2020/06/30 のログ
ご案内:「商店街」に因幡幸子さんが現れました。
■因幡幸子 > 私は健全な学生です。
健全な学生なので健全に勉強をしたり健全に友達と遊んだり健全にアルバイトをしたりします。
健全に公園を歩いていたら不健全な穴におっこちて、気が付いたら異世界に居ましたが概ね元気です。
だって島の皆さん、耳がちょっと変わってるくらいは親切ですし? 未開の地だったら今頃骨になっていたに違いないんです!
■因幡幸子 > 「なんじゃあああっっ!?」
■因幡幸子 > おっといけない走馬灯☆
今の私は授業が終わって、アルバイトに出勤して、宅配のお仕事中に犬に追いかけられているんでした。
ていうかなんで野犬が居るんですかーやだー!責任者は何処か!
■因幡幸子 > 私が今運んでいる岡持の中にはアルバイト先である『マグナムピザ』の看板メニュー
その名もマグナムDXスペシャルのLサイズが2枚納まっている。一枚4000円なので税抜きで8000円ですね。
此処で犬に奪われるような事があったら時給から差っ引かれてしまうに決まっていて宜しくない。
負けられない戦いがあった。
「馬鹿め!地の利は此方!犬なんかに負ける、わけ、あるか!」
そしてそして、自慢じゃあないですが私の足は100mを6秒で走る!!
私の世界じゃあ普通なんですが、こっちの世界では相当早いらしく、最初はちょっと驚かれました。
いやああの時の学校の何とも言えない顔、今思い出しても──いや思い出してる場合じゃなかった!
素早く角を曲がり大通りへと、出る!
■因幡幸子 > 後ろを見る。犬である。名前は知らない。茶色で、毛が短くて、でっかいから多分男の子でしょうか。
冷静に考えると犬ってピザを食べるんでしょうか──おっと危ない道行く自転車を華麗に回避。
それとも食べ物っぽい匂いなら何でもOK!ってくらい追い詰められたんですかね──おっと危ない道行く学生さんとあわや激突。
「あ、まさか私が可愛いから!?いや~それはちょっと、彼氏は欲しいけど犬ちゃんはちょっと!」
そこで乙女の危機に思い当って頬が含羞に染まって頭を振る。
情熱的アプローチは嫌いじゃあないですが、せめてちょっと人型でお願いします!
出来れば背が高くて、ロップイヤーで、目は赤い方がいいかな~!
なんて人生設計のドリフトを回避しながらに道をドリフト。砂埃が舞う。
■因幡幸子 > 「ていうか此処何処なんですかね!あーあー3丁目にお住まいのスズキさーんっ!マグナムピザですけどぉー!」
走りながら口角泡をなんとかに叫ぶ。返事は無い。尤も返事があっても渡すに渡せない。
わんちゃんは諦めずに随分としつこく追いかけて来る。よもやここまで追いつめられようとは──絶対絶命のピンチである。
これ程のピンチは、この世界に初めて落ちた時かもしれない。そうそうあの時は
「いやだから思い出は不味いですって!」
馬が走るのは止めにして兎が走るんですってば。犬も走るのをやめて頂いていいんですけど、どうでしょうか!
荒い息遣いが聴こえるだけですね。ありがとうございません。そしてもう一度角をターン!
■因幡幸子 > 何と、その先は行き止まりである
■因幡幸子 > 塀に囲まれた袋小路。そういえば綾小路なんて苗字の人がクラスに居ましたね。
満月の夜になると狼になってしまうとかで、何だか随分と御苦労な様子でした。
「……………」
振り返ると犬が居る。多分きっとお腹を空かせた犬が、獲物にもう逃げ場がないと知った様子で悠然と歩く。
「よーしこうなったら逃げも隠れもしませんよ。ええ、この私に喧嘩を売った事を後悔させて差し上げましょうとも!」
ピザ屋の制服を腕まくりし、岡持からピザの箱を取り出す。
蓋を開けると私の脅威的なバランス感覚により一糸乱れぬ熱々のピザが湯気を初夏の街角に揺らす。
「へいへい!わんちゃんびびってんのかい!」
犬が飛ぶ!
私の右手が唸りを挙げてピザを、8000円(税抜)をその鼻先目掛けてシュートッ!!
喰らえ!マグナムピザ!!!
■因幡幸子 > 二枚重ねになったピザが犬の鼻先に湿った音を立てて直撃し、熱々のチーズにやられた犬が悲鳴をあげて逃げて行く。
人類の叡智の勝利である。
「よし……っピザは兎も角乙女の貞操は護った……!!どうせ喰われるならこれもまた運命でしょう……」
道端に散らばったピザだったものに合掌し──放っておくのは御行儀が悪いのできちんと拾って箱に戻しましょう。
「しっかし−8000円は痛いなあ……大将オマケしてくれませんかね……」
しわっしわに耳が萎れてロップイヤーにようになりながらお店へ帰る私なのでした。どっとはらい。
ご案内:「商店街」から因幡幸子さんが去りました。
ご案内:「商店街」にサクラ=ウィンスピーさんが現れました。
■サクラ=ウィンスピー > 「ふはーっ、疲れたにゃー……。」
研究棟で行われていた異邦人を対象にした実験の協力をしてきてぐったりと出店のテーブルに突っ伏しながら適当に頼んだドリンクをゴクゴクと。
変な味がする、なになに……、『期間限定 プリン醤油風味シェーキ』
こっちの世界の人たちはよくわからない組み合わせで食べるのが好きなようだ。
■サクラ=ウィンスピー > どうにもこちらの世界の人たちとボクたち側とで意識の差があることはそれなりに理解している。
とはいえ、研究棟の彼らの目はヒトに向けるものではないものがチラチラ伺える。
そんなことだから協力も断られるんだろうと教えては上げたがそれだけだろう。
あの手のヒトはボクたちの世界にだっていた。
魔女に関わるような陣営に入っていた人たちなんかはよくあの目をする。
自分の好奇心のために他者を顧みない。
とはいえ、ボクらも日々の日銭を稼ぐためにお金を積まれればなんでもしていたので特に否定することはないのだけど。
「こう、暇なことは大変なんだなー。」
珍しい味の飲み物をズズズと啜りながら考えることが増えてしまった事を愚痴る。
元の世界にいた時はそんな悩みを抱えている暇もなかったのだから当然なのだが。
ご案内:「商店街」にアージェント・ルーフさんが現れました。