2022/02/01 のログ
ご案内:「学生通り」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「はーい。さようならー。気をつけてねー」

日が少し傾く時刻
学友と別れの挨拶を交わしながら、警邏の時間
といっても下校する生徒にそれとなく注意を促す程度
これから遊びに行くグループには遅くなりすぎないように
ヘンなところにはいかないように、などなど
まぁ聞き飽きたであろうそんな言葉を投げかけるのも、大事なコト

下校途中の顔ぶれに視線を巡らせ、笑顔で声をかけていく中…

「(あれ、あの子って…)」

見知った顔、お友達が知らない異性の生徒と肩を並べて下校する姿
あらまあ、手まで繋いじゃって…思わず声をかけそびれた

「(…え?というか……)」

男女ペアで下校する生徒が、結構な割合でいることに気づく…

伊都波 凛霞 >  
いやね…別にリア充爆発しろ!なんてことにはならないけど
そう青春、青春を謳歌するのは良いことですから
不純異性交遊までいっちゃうと風紀を乱しちゃうからダメよと言いたい気持ちもあるけどそれはそれ
ただ、なんというか

ついぼんやりと、そんな生徒達の下校する姿を見て

「(羨ましい ………はっ)」

浮かんだ言葉を振り切るように頭を左右にぶんぶん
近くに人がいたらポニーテールウィップがヒットするところだ

別に羨ましいとか
自分にだってちゃんとお相手はいるんだし、全然そんなコト

あるワケないのだが

「(誠実なのは素敵だけど、奥手すぎるのも問題かな)」

塀を背に、ふうと一息

──勿論、彼の境遇や過去の影響は理解している
今、二人で生活の場を設けていること自体が奇跡の延長みたいなもの

「(でももうちょっとグイグイ来てくれてもいいような…ううん、そんな性格じゃないか…)」

そんなことを、腕を組みながら下校する仲睦まじげな男女を見ながら考えたりしていた

伊都波 凛霞 >  
ああいうのも頼み込めばやってくれる気がするけど、そうじゃない
こう…今度唐突に歩いてるところを後ろから腕を捕まえにいってワンチャン…
……真っ赤になって慌てふためく様子しか想像できない

自然に距離を縮めるのって、難しい

そもそも思い返してみれば彼にだけ問題があるわけでもなくて
なんだかんだと自分にもそういう…恋愛経験、というか
そういったものが足りない自覚は一応あるわけで

過去を振り返ると蘇るちょっとアレな感じの記憶

伊都波 凛霞 >  
はじめて付き合った男子、一人目の男の子
優しい性格で、何をするにも遠慮がちだったのを覚えている
ただそれは、彼…幼馴染がいなくなってしまった穴を埋めたくて、忘れようとして
そんな気持ちが少なからず自分にあって、告白を受け取ったことを覚えている
思い返してみれば、なんてイヤな女
そんな負い目もあってかどこかぎくしゃくとして、気づけば自然消滅

自嘲気味な笑みが漏れる
妹の手前、気丈に振る舞ってはいたけど、結構弱ってた時期だ

二人目も、放課後に告白された
結構人気のある男子で、スポーツもできてリーダーシップのある子だった…と思う
と思う…っていうのは、あまりにも印象がなかった、というか
付き合って2日でお別れしたからほとんど何も知らないままだったという…
その彼は、私と付き合うと色々な自信がなくなっていく、と言ってさようならをした
そんなこと何も意識していなかったけど、それが逆に彼にとっては重かったのかもしれない

……あれ、私悪女……?

伊都波 凛霞 >  
三人目は忘れもしない
例の事件があったり、妹のことで一番凹んでいた時期
するりと自分の心の隙間に滑り込んできた彼は…
結局妹に近づくために自分を利用しようとしただけだった
色々あって今は和解したり、頼りになる友人になったりもしたけど
まったく、悪い男子

「………」

あまりにもマトモな恋愛経験が、ない───

そう、だから他人のコイバナは心が暖かくなって幸せな気持ちになれるから、好きなんだけど
最近、身近でもそんな甘酸っぱい話があったりして、勝手に盛り上がってしまった

過去を振り返ってみると、全部受け身
今だって彼の行動をただ待っているだけ…

もう少し、自分の恋愛観も大事にしないといけないんだと感じ、る…?

「ぅわ」

考え込んで下がっていた視線をちらりと向けたら人前で憚らずにキスしている男女生徒を発見
思わず小さい声が漏らしつつ目線をはぐらかしてしまった。いや注意しなきゃ注意…まったく公然となんてコトを

伊都波 凛霞 >  
しちゃダメとは言わないけど人目は気にしなさい、と
ちょっとお説教じみた注意

そういうコト、したくなるのは仕方ない
注意された彼らも間延びした返事でそこまで反省はしていなさそうだったけど
これ以上追撃するとなんか自分惨めになる気がして、見送る

そう、風紀委員…自分が風紀委員だから、風紀を守るために注意しただけ、そう…うん

伊都波 凛霞 >  
年が明けて春が近づけばカップルも増えるのか?
ってぐらいに、男女のペアで下校する姿が多い…
誰を見ても、幸せそう
普段ならそれを見てほっこりしちゃうんだけど、今日はメンタルがよろしくない

「……はぁ、もう切りあげよ…」

本庁に寄って、帰ろう
なんとなく帰る時間も定まるし、彼に連絡
確か今日は、例の寺院の修繕作業にいってるはず
自分もたまにお手伝いするけれど、少しずつ…思い出を繕うように昔の姿を取り戻す様子に嬉しさを感じる
手を止めさせるのも気がひけるのでメールで…と思っていたらすぐに返信が帰ってきた

スマホの画面に視線を落とすと、自然と頬が綻ぶ
別にそんなに嬉しがる内容でもないんだけど、即レスだっただけでこの有様

いくつか文面をやり取りすれば、数瞬前の憂いはどこへやら
鼻歌混じりに帰路につく
単純と言われても仕方ないけど、そういうモノなんだからしょうがないのだ
意中の相手の一挙手一投足、それらが自分に向けられているだけで十分

青春したいなー羨ましいなー、なんて思いつつ結局普通にリア充してる凛霞だった
過去が過去だし、少しくらいいいよネ

ご案内:「学生通り」から伊都波 凛霞さんが去りました。