2020/09/23 のログ
雨見風菜 > 「私は困りますね、まだ遊びたりませんし」

くすくすと笑ってそう答える。
遊ぶ、についてはまともな意味でも、裏の意味でもだ。

「これで驚いていたら常世百貨店なんて腰を抜かしそうですね。
 13階という高さまでわざわざ温泉を魔術とか色々使って組み上げてるんですから」

この発言もまた、百貨店が成り立つほどに……そしてその階数の分だけ物が流通していることを言外に雄弁に語る。
しかしながら、その広さまでは語られていない。
果たして、ジーンが百貨店を見たらどうなってしまうのか……はまた別の話だろう。

「差し支えはありませんよ。
 この先に触れようとしない方は、こうも踏み込んできませんし」

言って、パーカーの裾を少し捲くり上げる。
パーカーの下の身体を縛る縄が見えるだろう。

「私、マゾなんですよ。
 自分の異能で自分を縛ったり、この首輪だって誰かに飼われたいっていう、ね」

ジーン・L・J > 「確かに、学生なら遊びたい盛りでもあるだろうし、そこをすっ飛ばしては人生の損だ。それに私も君の話で遊びたくなってきたよ。異能と魔術が大っぴらになったことで社会が、世界がどう変化したか見てみたい。その百貨店で他のトウモロコシ料理も食べてみたいしね。」
もし同行することになれば、何にでも驚き、手にとってみようとするジーンを宥め続ける羽目になるだろう。もしそうなればだが。

「へぇ、それはどういう……」
パーカーの下から現れた物にトウモロコシを食べる手が止まる。取り落とさなかったのはひとえにそれが大好物だったからだろう。
「驚いたな、百貨店に行ってももう大丈夫ってぐらい驚いたよ……。本当に世界は変容したんだね。」
思考の混乱がそのまま出たかのような反映されたかのような発言。空いた手でシャツの胸ポケットを探り、煙草を一本取り出した。
「吸っていい?これ副流煙出ないから。」
とりあえず落ち着きたい、懇願するような声。

雨見風菜 > 「ええ、光陰矢の如しとはいいますが。
 それでも今やりたいことをやりたいのは誰だって変わらないでしょうし」

もし居合わせたら同行することになるだろう。
もしくは待ち合わせるなら。
知人の頼みを断れない、というわけではないが、その宥めまわる羽目も楽しむかも知れない。

「あら、私のような痴女や変態なんて、それこそ変容前にも居たんじゃないんでしょうか?
 まあ、ジーンさんがこれ以上踏み込まないならここまでとしますが」

明かされた内容への狼狽ぶりを楽しんで。
無論、人を選ぶ話題である以上そうそう喋ることではないのだが。
先にも言ったとおり、触れたくない人は踏み込まないしそ開示をする気もない。

「煙草は吸ってもらっていいですよ、余程のことがない限り」

無論、目の前の相手がその余程のことをやるわけではないだろうとは思っているが。

ジーン・L・J > 「ありがとう。………普通に吸うだけだよ。」許可を貰えれば、努めてゆっくりと煙草をくわえ、指を弾いて魔術で小さな火花を起こし点火する。彼女が期待するような余程の事など、起きるはずがない。
「すぅ~~…………。」そのまま肺一杯まで紫煙を吸い込めば、世界が変容する前と変わらぬ薔薇の香り。
「ふぅぅ………。」真上を向いて煙突のように煙を吐き出す。空は変わらず青く、雲は変わらず白い、そして隣に居る人は変わらず変態だ。受け入れよう。
「いや、すまないね。突然の話で取り乱した。確かに、変容前にも居ただろうね、というか、私にも兄弟姉妹がいるんだけど、居たよ、被虐嗜好を持ったのが。でも、初対面の人間に明かされるのは初めてだ。そういうことって普通、もっと信頼できる相手に明かす物じゃないかな?」
煙草をくわえたまま、言い訳のように言葉を並べ立てる。もう吸っていないので、吐息とともに微かな薔薇の香りが漂うだけで、煙が吐き出されることはない。

雨見風菜 > 風菜は特に煙草、と居うか喫煙には期待していない。
普通に吸えばそれでいい。
ただそれだけである。

「あら、訊いてきたのはジーンさんですよ?
 言ったでしょう、『この先に触れようとしない方は、こうも踏み込んできません』と」

くすり、と悪戯っぽい笑みを浮かべて。

ジーン・L・J > 「確かに、私から聞いたことだね。君の趣味だっていうのも聞いた上で私が踏み込んだ。だけど、まるで軽い気分で草むらに入ったらトラバサミ踏んだ気分だよ。」
予期していた答えはそれが可愛いと思って、ぐらいのものだった。まさか泊中堂々自分を縛って飼い主募集中の意思表示をしていたものとは思わなかった。つまり油断していたのだ。だから驚愕で動きが止まり、そして落ち着くための一呼吸が必要になった。
もし相手に害意があれば、無いだろうが、致命傷を与えるには十分過ぎるほどの隙だった。
「ああ、びっくりした。もしかしてそういうのってここじゃあ普通なのかい?チョーカー付けてる人とか、たまに見るけど。」
ほら、とくわえていた煙草を持ってそれで示す。一般にゴスロリと呼ばれるようなふんだんに装飾された服を着た少女がレース付きのチョーカーを付けて通りを歩いていった。

雨見風菜 > 「ふふ、じゃあ次からは『エッチな趣味』とだけ言って、其処から踏み込んできてからにしましょうか」

無論、風菜にはそんなスキを付いて殺傷する気はないし、殺傷させる手段があまりない。
異能も魔術も、何一つ直接的な攻撃能力がないからだ。

「いえ、私が異常なだけですよ」

サラリと、まるで他人事のように言い放つ。
とはいえ、自他も認める事実であるのだから仕方ない。

ジーン・L・J > 「ああ、もうひとつ関門を置いといて欲しいね……。私はもう遅いけど、次に聞く人がいれば助かるだろうし。」
ため息にも似てもう一度煙草を吸い、空に向けて吐き出した。

「そっか、ジェネレーションギャップに呆然とするところだったよ。しかし、そんなに開けっ広げに言うってことは、割と皆に知られてたりするのかい?」
世間話のような気軽さで自身の性的嗜好を話す彼女。もし他の人にもそうならば、広まっていてもおかしくないはずだが。

雨見風菜 > 「問われれば言います。
 ただ、あまり広まっては居ないようですね」

そりゃあこんな清楚な少女が本性ビッチでした痴女でした、なんてそうそう信じられるわけがあるまい。
そんな話を信じるのは、同じく風菜の本性を知っている人間くらいだろう。
現に風紀委員ですら現行犯で追いかけてきた一件以外にもあまりバレていないわけだし。

と、そこでアラームが鳴る。

「あら、そろそろタイムセールの時間ですね。
 ごめんなさい、ジーンさん、私はこれにて失礼します」

と、立ち上がって。
特に止められもしなければそのままスーパーマーケットへと向かうだろう。

ジーン・L・J > 「なんだか、凄い話だな……。いや、本当に、まだ数日だけど、この島に来て君に一番驚かされたよ。」
第一知り合いが彼女だったのは幸運なのか不幸なのか、ファーストコンタクトで驚く相手はもうさほどいないだろう。

相手が立ち上がれば、自分は立ち上がらず軽く手を上げて別れの挨拶。
「うん、私も勉強になったし、君の気が紛れたなら何よりだよ。また会ったらよろしく。」
短くなってきた煙草を携帯灰皿に押し込むと、また新しく取り出す。
引き止めることなく、その後姿を見つめていることだろう。

ご案内:「学生通り」から雨見風菜さんが去りました。
ジーン・L・J > 「………しかし、時代、変わったな……。なるほど、時代についていけないってボヤいてた彼はこんな気分だったのかな。」
二本目の煙草に火をつけようとして、まだ食べかけだったトウモロコシに視線を落とす。外気に晒されすっかり冷たくなったそれをかじる。甘くて美味しい。最後の記憶のよりずっと。
「でも、きっと良くなったんだ。ついていかなくちゃね。」
小さく独りごちると、またトウモロコシにかじりついた。

ご案内:「学生通り」からジーン・L・Jさんが去りました。