2021/12/17 のログ
ご案内:「学生通り」にグランブルさんが現れました。
グランブル >  
マゼンタカラーの全長5メートルほどのロボが街を闊歩する。
鳴り響く非日常を知らせるアラート!!
いいねいいね、ロマンを感じるねぇ!!

「常世学園の女子学生のみなさあああああああん!!」
「僕ちゃんが来ましたよおおおおおおおおおおお!!」

巨大な掃除機が背中についた逆関節二足歩行ロボは圧倒的だ。
グフフ、これで金目の物をガッポガッポ!!
マトロナ様はおー喜びってワケさ!!

「おっと、平和を愛する皆々様は近づかないほうがいいぜぇ」
「踏んづけちゃったらコトだかんねー!!」

外部スピーカーで好き放題喋りながら進む。
最近、ド派手な押し込み強盗がいるみたいで風紀が分散してて仕事がやりやすい。

でもでも、まーさーかー?
学生通りを襲っちゃうなんて思わないでしょー!! グフフ!!

グランブル >  
まずは先にある貴金属店を襲っちゃうもんねー!!
学生たちの街にこんなものあるなんて生意気だぞ!!
全部全部ぜーんぶ没収しちゃうもんねー!!

「トライアド・クロウのグランブルどえぇぇぇぇぇぇす!!」
「通ります!! 通ります!! どいたどいたー、ロボが通るぞ!!」

グヘヘヘ。風紀が来なきゃちょろいもんだぜ!!
逃げ惑う人々。避難する車。
ああ、僕ちゃんって今ロマンど真ん中歩いてるゥー。

畑中貴金属か。
ここは数百円から数千円単位のアクセサリーで有名な人気店だけど。
あるんだろ? ルビーとかさー。
隠してるんだろ? ダイアとかさー!!

「第一さー、斬奪怪盗とか言って強殺して回ってるヤツがのさばるんだったら」
「僕ちゃんみたいな金目のモノしか狙わない善良な悪党が大人しくしてる理由ないもんねー」
「あー僕ちゃん賢ぉい」

グランブル >  
「日本全国津々浦々ぁーお宝ねーらうー♪」
「ああトライアド・クロウの心意気ー♪」

ヌフフ。ここまで上手くいっちゃうと爽快だねぇ。
テキトーな歌を歌いながら掃除機部分の先端を突っ込んで畑中貴金属店のガラスを割る。

「バキューム、ON!!」

バキュームが起動、店の中にあるものを吸い込んでいく。

「うぬわははははは!!」
「僕ちゃんの異能、夢追い人(ロマンティシスト)はロマンを感じる機械を作った時に性能がアーップ!!」
「よって二足歩行ロボの完成度はサイッコーなのさぁ!!」

待っててくださいねぇ、マトロナ様ぁ!!
あんまり細かく確認してないけど
バックパック部分の金庫に宝石が入った! はず!!

「今日は勝ったな……フフフ、ロマンの大・大・大勝利ぃー!!」

ご案内:「学生通り」に五百森 伽怜さんが現れました。
五百森 伽怜 >  
「な、なななな何なんスか!? あのトンデモは!?」

5mの鉄の塊が二足歩行で暴れまわっていたら、
そりゃもう戦いの心得が無い一般生徒じゃ手も足も出ないッスよ!


「いや、学生通りにロボットが! なんて大大大スクープッスけど……!」

ぐっとカメラを握りしめる。
ここは新聞同好会の一員として、バッチリ記事にするッス!


……と、意気込みながら畑中貴金属の入り口横へ移動。
見えないように気をつけつつ……。
見つからないかドキドキすぎて……
いや、それ以上にあまりの状況に落ち着かなくて、
概念擬態《カモフラージュ》も使えないッスけど、
まぁ……サッといい感じの一枚を撮って
帰ればきっと安全ッスよね!

「……よしっ」

宝石を吸っているその背後から、カメラを構えて身体を少し出す!
さて、いい感じの一枚を……

グランブル >  
そう! 白昼堂々!! 学生通りを襲うなんて!!
誰もやらないのである!!
誰もやらないから!!
僕ちゃんがやったのである!!

「アドレナリィィィィィィィィィン!!」
「ドーパミィィィィィィィィィィィィィン!!!」

「エンッ! ドル!! フィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!」

弾けろ、僕ちゃんの脳内麻薬!!
あとはヒーローの皆々様が来る前に撤退だ。
グフフ、転移荒野にこっそり掘っておいた地下通路まで逃げ込めばこっちのモノよぉ!!

うん? 動態カメラに反応?

「あー!! 女子学生だー!!」
「ねえねえ、それカメラー? ひょっとして記念撮影ー?」

「いやぁ、カメラ写りを気にして世界で一番美しいマゼンタでメカを塗ってきてよかったぁー!!」

ぬふふ。思わずメカでかっこいいポーズを取っちゃう。

五百森 伽怜 >  
なんか意味わかんないことずっと口走ってるッス!?

まぁ、そんなこと気にせずシャッターを押して……

「って、ええッ!?」

完全に背後を取っていたのに……
やっぱりロボってレーダーとかついてるんスかね!?
とか考察してる場合じゃないッス! あたし!


「き、記念撮影じゃないッス!
 白昼堂々、貴金属店を襲う極悪人を、
 バッチリカメラに写す新聞同好会のお仕事ッス!」

……ハッ。
思わずツッコミを入れて全部吐いてしまったッス!
ひ、ひとまずぱしゃり。一枚撮る。

そして、流れる沈黙……。

「……白昼堂々の犯行では飽き足らず、カメラ写りを気にする悪党なんて
 聞いたことないッスよ!?」

人差し指を突きつけて、もう一発ツッコミを入れる。
いや、だって! だって言いたくもなるッス!

グランブル >  
「このバキューム搭載型大型二足歩行メカ『ロマンロボ28号』はだねぇ」
「グフフゥ……今までの二足歩行ロボはレーダー機材の塊部分をどこかに作らざるを得ず」
「それが弱点であった………」
「だがー!! 胴体のド真ん中に埋め込むことによりー!!」

「なんと胴体が弱点になりました」

えへ。
ロマン最優先だから仕方ないね。

「ウヌワハハハハハハ!!」
「いかにもタコにもヒラメにも!!」
「僕ちゃんが違反部活トライアド・クロウのグランブル様なのだーッ!!」

「新聞同好会だなんてこれはチャンスにも程がある……」

グッフッフ。と悪どく笑う。
これから僕ちゃんが何をするかわかるか……?

「この背面のバックパックにある金庫部分で盗品を保護しつつ」
「サイクロンジェットの掃除機でお宝をいただく!!」
「外敵に対しては右腕に搭載された超電磁ラフィング・ボール射出機………」
「電界を発生させ、全身の上行性神経路を刺激するという……」
「つまり!! 当たった人は全身をくすぐられたようなこそばゆさに苦しむ!!」
「最終外道兵器で排除するのサ!!」

「いい記事にしてね?」

マニピュレーターで鼻の頭を擦るような動作をした。鼻ないけど。

五百森 伽怜 >  
「ロマンロボ!? っていうか、作る……!? 極悪発明家ッスか!?
 ……何だか凄く合点がいったッス……」

変な人だと思ってたけど……天才は大体変な人って聞いたことあるッス。
ということでこの人は……あぁ、天才なんスね……。

って、思ってたッスけど。

「自分の乗ってるロボの弱点を言ったッスーーー!?」

いや、ツッコミついでに肩書を吐いたあたしもあたしッスけど!
それにしたって凄い勢いで吐くッスね!?

「と、トライアド・クロウのグランブル……!?
 き、聞いたことないッス……!」

自分が新入りだからかもッスけど、さっぱりッス!
……口にしといて、
なんかちょっと申し訳ない気持ちが1mmくらい出てきたッス。

「いや、なんか人道的……!?
 いやいやいや、全然人道的じゃないッス! 
 寧ろ何か変な方向に280度くらいネジ曲がってるッスよ!?」

トンデモワードが出過ぎッス!
で、でもとりあえず……!!

「そ、そこまで言われて何もしない訳にはいかないッス!」

胸元から写真を一枚取り出す。そこに写っているのは、一本の木の棒。
手首のスナップをきかせて写真を捨てれば、次の瞬間には、木の棒が
手に収まっていた。
それを両手でがっしりと掴み、突きつける形で構える!

……時間稼ぎくらいなら、できる筈ッス!

グランブル >  
「極悪発明家ねぇ………」
「僕ちゃんをそう呼ぶ人もいる!!」

いない。
見栄張っちゃった。

「弱点を最初に言うことでなーんか強キャラっぽさを醸すことに成功したッ!!」
「醸せ醸せば醸すぞ醸す時ッ!!」

聞いたこともないと言われれば肩を落とすロボ。
よかった、事前にしょんぼりモーション組んでおいて。

「えー、僕ちゃんも色々頑張ってるのに知名度ないんだー」

そして木の棒を突きつけられると、外部スピーカーから高笑い。

「ヌーッハッハッハ!!」
「棒きれ一本でロマンロボ28号に何ができるのさ!!」

「さっきも言ったけどラフィング・ボールが当たるとこそばゆいぞー」
「僕ちゃん開発段階で4回は自分で実験したけど3回は漏らしたし」

「それでもいいのか新聞同好会!! お嫁に行けなくしちゃうぞー!!」

五百森 伽怜 >  
「寧ろ懇切丁寧に倒し方を教えてくれる
 チュートリアルの敵キャラッス……!?」

強キャラっぽさを醸し出そうとしてくる犯罪者って何ッスか!?
その上、何か活用みたいなこと口走りだしたッス!?


「……いやぁ、なんか申し訳ないッス」
「じゃなくて!」

きちんとしないと、空気に呑まれるッスね!
風紀委員が来てくれるまで、何とかこの場をもたせて見せるッス……!


「そ、そそそそんな恥ずかしいこと!
 スピーカーで報告しないでほしいッス!!」

最大限のツッコミが思わず口から出てたッス!
というか強キャラ感出したいんだかふざけたいんだか分かんないッス!

……天才を理解するのは難しいッス……!


「お嫁に行けなくなるのは嫌ッスけど……!
 当たらなければ良いってことッスから!」

意気込んでみたいは良いものの、流石に全身くすぐりは嫌ッス。
……たすけてッス、風紀委員。

……とはいえ、弱気じゃ居られないッス!

「補強《レインフォース》!」

地を蹴り、木の棒に強化の魔術を付与。
そのまま胴体へ向けて突きを繰り出す。

補強《レインフォース》。
壊れにくくなるだけッスけど、
それでも鋼鉄とだってある程度打ち合えるッス!

グランブル >  
「だ、だ、だ、誰がソシャゲのチュートリアルで出てくるイキりヤンキー☆一番星だ!!」
「初対面の君にそんなこと言われる謂れはないぞ!!」

失礼だな!! 最近の若い子は!!
でも女子学生って良いな。いい匂いがするといいな。

「はー? なんか勘違いしてらっしゃる?」
「僕ちゃん尿失禁はしたけどお尻はちゃんと我慢したんですけど?」

後片付けは大変だったなぁとしみじみと語る。

「ぬ!!」

左腕のマニピュレーターを動かして咄嗟にガードする。
ガインと強い衝撃が走る。
ななな、なんだこれは!!
物質まで伝導する強化系の異能か!?

「だが甘い!!」

ラフィングボールを発射!!
電界を伴う球体が女子学生に向けてゆっくりと移動していく!!

「甘いこと初孫に会った祖母が如しッ!! もしくは干し柿!!」

五百森 伽怜 >  
「そ、そこまで貶めてないッス!?」」
 
……いやどんぐりの背比べかもしれないッスけど!

「いや、漏らしてるのは変わらないッスよ!?」

もう!
この件はツッコミを入れるのも嫌ッスよーー!!
顔が赤くなってきたッス!!

そうして、突いたは良いものの……

「硬っ……たぁッ……!」

手が痺れて、思わず棒を手放しそうになる。
初動とは言え、全力で突いたつもりだったが、
左腕に完全に防がれていた。
当然、内部までダメージは届いていないだろう。
やはり、弱点だという胴体を狙わねばならない。

……もしかしたら胴体が弱点という情報が罠とか
嘘って可能性あるッスけど。
……いや、やっぱりこの人の場合多分ほんとッスね。

「……いくらトンデモ効果の玉でも!
 そんな遅い玉、当たらないッスよ!」

杖術とは、本来相手の攻撃に対して身を躱し、返す技。
突の形から半歩身を退きギリギリで玉を回避すれば、
次なる一手に向けて手の内で木の棒を後方へ滑らせる。

一発でダメなら――重ねるだけッス!

「補強《レインフォース》!」

今度は両腕にも補強をかける。
一発打って痺れていたら、話にならない。

手の内で棒を後方へ滑らせ、勢いよく弾き出す。
杖術の基本型だ。

――それを壁になっている左腕へ向けて、何度も放つ! 

押し切るッス!

グランブル >  
「やるじゃないか、女子学生ちゅわん!!」

「だがね……殴ったりするとすぐ壊れるマニピュレーターもまたロマン」
「だけど僕ちゃんが求めるロマンはッ!!」
「何したって頑丈でガンガン使っていけるマニピュレーターなのさ!!」

「僕ちゃんの異能はそのロマンを補強する!!」

ラフィングボールを避けたか。
でもね、遅いってことは。
───いつまでもその場に残るってことだよ。

そして猛然とロボに掛かってくる彼女。

「なんと杖術ッ!?」

杖術。突く、薙ぐ、払う、叩く、打つなど様々な使術を学ぶ実戦的な武器術!!
それに強化が加わると、まずい!!

ああ、左腕マニピュレーターが粉砕されてしまったー!?

「も、もう怒ったぞ!!」
「必殺、ラフィングボール乱れ撃ち!!」

周囲に遅い電界球を乱射する。

「ウハハハハ!! 動き続けるラフィングボールがこれだけの数あれば!!」
「いつか詰んじゃうってワケぇ……」

「さぁ、何手目でチェックメイトかなカワイ子ちゃん!!」

五百森 伽怜 >  
左腕を、破壊できた……!
それなら後は、弱点を狙うだけ――!
 
胴体へ向かおうとしたその瞬間。
周囲に張り巡らされる電界球の弾幕。

「こ、こんなに沢山……!? 
 いくら何でも出し過ぎッス!」

大量のラフィングボール。
これを避けるのは至難の業だ。

憧れの風紀委員達が脳裏を掠める。

神代さんだったら、
無敵の軍勢でこのラフィングボールを弾き飛ばしてる筈ッス!

山本さんだったら、
圧倒的な速さと腕力でマニピュレーターごと弱点を潰してる筈ッス!

キッドさんだったら
精確な銃捌きで、既に弱点を狙い撃ちしてる筈ッス!

そのどれも自分にはできないッス。
できないッスけど!

自分にしかできないことだって、あるッス!

杖を――胴体へ向けて力いっぱい放り投げる!
大した威力なんかない。気を逸らせればそれで良い。

「……無幻舞踏《インフィニットダンス》!」

詠唱を終え、すぐに地を蹴る。目指すは上空――
まるで透明の足場があるかのように、上を目指して二度の跳躍。
同時に――集まった電界球へ向けてカメラのシャッターを押す。

魔力の残量はもう無い。
これが、この戦いで最後の魔術になるだろう。
半淫魔の血が流れていることから魔術の適性はそれなりにあっても、
魔力容量は少量なのだ。

十分、三回も空を蹴ることができれば――。


彼女がシャッターを切ったのと同時に――
その場にあった電界球が幾つか消失したのを、確認できることだろう。

グランブル >  
「フハハハ!! 箸が転げても可笑しい年頃のおねーちゃーん!!」
「この場でみっともなく笑い転げてみせなよ……なーんつっちゃって!!」

テンションアゲアゲで高笑い。
どうだ、この僕ちゃんの無敵の科学力は!!

投げつけられた木の棒を右腕部装甲で弾く。
最後の悪あがきか……グッドファイターだったぜ女子学生ちゃん…

次の瞬間、確実に詰ませたはずのラフィングボールが……消えた!?
バカな、電位差こそあれ大気に溶けるにはあと8秒はあったはず!?

「クッ………だが良い時間だ、これくらいで僕ちゃんは」

次の瞬間。
胴体にアサルトライフルの銃弾がスタッカートを刻んだ。

「へ?」

駆けつけた風紀委員の皆さんが撃ってらっしゃるー!!?

「ちょ、待って、レドームがあるの胴体はー!!」

小規模な爆発を繰り返し、そして。
ロマンロボ28号は炎上した。

「だ、脱出ぅぅぅぅぅぅ!!」

緊急脱出ボタンを押す。
爆発的衝撃と共に空中に弾き出され。

ハングライダーで逃げ出していった。
あっ金庫!! 確保する手段してなかった!?

炎上しても金庫の中のお宝は無事だろうけど!!
勿体なぁーい!!

 
後日。僕ちゃんはマトロナ様のお叱りを受けた。
ガックシー。

五百森 伽怜 >  
稼げるだけの時間は稼いだ。
後は……優秀な風紀委員達が来てくれる筈!

ロマンロボの背後、地面に転がりながら着地。
そこへ到着する風紀委員。

「……やっぱ風紀委員の皆さんは頼れるッス~!!」

自分ひとりでは、到底何とかできる相手では無かっただろう。
写真の中に収まった電界球を目にしながら、

一息ついて――

五百森 伽怜 >  

ばしゅう。
全身に走る衝撃。

びりびり。
そして走る痺れる感覚

「はうあっ!?!? ちょ、やめっ……ふはっ……はひひっ……」

全身を満遍なくくすぐられるような、この感覚は……!!

「ま、まままままだ残って……残って~~~! ~~~ッ!!!!」

ゆらりと、立ち上がる。

大丈夫ですか、と駆け寄ってくるカッコイイ風紀委員の皆さん。

今だけは近づかないでいただきたいッス。

大丈夫ッス。

大丈夫、そう大丈夫……まだ……。

大丈夫なんで、放っておいて欲しいッス……。
事情を聞きたいとか、そういうのは!!

そういうのは!!!

「はひっ……後にして欲しいッス~~!!!!」

ばびゅん、と。
顔を真っ赤にして全速でその場から逃げ出したのであった。



はてさて。

後日、この一件はバッチリ新聞の一面に刻まれたのであった。

『極悪発明家グランブル 学生通りにて白昼堂々の犯行!
 風紀委員、これを阻止する!』

ポーズをキメたロマンロボの写真と共に。

ご案内:「学生通り」からグランブルさんが去りました。
ご案内:「学生通り」から五百森 伽怜さんが去りました。