2021/11/12 のログ
ご案内:「学生通り」にアリスさんが現れました。
■アリス >
私、アリス・アンダーソン!
夕暮れの金曜日、市場の辺りを見て回っている三年生!!
とはいえ、ちょっと人が多い。
人酔いはしないほうだけど。
ちょっと洒落になってない人並みだった。
すると、前のほうでおばあさんが紙袋から。
オレンジを一つ、落としてしまった。
慌てて拾う私。
「あのー、おばあさん! オレンジを落とし……」
わりかし大きな声で呼び止めたのだけど。
聞こえなかったみたいでおばあさんは人混みをすり抜けて先へ先へと進んでいく。
追いかけなきゃ!!
■アリス >
「あの、おばあさ……」
ぐえー!! 人と人に挟まれてぐえーってなってしまった。
人が多すぎる!!
そしてオレンジを両手でガッチリホールドしてるので異能どころじゃない!!
…あれ、よく考えたら人を追いかけるのに私の空論の獣(ジャバウォック)何の役にも立たない。
おばあさんは達者な足並みであっという間に遠くへと行ってしまう。
あ、あ、あ……おばあさん待ってー!!
オレンジ、オレンジ落としましたよー!!
人並みをかき分けて進む。
でもあんまり前に進んでない!!
■アリス >
背の極端に低い私がこの状況で戦術的優位(タクティカル・アドバンテージ)を得るには
声を出すしかないんだけど……
声を出しても!! この人混みの中では!! 無意味なのである!!
「オレンジぃ……落とし、落としましたぁー!」
必死に追いかける。
人にぶつかって謝りながら、人にぶつかられて謝られながら!
どうして私はオレンジを両手で持っておばあさんを追いかけているんだろう!?
何この状況!! どういうアレなの!!
あああああ……おばあさんを見失う…!!
これが携帯会社の海外CMだったら私がさっとオレンジを投げて…
それがジョーデン・イバースのスリーポイント・シュートみたいにスポッとおばあさんの紙袋に入って…
みんなから喝采が起きて携帯デバイスの名前が画面にって
アアアア妄想してる間におばあさんが、おばあさんが遠ざかってるー!!
ご案内:「学生通り」にセレネさんが現れました。
■セレネ > 「――あの、そこのご婦人…!
もしかしてハンカチを落としませんでしたか?」
背の小さな少女の悲痛な叫びが聞こえたか、人混みを搔き分けて
素早い動きのご婦人に接近する月色の少女が一人。
己の言葉には気付いてくれたのかは分からないが、
足を止めて此方を向いてくれたご婦人に礼と共改めて問いを投げかける。
差し出したのは白いレースのハンカチが一枚。
「……あら、違いましたか。すみません、お時間を取らせてしまって。
…それと、申し訳ないのですけれどこのお店の場所ってどこかご存知だったりします?」
私まだこの場所に慣れて無くて、とスマホを取り出して
近くのお店の画像を出し適当な言葉を並べながら
少女が辿り着くまでの時間稼ぎを少しばかり。
彼女が追い付いてくれれば良いのだけれど。
■アリス >
ああああ。あのヒトがおばあさんを呼び止めてくれた!!
追いつく、今なら! 走れば!! 追いつける!!
全力で走って、走って。なんとか追いついて。
「あの、オレンジ落としました………」
はぁはぁと息を切らしながらオレンジを差し出して。
おばあさんはそれを受け取ってお礼を言うと月色の少女に店の場所を教えて去っていった。
「あ、あ、」
酸素が足りてない声で、必死にありがとうと言おうとして。
「ありがとう………」
魂が完全に抜けた声で壁にもたれ掛かりながらおばあさんを呼び止めていた女の子に言った。
その場でハンカチを錬成して汗を拭う。
他にも色々言いたいことがあるのにハギィッみたいな息切れ声しか出なかった。
ハギィッて。ミリも可愛くない。
■セレネ > 「――おや、間に合ったみたいですね。」
道を教えてくれたご婦人には丁寧にお礼を言って見送り、
駆けつけてきた少女には安堵の言葉。
「いいえー、貴女こそお疲れ様でした。
この人ごみの中だと大変でしたでしょうに。」
落とし物だと差し出していたハンカチを仕舞い込みながら
彼女からのお礼の言葉には首を横に振って。
相当全力で走っていたのだろう、息も絶え絶えだ。
「ゆっくり呼吸しましょう。
少しずつ、ゆっくり、大きく。」
何もなかった場所から突如現れたハンカチに蒼を瞬かせるも、
とりあえず彼女を落ち着かせるのが先だと
優しく声を掛ける。
ついで、偶々持っていた未開封の小さめのペットボトル飲料を
相手に差し出してみつつ。
「さっき買った紅茶の飲み物ですが、良ければ貴女に差し上げます。
喉、乾いてはおりませんか?」
空気も乾燥しがちだし、全力で駆けていたなら飲み物も欲しくなるかも、という気遣いから。
彼女が遠慮するのなら無理に押し付けることはしないけれど。
■アリス >
間に合ったみたいということは。
やっぱり私の存在に気づいておばあさんを止めていてくれたんだ。
ああ、めちゃくちゃいい人だ……まだ会って40秒程度だけど。
彼女の行動に優しさを見た。
「本当……本当…ヴえっ」
ああ青春の息切れオフライン。
いくら良いことしてもこんなことをしていたら可愛くないことに気づけ、私。
「すー、はー、すー、はー」
大仰な動きで深呼吸をするとなんと! 体が落ち着いてきた!!
素晴らしい…これが呼吸………今度アガサとアイノにも教えてあげないと…
益体もない脳内ジョークは女の子が差し出してくれた紅茶飲料に中断された。
「あ、ありがとう。もらう。私、3年のアリス・アンダーソン……あなたは?」
くぴくぴと紅茶を飲む。ああ、染みる……今度同じの買おう…
それにしても優しい行動だけでなく。優しい声をしたヒトです。
■セレネ > えずく程全力で、そして誠心誠意善意でオレンジを届けに来た少女に
微笑ましさも感じてしまって。
細める蒼は緩やかに。
確かに今の彼女は可愛くはないかもしれないけれど、
己にとってはその姿も可愛らしいと思うくらい。
「そうそう。
吸って、吐いて。吸ってー、吐いてー。」
全身を使って呼吸をする彼女の息遣いが落ち着いてきた。
自然と目線を合わせるように片膝をついて言葉を投げかけるのは
職業病のようなものか。
「ふふ、どうぞ。
…私はセレネと申します。二年生です。
三年となると、貴女の方が先輩になりますね?」
早速蓋を開け紅茶を飲む相手を眺めながら、自己紹介。
先輩ならば、あまり子ども扱いするのも宜しくないだろうか。
どうかなと若干不安に思いつつ、右手を差し出して握手を求めようか。
■アリス >
落ち着いて見れば。
月光の蒼を思わせる透き通った髪が美しい女性だった。
外国の方だろうか……って私も外人だ!!
最近忘れてるけど!!
「ふぅぅぅ……酸素サイッコー…」
冬の空気を胸いっぱいに吸い込めば、なんとも心地よい冬の気配。
常世島の空気はなかなか悪くない。
「セレネ! あ、敬語とかいいよ!」
「私、多分年下だし。日本語上手くないから敬語苦手だし」
「多分、セレネが年上でも恐る恐る敬語なしでいいですかーって聞いてたわ」
握手を交わした。
神聖な時間が訪れた。
でも手汗がすごかったので焦りはしました。
「あ、ご、ごめん手汗……手汗が」
ウェットティッシュを錬成して手を拭きまくって、
すぐに放り捨てると地面に落ちる前に無害な大気成分に分解された。
■セレネ > 己とは違う、綺麗なブロンドと碧い目を持つ相手は
文字通り人形のような可愛らしさと美しさ。
背丈が小柄なのも相まって非常に愛らしいと思う。
「もう少し寒くなるともっとスッキリとした空気が味わえますね。」
冷たい空気を吸い込む度に、意識がハッキリとしてくる感覚は嫌いではない。
「私も日本語はそこまで得意ではないのですけれど。
英語、喋れるのなら其方の方が楽ですね。
――んん、貴女の歳はお幾つかしら?」
日本語での敬語無しは初めてだからちょっと不安。小さく咳払いをした後に敬語無しの言葉を述べる。
彼女と握手した後、手汗については苦笑を浮かべるのみ。
「ふふ、気にしないで。汚いものではないのだし。」
ハンカチの次はウェットティッシュ。
放り投げた後は落ちる前に分解されているように見えて、不思議そうに首を傾げた。
「…それは、貴女の異能?魔術の類ではなさそうだけれど。」
■アリス >
「これ以上寒くなられると通学が面倒になってくるかな…」
アウトドアも好き。山登りとか好きだし。
しかしそれと寒いのが好きか嫌いかという話は別なのだ。
「英語が通じるなら英語で喋ろっか……」
というわけでここからは英語で会話をしていく。
「16だけど? 常世に来た時が14歳だったかな」
「異能受験ってやつ、一芸入試の亜種かな」
異能かどうか聞かれると、胸を張る。
フフンという表情で言ってのけるのだ。
「いかにも! 私の異能、空論の獣(ジャバウォック)よ」
そう言うと手のひらの上で小さな手鏡を作り、
それがアツアツのピッツァに変わる。
足元に落とす過程で蛇の玩具に変わると、地面に落下すると同時に純白の雪に変わって砕けた。
「物質創造の異能」
これが! 私の自慢の! 異能だー!!
■セレネ > 「貴女は寒さが苦手なようですね。」
己は比較的寒さには強いが、それでも寒い気温が好き、という訳ではないから
そういうものだろう。
己は体質も相まってインドア派だから、彼女とは真逆の立場になるけれど。
「あぁそれは嬉しいわ!英語が通じる人、そうそう居なくてちょっと困ってたの。」
軽く自身の両手を合わせて喜びの表情。
慣れた英語で話す二人は見目通りの外国人なのだろう。
「私は今17だから…一年違いかしら。一年なんて誤差よね。
異能受験なんてものがあるのねー。私異邦人だから知らなかった。」
ふむふむ、と彼女の言葉に興味深そうに頷いて。
「空論の獣≪ジャバウォック≫…。
貴女の名前が”アリス”だからかしら、その異能名もしっくりくるわね。」
彼女の小さな手の平に手鏡が現れ、次に湯気立つピッツァに。
落とす空中でそれが蛇の玩具、落下の衝撃で白い雪に変わるイリュージョン。
「――素晴らしい異能ね。」
無から有を創造する、実に素晴らしいものと言える異能だと。
心の底から思えるような。
控えめな拍手と共、その力を褒め称える言葉を。
■アリス >
「こう……極端に暑いとか極端に寒いとかあると…」
「ゲームを買いに行く以外の用事で外に出たくないみたいな…?」
伝われ。いや伝わるわけないね。
そもそもゲームをしている人かどうかもわからない。
「だよねー、とはいってもそうそういてもビックリするけど」
こちらは何故か左手のひらに右の拳を当ててカンフーな一礼。
プラス、神妙な顔つき。
「誤差だとは思うけど気にする人も多いから私は一応確認する…!」
「まぁ、異能で社会に寄与する可能性のある人に門戸を開くのも常世学園のなんとかかんとかがアレでコレ」
あいまい。
それはそれとして、喋り方まで上品な人だ。
異邦人……と言ってたけど。いいトコの出なのかな。
「うん、異能の名前気に入っているの」
笑顔で頷いて。
素直な人相手にはつい素直になってしまう。
「この異能のせいで誘拐されたりしたけど」
「今は比較的好意的に見ている……ような…そんな時期のような…」
あいまいパート2。
夏にアニメを見ながら手元のコップを冷やすのには便利なんだけどね。
■セレネ > 「あー……まぁ、どうしても必要な用事以外なら
外には出たくないですよね、分かる分かる。」
ゲームはあまりしない性質だけれど、気持ちは分からない訳でもない。
己だって、色素が極端に薄いので日中に出る時は年中日焼け止めと日傘と
肌を晒さない衣服が欠かせないのだ。
冬場は兎も角、夏場は地獄である。
「英語で話せる人は貴女が初めてなので貴重ですね。
…その挨拶は、中華系だったかしら。」
見目とは違いアジアンな挨拶に蒼を瞬かせつつ、はて、と記憶を探って問いを投げる。
近しい人にそんな人が居るのかしら、と思いながら。
「確認は必要よね、歳一つでも種族とか個人によっては凄く意味のある事だったりするでしょうし。
――うん?んー、まぁ、そんな事も聞いたような気がするけれど。」
一年前ざっくりと聞いた話だから此方も曖昧だ。
喋り方については素の話し方なのだけど、まさか上品と思われていると考えもせず。
「…そう。それは大変だったでしょうね。
誘拐されるのって困るわよねー。私も経験あるから分かるわ。
まぁ、ゆっくり向き合っていきましょう。
自分自身と向き合うと、案外新しい力に目覚めたりとか、あるかもしれないし。」
曖昧な言葉でも否定せず受け入れる。
出会ってすぐなのだ。彼女の事をよく知っている訳でもないのだし。
無難な言葉を選んでおこう。
■アリス >
「そーうなのよ……日焼け止めもタダじゃないのよ…」
「あっ私錬成すればタダだった」
てへ。小さく舌を出して笑顔。
今は色々と便利に使っているこの力を、毛嫌いした時期もあった。
親友がいなければ今もそうだったかも知れない。
「貴重だねー、私も英語の発音忘れるところだったわ」
「そうそう、最近映画を見たの! カンフー映画!」
「バスター・オブ・リアル・カンフー~地平無限~をね!」
ああ、映画に影響されやすい。
そしてそれを初対面の人に試すのだから。
アリス・アンダーソン、お前に人生は重荷ッ!
そう自省しておきます。
「日本人だと年齢を気にする人多いからね…」
「でも先輩後輩の間柄も良いっちゃ良い…」
妄想する。
仮に……仮にセレネさんが私を先輩と呼んで慕ってくる姿を。
やばい、最高。年齢差最高かも知れない…
ゴホン、と咳払いを一つ。
「え、誘拐されたことあるの? 大変だよねあれ」
「そうそう、異能のセカンドステージとか。そういうのあるからね」
ジャバウォック。私の異能。
でも、私以外にこの異能を使いこなしている人がいたら。
時々、そんなことも妄想する。
「それにしてもセレネ、よく私があのご婦人を追いかけているのがわかったわね?」
「おかげでオレンジを風紀に渡さなくて済んだわ」