2020/11/07 のログ
ご案内:「学生通り」に雨見風菜さんが現れました。
雨見風菜 > 急に降り出した土砂降りの雨の中、家屋の軒先に入り込む風菜。
折りたたみ傘は常備しているが、あまりの豪雨に長く続かないことを期待しての行動。
とりあえず折りたたみ傘の水分を一度収納して、一息。

「ううん、完全にスコールと化してませんかこれ」

雨見風菜 > 「いやはや、困ったものですね」

流れてくる方向の雲は、暗く分厚い。
これは中々雨は上がりそうにないかもしれない。

「……寮までで止むのを期待して、今日はもう帰りましょうか」

ご案内:「学生通り」に春日 遥さんが現れました。
『みみけだまさま』 >  
『――ぬおおおおおお』

 押さえつけられた帽子の中、酷い揺れが己の身体を襲う。その声は雨にかき消され、誰に届くこともない。

春日 遥 >  
 落葉の候。神社で誰も知らぬ間に一人、紅葉狩りを楽しんだ帰り道のことでした。秋雨の時期は過ぎれど、突然の雨というものはあるものです。帰り道の半ばからぽつぽつと降り始めた雨は、いつしか勢いを増し、大粒の滴を地に叩きつけていました。
 いつもはこういう時にも降られたことはないのですが、どうやら今日は珍しいことが起こったようです。幸い折り畳み傘を持っていたので、それを差し、帽子を押さえながら走って――それでも同年代の方よりは遥かに遅い速度で――学生通りを行っていました。ごめんなさい、みみけだまさま。

「……あっ、あそこ……」

 しかして、通りに並ぶある家の軒先。そこに人影が見えました。どうやら私と同じように雨に降られてしまったようです。
 雨止みを待つのにちょうどいい、ご一緒させていただこうと。私も同じように、その家の軒先に入りました。落ち着くと、息を切らせながらも自分の傘を閉じます。

雨見風菜 > 「あら」

こちらに駆け寄ってくる人影が見える。
折りたたみ傘、つまりはこの軒下に同じように雨宿りするのだろう。
少し身体をずらし、駆け寄ってきた相手を迎え入れる。

「お互い大変ですね、雨に降られてしまって」

そう声をかけながら。
入ってきた相手の衣服が吸った水分を、
大きなお世話ながら、『液体収納』の魔術で音もなく回収する。

この時点で、風菜は相手が少女だと思っている。

春日 遥 >  
「あっ……ふふ、ありがとうございます」

 軒先に元より居た方は、私を見て軒先のスペースを開けてくれました。それどころか、魔術でしょうか、水分を吸ってしまったお洋服を、あっという間に乾かしてくれたのです。
 物腰の柔らかな、優しい人。それがその女の人の第一印象でした。

「そうですね。普段はこういうことはありませんから……ちょっとだけ、新鮮ですけど」

 袖や裾を軽くはたいて、完全に乾ききったことを確認して返事をします。

雨見風菜 > 「なるほど、運がいいんですね」

そう声をかける風菜は、他人から見れば感じる印象通りの少女である。
──表向きは。
とは言えさすがに裏向きの顔を見せることは今はないだろう。

「……ところで、帽子になにか入れておられます?」

見た目で分かる違和感。
そも、駆け寄った時点で帽子になにか入れてそうな押さえ方に見えてはいた。
更には『液体収納』の違和感もあり、興味本位で尋ねる風菜。

春日 遥 >  
「お陰様で……」

 普段の幸運体質は、なかなか強くて。突然の雨に降られたことなんて、それこそ片手で数えられるほどです。
 それらすべてはけだまさま、ひいてはそれを大事にしてきた春日の家の恵みですから、本当に感謝しかありません。

「帽子……ああ、はい。ふふ、いつも連れている子が……」

 女の方は、帽子の中のみみけだまさまに気づいたようでした。何も喋っていないはずなのに気づかれるのも、なかなか久しぶりです。
 さてそう問われれば、迷うことなく私は帽子を外します。

『みみけだまさま』 >  
 象牙色の帽子が取られれば、耳にあたる部分がぺちゃりと垂れ下がった毛玉が、くてっとした様子で頭に乗っているだろう。
 ここに来るまでずっと揺られていたので、疲労で潰れているのである。帽子のおかげでそうたいして濡れてはいないことが幸いではあるが。

雨見風菜 > 少女が帽子を取れば、中に居たのは毛玉。
それも、耳らしき毛が目立つ……のだけど、なんだかぐったりとした様子。
というか、生きているのだろうか?
いや、彼女が『いつも連れている子』と言った以上そうなのだろう。

「あら、なるほど。
 ……ちょっとぐったりしてるようですが、大丈夫です?」

衣服を対象にしていたからかまだ濡れているところがあるようだ。
改めて『液体収納』でその毛玉に付いた水分も収納する。