2020/06/28 のログ
ご案内:「学生通り」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
■日ノ岡 あかね >
夕刻のカフェテラス。
人通りも増えてきた頃合い。
通り沿いのテーブルで、仄かに赤い夕陽を浴びながら……日ノ岡あかねは笑顔で書類を片付けていた。
風紀委員会の諸書類。
当然、外に出して問題ない程度のもの。
それらを鼻歌混じりに片付けながら……あかねは、ゆっくりと紅茶を楽しんでいる。
■日ノ岡 あかね >
「どれくらい……人が来てくれるかしらね」
薄く笑う。
夕日が横顔を赤く染める。
紅茶の水面に……日が落ちる。
「ふふ、楽しみだわ」
夕日の浮かぶ水面を揺らして、紅茶を啜る。
日が、水面に合わせて……滲むように歪んだ。
■日ノ岡 あかね > 予算は降りている。認可もある。
なにも、あかねが最初に提案したことでもない。
最初からあった計画に相乗りしただけ。
それに対して……自らあかねも加わっただけ。
無論、関わる以上……口を開けているだけのつもりはないが。
そんな怠惰を、日ノ岡あかねは赦さない。
そんな怠慢を、日ノ岡あかねは赦さない。
既に賽は投げられた。
風紀委員会にも面子がある以上……例えここで今すぐにあかねが凶弾に倒れたとしても……何も変わらない。
次の誰かが矢面に立つだけ。
次の誰かが差し出されるだけ。
「……ま、降りるつもりなんて毛頭ないけどね」
クスクスと笑う。
ただ、既に……波紋は広がった。
あかね自身にすら止められない。
止めるつもりもない。
だって。
折角これで誰もが『考えて』くれるのだ。
折角これで誰もが『動いて』くれるのだ。
なら、それで十分。
これでもなお、『考えず、動かない』ならそれもまた『選択』でしかない。
その自由もある。余地もある。
この常世島はそこまで狭くない。
ただ、これで。
「……誰が『どんなスタンス』でいたいのか。それが少しは浮き彫りになる」
それがわかれば、マッチングもできる。
それがわかれば、ゾーニングもできる。
結局、風紀の目的は恐らく『それ』……あかねも真意まではわからない。
だが、風紀委員会としての思惑を想像するなら……せいぜい『タグ付け』をしたい程度のことだろうとあかねは思っている。
それの礫として……あかねを『使った』だけのこと。
だから、あかねも喜んで『使われた』だけのこと。
まぁ、真実を語る者が存在しない以上、予測の域は出ないのだが。
ご案内:「学生通り」に園刃華霧さんが現れました。
■日ノ岡 あかね > 落第街そのものが『この程度』で変わるはずもない。
公言されていないとはいえ、最初から『ある程度意図的』に設置されたスラムなのだ。
『この程度』で揺らぐような強度の筈もない。
元からそれは誰もが承知のはずだ。
だが……そこに暮らす人間は違う。そこに居る当事者たちは違う。
それはどこも同じ。
だから、誰もが考える機会になればそれでいい。
だから、誰もが動く機会になればそれでいい。
せいぜい、『体の良い言い訳』になればそれでいい。
面白いなら乗ればいい。
気に入らないなら立ち向かえばいい。
興味がないなら無視すればいい。
それだけのこと。
この一件に限らない。
この島の全てに言えること。
故に、あかねが行った事はの意味は……つまるところたった一つ。
あかねは問いかけただけ。
「……『自分自身が何者であるのか?』」
折角、この世に生を受けたのだから……考える葦になることを避けては『勿体ない』。
■園刃華霧 > 「今日も元気ニ、ご飯ゴ飯ー……ットぉ……?」
久しぶりにカフェテラスで食い荒らすのもいいかなー、と思ったら
ありゃりゃ、見たことのある顔。
どうすっかなー
まあ折角だから、ご相席でも……してみるか。
嫌じゃなきゃね
「ヨー、あかねちん。ここ、いイかイ?」
そう尋ねながらも、遠慮なく対面の席に腰をかける。
■日ノ岡 あかね > にこりとあかねは微笑んで、トントンと椅子を軽く叩く。
とても、嬉しそうに。
「勿論よ、カギリちゃん。誰か来てくれないかなって思ってたところだったから」
ニコニコと笑って、自分の席を少しだけズラす。
日差しが、あかねの相貌を紅く染めた。
「昨日は『話し合い』にきてくれて、ありがとね」
■園刃華霧 > 「あ、ははァ。アタシとしテは、仕事だっタけドねー。
いヤしかシ、あかねちん、昨日はなカなかぶチ上げたネ―。
おつかれサン。」
いやいや、と手を振って答える。
すっかりくつろぎの体勢で椅子に座って……お誘いの仕草に
おや、と座り位置をちょっとあかねに寄せる。
「まー、『話し合い』てカ、宣言?って感じモあったけド。
なカなか面白カったヨ。あンだけの連中ガ転がサれてルのもサ」
にしし、と笑っている。
■日ノ岡 あかね > 「『面白かった』ならよかったわ。私も頑張った甲斐があるからね」
嬉しそうに笑って、紅茶を啜る。
書類をテーブルの隅に退けて、華霧のスペースを確保しながら、あかねは小首を傾げる。
「別に大したことは言ってないわよ。『アナタはどうするの?』ってみんなにまとめて聞いただけなんだから」
華霧の笑みに合わせて、あかねも笑う。
嬉しそうに。楽しそうに。
「……これで、少しでもみんなが自分自身の立ち位置について考えて、自身の改善のために動いてくれるなら……安い苦労よ」
■園刃華霧 > 「『アナタはどうするの』、か。たーシかに、そンなだっタね。
面食らっタり、怒っタり……まー、色々、ダったよナ。
ああイうの、大好き」
思い出したのか、けたけたと笑う。
屈託のない笑顔だ。
「あかねちんも上手ク行って大満足ってトコか? 安い苦労、なンて大物ダね。
ンー、しかし……自分自身ノ立ち位置、カー……ナー、あかねちん。
あかねちんはサー。どンな立ち位置なのサ?」
遠慮なく注文を出しつつ……
ふと、口にした。
■日ノ岡 あかね > 「私は決まってるじゃない」
にやぁとあかねは笑う。
猫のように……口端を丸めて、目を細める。
「私はあかね……日ノ岡あかね。私の位置は決まってるわ。私のやることも決まってる……私はいつだって」
紅茶カップをソーサーに置いて。
「『私』が『私』だから『私』を行う話をしているだけ。私の立ち位置はいつだって……かわらないわ」
日ノ岡あかねは……じっとりと笑った。
「そういうカギリちゃんはどうなの?」
小首を傾げる。
興味深そうに……黒い瞳で華霧を見る。
「アナタは……どんなことを考えているの? 何をしたいの?」
黒い瞳が細まる。
静かに、その瞳が細まって。
「教えて?」
そう……問いを放った。
■園刃華霧 > 「うッハ、貫禄の笑顔、だネ」
猫のように、じっとりと笑うあかね。
なんだっけか、チェ……なんとか、とかいう猫がいたらこんな顔で笑うのかな、と思いながら感心する。
「『私』が『私』だから『私』を行う話、カー……」
相手の言葉を反芻する。
そして、自分は、と問われ……
そういえば、あんまり人に聞かれたこと、なかったな。
そもそも、行って回る話でもなかったし。
「アー……あかねちんと方向性は違ウ気もすルけど……大体似たヨーなトコ?
『アタシ』は、『アタシ』がやりタいよーに、生きテるダケ。
面白ケれバ、そレで十分ってネ?」
覗き込まれた視線を軽く受け流しつつ、答える。
「だカらサー、ついデに聞きタいンだけド。
あかねちん、ドーしたイのさ?
みーンなまとメて、改善? ダかさセてサ。
そレで、先に何がアんの?」
純粋な疑問。
この面白いコトをしている相手は、何を目指しているのか。
その先に、何があるのか。
『そのばかぎり』である自分には、とても気になる。
■日ノ岡 あかね > 「決まってるじゃない」
にこりと、あかねは笑う。
相変わらず、華霧の顔をじっと見たまま。
目を逸らさず、意を逸らさず。
「そのほうが『楽しい』わ」
そう、呟く。
じっと、華霧の顔を見たまま。
じっと、華霧の目を見たまま。
「自分に与えられた『役割(ロール)』が何なのか……それを見つめ直し、それを解き解し、それを表現する……誰もがそれをしてくれたら、それだけでこの島は『面白い』」
誰かに問われるまで待つのではない。
誰かに手を取られるまで待つのではない。
誰もが考え、動き、そして自らの『役割(ロール)』を理解し、こなす。
体制は体制の。
中立は中立の。
混沌は混沌の。
それが、少しでも成し遂げられる『切っ掛け(フック)』となるなら。
「それだけでも……私は十分よ?」
あかねは、笑う。
それこそが本懐と言わんがばかりに。
それこそが動機と言わんがばかりに。
しかし。
「……ま、私個人の目的はそれはそれとして別にあるし、それはそれで勝手にやるから、心配しなくても大丈夫よ。今回の『話し合い』も当然その目的の一環だしね……それとも、手伝ってくれる?」
楽しそうに……あかねは笑った。
■園刃華霧 > 「ハ……はは、アっハハは!
やッパ、音楽性ちガウけど似てンなァ」
目をそらすわけでもない、受け止めるでもない。
ただ、ひたすらにおかしそうに……
げらげらと、げらげらと、笑う。
視線などおかまいなし。あちこちにぶれる。
ただただ、笑って動くままに。
「『役割(ロール)』、ナぁ……
よースるに、真剣に生キろってトコ?
自分のヤること、ガチでやれってサ。
そンで面白クなるンかネ……」
疑い、というより想像つかないというか……
ふむ、と考えてみる。
あちこちで、みなが好き放題にすればそりゃまあ凄いことになることだけはわかるが
「ンー……ま、タイクツは、シなさソ―か。
で、手伝い? そイつは……そーダなぁ。
そレが『面白』けレば?」
正直、あかねちん本人の目的自体は……いや、興味はある。あるんだけど。
大事なのは『面白い』か『面白くない』か、だ。
自分の生き方は、結局、何処までいってもソコだけだ。
たとえ、『そのばかぎり』な楽しみだったとしても。
■日ノ岡 あかね >
「『真実』に挑む」
■日ノ岡 あかね > 日ノ岡あかねは、そう告げた。
目を逸らさず。
目を凝らして。
ただ、目前の問いに答える。
そして、深く……深く。
日ノ岡あかねは……静かに笑って。
「――『面白そう』でしょ?」
あかねは、席を立つ。
笑みだけを残して。
笑みだけを置いて。
まるで、不思議の国の猫がそうするように。
「気が向いたら……手伝ってね」
日ノ岡あかねは、さっと伝票を取って去っていく。
ただの一度も振り返らずに。
ご案内:「学生通り」から日ノ岡 あかねさんが去りました。
■園刃華霧 > ――『真実』に挑む
正直、それが何を意味するかなんてよくわからない。
わからないが、目の前の相手の本気は伝わる。
なにより、たった一言のソレが……
「あァ……なンだソれ……よクわかンないけド……
ぞくぞく、すル……はハ、うははハ……!」
先程まで色々な笑いは浮かべていた。
そもそも面白おかしく生きることが目標だ。
しかし……その今までの笑い全てがまるで空虚だったかのように
心底の笑みが浮かぶ。
「やべェ、な……正直、話でカくてガラじゃ、無イんだろーけド……」
でも しかし それでも やはり
・・・
「ぜっテー……『面白い』だロ……そンなん……!」
次に浮かんだのは、獣のような笑み。
自然と、心のうちから湧き出たような。
「いーヨ、あかねちん。
ちょっト久しぶリに……本気に、なっちゃいソ―だ。」
去っていくあかねの背を目にしながら
いつまでも笑っていた。
ご案内:「学生通り」から園刃華霧さんが去りました。