2021/11/09 のログ
ご案内:「学生通り」に深見 透悟さんが現れました。
深見 透悟 > 「うはははははは!!!
 天っっっっっっ才魔術師深見透悟!!
 ついに!ついにやってやったわ!!!!」

呵々大笑しながら学生通りを往く少年が一人
背にはテディベアを括りつけ、他校のものと思しき学生服に身を包み
ぎょっとした表情の他の通行人の目など気にした風もなく、肩で風を切って歩いている

「長かった……と思えるほど長かったわけではない気もするけど!
 ついに本来の姿に戻ってやったわ!!さすが天才!不可能はねーな!!!」

日も沈み街灯の明かりの下で、やや芝居がかった調子でぐるりとその場で一回転
柔らかな山吹色の髪がふわりとなびく

深見 透悟 > 「……死んでもなお姿が見えないとか、テディベアに憑依して出方が分からないとか
 幽霊なのに職質されたりとか、テディベア生活に慣れてきちゃってたとか
 思い返せば割と散々なようなそうでもない様な気もしたけど!やっぱ人間の体って良いなあ!
 ……まあ実際は土塊に魔力流して動かしてんだけど」

聞かれても居ない事をぺらぺらぺらぺらと一人で喋り散らす
周囲の人間の目は完全に不審者を見る目だ。テディベアの時よりもだいぶ冷ややか
それでも透悟は気にしない。それほどまでに今、彼は感動に浸っているのだ

「飲み食いは出来ないし、結局土だから脆いけど
 これで多少の魔術は使えるようになったろ、なったよな?
 まあ魂がまだ馴染み切ってない気もするから試し様が無いか。構うもんか!うはははは!!」

高らかに笑う透悟を見て、通行人の一人がスマホを取り出す
明らかに通報されそうな気配を察して、ちょっと有頂天入ってた少年は咳払いを一つして大人しくなった

深見 透悟 > 「ちょーっとテンアゲが過ぎたか
 誰ともこの喜びを分かち合えないってのがちょっと惜しいな、知り合いに幽霊あんまり居ないしな
 ……幽霊に幽霊の知り合いが少ないって、幽霊としてどうなんだ?」

一息つくか、と近くのベンチに腰を下ろす
対面するように構えた雑貨屋の窓に反射する自分の姿を、しばしじーっと眺めて

「うーん、せっかくだからもっと美形にすりゃ良かったかな
 でもなー、この顔でやってきたっていう実績がなーあるからなー
 クソっ、もっとイケメンに生まれてりゃあ良かったぜッ」

他人から見れば透悟もそこそこは整った顔立ちと思われるだろう
しかし透悟の居た世界では中の下と下の上の間くらいの顔だったりする
その所為もあってか透悟の自分の容姿に対する評価は若干低い。コンプレックスに片足突っ込んでるかもしれない

「ま、顔はいいや。問題は身長よ身長
 あと10cmくらい盛っても良かったんじゃねえか~?
 でも生前と目の高さ違うと歩くの苦労するって、リリィの中に居たときに嫌という程実感したしな~」

結局生前の姿と寸分の狂いなく同じにする事で落ち着いた
そんな秘話が今の透悟の器にはある。ちなみに男としての象徴はちょっと恥ずかしくって付けていない
まあ土塊ボディで必要なものかと言われるとそうでもないので

深見 透悟 > 「てか今気づいたんだけどさリリィ
 ……この格好で、みんなは俺だって気付いてくれるかな」

しまった、と言わんばかりに深刻そうな表情になる
幽霊の時に知り合った人たち、テディベアの時に知り合った人たちに自分が透悟であると納得させることが出来るのだろうか
これは盲点だった、と額を手で軽く叩いて頭を抱える透悟

「まあ、いざとなったら幽体離脱したりリリィの中に戻ったりすれば……いける……か?
 まあそれ以外に手が無いからなーそうするしかないよなー」

ベンチに座って足をぶらぶら
さてこの姿で最初に会うのは誰だろう、と少しだけ楽しみにしている透悟なのだった
誰がどんな反応をするだろう。そう考えるだけでも十二分に楽しいと一人笑みを浮かべて

深見 透悟 > 「よ~っしゃ、今日はとりあえず帰ろうかリリィ
 ティニさんそろそろ寝る時間だし、こっそり帰って、とりあえずベッドの下にでもこのボディ隠して
 そしたらまた体借りるね、リリィ。さすがに家の中で急に鉢合わせしたら警察沙汰だから」

何故か家の中で鉢合わせしても大ごとにならない気がしないでもないが、念の為である
背負っているテディベアへと語り掛けたあと、元気よくベンチから立ち上がって
しっかりと地面を踏みしめる両足をしばらく見つめ、堪え切れずに満面の笑みを浮かべる

「ふ、ふふぅ、うははははは!
 見てろよぉ、これからもっと高性能なパーフェクトトーゴボディを作ってみせるからなあ!」

結局来た時同様、馬鹿笑いしながら通りに聳えるタワーマンションへと向かって駆ける透悟なのだった

ご案内:「学生通り」から深見 透悟さんが去りました。