2020/07/12 のログ
ご案内:「学生通り」にルナアイズ・ラーゲンフォルエルさんが現れました。
ご案内:「学生通り」に227番さんが現れました。
ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「たまには、夜更かししての散歩もいいものね」

静かに歩きながら、そんな言葉を零す。
周囲を物珍しそうに見渡しながら、静かな通りを練り歩く。

「人がいない光景と言うのも新鮮だわ。それに、少し悪いことをしているよう」

ご案内:「学生通り」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
ご案内:「学生通り」から日ノ岡 あかねさんが去りました。
227番 > 変わらず少女は道を書き込みながら歩いている。
と、角を曲がった所で人影を見つけた。こんな時間に何をしているのだろうか。
人に言えたことではないが。

隠れたりはしないものの、少し様子見の姿勢。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「……あら」

ふと見てみれば、ひとりの少女。
少し駆け足で近づいて、笑みを浮かべて問いかける。

「私が言えたことではないかもしれないけれど、こんな時間にどうしたのかしら?」

227番 > 駆け足で寄られると、少しビビって身構える。

「……わたし?」

青い瞳が相手の姿を見上げる。

「……さんぽ、だと思う」

ちょっと違うのだが、これで説明は十分だろうとも思う。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「あら、私もよ。でも、それにしては、何かを調べているようだったから」

何を調べているのかしら?と小首をかしげるも、覗き込むようなことはせず。

「何かの課題かしら?それとも、個人的な調べもの?」

227番 > 「かだい……?」

それはなんだと首を傾げる。

「……迷子に、ならない、ために、道、覚えてる」

たどたどしい、気弱そうな少女の声。
地図アプリや案内板を見れば良い人にとっては、かなり不毛に映るかも知れない。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「ええと、学校で課せられた課題なのかと思ったのだけれど……」

課題その物を知らない、となると、学校にそも通っていないのかもしれない。
しかし、それにしても年齢に比して、庇護を受けていないように見えるが……。

「それは、既存の地図ではダメなのかしら?その方が正確に思えるけれど。あちらの方に、案内板もあったわよ?」

色々な可能性を考慮しつつも、とりあえずは近場にあった案内板を指し示す。

227番 > 「……学校、まだ」

自分が保護されたばかり、という認識しかないので
実際の所手続きなどがどうなっているのかは少女にはわからない。

「あんないばん……?……まだ、もじ、読めないから」

そういう物もあるのか、とうなずこうとして、見た所できっと読めないんだろう、と思い当たった。
今の所は道を繋がりと大時計塔からの位置関係で覚えている。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「あら……それはいけないわね。まだ保護されたばかりなのかしら」

しかし、文明は基本的に識字を前提としている。
その中で、字が読めない、と言うのは大変不便であろう。
どうしたものか、と少し考えた上で。

「そうね、それなら案内板の内容を、私が教えるというのはどうかしら。地道に目で見たものを記録するよりも、そうして教えたものを記録した方が手っ取り早いと思うのだけど」

どうかしら?と笑みを浮かべて問いかける。

227番 > 「……そう」

保護されたばかり、に対して肯定の意を示す。

「あんないばんを……?」

何が書かれているのだろう。少し興味はある。
文字はいまいちわからないが、矢印の概念と、イラストがあるなら認識できる。
それがなにを意味しているのかはわからないものも多いが。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「そう……なら、出来るだけわかりやすく説明してみるわね」

上手くできるかはわからないけれど、と少し困ったように笑みを浮かべて。

「じゃあ、こっちに来て。まずは案内板を見てからにしましょう」

そう言って、手を差し伸べる。

227番 > 「……難しい、言葉、わからなかったら、ごめんなさい」

先に謝っておく。
施設の名前を言われてもおそらくピンと来ないのは分かっているからだ。

「……わかった」

少し悩んでから、差し伸べられた手を取る。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「いいのよ、構わないわ。まだ学習の機会が与えられていないのに、別れという方が無理だもの」

笑みを浮かべる。
それと同時、きっと将来、こういう子供の対応も経験するのだろうと考える。
国というものの上に立つ立場である以上、そういった存在からは目を背けられないし、背ける気もなかった。

「ええ、いらっしゃい」

そう言って優しく手を引きながら、案内板の方に歩いていく。
そのまま、案内板の地図を指さして。

「どうかしら。貴女が描いている地図と、どれくらい違うかしら?」

227番 > 「……うん」

良いと言われれば、頷く。

「……ちず」

まず自分が書いている物が地図であると理解する。

「どこが、どこ?」

案内板。情報量が多い。まず自分のいる位置が見つけられない。
どれくらい違うか以前に、どう見比べるといいのかがわからない。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「ああ、ごめんなさい。そこからだったわね」

とは言いつつ、即座に理解をした辺り、頭自体は悪くないのだろうと思いつつ。

「まずは、自分がいる場所ね。ええと……ここね。これが「現在位置」と書いてあるわ。今いる場所、という意味ね」

そう言って、赤い三角を指差し微笑む。

「じゃあ、貴女が描いている地図に当て嵌めると、ここがどのあたりかわかるかしら?」

227番 > 「今いる、場所」

赤い三角を認識する。

「あれ、どっち?」

実物の大時計塔を指差す。
少女は方角がわからない。時計塔が基準だ。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「そうね……大時計塔は、この地図の中で言えばここね。だから、ほら、こう。なんとなくわかるかしら?」

自分らと大時計塔、そして地図上の現在位置と大時計塔を指差して、おおよその関係性を示そうと。

227番 > 「えっと、あれが、こっち、だから……」

メモ帳をめくって、くるくると回す。
ページに書いてある矢印を、時計塔にある方向に合わせる。
教えてもらって、ようやく地図が照合できるようになった。

「ちょっと、違う?」

ページによって縮尺はまちまちで、細かいカーブなどは記録されていないお手製の地図。
しかし道のつながりは概ね合っているようだ。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「ああ、なるほど……眼で見た感覚で描いているから、縮尺が一定じゃないのね」

しばし地図を見て、一つ頷いてから。

「地図は、実際の街並みを小さくして絵にしたものなの。そこは大丈夫かしら?」

そう言って微笑みかける。

227番 > 「しゅくしゃく……?」

少女は知らない言葉。

「うん、そう、みたい。大丈夫」

話の流れでこれが地図だということは理解した。
この案内板については道も詳細に描かれているらしい。
微笑みを向けられたが、少女は学ぼうと真剣な表情だ。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「ええ。今直ぐ覚える必要はないけれど、縮尺と言うのは『地図などで、どれだけ現実から小さくしたか』というものなの。それで、貴女の描いているものは、それがまちまちなのね。だから、例えば……ここだと結構小さく描いているけれど、ここだと……ほら、きっと細かい道がないからね。さっきの場所よりも小さくしないで描いているわ。それだと、実際に歩いたときに勘違いしやすくなっちゃうのよ。この案内板は、正確に描かれているから、比較してみるとわかりやすいわね」

ここはここ、ここはここ。とそれぞれ指差しつつ、指で大まかなサイズを測ってその違いを示す。

227番 > 「……地図の、大きさ……」

実際との比較なんて考えもしなかった。
道がどうつながってるかさえ分かっていれば迷わないと思っていたから。
理屈ではなく、落第街での経験によるものだ。

「あんないばん、すごい」

誰かが手で書いたのだろうか?こんな細かいものを?

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「ふふ、こういうものは昔の人たちがいろいろと考えて、そういったものが積み重なって出来ているのよ。これ一つ作るのにも、たくさんの人が努力をしているわ」

案内板一つをとっても、人ひとりの手では仕上がらない。
この図を作るのでさえ、それなりの人数が計測器などを使って正確に測り、そしてそれを元に図示して、改めて案内板に起こしているのだ。
そういった者の積み重ねが叡智と呼ばれるものである。

「貴女は、まだ一人だもの。上手く出来なくても仕方ないわ。これから、お勉強をして、出来るようになっていくのよ」

そう言って笑みを浮かべてから、ぽん、と手を打って。

「あら、ごめんなさい。私としたことが、名乗るのを忘れていたわ。
私は、ルナアイズ・ラーゲンフォルエル。ルナでいいわ。貴女のお名前、聞いていいかしら?」

227番 > 「……たくさんの人……」

沢山の人が手書きをしているのを思い浮かべた。違う。
しかし、そうだとしても凄いのは変わらない。

「これから……うん」

もちろんそのつもりだ。
ただ、教えてもらえるのを待つのはやめた。それだけのこと。

「るな……」

覚えるために反芻する。これは癖のようなものだ。

「わたしの、名前、これ。にーにーなな。にーなとか、ななとか、呼ばれる」

帽子についたバッジを指差す。数字の227を象っているようだ。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「227……」

少し、真剣な表情になる。
このように人間を数字で管理することは、国政においてもままある。一々個別の名称で管理していては検索性が悪く、政務が滞るからだ。
だが、それ以外にも類例はいくつかある。

「(――この子は、何かしらの実験材料にでもされていたのかしら。いいえ、ここでそれを問うのは危険ね)」

ルナアイズの出身世界において、ある国では『特化戦技兵』と呼称して、小さな子供を浚い、英才教育を施し、完全なる『兵士』として使い潰していた歴史がある。
特化戦技兵たちは、平時は番号で管理され、必要に応じて適当な名前を割り当てられるシステムだったようだ。
――そのような、非人道的な行為が想起される。それに、名前が数字、と言うのは、なんだか味気なくも思えて。

「――なら、私はニーナと呼ばせてもらおうかしら。ふふ、良い名前だと思わない?」

なんとなくでも、数字とは違う呼称を与えたくて、敢えてそういう言い方をした。

227番 > 「うん、ニーナで、大丈夫」

名前を聞いた人の大半は決まってばつの悪い感じになる。
見慣れた反応なのだ。ちなみに、227自身もこの名前の由来は知らない。

なので、227は相手の好きに呼ばせる。
その呼び名が、自分を指していることさえ分かっていればいい。

ニーナ。スペイン語?で……なんだったか。ソフィア先生にもう一度聞かないとな。

「いい名前……」

言われるのは初めてじゃないものの、名前に良い悪いの基準があるだろうか?ふと思った。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「ありがとう。よろしくね、ニーナ」

そう言って微笑むも、そのあとの反応を見れば苦笑に変わる。

「(少し安易だったかしら?)」

いい名前、と言うのは、正直かなり感覚的で、言ってしまえばあまり意味のない言葉だ。雰囲気付けと言ってもいい。
なんとなくでしか共有できないものを、当たり前のように口にしたことを少し反省しつつ。

「私は、ニーナという名前を気に入ったということ、かしらね。ニーナは、こう呼んでほしい、とかはないかしら?」

もうニーナと言ってしまった以上今更かしらね?と首を傾げる。

227番 > 「うん、よろしく、るな」

表情が変われば覗き込むように見上げるだろう。
何かまずいことをしたのだろうか。
言葉のやり取りが苦手なので、表情の変化には敏感である。

「とくに、ない、かも。好きなように……にーな、で、いい」

特別気にしない。変えるなら、認識を更新するまでのこと。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「ありがとう、ニーナ。
――大丈夫よ、少し私が、考え事をしただけだから」

改めて微笑む。
王族として、人の表情はたくさん見てきた。その中で、表情を読む術は身に着けてきたつもりだったが、自分が出てしまっているのを失念していた。
少し反省しつつ。

「そう……なら、そのままニーナ、と呼ばせてもらうわ。ニーナは、帰る場所はどこなのかしら?」

どこか保護施設だろうか?と考える。

227番 > 「大丈夫なら、いい」

なにかしてしまったのではないとわかり、安堵した。

「帰る場所?ゆーりのとこ」

遠慮なく保護者の名前をあげる。
保護した公安の人間のところにそのままお世話になっている。そういう約束だから。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「ユウリ……なるほど、保護者の方がおられるのね」

こくんと頷く。
まあ、この夜中に抜け出されているのは管理としてどうなのか、と思わなくもないが、あまり口を出すことでもないであろうと考え直す。
この場において、自分は王女ではない。ただの学生なのだから。

「なら、そろそろ帰った方がいいわ。その、ユウリと言う人も心配しているかもしれないもの」

227番 > 「ゆーりが、ほご、してくれた」

夜中主体の生活から、少しずつ変えていけるようにとわざとゆるくされているようだ。
生活を一気に変えてしまうと、負担がかかる。
ちなみにGPSを持たされているので、所在はすぐに調べられる。

「うん、大丈夫。もうちょっとで、帰る」

もともとボトルの水が終わったら帰る予定だった。
それはもうすぐ空になる。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「そうなのね。優しい人だわ」

笑顔で頷く。
人ひとりの面倒を見るというのは簡単ではない。どうしてもいろいろと面倒がかさむ。
それを引き受けているだけで、その人の人となりがうかがえるようで、少し嬉しかった。

「あら、もうちょっとね。私もそろそろ帰るけれど、ニーナも早めに戻るのよ」

飲まないままゆっくりしすぎたらだめよ?と笑みのままで。

227番 > 「やさしい……うん」

少女も頷いた。
保護者を心から信頼しているようだ。

「うん、わかった。帰り、気を付けて、るな」

微笑みを返す。

ルナアイズ・ラーゲンフォルエル > 「ええ、ありがとう。それじゃあね、ニーナ」

そう言って、手を振ってその場を後にする。
完全にニーナから見えなくなってから。




「(――この学園都市も、暗部がやはりあるのかしら。そういうところも、学ばないといけないわね)」



そんなことを、考えた。

ご案内:「学生通り」からルナアイズ・ラーゲンフォルエルさんが去りました。
227番 > 小さく手を振って見送った。
その相手が思う所など知る由もない。

案内板の見方も教わったので、
明日は手書きの地図と比べて更新してみよう。

ボトルの水を飲み干して、帰路につく。

ご案内:「学生通り」から227番さんが去りました。
ご案内:「学生通り」に227番さんが現れました。
227番 > 今日も少女は歩いている。

昨日と変わらず、地図を手書きしながら。
変わったのは、足取りが軽いこと。時折案内板を確認していること。

探しているのは、人と、自分のことを見つける手がかり……これも人になるのだろうか。

とにかく、ひたすら歩いてマッピングを続ける。
案内板のおかげで、効率はとても良くなった。
通ってない道があれば自分の足で出向いて確認する。

227番 > まだ人通りも多い。
道行く人は、少女が一人で歩いているのを目で追ったり。
あるいは全く気に留めていない。

路地裏にいた頃は、自分が大通りを歩けるとは思っていなかった。
薄汚い子供が表を歩けば目をつけられ、
露天商は商品を取られないかと警戒する。

ずっと前(数年前)、落第街ではじめて目を覚まして、放浪して。
初めて露店の果物を見たときは、それに触れようとして強く殴られた。
痛い思いをして学んだものである。

買い物という概念も少しずつ理解してきた今は、
"触れてはいけないもの"の区別も付くようになってきた。
お金を持たない少女は、売り物に触れるべきではない。それだけのこと。

227番 > 不用意なことをしなければ、目をつけられる謂れはない。
それがだんだんと分かってきたので、なるべく堂々とするようにしている。

さて、このあたりのマッピングはだいたい終わった。
地図を見なくても、道に迷うことはない。

ボトルの水はまだまだあるし、次のところに行ってみることにしよう。
学生街、学生通りは、まだまだ広い。

227番 > 今日も少女は歩いている。
ご案内:「学生通り」から227番さんが去りました。