近くまでで良ければ、荷物持ちくらいはしてやろう」
だから荷物を寄越せ、と言わんばかりの尊大な言葉ではあるが、口調と表情は気づかわし気なもの。正しく、小さい子供に気を遣うという様に、僅かに首を傾げつつ、彼女と目線を合わせようとするだろうか。
■雪城涼子 > 「……ほんとは、もうちょっと大人しく買うつもりだったの……」
ちょっとバツが悪そうに。そして気恥ずかしそうに、もごもごと、口にする。
小言を言っている時の様子とは大違いの、なんだか悪戯を咎められた子供のようである。
「でも、特売が……特売が悪かったの……」
ついで出た言葉は、なんだか妙に所帯じみていた。
込められた気持ちもなんだか実に切実な感じであった。
「あ、うん。これはスイーツ部用のだからね。
だから、エスプリさんだったあそこに持っていくつもりだったの」
それから、気を取り直して状況説明。
みれば、荷物はほどほどのお値段で買える割には、意外に上質な味をお出しできる感じの素材がたっぷりつまった袋だと気づくかもしれない。
■神代理央 > 「…それにしても限度があるだろう。特売だからといって、買い過ぎた挙句先程の様な目にあって怪我でもしたら本末転倒にも程がある。
……だがまあ、怪我が無くて良かった。急に声をかけた私も悪かったしな」
深い溜息と共に小言は続く。がみがみ、と言うよりはくどくど、と言った具合だろうか。
それでも、最後にもう一度深い溜息を吐き出して告げた言葉は何だかんだ許してしまった己の甘さへの苦笑いが混じったものなのだろう。
それにしても、随分と特売に入れ込むものなのだな、と。女性の買い物は皆こんなものなのかと内心首を傾げていたりするのだが。
「……ほう?成程、成程。ならば話は早い。部員の私が手伝わぬ道理もない。寧ろ、そういう時は私か小金井を頼れば良かろう。連絡をくれれば、車くらい手配してやるのに」
ふんふん、と彼女の言葉を聞き、袋の中身を確かめて。
急に真面目な表情になると部員を頼れと告げながら荷物をしっかりと抱えなおす。重要書類でも抱えているのか、と言わんばかりに大事に抱え込む。
「ほら、行くぞ。実は店には行った事が無くてな。前々から気になっていたんだ」
もう好奇心や熱意を隠そうともしない。うきうき、といった表情で彼女を見つめるだろうか。
■雪城涼子 > 「うー、そんな言わなくても……」
大人が子供に説教を受ける構図。
とても恥ずかしく、辛い感じがある。
傍から見れば、兄が妹に説教している、くらいの図にしか見えないが…
「それに、怪我だったらそんなに心配……ぁ。
ううん、なんでもない。心配、ありがとう。
ちょっと部活用で予算もあったからつい……ね」
そして、うっかり口を滑らしかける。
危ない危ない。軌道修正して、素直な気持ちを述べる。
気安くなると、ついつい色々緩んでしまっていけない。
「ぇ、車……? そ、そこまでしなくても大丈夫だから……ね?
ちょっと大げさすぎだよ」
部活のことを口にした途端、急に態度が変わる少年。
いや、元々紳士なところはあったけれど……豹変し過ぎでは……
ストレス、溜まってるのかしら……
「あ、そっか。そうだっけ。じゃ、一緒に行こっか。」
店には言ったことがない、ときいて。
そういえば、風紀のお仕事が忙しくて手続きしか関わってないってお話だったかしら、と思い出す。
■神代理央 > 「言わなければ分からぬ事もある。それに、一度こうして言われてしまえば、次は言われない様に気を付けるだろう?…まあ、私も大した事が言える程立派な学生では無いがな」
通りを歩く人々の物珍し気な視線を受けて少しトーンダウン。
とはいえ、心配している事に違いはないので『気を付けなさい』の一言を長ったらしい小言に置き換えて締め括る。
「…お前にとって大した事では無くとも、家族にとっては心配の種にもなる。まして女子ともなれば、擦り傷一つでも気を遣う親もいるだろう。余り軽く考えぬ事だ」
口を滑らしかけた言葉を『怪我なんてへっちゃら』の様な子供特有の無敵感かと勘違い。そして勘違いしたまま少し真面目な表情で結局小言。
他人にこうして小言を言い含める事も中々無い。どうにも、同じ部活動の面々相手だと調子が狂う――というより、甘くなってしまいがちな気がする。
「大袈裟なものか。必要な物は全て手配すると言っただろう。次はトラックを準備するから、ちゃんと連絡して欲しいものだな」
真面目な口調だが、言っている言葉はあんまりにも残念。
商店街に巨大なトラックを本気で横付けするつもり満々である。
寧ろ、メーカーから直配までさせる勢い。
「うむ。住所は書類で見ていたのだがな。その、オープン前に顔を出すのも、少し……うむ…」
皆の邪魔にならないか、とか。風紀委員が顔を出せば万が一他の来客があった時に威圧しないか、とか。そもそも任務が多忙だったり、とか。
そんな諸々の感情を言葉に出来ず、ごにょごにょと言いかけた言葉は形にならなかった。
そんな感情を振り払う様に店へと歩きだす。少女の歩調に合わせる様に、ゆっくりと。
■雪城涼子 > 「なんか、最初にあったときより妙に余裕が出てきたような……」
すっかりきっちり説教されてしまった。
これも気安さゆえの……であろうか。
これであの危うさもなくなっていれば良いのだけれど……どうも、その辺は怪しい気もする。
でも、オフの場がある、というだけでも救いといえるのか……?
「ぁ……うん、それは、うん……よくわかる……うん……」
親の気持ち、などというものを説かれてしまうと弱い。
それは、自分こそが一番良くわかっている。
まあここでそれを言っても詮無いことなので、伏せておく。
「どう聞いても大げさだよね? 理央くん、入れ込むのが悪いとは言わないけれど、極端なのはダメだよ……?」
トラック、などと言い出した少年に、流石に慌てる。
いや、確かにお店として動かす、みたいな話になっているけれど……
別に大企業とかでもないのだ。そんなに一気に搬入されても困る。
「あら、どうしたの? 理央くんだって部員なんだから、遠慮はいらないのに。
なにか気になることが?」
言いよどむ少年に、歩みは止めず、問いかける。
せっかくの憩いの場に、変な緊張感とか遠慮とか持ち込まれても困る。
■神代理央 > 「余裕も何も、私は二年生なのだから雪城より先輩………先輩だよな?」
そう言えば、彼女の年齢も学年も聞いた事は無かった。
常世学園は怖いところである。彼女の見た目で上級生とか年上とか普通にあり得るかも知れない。
と、今更ながら気が付いた懸案事項に、ちょっと勢いの落ちた口調で尋ねるだろう。
「…分かってくれれば良い。世間一般の親というのは、得てして子供を心配するものなのだから」
自分の親はそうでないかも知れないが。
何にせよ、同意の言葉を紡いだ彼女に穏やかな。しかし僅かに無機質さの交じる口調で言葉を返すだろう。
歯切れが悪いのは、両親の事を想ったが故と信じ込んでいる。
「大袈裟かね?正直なところ、もっと大きな店舗でも構わなかったのだが。まあ、最初から設備を大きくし過ぎても回し切れぬし、専門外故小金井の決定には口を出さなかったんだが…」
極端なのは駄目、と言われれば少し肩を落としてしまう。
甘美なスイーツと暖かな場所をの為なら猪突してしまう己に、最早鉄火の支配者などといった大仰な二つ名の雰囲気は無い。
甘いものが好きな唯の男子生徒でしかないのだろう。
「……いや、その。甘いものを食べに顔を出したいとは思っているんだが、その。私は余り評判が良くないし、任務の後だと火薬の匂いが残っているかもしれないし…。
……私がいると、皆の邪魔になるんじゃないかと、思って」
ぽつぽつ、と問い掛ける彼女に言葉を返す。それは、普段の高慢で傲慢な雰囲気の霧散したいっそ気弱に思える程の弱弱しい口調。
「……いや、すまん。何でも、無い。オープンしたら、ちゃんと顔を出すよ」
彼女の横を歩きながら、小さく首を振って直前の己の言葉を否定した。
その視線は決して、彼女と合わせようとはしない。
■雪城涼子 > 「え、あ……ええ、と。うん、私、1年、だから……」
学年なら。
しかし、この学園、永遠の1年生とかいるから油断できない。
実際実年齢では間違いなく涼子のほうが上である。
が――そこは、こう……乙女的に、ちょっとその。
流石にこの歳で制服着てるっていうのは、身内ならまあいいとして。
そうでなければ、やはり、なんというか恥ずかしいのでなかなか言い出せない。
「………」
ぐうの音も出ないので、あえて何も言わずただ相手の調子を見る。
正論であるはずなのにどこか、空虚というか無機質というか、
温度を感じさせない言い方である。
……前もちょっと気になったけれど……この子のポイントは、親、かしら……
よい育てられ方、してないのでは……?
「そもそも、私たち作る側が二人しか居ないこと、忘れないでね。
手伝え、とかそういうことじゃないけれど。
あんまり大げさにしても、うまく回らないし、雑にもなっちゃうわ」
この極端な思想も、歪みの部分かしら……と、思わず疑ってしまう。
いけないいけない、あんまり人を悪く言ってもいけないわ。
「…………」
訥々と語られる思いをじっと聞く。
なるほど、色々と思うところはあるらしい。
でも――
「こーら。ちゃんと目を見て、話しなさい!」
うーん、と背伸び。なんとか顔に手を伸ばし……
もし、うまく捕まえられれば、無理やりこちらを向かせるだろう
■神代理央 > 「……そうか。それなら良かった。いや、別に年齢や学年を気にしている訳では無いが、流石に先輩相手に小言を言うのは憚られるからな。雪城は普段はしっかりしている様に見えるし、尚の事だ」
知らぬが仏、とはこの事か。
ちょっと安心した様に吐息を吐き出しながら、幾分砕けた様な雰囲気を纏って言葉を続ける。
因みに、安堵した油断で彼女が年齢を告げていない事には気が付いていない。
「…いや、その。別にそこまで怒っている訳では無い。これから気を付ければ良いのだから、気にするな」
黙り込んだ彼女の意図を読み違え、僅かに苦笑いを浮かべながら肩を竦める。
其処には、既に滲んでいた無機質さは感じられないだろう。霧散したというよりは、浮かび上がりかけていたものは再び沈んでいった、と言う様に。
「……ううむ。そうか、そうだな。私は調理に関してはからきしだ。二人が快適な環境であれば、それで良い。
先ずは身の丈にあったところから、という事だな」
うーむ、と真面目に悩んでいる様な。というより、実際悩んでいるのだが。
分からぬ事に首を突っ込むより、素直に二人の意見を聞くべきなのだろう。何せ、此方は包丁すら握った事が無い素人。料理は使用人が準備するか外食かレトルト。
素人が口を出して良い事にはなるまい、と素直に頷いてみせるのだろう。
「……何を、って待て、痛い痛い!」
ぐき、と変な音がした気がする。
完全に視線を外していた為、伸ばされた彼女の腕に気付く事も無く。己の足に急ブレーキをかけ、荷物をしっかりと抱え込み。
何をするんだと言わんばかりの――若干涙目で――視線が彼女に向けられるだろうか。
■雪城涼子 > 「ま、まあ、あまり気にしなくてもいいんじゃ、ないかな?」
あはは、と。珍しくうつろな笑いを浮かべる。
良かった、歳とかはなんとかごまかせたかな?
「ん……ぁあ、うん。 そう、そうね。」
微妙に気のない返事。
気にするな、という言を反芻する。
実のところ、彼自身が話題にしていた件ではもう何も気にしてはいない。
むしろ、今、陰になっていたものが消えてしまった。
その一点こそが気になるところであった。
しかし、そこを指摘しても何にもなるまい。心のメモに記録しておく。
「そうそう。部員さんが増えて、作る人が増えたらまた考えてもいいかもしれないけれど。
今の状態じゃ、あんまり大きなお店でも手が全く回らなくて逆に非効率になっちゃうわ」
うんうん、と納得している姿に満足。
しかし――
「あーのーねー、りーおーくーんー?」
がしり、と顔面をつかんだまま、ゆっくりと、丁寧に、話しかける。
「なんで、そんな、卑屈、なの。なにを、きにしてるの。
ちゃんと、言いたいこと、全部しっかり、いいなさい」