2021/12/18 のログ
ご案内:「学生通り」にシャンティさんが現れました。
■シャンティ > 『「ダスクスレイ、さらなる畜生働き」、「怪盗とは名ばかりの殺人鬼」、「許されざる悪」』
謳うようにつぶやく女の手には、二種類の新聞
『「またもダスクスレイの活躍」、「風紀委員は何をやっているのか」、「上層部の対立による影響か?」、「常世広報では――――」』
くすり、と笑う
「……ふふ、面白、い……子が、いた、もの、ねぇ……あ、は。それ、に……ゴシップ、誌……と、でも、いえば、いい、のかし、ら……たま、に、は……読ん、で、みる、のも……悪く、は、ない、わ、ね?」
くすくすと温度差のある二つの新聞を膝におく
『「白昼堂々、お騒がせロボ現る!」 「いつものトライアドクロウ」』
小さいつぶやきは続く
「ふふ……お騒、がせ……ね、ぇ? かわ、いい……もの、ね……」
世間は平和なようで――そうでもないようだ。とても、いいことだ。
「あぁ……そう、いえば……あれ、も……読ま、ない、と……だ、わ?」
小さな本を更に膝に乗せる。『キツめのヤバい』と表紙には書いてある。
「まだ、読む、もの……いっぱい、ねぇ……」
■シャンティ > 「……あら?」
『「商店街に空飛ぶ本」「買い物客騒然」』
数日前の事件だ。知らずに居たのはやや悔やまれる。こんな案件、あの子が出るに決まってる
「……燃さ、れて、しま、った、かしら、ねぇ……」
小さなため息。そんな物騒なことをしなくても、きっと楽しくオハナシできただろうに――
「もう、すこし……情報、に……敏感、に……なら、ない、と……ね、ぇ」
ご案内:「学生通り」にアリスさんが現れました。
■アリス >
私、アリス・アンダーソン!
異能と身長以外は何もかも中の下から中の上をキープする三年生!!
冬休み前に色んな用事が発生する。師走なのです。
そんなこんなで学生通りにあるママの待つ家に帰る途中。
あ、あそこにいるのは。
二週間くらい? 前に出会ったシャンティさんだ。
新聞を読んでいたらしい。
「こんにちは、シャンティ。常世の事情を調べているの?」
「読書家っていうのは新聞も複数読むのかしら……」
チラ、と見るとキツめのヤバいの単行本もあった。
「あ、買ってくれたんだ! 面白いよ!! 独特な感じで!」
瞬間テンションアップ。
■シャンティ > 「……」
のんびりとベンチに座っての読書……というべきか。ただ紙面の情報を『読み』とっているだけの行為。それでも、文を読めるのは嬉しい。普段は普通に本を読めば見える情勢を、別の見方をしようと、新聞を読んでみただけのことであったが――悪くはない。そんな気まぐれを起こしたのは
「……あ、ら?」
唐突に声がかかる。否。見えてないわけではなかった、が。それでも、意外な少女の来訪。気まぐれの切欠
「……アリス、ちゃん? ふふ。久、しぶり、ねぇ……元気……なん、て……聞く、まで、も……な、い、かし、らぁ……?」
くすり、と笑う。聞こえずとも。見えずとも。陽光のような気配が感じられるのに、思わず笑みが溢れる。
「ふふ。新聞、は、ね。ちょっと、した……きま、ぐれ……貴女、が。読み、つけ、ない、ものを、読む……面白、さを……教え、て、くれた、から」
そういって、少女が気づいた本の表紙を撫でる
「これ、とか……ね? ど、う? アリス、ちゃん、も……いい、読書、して、る? それ、とも……他、に……楽しい、こと……して、るぅ?」
小さく、首を傾げて尋ねる
■アリス >
顎に指を当てて思案する。
墓地でちょっと泣いたけど。
そんなことは目の前の女性には関係がないのだ。
「程々に元気」
と笑顔で答えた。
私がいつまでも泣いていることを望んでいる人はいない。
シャンティにも、私の笑顔を覚えておいてもらいたいしね。
「えー、そう? 私も人に影響を与えることがあるんだー」
えへん、とない胸を張ってみる。
「私もあれから本を読んだよ、『ポストヒューマン軟ガンマ線リピーター童話集』っていう小説」
「シンデレラとかかぐや姫がSFの世界観で換骨奪胎、新たな物語として新生ーみたいなお話だったわ」
シャンティに会ってから。
活字というものの魅力にすっかりやられている。
「ドグラ・マグラはよくわかんないけど熱量がすごかった」
物語を楽しむ際に求められるリテラシーとは。
決して十全に物語を理解できる知識量ではない。
そうわかっていてもちょっとINTの足りない発言だった。
「新聞、借りてもいい? 私もたまには読んでみたくなっちゃった」
■シャンティ > 「ほど、ほど……ね、ぇ?」
人差し指を薄い唇に当てて考える。前回の発言を思い起こし……なにか事情のあることだろう、と結論づける。
「そ、ぅ……それ、は、そ、れは……」
顔を少し寄せる。まるで、その顔をよく見ようとするように。
「…………」
間
「それ、なら……よい、の、だけ、れ、どぉ……?」
穏やかに……静かに、言葉を紡ぐ
「アリス、ちゃん。人、はね……生き、て……そこに、いる、だけ、で……影響、の、ある、もの……よ? ふふ。良い、人……も、悪い、人、も……ね?」
くすくす、と笑う。
「あ、ら……ま、た……濃い、もの、を……読む、の、ねぇ……? 選択、が……渋い、のは、前も、だけ、れどぉ……」
少女の上げる書名を『読み』、感嘆ともなんとも言えない声を漏らす
「ちゃか、ぽこ、ちゃか、ぽこ…… あれ、は……難し、い……わ、ねぇ……ふふ。人、は……本当、に……あんな、風、に……生まれ、てきた、の、かし、らぁ……?」
人を狂わせる、とはよく言ったもので。真剣に読めば読むほど人を惑わせるのは確かな書だ。そういう意味では、女の好みに合う書でもあった。
「あ、ら……こ、れ? いい、けれ、どぉ……一つ、は、ゴシップ、よ? とて、も、とても……偏っ、て、る、けど。それ、で、よけ、れば?」
通常で購入できる新聞と、方や違反部活が作成するゴシップ誌然とした不穏な紙面。それを差し出す。
■アリス >
顔を寄せられる。一瞬、いやかなりドキッとする。
だってシャンティは美人だから。
女の子だってこの長い睫毛を間近で見たらドキドキするでしょう。
そしてそのキレーな瞳は。
私の内面を見透かすように見てくるのだから。
「……私も人間だから、色々あるけど」
「良いことを良いと言ってやっていくしかないのも、人間だからです」
それは自分にも言い聞かせる言葉。
「私がここにいるだけで、影響……」
「なるほど、含蓄のある言葉ね?」
人差し指と親指で顎を挟むように。
ポーズを作ってさっきのちょっと暗い感じを打ち消す。
「こう、表紙を見ただけで人にビビられるような本が読みたかった!」
シンプルに小賢しい理由を披露した。
親友二人、アガサとアイノにもバッチリオススメしておいた。
「さーてね……パパとママに産んでもらった私にはわからないわ」
「でも脳髄は物を考える処に非ず、っていう一節は興味深いわね」
「心ってどこにあるのかしら。心臓? 脳? それとも魂?」
全人類を驚倒、震駭させるような問いではないけど。
私にとっては興味深い一作だったからこんなことも考えるのです。
「ありがとう!」
新聞に目を通してみる。
「斬奪怪盗ダスクスレイ……怖いわね、早く捕まって欲しい」
「トライアド・クロウはアホだなぁって」
「あとは……ドラッグへの注意喚起とか…ムムム、情報量が多い…」
ウムムとカワイくない声で唸る。
■シャンティ > 「偽善、でも……しない、より、は……いい。ふふ。そう、言う人、も……いる、わ、ね?」
くすくすと笑う。自分などよりもよほど健全な少女は、だからこそ思い悩むことも在るのだろう。そういう様が、とても美味しい。
「人間、だから、ね……? いいえ、違う、わ、ね。人、には……人で、なし、な……人間、も……いる、もの。そう、今、その、記事……に、いる、人、みたい、に……ね?」
新聞に踊る怪盗の文字。
「良い、悪い……で、は、ない……わ。人、には……其れ、ぞれ、生き方、が……ある、の。だか、ら……それ、は――貴女、が……選ん、だ……道。貴女、が……決め、た……筋。……貴女の、影響、も……貴女、だけ、の、もの……貴女、し、か……作れ、ない、もの。」
くすくすと、笑いは続く
「だ、か、ら……本、選び、も……貴女、の、選択。ふふ。面白、い、わ、ね……アリス、ちゃん。貴方の、選択……」
笑う 笑う 女は 笑う
「ね、ぇ……アリス、ちゃん? 貴女、は……どう、思う? 貴女、が、そう、選んだ……"心"、は……どこ、に……いる、のか。脳、の……信号? 心臓、の、中……? 魂、に、刻ま、れた……ナニカ?」
くすくすと くすくすと 笑いながら 順に 頭を 胸を 虚空を 指差す
「そして、ね。怖い、彼、は。愚か、な……彼ら、は。ふふ。どう、いう……人、なの、かし、ら、ねぇ……? ただ、の……ヒトデナシ? ただの、お馬鹿? ふふ、ふふ。人って……面、白い、わ、ね?」
■アリス >
「偽善大いに結構、私は風紀じゃないから真偽に興味はあんまりないしね」
オーバーな動作で肩を竦めて見せる。
もちろん照れ隠しです。美人と顔が近いんだもの。
「私の考えている人間らしさが私にとっての人間らしさです」
「ただしそれは同意を得られるとは限らないってね……」
新聞に書いてある、畜生働き。
要はダスクスレイは強盗殺人をしているのだ。
私には一切理解できないし、パパとママが犠牲になるかもと考えるだけで心臓がキュッと痛くなる。
「私の選択」
彼女の言葉を反復する。
思えば、私は相当に運が悪い。
学生通りで変な黒点を見つけたと思ったら時空の歪みで上空4000メートルに転移したこともある。
異邦人街のパンケーキが美味しいファミレスに行けば強盗が入るし、
私の異能目当てで誘拐されたこともある。
でも。
いつだって自分の意思で解決しようと努めてきた。
「そっか………私、流されるみたいに不運に襲われてきたけど」
「選択をしなかったわけじゃないんだ……」
「私は私、心は私そのもの」
「だったら私の心は髪の毛一本から爪先に至るまで全部」
「かな?」
なんでそこで言い切らない!
ああ、アリス・アンダーソン! お前に人生は重荷ッ!!
「人は心にも仮面をするものだから」
「多分、日常ではダスクスレイが真面目に授業を受けてたり」
「トライアド・クロウのメンバーが雨の日に捨てられている子猫を助けていたりするのかも」
確かに面白い。けど、それと悪を成すことの罪はまた別の話。