2020/07/10 のログ
ご案内:「学生通り」に水無月 沙羅さんが現れました。
ご案内:「学生通り」に織機 雪兎さんが現れました。
水無月 沙羅 > 日課であるバイトと風紀委員としてのトレーニングを終え、シャワーを浴びた後、神代理央へのお見舞いの品を買うために沙羅は学生通りにやってきていた。
理央の好むものが甘いもの、というのは風紀委員の知り合いからリサーチ済みだ。
それに、この『ラ・ソレイユ』という店はかなり人気の店だという。
少々お金が張るかもしれないな。そんなことを考えながら、振り込まれたばかりのバイトの給料を財布に詰め込み、聊か緊張する、初めて来る『スイーツ店』というものへ足を踏み入れようとしていた。

……制服でも大丈夫だったろうか。

「すみませーん……おみせ、開いてらっしゃいますでしょうかー……?」

おずおずと、緊張した面持ちで扉を開く。
何処か洒落た雰囲気の店は、自分とは場違いなのではないかと逡巡する。
いや、これはお見舞いのためだ、耐えろ沙羅。
自分に言い聞かせて足を踏み出す。

織機 雪兎 >  
街を見回っていたら見たことのない店が開いていた。
漂う匂いからお菓子屋さんと察知。
店の看板には、

「ら、それいる……?」

フランス語なんて読めませんでした。
いやしかし店の名前などどうでもいいのだ!
こんな新しい店、風紀委員としては見過ごせませんなぁー、新しい店は怪しいからなぁー、などとにっこにこで扉を開け

「……?」

ようとしたら入り口に女の子がいた。
首を傾げる。

「どしたの???」

後ろから声を掛ける。

水無月 沙羅 > 「わっひゃい!? こ、こんにちわ!?」

緊張していた矢先に、唐突に背後から声がする。
思わず、回れ右、右手を敬礼の形にあげ。

「お、お見舞いの品を買いに来ただけです!!!」

風紀委員の先輩方にする挨拶の形をとってしまった。
うん、まだまだ人と接するのは少々難しいと思う。
昔はこんなに動揺することもなかったのだが。
理央先輩との、病室での一件以降なかなか感情のコントロールができていない。

「あ、えっと……どなたでしょうか?」

幸いにも、沙羅は風紀委員の腕章をつけたままだった。

織機 雪兎 >  
「ゥオッ……は、はいこんにちは」

反応にちょっと驚いて声が漏れる。
そしてびっくりしたので敬語。

「そ、そっかぁ、お見舞いかぁ」

お見舞いと言えばフルーツなんて貧弱なテンプレ脳だったけれど、そうかお菓子でもいいのか。
ていうか入ったはいいが割と雰囲気が高級だぞココ。
財布の中身今いくらだっけ……お札が入っていたかどうかが気になりだす。

「あ、僕は織機雪兎、ゆっきーって呼んでね――君と同じ風紀委員さ」

ちら、と腕を見れば腕章。
そして結構可愛いぞこの子。
可愛い女の子の前なので、キザったらしいモーションで自分の腕章もくいって引っ張って見せる。

水無月 沙羅 > 「あ、そうでしたか……えっと、ゆっきー……さん?
 よろしくお願いします、水無月 沙羅です。
 えっと、神代先輩の直属? の部下をさせてもらってます。
 どうぞお見知りおきを。」

深々と一礼する。 よかった、同じ風紀委員で悪い人ではなさそうだ。 自分にとって風紀員であるというだけで少々安心感がある。
あの、『二級生』達の集まりは別として。

「ゆっきー……さん、せんぱい? は、どうしてここへ?
 お菓子を買いに来たんですか?」

男性がこういう店に来てはいけない、と言う事は無いが、案外珍しいことなのではないかと思う。
理央先輩は……あのひとはなんか甘味にすごい執着があるらしいので別として、この先輩もそうだとは思えない。
もしそうなら今頃店の中だろう。

……なんか、カッコつけてる?

「あの、腕章、伸びちゃいますよ?」

それっぽく、やんわりと注意した。

織機 雪兎 >  
「よろしくさらちー! あれ、りおりんの部下? へー、りおりんもやるなぁ」

あの堅物過激風紀委員がこんなカワイイ部下を。
にやにやしながらまじまじと眺める。

「んー? いやぁ、見回りしてたら新しい店が出来てたからさぁ、こりゃ早速かいも――ゲフン、風紀委員として見回りを兼ねてね」

見ろこの立派な風紀委員像!みたいな感じで胸を張る。
立派な風紀委員は見回り中に店に入らないし本音が漏れてる。

「うぅん手厳しい。てことはさらちー、りおりんのお見舞いを買いに来たんだ。なんか撃たれたとは聞いたけど、元気そうだね」

甘いもの好きだったな、そう言えば。
詳しいことは聞いていないが、彼が撃たれたと言うことはなんか報告が回ってきてた気がする。
お見舞いには行けていなかったが、彼女の様子を見る限りはそう言うことなのだろう。

水無月 沙羅 > 「よろしくおねがいします。」

やんわりと笑顔で答える、昔なら不愛想に返したものだが、
ここ最近はどこか心が柔らかい、ふにゃっと笑顔が漏れてしまう。

「いま……買い物って言いました……?」

前言撤回、意外と適当な人かも。
いや、別に買い物がしちゃだめというわけではないが、なんというか。
軽い。 すごく軽い。 フットワークが軽ければ態度も軽い。
ちょっと心配になってきた、大丈夫かな風紀委員。

「あ、はい。 腹部に損傷を負っているようですが、命に別状はないようで、今では元気に焼き菓子をもぐもぐしていらっしゃいますよ。」

その姿を想像して、くすっと微笑む。
あの『鉄火の支配者』が子供の様に、これは自分のだとかき集める様を想像する。
あ、すごく子供っぽい。

「ゆっきー先輩もお見舞いか何かですか? それとも、甘いものが好きとか。」

まぁ、風紀委員だって買い食いぐらい許されてもいいだろう。
私は職務終わりで来ているから問題ないが、休憩も大切だ。

この前の不眠不休の二日間はそれはもうしんどかった。

織機 雪兎 >  
「イッテナイヨ ソンナノ ヒトコトモ イッテナイヨ」

首と手を振る。
なぜかカタコトで。
 
「そっか、それはよかった。安心したよ」

普段ぎゃあぎゃあ言い合いしていたとしても、彼は友達で同僚なのだ。
結構気にしていたのだ。
焼き菓子もぐもぐしている彼の姿が容易に頭に浮かぶ。

「んー、僕は自分が食べるため――いやいや見回りの一環だよ」

うっかり本音をばらしそうになってしまった。
危ない危ない。
やるな彼女。

彼女は何もしていなく、自分が勝手に暴露しただけである。

水無月 沙羅 > 「……やっぱり食べたいんですね。」

うん、この人はいろいろとダメな人かもしれない。
沙羅は直感した、仕事はできても怒られるタイプの人だ。
ついでに言えば仕事もできるのに適当な振りをしてるタイプだ。
……たぶん。
仕事、できますよね? できると信じたい。

「……。」

自分お財布の中身、入ったばかりのバイトの給料を計算して、チラッと見える値段設定と計算する。
……まぁ、足りないという事は無いだろう。
いざとなったらバイトを増やせばいい。

「えと、ゆっき―先輩も、よろしければご一緒にどうですか?
 せっかくですし、味見でもご一緒に。」

言外に、少しだけならおごりますよ、と。
先輩相手に立場の関係上を崩さずに言うならこの言葉遣いが適切だろう。
がんばったぞ沙羅、日本語を勉強した甲斐が出たね。
自分を褒めてみる。

織機 雪兎 >  
「――食べたいか食べたくないかと聞かれたら、そりゃあ食べたいよね」

だってお菓子だもん。
さっきからめちゃくちゃ美味しそうな匂いがぷんぷんしてるんだもん。
そりゃあ食べたい。

「いやぁそりゃあ悪いよ。むしろ僕が奢……」

値段が見えた。
財布を取り出す。
開く。
凝視して。
閉じる。

「――うん、自分の分ぐらいは自分で出すよ」

真顔。
後輩?に奢ってもらうのは情けないし申し訳なく、かと言って自分が奢ると言うには多少弾薬が心許ない。
そんなお値段だった。

水無月 沙羅 > 「私、給料日なんです。 だから遠慮なさらなくていいんですよ?
 ほら、行きましょうゆっき―先輩。 おいしいお菓子が待ってます。」

ふふっと、ちょっと真顔になった先輩がおかしくて笑いながら、腕を掴んで店舗に足を踏み入れる。
何も難しい事はなかった、こんな気軽に入っていいものなのだ、スイーツ店というものは。
友達とちょっと高い買い物をするような、軽い足取りで。
まぁ、それにしたってちょっとお値段は張るのだが。

扉を開ける、外から店内に流れる風が沙羅の黒く艶めく髪をふわっと巻き上げる。
少し長い前髪から覗くのは、嬉しそうに微笑む少女の顔。
子供が自分の大好きな物の前ではしゃいでいるような、無垢さを感じる。

「それとも、奢られるのはお嫌いですか?」

相手が口に出したのなら、もうはばかる必要もないだろう。
踊るように店舗の中へ。

織機 雪兎 >  
「いやいやいや、だってそれは一応先輩の意地――」

腕を掴まれた。
ぐい、とそんなに強くはない力で引っ張られる。
前髪の下の無邪気な笑顔。
んぎゃわいい。

「しゅきぃ……」

かわいい女の子が(奢られるのは)嫌いかどうかと聞いているのだ。
それはもう(奢られるのは)好きだと答えるしかない。
だって仕方ないだろう。
かわいいんだもん。
彼女の笑顔に見とれてぽやんとした表情で腕を引かれるままに店内へ。

水無月 沙羅 > 「それならよかった。」

なんか、ちょっと様子がおかしいような。
気のせいかな?
店舗に入って、ショーケースに並んでいるちょっとお高めのスイーツを吟味する。
先輩はどんなものが好きなのだろうか、甘いものなら何でも好きそうだけど……。

「ゆっきー先輩は、どんなのが食べたいとか、ありますか?」

せっかくだ、この人が好きなものに合わせるのもいいかもしれない。
神代先輩の好きな甘味は、お見舞いの時に改めて聞けばいいだろう。
どこか呆けている様子の、先輩の顔を覗き込む。

「あの、大丈夫ですか? ゆっき―先輩。」

じぃっとのぞき込む、何処かの誰かに似た真紅の瞳。
きょとんとのぞき込む顔はどこか心配そうに眉が垂れている。

ご案内:「学生通り」に雪城 涼子さんが現れました。
織機 雪兎 >  
ぽやんとしたまま店内へ。
ショーケースに並ぶケーキやシュークリーム。
そして目の前にかわいい後輩。

「――はっ!?」

我に返る。
いかんいかん、見とれてた。

「あぁ、うん、ごめんごめん。えっと、食べたいものだっけ」

改めてショーケースを眺める。
なんかよくわからない名前が並んでいる。

「甘いものならなんでも、とは言うものの、って感じかな……」

お高いものには縁がないので、オシャレな名前はよくわからない。
わかるのはどれもこれもおいしそうだと言うことと、店員さんの顔が可愛いと言うこと。
あの奥で物凄い速さで何かを作っている小柄な銀髪の女の子とかかわいい。

雪城 涼子 >  
「あ、はい。いらっしゃいませ。なにかお探しですか?」

お客様が二人。
今は色々忙しいので、奥で陽くんが製菓。
私がお客様対応、とローテーションなのだ。

あら、よく見れば風紀の制服……?
理央くんの同僚さんかしら。
もうすでに宣伝してくれているとか……?
などと思いつつ、対応

水無月 沙羅 > 「そう……ですね、私も甘味に詳しいわけではないので……。
 あ。 店員さん、お邪魔しています。
 えっと、先輩へのお見舞いの品を探しているんですけど、けが人でも気軽に食べられるような甘いもの……ってありますか?」

救いの神が表れた、今度は優しそうで真面目そうな女の人だ。
店員さんならスイーツにも詳しいだろうし、彼女に任せてしまうのが一番かも。


……こっちの先輩は何だか頼りにならないし。
チラッと見やってから。いやいや、失礼なことを想うものではないよ沙羅。
ゆっきー先輩は具合が悪いだけかもしれないじゃないか。うん、そうに違いない。

「こっちの先輩には、元気の出る少しカロリーの取れそうなものとか。」

と、ゆっき―先輩を見て女性の店員に聞いてみる。

織機 雪兎 >  
あっこの店員さんもかわいい。
ていうか他の人もかわいいぞ。
なんだここ店員さんのレベル高くない????

「へ? あ、いや、僕はどっちかって言うとカロリーの少なそうなものの方が……」

最近お腹が気になっていたりする。
食べたら動けばいいだけなのだが、動くのはめん……大変なので。

雪城 涼子 > 「けが人……お見舞いの品、ですね。
 それであれば、日持ちのする焼き菓子などいかがでしょう?
 定番ですと、フィナンシェ、マドレーヌ、リーフパイ、ダコワーズなど。
 他には……洋酒がお嫌いでなければ、パウンドケーキなどもございます。
 変わったところでしたら、ドライフルーツを入れたバターケーキなどいかがでしょうか」

水無月 沙羅 > 「ふぃ、ふぃなんしぇ、まどれー……窓?? りーふぱい。
 たこわーず??」

聴いたこともない単語がずらずらと並んでゆく、スイーツとはそんなに種類豊かなものだったのか。てっきりショートケーキとかそういうものが多いのだとばかり……聞いていて目が回ってくる。
タコワーズって何? タコでも入ってるのかな?

と、思っていたら、やはり救いの女神、ここで聞き覚えのある単語が。

「そ、それ! パウンドケーキでお願いします! 一つはお持ち帰りで、えっと……ホール? っていうやつで。
 もう一つは、二人で食べきれるサイズのがあればうれしいんですが……。
 ゆっき―先輩もそれでいいですか?」

若干涙目になりながら助けを求める顔。
ここは私の知る場所ではない、異次元だった。
やっぱり来るべきじゃなかったかもしれない。
ちょっと後悔が横切る。
たすけてゆっき―先輩。

雪城 涼子 > 「カロリー……カロリーは永遠の課題ですね……
 カロリーたっぷり、であれば生クリームたっぷりのケーキをおすすめします。
 特にショートケーキですね。
 ショートケーキといえば、生クリームと苺、というとてもシンプルな作りになりますが、つまりクリームの味で勝負、となります。
 その点、当店では生クリームの泡立てをしっかり見切り、ミルクの匂いを残した濃いようで、さっぱりとした後味が魅力的です。
 カロリー控えめ、であれば……そうですね。
 シフォンケーキ、チーズケーキ、プリンなど……」

立て板に水で話し続ける店員であった

織機 雪兎 >  
あっフィナンシェとマドレーヌは知ってる。

「フィナンシェとマドレーヌはほら、コンビニに売ってるやつだよ。リーフパイ、は多分これ、かな? ダゴワーズ?ってのは?」

ショーケースとは違う棚に並んでいる焼き菓子を示して。
リーフパイは多分この葉っぱの形をしたパイみたいなやつだろう。
最後のひとつはよく知らない。
よく知らないから聞いてしまえばいいのだ。

「あぁイチゴのケーキ、美味しそう……シフォンケーキとかチーズケーキもいいなぁ。プリンもこういうとこのってコンビニとかのと全然違うんだよね」

並べ立てられるスイーツの名前。
それを聞いているだけで涎が出てきそうだ。
おっと。

水無月 沙羅 > 「ゆ、ゆっき―先輩が神様に見えてきました……。」

此処には神しかいなかったのか。
私一人では商品をまともに買えていたかどうか……。
とかく、この二人が居れば私は物見遊山でいいかもしれない、要は私がお金を出せばいいのだ。
お見舞いの品は誰が選んだってお見舞いなんだし!
……でもちょっとなんだか悔しい。

唇がちょっととがった。

雪城 涼子 > 「……あ」

熱が入りすぎた、とちょっと落ち着く。

「え、えっと、失礼しました。フィナンシェ、マドレーヌは、バターと小麦粉を中心に作った焼き菓子ですね。
 お求めのパウンドケーキに近いものですが、細かいところでちょっと違う、と思っていただければ。
 はい、リーフパイは葉っぱの形のパイです。
 ダコワーズはメレンゲに手を加えたお菓子です。こちらですね」

実物を指し示しつつ

「うーん……そう、ですね。
 お見舞い先の方の趣味とか、ご存知ですか?
 あと、男性か女性かでも……量とか、ありますし」

織機 雪兎 >  
「えっ今までなんだと思ってたの」

まさかぽんこつ疑惑を持たれていたとは思いもよらず。
まぁ疑惑と言うか実際ポンコツなんだけど。
て言うかなんで唇を尖らせてるのか。
かぁいいぞ。

「趣味……りおりん甘いものならなんでもいいんじゃないの?」

なんなら角砂糖でも与えれば泣いて喜びそうだ。

「いやぁでも流石に知識が凄いなぁ。そう言えばこの店の名前、なんて意味なんですか」

ええと、何て名前だっけか。
見渡して、見付けた。

「ら、それいる、って英語???」

ほらぽんこつ。

水無月 沙羅 > 「えっと……男性で……甘いものならいくらでも入って……このくらいの身長で、……目がこーんな感じで鋭くて、金髪で……ちょっと女の子みたいな感じの……」

とりあえず特徴を並べ立ててみる、正直何が参考になるのかさっぱりわからない。
あ、これはひょっとしたら重要な情報かもしれないし、言っておくべきだろうか。

「彼女からのお見舞いっぽい感じで。」

いいながら、口元が自然とちょっと上がる。
いけない、にやける顔が収まらないぞ?
頬をぴしゃぴしゃと叩いて修正する。

「甲斐性があるな! みたいな!!!」

彼女でいいんだよね? 付き合ってるんだよね?
自分で言っててちょっと不安になった。

「……ゆっきーせんぱい、それフランス語です。」

やっぱダメかもこの先輩。

雪城 涼子 >  
「りおりん……?」

あれ、風紀の人 りおりん 男性、金髪、身長、目つき……んん?
って、まさか、そんなことないよね……?
ないよね?
え、しかも彼女?
……うん、とりあえず、後で聞こう。
無粋な発言はなしなし

「そうですね……では、先程わける、というお話がありましたので……こちらガレット・デ・ロワなどいかでしょうか。
 これは、切りわけた中に当たりがが入っていた場合、その運勢を引き当てたことになる、という縁起物です。
 本来は指輪、硬貨を入れて『結婚』『金持ち』の運勢を決めていたのですが……今回は、ちょっとした人形で」

二人でシェアすれば、どうせどちらかが当たるに決まってる。
つまり、出来レースだ

「はい、店名でした『太陽』のことですね。
 パティシエの一人の名前もかけての命名になります。」

そこはそれ、ちゃんと疑問には答える

織機 雪兎 >  
「そう、神代理央。こないだ落第街でお腹撃たれて入院してんの」

部外者に風紀委員の個人情報をボロボロ零す。
風紀委員としてどうなのか。

「へぇー! へぇぇー!! 彼女!! へぇー!!!」

彼女発言を聞いてニヤニヤと笑いながら。
ほぉー、とうとうアイツに彼女が出来たか。
今度会ったらからかってやろ、と思いながらかわいいなぁなんて彼女の様子にニヤニヤ。
しかし。

「えっ!? ふ、ふらんすご!?!?」

英語じゃなかったの!?
物凄い顔。
やだ僕ってばめっちゃかっこわるい!!!

「あっ、がれっとでろわ、ね! しってるしってる! あれでしょ、あの、そう、あたりが入っててなんかこう、あたったらラッキー!ってやつ!」

誤魔化すように曖昧な知識で語るが、全部目の前の店員さんが言ってくれた。

水無月 沙羅 > 「ちなみに正しい発音はラ・ソレイユですよゆっき―先輩。
 へぇ……結婚に、お金持ち……結婚……結婚、嫌々まだ早いです。」

思わず教会とウェディングドレスを想像する、白いベールを理央先輩が持ち上げて……唇が近づいて……。
いけないいけない、今は任務中ですよ沙羅隊員。 先輩へのお見舞いの品を買うという任務なのです。

首をブンブンと振って。

「そうですね、理央先輩なら確かに何でもいいって言いそうです、こう、むすーッとした顔で。」

ふふふっと笑う。 とても楽しそうに、先輩と呼ぶ少年の顔がほころぶ顔が目に浮かぶ様だ。

「じゃぁ、それでお願いします。 ゆっき―先輩もおひとつ好きなのをどうぞ?」

水無月 沙羅 > 「……? 何かおかしなこと言いました?」

沙羅はまだ知らない、神代理央の彼女というものがどういうことを指しているのか。
きょとんとする少女は何も知らないのだ……。

雪城 涼子 >  
「…」

えーっと、どうしようこれ。ビンゴだ。
でもまさか、此処、彼がお金出してるお店っていえ…
あ、でも持っていったら秒で話題になるわね……

「…って、お腹って……理央くんなにやってるの!?
 ……コホン
 失礼いたしました。えー、その。神代理央は当店の、オーナーをしておりまして……
 彼女様でしたら、そうですね。
 代わりにお店の視察など、お土産話をお持ちいただくのもよいかと」

一瞬で立て直した。
セーフ……ではない気も、する。
でも、流石にこれは許してほしい

織機 雪兎 >  
「それいゆ!!! 「る」じゃないの!? この「L」どこいった!?!?」

信じられない、と言った顔。
Lはらりるれろだろうが!!!と日本語話者特有の思い込みである。

「……んんっ。いや、まぁ、あのりおりんにも彼女が出来たかぁーって思ってね」

とりあえず取り繕おう。
咳払いを一つして、あの友人にこんな可愛い彼女が出来たのかぁ、と野次馬の構え。
にやにやにや。
そして結婚と繰り返す彼女になおにやにや。

「えっ!?!?! りおりんのお店!?!?!?!?」

マジかよアイツ店まで出してんのか!!!
思わず店内を見回す。

「じゃあクッソ高いやつ買っていこう!! んでりおりんのツケにしといてさ!!! りおりんの目の前で僕とさらちーの二人で全部食べちゃおう!! そうしようよ!!!」

彼の店とわかった途端このクソムーブである。

水無月 沙羅 > 「え、あ……そー……なんですね……。」

おーなー。 おーなー? 今聞き間違いをしたかな? おーなーとおっしゃいましたか?
経営者の上にいる、お金出す人ですよね、オーナー。

「……………。」

沙羅の頭は一瞬でパンクした。 あれ、理央先輩って何者?
ひょっとしてとんでもない人なのでは?
いや、戦闘では確かにとんでもない人なんだけど。
私が告白とかしてよかった人? とうか私なんかが彼女でほんとによかったの?
思考がぐるぐる回っていく、いけない、マイナス方向に落ちていく自覚がある。

「し、しさつ……がわり……?」

さらに爆発した。 なに、この社長令嬢みたいな、体ぐう。
あ、そっかー、どっきりかー、そうだよねー。
うんうん、しってるしってる。

らいじょうなんにんきねんみたいなー。

「………、ショートケーキで。」

沙羅は全ての思考を放棄した。

雪城 涼子 >  
「あ、あの……お連れ様、大丈夫、ですか……?」

理央のことは勿論心配だが、こうして見舞い、といえる身近な人間がいる限りは命の危険まではないはずだ。
なので、一旦それは置いておく。

今は彼女さんの方、なんだけれど……本当に大丈夫かしら、
まあ、いきなり、彼はお店のオーナーでしたって言われたらピンと来ないかもしれないけれど……
そう思いながら、もうひとりの風紀委員に助けを求めるような視線を向ける

まあでも

「え、えっと……一応、当店はそのですね。部活の一環として開店しております。
 その際に部員として、またオーナーとして事務方面などでご協力いただいている次第です」

一応、一般的っぽいことを言ってフォローはしておく。
嘘ではないけれど、完全な事実でもない辺りで障りのないように

織機 雪兎 >  
「ってことはここりおりんのツケて高級お菓子食べ放題ってこと!?!? ヒャッハーすっげぇ――!?!?」

はしゃいでいたら一瞬ものごっつい殺気を感じた。
慌ててあたりを見回すも誰もいない。
辺りをキョロキョロ。

「――さらちー? どしたの? 大丈夫? かえっておいでー」

そして後輩がフリーズしていた。
ゆさゆさゆする。

「――ええと、とりあえずこのフィナンシェとかマドレーヌとかの詰め合わせって出来ます? 四つずつと一つずつを」

とりあえず入院しているなら焼き菓子がいいと言われたのでそれにする。
自分も食べたいので、一つずつは自分用である。

水無月 沙羅 > 「はひ……だいじょうぶです……」

お目目がぐるぐる回っている、あれ、ということはこのお金、最終的には理央先輩にいくやつ?
それはそれでいっかー、ほめてくれるかなーせんぱーい。
あははー……。

「……沙羅なんてしょせん死なないだけのデク人形です……。」

自分と神代理央との『差』を見せつけられたようで。
なんだか随分距離が離れたような気がする。

「あ。 えっと、じゃぁそれでお願いします。 ちゃんとお金は払いますから。 えっと……すいませんこのことは内密に。」

ちょっと困った顔でにへらっとわらった。

雪城 涼子 >  
「ぇえと…はい
 では、包ませていただきますね。
 お会計は、こちらになります」

さっと包を作り上げ、会計の数字もはじき出す。
迅速にやらなければ店が回らない。

それと

「あと、こちら。
 私からのサービスとなります。オーナーに一旦渡してから、お二人でお分けください」

そっと、沙羅に小さな包を渡す。
中身は、マロングラッセ

水無月 沙羅 > 「えっと、じゃぁこちらで……これは……?」

財布から降ろしたてのお金を支払い、差し出された小包を受け取る。
随分と軽いが、なんだろう?

店員さんと、ゆっき―先輩を思わず交互に見た。
この先輩は何をしているんだ?

雪城 涼子 > 「お客様と、オーナーの、お二人でお楽しみいただければ幸いです」

にこりと、顔を見られれば答える
これはちょっとしたいたずらとも言えるし
老婆心とも言える。
さてさて、理央くんがそれを知っているかどうか、だけれど

織機 雪兎 >  
「いやいや、さらちーかわいいからりおりんとお似合いだよ大丈夫だよ」

りおりん顔だけはいいからな。
性格は割とクソだけど。
ごめんクソは言い過ぎた優しいところもあるから深夜の委員会棟に置いていくのは勘弁してください。
心の中の友人に土下座。

「あ、さらちー恋人居るとか秘密にしたいタイプ? おっけーこのゆっきーおねえさんに任せときな! 絶対内緒にしとくから!」

びしっとウィンクしてサムズアップ。
口は軽いが約束したことは守るタイプだ。

「うーん、でもやっぱり後輩に奢らせるのもなんか……あ、そうだ、後でジュース! ジュース奢ってあげよう!」

つり合いが取れなさ過ぎている気がするがそこはそれ。

「……?」

店員さんが後輩に何やら小包を渡している。
なんだろう。
首を捻る。

雪城 涼子 >  
「お菓子は、日常に華を添える素晴らしい脇役です。
 幸せな時、辛い時……様々な時にお役立てください。
 またのご来店をお待ちしております。」

ぺこり

水無月 沙羅 > 「わかりました……じゃぁ、こちらに理央先輩が来た時は、よろしくお願いします。 ありがとうございます。」

首をかしげながら、そっと商品と一緒に仕舞う。
一体何が入っているんだろう。

「かわいいと……思ってくれていればいいんですけどね。」

えへへと、ちょっと自信なさそうに笑って

「あ、いや、先輩が困るかなって……思っただけなので。 あはは……」

喋らないけど広まりそう、と直感で感じた。
多分その位あの人は影響力の高い人なのだ。

「じゃぁ……ポカリスエットで、理央先輩の飲み物にも最適ですし。」

気が済まないというのならば先輩を立てるべきだろう。
店員さんに一礼して、店舗を後にする。

「ほら、早くしないと私は病院行っちゃいますよー。ゆっきーせんぱーい。」

ポンコツ疑惑が高い先輩に声をかけて、夕日を眩しそうに見上げる。
存外、この先も波瀾万丈な展開があるのかもしれないなぁ。

沙羅は少しだけ憂鬱に、でもちょっとだけ、本当にちょっとだけ、そんなときにあの先輩はどう助けてくれるのかを想像して。
やっぱり口角が上がっった。

織機 雪兎 >  
「いやここのお菓子は主役はれると思う」

脇役なんて完成度じゃないだろう。
ショーケースに並んだ洋菓子を見るだけでわかる。

「大丈夫だよさらちー可愛いよ。りおりんが可愛くないって言ったらこう、ぶっ飛ばしてやる」

しゅっしゅっとシャドーボクシング。
こんなにかわいい彼女をかわいくないと言うならそれは殴られてもしかたないと思う。

「んー??? 別に困らないんじゃない???」

彼の裏の顔を知らない自分はそんなことない、と思う。
むしろ自慢して回――るタイプではないか。

「よーし了解! さらちーの分は? それとも二人で回し飲みするぅ?」

にやにやと笑いながら。

「はいはーい、病院は逃げないからゆっくり行こうねー。どーもありがとうございました、また来まーす」

転ぶと大変だ。
店員さんにお礼を告げて、彼女の後に続いて店を出よう。
しかしそうかぁ、あのりおりんに彼女が出来て、しかもお菓子屋さんのオーナーかぁ。

織機 雪兎 >  
「――いやあの店めちゃめちゃ金かかってない!?!?!?」

織機 雪兎 > しばらく歩いたのちに振り返り、叫ぶ。
もしかしてりおりんってめっちゃ金持ちじゃない???

ちなみに。
このあと普通にお見舞い行こうと思っていたけど見回りの途中だったので病院まで行く途中に先輩に掴まって引きずられていったゆっきーであった。

ご案内:「学生通り」から織機 雪兎さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から水無月 沙羅さんが去りました。
ご案内:「学生通り」から雪城 涼子さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に日下部 理沙さんが現れました。
日下部 理沙 > 「ああ、いや、だから俺は……」

研究生、日下部理沙は困り果てていた。
眼鏡を掛けなおしながら、苦笑いを浮かべる。
今、理沙はトラブルに巻き込まれていた。
まぁ、そう深刻なものでもない。
いつものことだ。
いつものことだって、トラブルはトラブルに違いはないのだが。
そう、理沙がいつものように巻き込まれているトラブルは。

「俺は、その……だから、そういう異能者でして……」

ただの、日常だった。
 

日下部 理沙 >  
理沙の背中には大きな翼が生えている。
真っ白な一対の……大きな翼。
生えているだけの翼。羽搏くだけの翼。
それだけ。ただの重荷。
そういう代物が『背中から生えるだけ』という……役に立たない異能。
それが、日下部理沙の異能だった。
イカロスと名付けられたその異能は、名前の通り何の役にも立たない。
神話のように、蝋で出来ているわけでもなければ、太陽に向かって飛んでいけるわけでもない。
人間の背に翼が生えた程度で人間が飛べるのなら……誰も苦労しない。
航空力学など生まれるはずもない。
だが、しかし、それは結局……〈大変容〉以前の話でしかなくて。

「だから、俺は異邦人じゃないんですよ」

今は、『それ』が背中にあれば……色々と勘違いされる事は日常で。
当たり前の勘違いで。
むしろ、『紛らわしいもの』をつけてる理沙の方が悪くて。
 
「……だから、その、ああ、でも出ますよ、すいません」

こう言う事は……ただの日常だった。

日下部 理沙 >  
愛想笑いをしながら頭を下げて、店から出る。
その店は最近、異邦人用の席と地球人用の席を分けたらしい。
それに気付かず理沙が入って……「今、異邦人用の席は空いていなくて」と言われたのだ。
別に説明してどこかの相席でもよかったのだが……店側がゾーニングしているのに、居座るのも悪い。
客には勘違いされ続けるわけだし。

「……もう、この店には来れないな」

かつては常連だった喫茶店を背に、溜息を吐く理沙。
少なくとも会員カードを作る程度には通っていたのだが……今の今まで異邦人と思われていたらしい。
いやまぁ、店員と客の距離感なんて……そんなものだとは思うが。

「……」

頭を振って、他の店を探す事にする。
出来れば喫煙席があると尚いい。
まぁ、喫煙者も虐め倒されている昨今……そこまで望むのは贅沢かもしれないが。

日下部 理沙 >  
ガラス張りの壁で仕切られた、街中の喫煙所に逃げ込む。
見つけるまで、割と苦労した。
昨今、分煙も進んでこの有様だ。ガラスで仕切られた喫煙所は、まるで動物園か水族館のようだと思う。
まぁ、この嫌煙全盛の御時世に煙草を未だに吸っているんだから……珍獣珍魚そのものといわれても仕方ないと言えば、仕方ないのかもしれない。
挙句、理沙には人らしくない翼まで生えているのだ。
実際、珍獣そのものだった。

「……好きでこうなったわけじゃないんだけどな」

どの珍獣だってそうだろ、と脳裏で自分で自分を窘めながら、紫煙を吐き出す。
この紫煙を纏うと選択したのは自分であるので、どっちにしろ自己責任ではある。
灰皿に灰を落としながら、空を仰ぐ。
嫌味なくらいの快晴だった。

日下部 理沙 >  
「……あと二時間か」

スマートフォンで時間を確認しながら、溜息を吐く。
理沙は時間を潰していた。
あと二時間経たないと、目当ての店が開かないのだ。
目当ての店は……裁縫屋。まとめて繕いを頼んだ服を取りに来たのだ。
別に早く来る必要はなかったのだが、思ったより用事が早く終わってしまったのだから仕方ない。
家に帰るほどの時間はないため、時間を潰して開店を待つ。
元は異邦人専門の裁断をやっている店であるため、開店時間は短い。
まぁ、作業時間が単純に多いのだろう。
理沙が頼んだ「服の背中に翼用の穴をあけて欲しい」という作業だって、口で言うほど簡単じゃない。
実際、理沙は昔は自分でやっていたのだが……結構な頻度で服をダメにしていた。
そういった経験も相俟って、今は専ら専門業者に頼んでいる。
餅は餅屋である。昔より、料金も安くなったし。

「……安くできるほど、『客』が増えたって事なんだろうけどさ」

複雑な顔で、理沙はまた紫煙を吐き出した。

日下部 理沙 >  
異邦人の数は増え続けている。
〈門〉の開閉頻度が大幅にかわっているわけではないのだから……まぁ当然だ。
それに伴い……学生街でも、異邦人を見掛けることは以前より多くなった。
少なくとも、五年前に理沙が常世島に来た時よりは……ずっと数が増えている。
異邦人席と地球人席なんて分けて商売ができる程度には。
無論、それに比例して……理沙が異邦人に間違えられることも多くなっていた。

「……俺も首輪でも付けなきゃかな」

首から「異能者です」とでも札を下げておけば、多分間違えられないだろう。
いや、信じてもらえなければ結局意味がない上、「どんだけ自己主張激しいんだ」と思われてしまうかもしれないが。
……ただ、何かしらの効率的対処法を考えなければいけない時世になったことは、恐らく間違いないのだろう。

日下部 理沙 >  
「……まぁ、俺個人についてはいいや」

今更と言えば今更である。
何より、今は全く対処法が思いつかない。
今後の課題とでもしておこう。
結局、二時間たっぷり散歩と喫煙で時間を潰して、理沙は店に向かった。

ご案内:「学生通り」から日下部 理沙さんが去りました。