2020/07/02 のログ
ご案内:「学生通り」にマルレーネさんが現れました。
マルレーネ > 「わかりました、……はい、こちらですね。
 では、がんばってお手伝いしますね。」

よっし、と一つ気合を入れる修道女。
学生通りの植え込みに捨てられたゴミをよいせ、と拾いながら通りを歩き。

今日は学生の自主的ボランティア………の人数が足りないからその助っ人だ。
ボランティア、とは言いつつも、なかなか普通の学校と違って年齢はもちろん、種族や生い立ちからして千差万別のこの学園では、当然心を一つにして、というのは難しい。

こういった作業に"動員"出来るメンバーというのはいつだって何度も声がかかる。
よく呼ばれるメンバーである。

マルレーネ > 「あっつ。」

思わず本音が漏れる。濃い色の、それでいて割と全身をしっかり包むタイプの衣服を身に着けてのごみ拾いは、当然直射日光を存分に吸い込む。
フードを外してゴミ拾いはしているのだが、それでも暑い。むしろ熱い。
だらだらと汗を流しながら、首に巻きつけたタオルで顔を何度も拭いて。

「………ああ、いいんです。 このままで何とかいつも仕事はしているので。」

あはは、と笑いながらおじさんに挨拶一つ。
汗を拭き拭き。べったりと張り付いた服はちょっと気分が悪い。
傍目には艶っぽく見えるかもしれないが、本人はそれどころではないのだ。

ご案内:「学生通り」にA.昼さんが現れました。
マルレーネ > 「し、かたないですね。 もうちょっと頑張りますか!」

よいせ、っとゴミ籠を背負って、ごみ用のトングをもって完全装備。
人力ブルドーザーか何かのごとく、汗だくになりながらもせっせとゴミ拾いをする修道女。
タフなんです、彼女は。

A.昼 >  
「お、なんだ嬢ちゃん、こんな暑い中ごみ拾いか。
 そのままだと熱中症になっちまうぞ。
 ほれ、この保冷剤でも使うといい」

 そんな、中年男性の声が聞こえてくるだろう。
 そこには、見た目どう見ても、白い羽毛に黄色いくちばしの鳥類がいた。

「この手ぬぐいもつけてやるから、包んで首に巻いときな」

 そんな鳥類が、修道女に向けて翼の先に手ぬぐいと保冷剤を持って(?)差し出している。

マルレーネ > 「あ、あはは、ありがとうございま………。」

優しい言葉に微笑みを返して、どんな方かと振り向いて。
昼だった。いや鳥だった。
頭の中が混乱して一瞬フリーズする。異世界から来たのにここの方が異世界だった。いや私にとってはこちらはずっと異世界なんですが。

「ありがとうございます。 その、………割と本当にクラクラしてたので助かります。
 それはそれとして、その、羽毛…………。

 暑かったりされないのですか?」

言われるがままに手ぬぐいに保冷剤をまいて首に巻けば、ひんやりと首から冷えて、はぁあぁ……っと幸せそうに表情が緩み、目をいったん閉じて安らぎを感じる。

目を開いたら鳥がいた。 やはり一呼吸思考がフリーズする。
暑いのにフリーズとはこれ如何に。 与太が頭をぐるぐると回る。
心を立て直せシスター。

A.昼 >  
「おう、俺もさすがにこの暑さはしんどいからな。
 適度に水浴びくらいはしたいところだよ」

 そう言いながら、修道女の混乱にはさっぱり気づいた様子などなく、翼の下をくちばしでまさぐった。

「まあちょっとまってな。
 こんな暑い中奉仕作業をするような、立派な嬢ちゃんにはなあ」

 そして、翼の下から小型の冷蔵庫が飛び出してきた。
 一体どこに存在していたのか、物理的にあり得ない質量が現れた。

「こんなかに……お、あったあった。
 ほれ、冷たいドリンクに、甘いソフトクリームなんかどうだ。
 なあに、少しくらい役得ってのがあってもいいもんだろう」

 そういって、その謎の冷蔵庫から
 【紫色のパッケージに幾何学模様のような記号で名前らしいものが印字されている緑色の液体が入ったペットボトル】
 【なぜか薄緑に発行している蛍光ピンクのソフトクリーム】
 を取り出して、あなたに差し出すだろう。

マルレーネ > 水浴び。 確かに水浴びしそうなフォルムだ。
なるほど、と深々と頷くシスター。常識フル稼働。がんばれ私。
むしろ熱中症になっているのではないか、とまで考えてしまう。

「………立派なんてそんな。」

そんな状況でも、照れ照れと頬を手で押さえて。
悟りを開いているような、本物の聖女ではない。褒められたいし喜んでほしい。下心と呼ぶにはちょっとばかり幼い、そういった気持ちはあるにはある。
ただ、小型の冷蔵庫が手品のように現れれば、目を擦る。
いかん、本格的に熱中症になったのかもしれない。

「………あ、ありがとうございます………?」

受け取って、ピキリ、と固まる。
彼女の常識から考えてもよく分からない飲料とよく分からない食料。
え、ナニコレ、ドッキリ? 幻覚?
私は何をしているの。 神よ、これが私への試練というのならば、もうちょっとわかりやすい試練にしてもらうことってできませんかね!!

「……あのー、その、これって何味なんでしょう?
 あ、いえ、好き嫌いとかあるわけじゃないですけど。 ほら、甘いと思ったら酸っぱかったりすると、びっくりしますよね。」

あはは、と愛想笑いをしながら情報収集を試みる。まだ理性は砕けていない。がんばれ私。

A.昼 >  
「いやいや、立派なもんだぜ。
 なかなかやろうと思っても出来るもんじゃないからな」

 と、あなたの行動に深く感じ入った様子で頷く。

「おお、これは◆××▼●◎味のスポーツドリンクに、Θ@δ%$味のソフトクリームだ。
 暑いときにはこれが美味いんだよなあ」

 と、鳥類は説明するのだが、肝心の味の部分がまるで聞き取れなかっただろう。
 それこそ、チューニングの狂ったラジオから出てくる音のような、珍妙な音にしか聞こえない。

「なあに遠慮することはないさ。
 日頃人々のために祈ってるシスターさんに、一人の人間として感謝を伝えたいだけだからな。
 嬢ちゃんの日頃の行いが巡り巡ってきた、そう思えばいいんだぜ」

 あなたの様子から、この鳥類は遠慮しているのだろうと思ったようだ。
 まったく、見当違いも甚だしいのだった。

 ちなみに、ドリンクはさっぱりとしたレモン風味であり、ソフトクリームはブルーベリー味なのだが、食べてみるまでその見た目からは何も頼れる情報は出てこない事でしょう。

マルレーネ > 「そ、そうですか? そう言ってもらえると嬉しいものですね…」

えへへ、と頬にまた掌を当てて照れ照れ。
手ぬぐいの保冷剤のおかげで、目の前はかなりすっきりしてきた。
が、次に出てきた言葉で、やっぱり脳がゆであがってしまったのかな、と己の正気を疑う。
いやいや、でも、そういう方もいるのかもしれない。
私たちが〇〇味と呼んでいる果物が他の世界でも同一である、わけがないのだ。
であるから、きっと、その、食べられる何かのはずだ。

異邦人であってよかった。そうでなければパニックを起こしていたところだ。
神に祈りを捧げながら。

「………そ、そうでしょうか?
 そんなことはありませんよ、だってほら、お礼とか欲しいですし。
 自分の欲望の一つも制御できてない半人前ですから。」

なんて、にひ、と舌をちょびっと出しながら笑いかけて。
……ただ、名前が分からないということは、当然"ここの世界の住人が食べられるものか"どうかは分からない。
ただ、相手からは悪意のあの字も感じられない。
善意、おせっかい、そういった雰囲気はひしひしと感じられる。

「……では、溶けちゃいますからアイスから……。」

薄緑に発行している蛍光ピンク。
それを目にして、一瞬言葉に詰まる。
え、何、私ここでバンジーですか。 ヒモがついているかは飛んでみるまで分からないバンジーですか。
女は度胸って言いますけど度胸とか超えてませんか。
神よ、試練のバリエーションが豊かというか、初手ボディーブローやめてもらっていいですか。 私倒れますよ。
頭の中にいろんな言葉が滝のように流れて落ちて。

ええい!!

ままよ、とばかりにぱくりと行く。 度胸はある方だった。

A.昼 >  
「お、ちょっと元気が出てきたじゃないか。
 やっぱり暑いのに無理するのはよくないぞ」

 声の調子から判断したのか、鳥類は満足そうに言う。
 そしてあなたが思い切ってソフトクリームにかぶりつけば、楽しそうな声を上げた。

「おお、勢いがいいなあ。
 そんな一度に食べると、頭にキーンときちまうぞ」

 楽しそうに笑う鳥類。
 そこには悪意らしきもののかけらもなく、ただ純粋なお節介おじさんの雰囲気しかかもし出していない。
 あなたはきっと真剣な表情を浮かべて挑んだのだろう。
 その舌には、期待するよりずっと拍子抜けな、ブルーベリーの風味がしみわたっていく事でしょう。

「なあに、そんな欲求の一つもなくなっちまったら、人間じゃあなくなっちまうからな。
 どんな聖人だって、多かれ少なかれそんな気持ちってのはあるもんだ。
 それを自覚して容認しつつ、恥とも思える嬢ちゃんは、間違いなく立派な聖職者だろうよ」

 うんうん、と神妙にうなづく鳥類は、あなたの事をとても評価しているようです。

マルレーネ > 「ぉぅぅっ。」

思わず声が出た。頭がキーンときて、目をぎゅっと閉じる。
凄く爽やかな味が口の中に広がっていけば、心の底から安堵しながら頭痛と戦うシスター。
本格的に単純ないい人……いい鳥……? だったことが分かって、一安心。
指でこめかみを抑えながら唸りつつ。

「………あ、あはは。
 そうですね、………本当は見返りを求めて何かしているうちはまだまだだとよく言われたんですけれどもね。
 な、なんだか褒められてますね。
 そこまで褒められると照れくさいというか、くすぐったいというか。」

頬を赤く染めながら、本日3度目の照れ照れ。

「………もうちょっと汗だくになっちゃったので、少し恥ずかしい恰好ですけど。
 マルレーネと言います。 マリーでいいですよ。 私、異邦人街で修道院をやっていますんで、何かあればいつでも。
 相談、雑談、愚痴、なんでも聞くようにしていますからね。」

肌にへばりつく衣服をちょっとだけ気にしながらも、相手に丁寧に自己紹介。

A.昼 >  
「ははは、だから言っただろうに。
 でもその勢いも若さってやつだろうなあ」

 あなたがこめかみを押さえる様子に、鳥類は声をあげて笑った。 

「なあに、俺は思ったままを言ったまでよ。
 褒められるべき所は褒めないとな。
 お嬢ちゃんはそれだけ、立派なことをしてるってこった」

 と、一片の迷いもなくそう言ってのけるでしょう。

「おお、そういえば名乗ってもいなかったな。
 俺は◆Φ⊿Ψ◎って言うんだが、まあよく「アヒル」だとか「カモ」だとか呼ばれるな。
 ここで会ったのも何かの縁って奴だろう、よろしくなマリー嬢ちゃん」

 鳥類はそう気さくに名乗るのだが、名前はやはり、おかしな音になって聞き取れない。
 何か特別な発音なのかこの世界の物理法則では表現できない音なのか、結局名前はわからずじまいでしょう。

マルレーネ > 「若さ………若さなんでしょうか。
 いやまあ、ある意味若さでしょうか。」

薄緑に発光するアイス(味不明)に思い切り食らいつくのは若くないとできませんね。
度胸。

「………照れますね、それはそれで。
 ちょっと褒めてもらうの久々でさっきから照れて頭が熱いです。」

熱中症ですかね? なんて、悪戯っぽく舌を出して笑って。

「………あひるさん、とお呼びしますね。
 あはは、嬢ちゃん、なんて呼ばれるのも久々過ぎて。」

名前が聞き取れなければやっぱり一瞬真顔になるが、それはそれ。
すぐに笑顔に戻ってウィンク一つ。

「それでは、そろそろゴミ拾いに戻ります。……あ、保冷材はお返ししますね。
 また困ったらいつでも修道院まで来てくださいね。」

よっこいしょ! と大きなゴミ籠を背負いなおせば、保冷剤の入ったてぬぐいを解き……。

「……洗って返しますね?」

自分の汗がたっぷりだった、恥ずかしくなる。

A.昼 >  
「ははは、お嬢ちゃんみたいなシスターさんが照れてるのも、中々絵になるってもんよ。
 なあに、普段から頑張ってるんだろうから、たまには褒められときな」

 そうそう、暑いからな! なんてあなたの言葉に乗っかる鳥類。

「なあに、俺みたいなおっさんからすれば、まだまだ嬢ちゃんよ。
 そういう可愛い仕草は、ちゃんとイイ人のために取っておきな!」

 あなたの仕草に、鳥類は少しばかりキメ顔(鳥顔なので変化はない)を見せながら返します。

「気にしなさんな。
 それは嬢ちゃんにやるよ。
 汗かいたら水分も足りなくなるだろうし、ドリンクもほれ、もう一本持っていきな!」

 と、さらに一本、また同じラベルと色のペットボトルを差し出す。
 そして気づけば、いつの間にか冷蔵庫は影も形もなくなっていた。

マルレーネ > 「そうですか? お話がうまいですね。 おだてたら木に登るやつですかね?
 もうちょっとゴミ拾いがんばりますよー。」

ころころと笑いながら、褒められ続けて頬が緩む。
時々見上げれば鳥。 脳がバグりそうになる。

「おっさん………そ、そうは見えませんけどねー!」

本音。

「あ、ありがとうございま、す。………では、アヒルさん。
 もうしばらく頑張ってきますね!」

あげる、と言われればありがたく手ぬぐいを巻きなおして。
巻きなおしている間に冷蔵庫の影すら見えなくなって、また頭がパニックに陥る。
会話中に時々真顔になるシスターって何さ。私にも分からん。
ジュースを受け取るが、これはこれで度胸がいる色合いだった。

「よ、よぉーっし、がんばりますよ! 褒められたし!」

拳を握って胸を張って。
緑色の液体の入った飲み物二つがやたら、その、重い。
何味なんだろう。 きっと、きっとおいしいと信じて。信じて!! 信じてますからね神様!!!
胸の内で絶叫する。

にへ、とゆるい笑顔で鳥さんに頭を下げつつも。
いい人なんですけど! きっといい人……いい鳥……? なんですけど!
脳内が渦巻きのようにぐるぐる回りながら、掃除を続けるのだろう。

あともう一回はバンジー飛ばないとダメ。 がんばれシスター。

A.昼 >  
「おう、嬢ちゃんもなかなか嬉しい事言ってくれるね。
 頑張るのもいいが、無理しないようにな!」

 そう言って気合を入れるシスターを見送りつつ、その背中に。

「縁があったらまた会おうなー!」

 声を掛けながら、ペタペタと足音を立てて通りを去っていくのでした。

ご案内:「学生通り」からA.昼さんが去りました。
ご案内:「学生通り」からマルレーネさんが去りました。
ご案内:「学生通り」に小金井 陽さんが現れました。
ご案内:「学生通り」に柊真白さんが現れました。
小金井 陽 > 「だいぶカタチはまとまってきたかねぇ…一番肝要の名前は決まってねぇが…」

『扶桑』のすぐ近く、真新しく改築された小さな洋菓子店で、数種類のフィナンシェを焼き上げながら、焼き上げ時間に一息。週末に予定している新装開店パーティーのための仕上げといった段階だが、未だ一番大事なことが決まってないという。あせらないあせらない、と珈琲飲んで一息ついている。

なお、開店の札は出ていないが…外にはバターと小麦粉、砂糖の焼ける殺人的に芳しい香りが漂っている…

柊真白 >  
買い物を終えて通りを歩く。
シナモンやシュガーパウダーなど、お菓子作りの材料の入った袋を下げてぽくぽく歩いていれば、何やらいい匂い。
その匂いに惹かれるようにふらふらと真新しい店舗の扉越しに、店内を覗き込む。

「お菓子屋さん……?」

一度離れて見上げても、店名が見当たらない。
改装途中、と言う割にはだいぶ仕上がっているし。
しかし美味しそうな匂い。
扉越しに再び店内を睨みつけて。

小金井 陽 > 「…………ん??」

…何やら外からの熱視線を感じる。…振り向いてみれば…

「…あー…こりゃあ、スイーツ好きさんの予感…か?」

なんかむっちゃ中を覗いてきている、陽より一回りくらいは小さそうな子を発見して苦笑い。
…まだ開店はしていないが…何かの縁だ、馳走してもいいだろうと思い立ち。

「おーい。よかったら入ってきな。」

ひょっこり顔を覗き込ませている白髪の子に、手招きするのだった。

柊真白 >  
中に人が見えた。
手招きされている。
ぱちくり、と瞬きをして扉を引けば開いた。
そのまま中に入る。

「おじゃまします――あなたの店?」

見た感じ学生っぽそうだ。
中に入れば外よりももっと濃厚なバターの香り。
これは食べなくても、見なくてもわかる。
美味しい。

小金井 陽 > 「おっすおっす。んー、俺の店…ともいえるし、そうじゃねぇとも言えるなぁ。常世学園あるよな。あそこのスイーツ部ってのがあるんだが、そこの活動一環でこの店を使わせてもらうことになったんだよ。」

年下と思しき少女に、人懐っこい笑み浮かべて説明する青年。
現状、他にスイーツ部と思しきメンバーは見当たらないが…

「どうやらお前さん、菓子の匂いにつられて来たクチか?」

柊真白 >  
「すいーつ部」

スイーツ、とは確かお菓子の事だったか。
なるほど、部活動が高じて出店した、と。
ここ常世ではそう言う部活動も多いと聞く。

「うん。――店の名前、ないけど」

気になっていたことを聞く。
お菓子の焼ける匂いがすると言うことは、店を開ける準備はもう出来ているはずだが。

「……柊真白」

そう言えば名前を名乗っていなかった。
唐突に名前を口にし、ぺこりとお辞儀。

小金井 陽 > 「ああ、それな。まだ決まってねぇんだ。もう開店も間近で、看板も発注しなきゃいけねぇんだけどなー。」
苦笑しながら、珈琲を一口。店の中に漂う甘い香りで、すぐには気づかなかったが…珈琲も、飲まない子であっても『良い香り』と直感的に思うくらいには、とても香ばしい香がしている。

「店を開く準備は出来てんだけどなー。…おっと、そういや自己紹介してなかったな。俺は陽。小金井陽(こがねいよう)だ。よろしくな?」

ぺこりとお辞儀する少女に、笑って手を伸ばす。どうやら握手を求めているようだ。

柊真白 >  
「……間に合うの?」

いつ開店かはわからないが、今日頼んで明日に納品、と言う様なものではなかった気がする。
コーヒーよりも紅茶派ではあるが、店内に漂うコーヒーの香りが良い香りであることはわかる。
甘いお菓子に薫り高いコーヒー、とてもよく合いそうだ。

「ヨウ……太陽の、ヨウ?」

差し出された手を見て一瞬きょとんとするものの、すぐに袋を左手に持ち替えて握り返す。

小金井 陽 > 「異能使って作ってもらえりゃいいから、ギリギリでもいいんだが…まぁ、あまり急かしたくはねぇな。」

正論でしかない真白の言葉に、苦笑を強めて。

「…今焼いてる菓子と一緒に飲むか?珈琲以外に、紅茶もあるが。」

そして、気軽に初対面の女の子に菓子勧めてくるスイーツバカ。

「おう、太陽の陽だ。っと、すまねぇな。重そうな荷物持ってるトコに。良かったらそこに置いてくれ。」
ついつい、っと空いている木造テーブルを指差して、焼き上がり音の聞こえた菓子を取り出しにいく。

柊真白 >  
異能で作業が速く済むこともある、とは言え、デザインとか資材発注とか、その辺もあるだろう。
しかし店主がそう焦っていないのならまだ時間はあるのかもしれない。

「じゃあ、おすすめの方を」

紅茶派だがコーヒーを飲まないわけではない。
店主がお菓子と合わせるのに想定している方を飲むのがやはり良いだろうと、お任せで頼むことにした。

「いい、そんなに重くないから」

袋の中身は細かいものが多いし、重いものも入っていない。
とは言え好意を無駄にするのも失礼なので、テーブルに置かせてもらうことにした。
中身の重さで少し潰れたビニール袋からお菓子の材料が見えるだろう。

「――ソレイユ……ラ・ソレイユ、とか」

思い付いた太陽と言う意味の外国語。
彼の店に相応しい名前だと思う。

小金井 陽 > 「今日焼いてるのはフィナンシェだからな。そんじゃ、紅茶をチョイスしておくか。アイスとホット、どっちがいい?お勧めはホットだが。」

両方できるのを示した上で、お勧めを付け足してくる店主。

「ま、それでなくても手空きのほうが色々楽だろ。…お前さんもスイーツ好きか?っと、勝手に見てすまねぇな。」

覗いた菓子の材料を見て、にやり。そのあとで、勝手に見たことを詫びるのだ。

「あー…太陽、か。…んーんー、いい名前だと思うんだが、俺の名前が前面に出てるとこっ恥ずかしい感じもするな。」
頭をかりかりしながら、紅茶の準備。容器とコップをしっかり温めてから、紅茶葉投入…茶葉を踊らせるように沸騰した湯を注ぎ入れれば、途端に沸き立つ香りの泉――

柊真白 >  
「ありがとう。ホットで」

彼の細やかな気遣いが嬉しい。
今日はそれほど暑くもないし、そう言う意味でもアイスよりもホットの方がいいだろう。

「と言うより、料理が好き。お菓子はあまり作らないけど」

どちらかと言えば食事系の料理の方が好きだ。
お菓子作りも嫌いではないが、どうしても計量の関係で時間を食ってしまうから。

「でも、あなたの店でしょ。どっちにしろ軌道に乗れば店の名前はあなたの名前」

ならば最初から名乗ってしまえばわかりやすい。
彼の手際は大したものだ。
学生の身分で店を構えるだけのことはある。

小金井 陽 > 「おう。――もう出来るぜ。」
そして、蒸らしを経てたっぷり旨味と香りを抽出した逸品を、湯捨てしたカップに注ぎ入れる……紅茶の琥珀色彩と対照的に映える蒼が涼やかなティーカップとソーサーが、眺めるだけで心地良い。

「両方とも好きだが、俺は逆だな。菓子が好きだ。っと、まぁそのへん座ってくれ。」
にひひっと笑い…着席したのを見計らって、真白の前に焼き立てのバター薫るしゅわしゅわフィナンシェと、淹れたての芳しい紅茶――ダージリンと思われる――を給仕。お腹が減っていれば、きゅーと鳴ってしまうかもしれない素晴らし芳香が昇り立つ。

「んーあー、そのへんは言ってなかったな。この店にはオーナーがいるんだわ。そいつの金で経営してっからな、あんま自由にすんのも…ってところだ。ま、そいつが気にしねぇ予感はするんだが…それでも、な。つまんねぇ意地みたいなもんだ。」

頭かりかりかきながら、そんな内情をのんびりと話し。
「ま、とりあえずどうぞ。焼き立てだからナプキンで持って食ってくれ。」
焼き立てで熱々フィナンシェの横に、数枚添えておく。

柊真白 >  
食器もなかなかいいものを使っている。
なるほど、それなりに高級志向、と言うことだろうか。
言われた通りに座れば焼きたての菓子と淹れたての紅茶が出てくる。

「いただきます」

手を合わせて。
熱々のフィナンシェを齧る。
熱い。
甘い。
バターの香りと上品な甘さが口いっぱいに広がる。

「――美味しい」

これは美味しい。
彼の腕もそうだが、これは材料もいいものを使っている。

「オーナーがいいなら良いんじゃない。雰囲気もいいし質もいい。儲かると思うよ」

小金井 陽 > 「おう、いい顔して食ってくれるのは正直嬉しいぜ。」
スイーツを満喫する顔を見て、にっかり笑う小金井。
その名の如く、太陽のような笑い方をする男だ。

フィナンシェの芳醇なバターが鼻孔を抜ければ、延々と余韻が香り続け…それでいて全く不快でなく、ずっとその香りに浸りたいと思うような塩梅。

―そしてその後、紅茶に口をつければ、フィナンシェの香りとダージリンがマリアージュとなって、より一層の味わいの層を作る…ライセンスを持ってない素人の店とは思えないほど、本格的な味わいであった。材料も、相当拘っているのが伺える。

「おっと、第一号のお客さんにそうお墨付きをもらえるのはありがてぇな。
そんじゃ、りおっちや他の部員に相談してみるか…」
そういって、お茶の邪魔にならないように思考を深める…緩やかな時間。陽だまりのような空間である。

柊真白 >  
「あなたのお菓子は人を笑顔にする。気に入った」

真顔で紅茶を飲みながら。
これもまた材料、手順、共にパーフェクトなもの。
フィナンシェの後味とケンカせず、むしろお互いを高め合う様な。

「りおっち」

どこかで聞いたことがあるような名前。

「神代、理央?」

そして頭に浮かんだ人物の名前を口に。

小金井 陽 > 「そう言いつつも真白ちゃんは真顔で大層coolなんだが、だが。あーでも喜んでる気配は感じるな、ぐんぐんと。」

真顔なりの表情の変化というものは感じているようで、ご満悦のようだ。
…そして、食べる手を一時的に止めても、鼻孔に優しく残るダブルマリアージュ。後味まで考えられているようだ。

「お…知り合いか?ああ、そうだぜ。あいつがここのメインオーナーだ。」

うなずき肯定して。

「やっぱ風紀委員だからか、顔が広いな…」

柊真白 >  
「おーなー」

なんだか嫌な予感がする。
彼は確かに有能だと思うし、資金にも余裕がありそうな感じだった。
だが、それだけに。

「……すいーつ部。私も入部していい?」

小金井 陽 > 「ふむ??」

なんか懸念の表情がよぎった気がする。りおっちの名前を出したからだと思うが、なぜだろう。確かに色々危ういヤツではあるが。

「おう。俺の一存で全部は決められねーけど、菓子を旨く食ってくれるヤツなら俺は歓迎するぜ。」
にっかり、菓子馬鹿一直線なことをのたまって。

柊真白 >  
「多分だけど、彼は、なんて言うか……」

しばらく迷い、

「――お坊ちゃん気質が、ある気がする」

放っておくと原価上等な値段で帳簿を真っ赤にしそうな気がする。

「誰に許可取ればいい? あと、ここは軽食はやるの?」

小金井 陽 > 「…………否定できねぇ………」

頭抱えるパティシエ。…そも、出資の時点で『これだけで足りるのか?』とか小首を傾げていた時点で…
小市民にとってはエグい金額でも、本気でお小遣い感覚なのだろう…

「んー、まぁ俺の許可は大丈夫だからあとはりおっちと、涼子パイセンと、もうひとりの部員の群千鳥ちゃんか。大丈夫だとは思うけどな。
軽食スペースは中と、外にテラスがあっただろ。あそこに設けるつもりだ。」
表を見れば、小洒落たカフェスペースが設置されている。

柊真白 >  
「金にものを言わせた商品に大赤字の値段を付けそうで……」

ここに彼がいないからと言って言いたい放題。
――訂正しよう、彼が居たとしても言いたい放題する。

「じゃあ今度挨拶する。――ふうん」

そちらを見る。
なるほど、場所はもう確保済みと言うことらしい。

「さっきも言ったけど、趣味は料理だから。力になれると思う。よろしく」

立ち上がり、ペコリと頭を下げて改めて挨拶。

小金井 陽 > 「まぁ出資金の返済を俺が狙ってるから、さすがにそりゃやらせねぇが、言い出しそうな気配なのが怖いところだな。」
ズタボロの理央の評価に苦笑しながらも、そういうところがあるのは否定せず。

「のんびり過ごして欲しい場所ではあるからな。近くに『扶桑』が出来た分もあって、帰路に寄ってくれたらありがてぇって用途もある。
おう、そりゃ軽食提供の際には助かるな!改めてよろしくな、真白ちゃん」

頭を下げる真白に、改めて部員としての迎え入れ握手を交わし。

「…となると焼き立てパンでサンドイッチ…スイーツサンドもいけるな…」
楽しそうに、提供できそうなメニューについても考え出す菓子馬鹿で、料理馬鹿。どこまでもそればかり考えているのだろう。

柊真白 >  
「任せて。えげつないほどきっちり管理する」

経理は割と得意だ。
フィナンシェの最後の一口を口に放り込んで。

「扶桑なら専門店もありそうだけど、こっちは道に面してるから匂いで釣れる。針に掛かって餌を食べればもうこっちのもの。よろしく店長」

お菓子売る店だよね????
改めて差し出される右手を掴む。

「お菓子の匂いを邪魔したくないから匂いの強いものは出せないけど、その分味で勝負」

こちらも趣味とは言え料理に力を入れるものとしては手を抜けない。

小金井 陽 > 「あー、そこそこにな。そこそこに。締め付けすぎても、雰囲気がキツくなっちまうしな。」

にこやかに、少女の肩をぽふ、ぽふっと叩くパティシエ。ほどよくゆるーい気配が、真白に伝わるだろう。

「実際つられてくれた真白ちゃんが言うと説得力あるな。んでもって、そこまで信頼してくれるのはありがてぇな。頑張り甲斐があるってもんだ。」

胃袋を掴めば勝ち、真理だと思います。
がっちり。

「見た目、味、匂い、モノによっちゃ食感や音すら菓子は強みだからな。ま、そのへんは追々打ち合わせか…
そんじゃ、今日はのんびりお茶会と行くか。真白ちゃん、プリン食うか?いちごのロールケーキもあるぜ。シュークリームはまだクリームの仕込み中だが、ガトーショコラは上がってたな。」

どれだけ菓子を仕込んでいたのだろう、このパティシエは。
…しかし、ここまで菓子馬鹿であれば、ある意味安心して調理場は任せられる気配がひしひしと伝わってくる。

柊真白 >  
「――店長が言うなら」

しぶしぶ、と言った様子。
あんまり緩くない頑固なアサシン少女である。

「陽くんのお菓子は食べた人が幸せになるお菓子だから」

笑顔、とまではいかないが、ほんのり雰囲気が柔らかくなった、ような気がするミリ単位の表情の変化。
一度食べれば、わかる。

「お茶会。お菓子作りの話、聞きたい。――食べる……あ、いくつか持って帰ってもいい?」

開店前だと言うのにこの力の入れよう。
信頼出来るが、ある意味では手綱を握ることも必要か、なんてちょっと考えて。
そして家で待っている恋人にもおすそ分けしたいので、持ち帰りが出来るかを尋ねよう。

小金井 陽 > 「心ガッツリ籠めて作ってるからなァ。だが、もっと旨くして、もーっと幸せにしてみてぇもんだなァ。」

その幸せにする様子をイメージしているのか、表情太陽めいてにっかにかである。

「おう、菓子作りの話ならいくらでもできるぜ。それに、真白ちゃんの料理話も聞きてぇしな。
おう、待ってな。ん?試作で色々試してっから出来は安定してねぇけど、問題無いぜ。」

実際、どこまでも爆走していく気配もある…が、そのどこまで作っても全部旨そうなモノ作る気配があるのが、小金井という青年である。
お持ち帰りに関しては即許可して。

「そんじゃ何について話すか。まずお互いのレパートリーから…」
紅茶と珈琲、そしてずらりと並んだ試作スイーツに囲まれながら。
のんびり、陽だまりめいた開店前のカフェスペースで…新入部員の少女と、(物理的に)甘い会話について話が弾むことだろう…

柊真白 >  
「料理は愛情と火力と間合い」

よくわからない返事を返し、今度こそ薄く、けれど確かな笑顔で。

「それは頼もしい。 ありがとう。家で待ってる人いるから、分けてあげたい」

とは言え気持ちはわかる。
自分も料理に関してはとことんまでこだわる方だから。

「ん。洋食より和食が多いかな。和菓子とかも……」

料理好きの仲間として珍しく饒舌に色々語って行く。
思わぬところで同志に出会って、なかなか楽しそうな部活になりそうで――

ご案内:「学生通り」から小金井 陽さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から柊真白さんが去りました。