2021/11/06 のログ
ご案内:「学生通り」にファロンさんが現れました。
ファロン > 防寒着なぞなくとも神たる龍は寒さなんぞに負けはしない。負けはしないが、防寒着があるに越したことはないという知恵も得た。
とはいえ分厚い服や重ね着は動きづらくてかなわない。ということで編み出したのが、マントという手段である。

「しかもマントはカッコいいからな。我の威厳を知らしめるにももってこいだ」

ちみっこい異邦人が黒いマントを首に巻いた格好は、遠目に見るとてるてる坊主というか歩くテントというか、子供の仮装にしか見えない。が、本人は満足している様子。
まるで見せびらかすように、学生通りを大股に歩いていく。

ファロン > どうしたものかと悩んでいた冬の服装はこれでひとまず解決した。
残った目下の問題は、金を稼ぐ方法、あといい感じのカバンを手に入れること、それから、

「うーむ、溶け込めと言ってもな……」

学園から出された課題だった。
ファロンはこう見えても地頭はなかなかよく、座学系の授業はそれなりの評価を得ている。異能というか、異能という扱いを浮けている火を吐く能力も暴走するような兆しは全くなく、その点も高評価。
ではあと常世学園側から求められることといえば、この世界に、この島の社会に溶け込むこと、なのだが。

「むしろ貴様らが我に合わせるのが筋だというのに、わからんやつらだ全く」

ぷんぷんと思い出し怒りしているあたり望み薄である。
友達を作る、円滑なコミュニケーションを取るなど、そういうことの必要性を理解できていない。今後の動向次第ではなんらかの指導が必要になる可能性がある……というのが現状の評価。
それをまともに受け止めようともしないまま、自称神龍は通りに面した雑貨店や飲食店を見て回りながらずんずん歩いていた。

ご案内:「学生通り」に毒嶋 楽さんが現れました。
毒嶋 楽 > 「今日のお仕事もこれで終わり~
 ……帰りがけに何か秋限定のお菓子でも買って帰ろうかねぇ。」

学生通りを片手でスマホを弄りながら帰路についていた毒嶋楽。
ふと他の通行人がざわついているのを不思議に思い、人々の視線を追うように顔を上げれば、
ハロウィンも過ぎたというのに仮装めいた出で立ちの少女を見つける。
そしてその特徴的な角には、確かに見覚えがあって。

「あれー、ファロンちゃんじゃない。
 こないだのモコモコは止めたの?あんま気に入らなかった系?」

既知の相手に声を掛けるのに躊躇は無い毒嶋楽。
他の通行人の好奇の視線も何のその、少女へと声を掛けるのだった。

ファロン > 「全く……ん?お前……ブスジマか」

洋菓子屋のケーキを見ていたところ、聞き覚えのある声を聞いて振り返る。人の顔と名前は忘れない方だが、それが食い物をくれた人となればなおさらだ。

「あれはあれで暖かかったが、動きにくい。我は今や最適解、神の龍として相応しい装いを手に入れたのだ!」

がばっとマントを翻すと、マントの下の格好も露になる。比較的普通の制服だが、胸の大きさのせいで丈が足らずにヘソ出しスタイルになっている。
その妙な体型を除いてみれば、新しく買ってもらった服を自慢する子供そのもの。

毒嶋 楽 > 「やっほー。
 名前覚えられてるんなら、どうせなら下の名前の方がありがたいけどねぇ」

毒嶋、という名字に恨みがあるわけでも心底嫌ってると言うわけでもない。
ただ毒の嶋、という字面と音の響きが何だか物騒でちょっと気に入らない程度。大抵の場合「ブス」というあだ名が付きやすいし。

「動きにくいか、そっかー確かに一理ある。
 それでマントにしたわけね。確かに包まれば多少は風も防げるか。」

うんうん、と自慢げにマントを翻して見せるファロンに相槌の頷きを返しながら。
マントの下には意外にも普通に制服を着ていることに驚いたが、そっと心の内に秘めて。
なお身長差の所為でヘソ出しになっているのは、彼女の胸が邪魔して見えていない。

ファロン > 「下の名前……ええと……ラクだったか?」

人の顔と名前は忘れない方だが、ブスジマはブスジマで覚えてしまったので下の名前となると少し自信がなかった。別にブスジマという呼び方が取り立てて気に入ってるわけでもないのだけども。

「動きやすく雨風にも強いし、それにかっこいい。これぞ我に相応しい衣だ」

やはり寒かったのか、改めてマントの前を閉めながらどや顔。とはいえ前に突き出した膨らみはマントの上からでも確認できるほどなのだけども。

毒嶋 楽 > 「そーそー、楽っての。
 親しみを込めてラっくんとかラクちゃんって呼んでもいーよ?」

ヘラヘラと笑いながら冗談なのか本気なのか分からない事を告げる。
一度会っただけとはいえ見知った間柄だ、遠慮はなしとばかりに。
もっとも初対面の相手でも割とゆる~くやってたりするけども。

「なるほどねえ。風はともかく雨に強いかは分からんけど……
 ははは、似合ってる似合ってる。」

てるてる坊主みたいだな、と当人が聞けば憤慨しそうな感想は口にせず。
その代わり、今日もチョコちゃんかアメちゃん食う?とポケットを探る。

ファロン > 「『ちゃん』というツラでもあるまい、ラク」

口を慣らすためというように、彼を下の名前で呼ぶ。
そもそも我が敬称やその他をつけて呼ぶ相手など限られている。母上と……まあ、ほかにはいないか?
ともかく目の前のこいつは『ラク』としておこう、とひとまず決めておいた。

「ふふん、崇めるがよい。捧げ物ももらってやってよいぞ」

胸を張りながら、マントの隙間から小さな手を差し出す。
私は偉いんだからもらって当然、とでも言いたげだが、端から見れば大人からお菓子をもらう子供そのものだということには気づいていない。

毒嶋 楽 > 「それを言われると返す言葉もねえなあ……
 これでもお仕事中は他の委員会仲間からうっかり『お兄ちゃん』って呼ばれたりすんのよ?」

歳だけは取ってるからさぁ、とヘラヘラしながら。
ポケットの中には飴玉が数個残っていた。そういえば仕事中に殆ど食ってたっけ、と思い出して。
ちなみに飴玉は噛み砕く派

「よいしょ、じゃあ今日はアメちゃんをあげよう。
 風邪もひかずにちゃんと学校に行ってるご褒美だねー」

ファロンの前にひざを折ってしゃがむと、包装に包まれた飴玉を数個、差し出された手に乗せる。
その調子で目指せ皆勤賞~と軽いノリで言いながら、ついでに頭も撫でようか。

ファロン > 「うむ、大儀である」

ご褒美、という言葉は聞こえていないのか聞き流しているのか、そのままなんの疑問もなく飴玉を受け取る。
頭を撫でる手も、避けも払いもしないまま受け入れ、

「お兄ちゃん?弟か妹でもいるのか?」

飴玉をマントの下に引っ込めながら、頭を撫でる手越しに不健康そうな目を見つめる。
自分がまさに妹みたいに扱われている自覚があるのかどうか。

毒嶋 楽 > 「いやぁ?俺ちゃんには弟も妹も居ないさ
 ただ兄が居る子達や、近所に年上の幼馴染とか居る子はつい呼んじゃうみたいで。
 まあ呼ばれて嫌なもんでも無いからねぇ~、おじちゃんって呼ばれるよりはよっぽどいい。」

ファロンの問いにゆるーく目元口元を曲げながら答える。
目の下には隈がついているが、持病みたいなもので本人も諦め気味。
ならばせめて印象は落とさない様にしよう、と笑顔で居るように努めている、そんな感じの笑み。

「ファロンちゃんは兄弟姉妹は居るのかい?
 それとも神龍……だっけ。一人っ子の方が多いのかな。」

撫でる手を止め、そっと離してからの世間話モードへ移行。
単身この島に転移してきたことは以前聞いたから、もう少し身上を知っておいても良いかなと思ってのこと。

ファロン > 「ふーん、そうなのか……」

会話の内容そのものには実はそんなに興味がなくて、受け答えをするブスジマ、もとい、ラクの表情や態度を見ていた。
正直、人間心理に聡い方でもないけれど、ラクは観察しても何を考えているのかよくわからないところがあると感じる。

「我も兄弟はいない。神龍の子は我一人だ。ゆえに天下の愛と美と羨望は全て我に注がれておったのだ」

胸を張ってどや顔。
例え相手の考えが読めなかろうが関係はない。だって我は偉いから。
そんな感じで、誰に対してもこんな態度だった。

毒嶋 楽 > 「あれれ?あんま興味ない?
 まぁそうかもな、俺ちゃんの事とかあんま面白くないよな~」

楽自身も自分の身の上が面白いものだとは思わない。
至って普通の家庭に生まれ、至って普通に成長し、特に何も無く現在に至っている。
山も谷も紆余曲折も無い人生、そして、それでも、それが割と気に入ってる。

「ふーん、一人っ子かあ。
 なら今一人きりで常世島に居るの、けっこー寂しかったりすんじゃないの?」

へらへらと笑いながらどや顔をするファロンを見て、そんな軽口を。
偉そうな態度が虚勢だ、と思ったわけではない。
ファロンの様に甘やかされて育ってきたなら、急にそれを失うのはショックもあるのではないか、と考えたからだ。

ファロン > 「生まれも育ちも、面白い面白くないではないとは思うがな」

高貴かそうでないかだろう……と続けることはしなかったのは、それが当たり前で、言うまでもないと思っているからだ。無論、ファロンのいう「高貴さ」はこの世界ではなんら効力を持たない張り子の虎以下のものなのだが。

「寂しくなどないぞ、支配者は常に孤高の存在だからな」

さらにどや顔で答え、しかし、

「だがまあ、お前が構ってほしいというなら我の時間を割いてもやってもよいぞ、うむ」

と続ける。
寂しくない、寂しくなどないが、人と話すのも嫌いではないのだ、と。

毒嶋 楽 > 「へぇ?……まあ、確かにそういう考え方もあるか」

続けようとした言葉を察するまではいかなかったが、ファロンの言葉に目を瞠る。
何かと世間ズレしたような物言いだが、たまには真理めいたことも言うんだな、という驚き。

「支配者……ねぇ。」

少なくともタピオカに不意打ち食らう支配者が居るだろうか
そう思いながら苦笑い。支配者らしいところなど前回も今も見た気はしない。

「あー……まあ、そういうことでいっか。
 じゃあ俺ちゃんともうちょっとお話し、してくれる?
 そうだなあ……もうちょっとファロンちゃんについて聞きたいな。」

へらへらり。薄っぺらな笑みを貼り付けたまま、頬杖をついてファロンを見上げる。

ファロン > 「ふふん、恐れ入ったか」

どやぁ。
ずっと偉そうにしているのも当然、相手が好意的……いや、否定的でないなら、それは神龍の威厳にひれ伏しているということだ……というのが基本的な思考パターンだから。
偉いものが偉そうにして何も悪いことなどない、と本気で思っている。

「我のこと?……そんなことを聞いてどうするんだ、貴様。この間は我のことを信じなかったくせに」

それが急に不機嫌になったのは、相手が地雷を踏んだというより、嫌なことを思い出したからだ。
胸のことを詰め物だと思われた上に、確かめさせようとしてもことごとく拒絶された。その件をわりと根に持っているのか、じとーっと冷ややかな視線を注ぐ。

毒嶋 楽 > 「ああ、全くもって恐れ入るよ。」

うーん、でもやっぱり容姿言動はお子様に近いんだよなあ。
そんな事を内心では思いつつも、得意のヘラヘラ隠蔽術でおくびにも出さず。
そんなんだから何考えてるのか分からないって思われるんだぞ、と指摘されたことも無いので誰か教えてあげて欲しい。

「いや、あれは……まだ半信半疑だけど。
 そ、その辺りについてどうして怒ったのかなー、とか伺っても?
 ほらファロンちゃんが居たのとは別の世界だし、常識もちょっと違うだろうからね?」

そうそう、そうしよう、と手を打ち合わせて提案する。
出来れば深堀したくない部分ではあるが、上手い言い訳も思いつかなかったし、同じ轍を踏まないように後学の為にも知っておくべきとは思ったから。

ファロン > 「まーだ信じてないのかこの期に及んで貴様!脱いで見せてやろうか!なんならこの場で脱ぐぞ!」

公共の場で爆弾発言。
それこそ文化の違いとかそういう問題なのかどうかはともかく、本当に今すぐ脱いだりはせず、

「どうしても何もあるか、まず他人をウソつき扱いするのは無礼だ。それも体や体型についての問題はなおさらだし、まして相手がマーベラスアメージングにえらい神の龍だぞ」

思ったことをその通りに言う。
文化や考え方の違いは確かにあろうが、これが無礼や失礼に当たらない文化など恐らくそうないと思っていた。

毒嶋 楽 > 「やめてください死んでしまいます……」

俺ちゃんが。社会的に。
出来ればそういう事を公共の場で声高に叫ぶのも堪忍や……って思う。
あと風邪ひくからね。ぼちぼち寒いから。

「……確かに前二つは正論だ。いや言葉上は正論なんだが……
 でもウソつき扱いまでした覚えは……いやしてたのか……?
 ともかく気分を害した事とウソつき扱いについては謝るよ。」

ぐうの音も出ない。
後学のため、とは思ったがそもそもあんな状況に陥ることが二度もあったら嫌だと思った楽だった。めっちゃ嫌だ。

ファロン > 「ふん、わかればいいんだ」

改めて胸を張る。
謝罪する相手をさらに責め立てるなどということは無論しない、神龍の誇りを汚すことにもなる。
……後は『あのときは向こうも動揺していた』とか、そういう察しがついて気遣えるようになれば学園側も安心なのだろうけれど、そんなことファロンは知らなかった。

「ついでにこちらからも聞いておきたい。ラク、お前はどうすれば納得した?私のこのウルトラデラックスな偉さの証たるこの胸を、どうしたら愚民どもに納得させられる?」

脱いだりするのはよくないらしい、ということは辛うじて(本当に辛うじて)わかりはした。しかし、ならどうすれば信じてもらえるのか。そこはどうしてもハッキリさせておきたかった。