2020/12/13 のログ
ご案内:「学生通り」に神代理央さんが現れました。
神代理央 >  
クリスマスと年の瀬の迫る師走。
学生通りは、クリスマスプレゼントを選ぶ人々でごった返していた。
煌びやかな照明と装飾。ディスプレイに並べられた様々な商品。
路上では、飲食系の部活動生達が今が書き入れ時とばかりに声を張り上げている。

メイン処は扶桑百貨店や商店街になるのだろうが、この学生街も所謂高級住宅街という事もあって、それなりの商店が立ち並んでいる。価格帯も、少々高級品、という部類に入るものが多いだろうか。

「……別に、誰に送る訳でも無いが…。街がこうして賑やかなのは良い事だな」

表が平和である、ということは風紀・公安といった治安維持を司る委員会が正常に機能しているということ。
山積みになった書類仕事を終えて帰宅する途中。賑わう通りを歩きながらちょっとだけ安心した様に吐息を吐き出すのだろうか。

神代理央 >  
クリスマスという行事そのものに、縁が無かった訳でも無い。
此の島に来る前は、そういった行事は各界のパーティを開くお題目であった。
父親と共に各国を渡り歩いている時も、日本で落ち着いた時も、大体は父親や祖父に連れられて大人達ばかりの夜会に混じったものだ。

「……そう考えると、貰ってばかりで誰かにあげた事は無いな」

毎年毎年、要らないと言っても山の様に送られて来る玩具の山には辟易していた事を思い出す。
今でも、そういった付け届けが態々島まで届く事もあるが、有用な物以外は丁重に送り返している。
最近貰ったもので嬉しかったのは、ロシアで開催される兵器見本市への招待状だろうか。

「……かっこいい兵器は浪漫だと思うんだがなあ」

余り同意を得られないとは思っていても、ついはしゃいでしまう自分自身を思い返して、誰ともなしに言い訳。

ご案内:「学生通り」に妃淵さんが現れました。
妃淵 >  
「しっしっ!あっちいけクソガキ!!」

とある商店の前でサンタクロースの服装(ミニ)を着込んだ少女が子どもたちを
まるで蜘蛛の子散らすかのように怒鳴って追い払っていた
子供に大人気のサンタクロースとして見るとなかなか奇抜な光景である

「ったく…」

子供が泣きながら逃げていった方向にぺっと唾を吐き捨てつつ
おそらく店のアルバイトであろう少女は悪態をついていた

とても 目立つ

神代理央 >  
そんな平和を謳歌する学生街で、少女が起こしたちょっとした騒ぎはとても目立っていた。
先ず恰好が目立つ。どちらかというと歓楽街寄りのサンタクロースの衣装に身を包んでいるのは、黒髪の美少女。
続いて行動が目立つ。サンタに扮するなら子供を追い返すのは如何なものなのだろうか。

おまけにやたらとやさぐれている。唾を吐き捨てるサンタなど夢ぶち壊しだ。夢は有料、金次第、とはいうが…。
高級住宅街を謳う学生街の通りらしからぬミニスカサンタの少女に、ぱちくりと怪訝そうな視線をつい向けてしまうのだろう。

「……子供には優しくしたらどうかね。君が何を売りたくて呼び込みか仮装をしているのかは知らんが、そんな態度では売れる物も売れなくなると思うのだが」

風紀委員の腕章はちょっと威圧的に見えるかな、と思いながらも。
取り敢えず街の治安維持と景観美化の為に少女に声をかけるだろうか。

妃淵 >  
「あぁ?何だよお前──」

不機嫌そうな少女は投げかけられた少年の言葉に睨みつけるような視線で振り返る
片手に引きずるようにして持っていた袋がずれ、おもちゃ屋の看板がみえた
要するにおもちゃ屋の呼び込み、衣装はよくあるパーティ用の安っぽい衣装のようである

「いーんだよあんなこ汚いツラしたガキどうせ最新ゲーム機の一つも買えねーんだから」

サンタらしからぬ反論をしつつ、その腕章が目に止まれば睨めつけていた視線を怪訝なものに変えて…

「……風紀委員?」

神代理央 >  
「……そうやって購買力が無いから、と子供を追い払っていては、裕福な親たちをも逃がしてしまうぞ。冷やかしでも、賑やかしにはなるのだからな」

成程、彼女が呼び込んでいたのはおもちゃ屋か。
ならば、益々子供を追い払うべきではないんじゃないかな、と苦笑い。
別に己がどうこう注意する立場でも無いが、彼女を雇った店主は不憫だなとは思う。ちょっとだけ、だが。

さて、子どもを脅かすのも程々に、と言葉を続けようとして。
彼女の視線が、己の腕章に向けられ、その視線の色が変われば此方も僅かに首を傾げる事になる。

「……如何にも。腕章が示す通り、私は風紀委員だが。
私が風紀委員だと、何か不都合な事でもあったかね?」

歓楽街や落第街なら兎も角。
此の街で、此の腕章にこんな視線を向ける者は余りいない。
とはいえ、それだけ治安の良い証でもある。精々、何か軽い校則違反でもしているのかな、と。彼女に向けて疑問符を乗せた言葉を紡ぐだろうか。

妃淵 >  
「…あ、いや別に…」

冷やかしでも賑やかし、裕福な親を逃がす…どれも正論
やや説教じみた言葉に聞こえるそれに腹を立てるでもなく、やや少女は狼狽していた

「(やっべ、子供にゲンコツかましたの見られてねーだろナ)」

やや目を逸らす様子は明らかにおかしいし、
何よりたった今の乱暴な言葉づかいなどから見ても素行が悪いのは確定だが、さて…

神代理央 >  
先程までの威勢の良さは何処へ行ったのか。
大人しくなったというか、しおらしくなったというか。
後ろめたい事を隠しているかの様な。
こういった手合いは、歓楽街で良く見かけた態度だな、と思案しながらも、ふーむ、と考え込む素振り。

「………学生証、控えさせて貰っても良いかな。学外での態度不良は、一応記録に残しておかないといけないからな」

補導よりも軽い、注意勧告の様なものではあるが。
一応、風紀委員が街中で注意した生徒の名前とIDは記録・照会する事が出来る。
風紀委員に配られた端末を懐から取り出しながら、構わないだろう?という様に少女に視線を向けて見せる。

妃淵 >  
「…あーあ、マズったな……はいはい」

はあ、と溜息を吐く少女
やれやれ…と言ったようすで肩を竦めて観念したように学生証を取り出す

数々の虚偽の学生証を目にしてきているだろう風紀委員の眼から見ても本物の学生証
二級学生から正規学生への手続きがあったことを示す記述と…
そして学園内での喧嘩や小さな暴力行為など素行の悪さで報告のある妃淵という名前
それを目の前の風紀委員がご存知かどうか、それこそは知らないが

少女は"まーた目をつけられる理由が増えたかな"と憮然な表情をしていた。
ちょっとふてぶてしくも見える

神代理央 >  
「協力有難う。……ああ、成程。"表"に出たばかり、という訳でも無さそうだが」

彼女が取り出した学生証を一瞥し、端末でスキャン。
尤も、スキャンするまでもなくそれが本物である事は一目で理解出来た。
幾ら何でも、態々二級から正規学生へと正当な手続きを踏んだ学生証を態々偽造する、というのも考えにくい事だし。

そして、彼女が己に向けていた態度や、子供達へ取っていた態度の理由も何となく理解する。
小さく肩を竦めると、むすっとした様子の少女に視線を向けて――

「良い子、でいるのは中々肩が凝るだろう。気持ちは分からなくも無いが、余り素行不良が目立つのは宜しくないと思うがね」

端末で、彼女の情報を一瞥しながら淡々と言葉をかける。
説教、というよりは"そういう"相手との会話に慣れているといった具合。
しかしその言葉と表情は、彼女の身元保証人の欄を確認して、一瞬強張る事に成る。

「……水無月、斬鬼丸…?」

それは、己の元恋人の兄の名前、ではなかったか。

妃淵 >  
「ああ、もう数ヶ月目ってトコ」

開き直って狼狽する様子もなりを潜めた少女、フェイエン
どのみち何を言っても風紀委員が相手では…ということを理解しているのだろう

…が、意外なことにその風紀委員の少年は少女のこれまでを知りつつも、淡々と言葉を投げかけてくる

あんまりそういうことを気にしないヤツなのか、と
内心面倒がなく助かるといった様子

「学校いけばムカつくやつもいるし仕方ないっていうか…
 大丈夫。普段は目立たない場所でやってるよ。校舎裏とか」

全然大丈夫じゃないというか、そういう問題ではない

「…ん?斬がどうかしたのかヨ」

首を傾げる
あいつは風紀委員に目をつけられるようなタイプでもないと思ったが

神代理央 >  
「数か月目、ともなれば少しは表のルールに慣れて欲しいものだがな。此処は、決まりを守るからこそ豊かな生活が享受出来る場所だ。
二級学生に戻りたくなければ、きちんと"良い子"でいることだ」

「……それと。私はそういう事を大して気にしない…というか、最近はそういう連中とばかり接しているから構わないが、余りそういう事を他言しないように。
バレなければ、目立たなければ良いというものでも無いのだぞ」

案の定というかなんというか。
素行不良を絵に描いた様な少女の言葉に、小さな溜息。
今度校舎裏見回りしとこうかな、なんて思っていたりもするが、それを咎める事も無い。
結局は自己責任。注意はするが、それを実行するかどうかは彼女次第なのだから。

「………いや、直接の面識はないんだがね。知り合い…というか、知人の兄弟、といったところだ。
まさか、此処で名前を見る事になるとは思わなくて、少し驚いてしまってな」

端末の画面を閉じ、懐に仕舞いこんで。
首を傾げる少女に、緩く首を振ってみせた。
関係無い、とは言わないが、少なくとも彼の生活の平穏を妨げる様な事はしたくない。
しかし、そうなると――

「………同居している、ということは、恋人関係の様なものなのか?…ああ、いや。プライベートに関わる事だから、答えたくなければそれで良いんだが」

ふと気になってしまった事を、思わず尋ねてしまった。

妃淵 >  
「…戻されるのは困るけどさ」

それはいろんな人間の労力を無駄にする結果だ
特に、自分に近い人間の苦労が泡に帰することになる

「でも元・二級学生だって話をどっかから手に入れて色々言ってくるようなヤツもいんだよ。
 そんなヤツらぶっ飛ばしてやんないとわかんナイだろ?」

身の上話なんてものをしたいわけでもないが、暴力や喧嘩にも理由があると主張する少女

そしてどうやら間接的に自分のことを知っているらしい少年の風紀委員
そういえば斬の従妹が風紀委員だったっけ?なんて思い出して

「まあ恋人?って認識でいいヨ。オレも斬のことは好きだし多分アイツもこっちのこと好きって言うから」

神代理央 >  
「……そういう連中を、きちんとルールに基づいて処罰できるのが、表のやり方だ。謂れなき誹謗中傷であれば、教員や風紀に報告すれば良い。身に覚えのあることなら、誠意を以て対応するといい。
元二級学生だからといって、君を蔑む様な言葉は、校則では認められない。それは、風紀や教員が君を守るべき案件だ。
……だから、ぶっ飛ばすという選択肢の前に、賢しく生きる事を覚える事だ。ムカつくのも分かるが、表の世界は先に手を出した方が大概負けてしまうからな」

散々二級学生を吹き飛ばしている己が言えた立場でも無いのだが。
きちんとルールを守り、正当な手続きで正規学生になったのなら、彼女は己が護るべき生徒。
だから、彼女への小言の様な忠告はつい長くなってしまう。
それだけ、気に掛けている、ともいえるかも知れないが。

「……そうか。いや、それなら良い……いや、何が良いのかと聞かれると困るんだが。
まあ、私生活においてきちんとパートナーを持てているのは、風紀委員としても歓迎するよ。
言葉は悪いが、水無月に迷惑をかけることは、したくないだろう?」

と、少しだけ意地悪そうな笑みを浮かべて。
恋人関係という認識で良い、と答えた彼女に揶揄う様な声色の言葉。
まあ、彼女に向けた言葉は本音も含まれている。パートナーを持つ元二級学生。彼女を表に繋ぎとめているのは、恐らく水無月斬鬼丸という少年なのだろうから。