2020/07/01 のログ
アージェント・ルーフ > ―様々な人が行き交う商店街、一つ一つの話題に耳を傾ければ向こうの野菜が安いだとか、小腹が空いただとか多種多様な話題であるが、意識下でない限りそれらは只の喧騒にすぎないBGMであった。

「はい…チョコレートシェイクの…ありがとうございます~」

故に、この銀の人物の声もBGMに溶け込む。
商店街にてショッピングを洒落込もうとした矢先、好物であるチョコレートのシェイクに体が吸い込まれ、既に片手が塞がってしまった。

何処かに座りたいな、と。当初の予定をいきなり変更し、座る席を探す為に手元にあるシェイクのストローに口を着けながら闊歩する。
商店街という歩いてショッピングをするための場所だけあり、ベンチ等も設置されているものの、ボクと同じ考えを持つ人がいるのは当然の事であり、そのほとんどが満席である。

ふと、一つの出店が目に留まる。席はかなり埋まっているが、相席を承知とするならば座れる席が疎らに散っている。そこでボクはここに休息の地を置こうと相席を共にする事になるだろうブロンド色の髪を持つ少女に声を掛ける。

「隣、良いかなぁ?」

サクラ=ウィンスピー > 「うにゃ?どうぞどうぞー。ちょっと席取り過ぎじゃってたみたいでごめんねー。」

グダグダと机に身体を預けながらお餅のように溶けて突っ伏していたがふと上から声が掛かるとふと顔を上げる。長い髪で覆われた下から目の前に来ている相手を見るとそこの出店で買ったであろうドリンク持つ人が。

断る理由もなく、こちらの世界での常識にもまだそれほど詳しくもないため。むしろ相席なんかは普通なんだろうと身体を起こして、テーブルの半分以上を陣取っていたドリンクやらクッキーやらを自分の方へと寄せる。

先程考えていたことなど結局のところ、暇潰しのようなものなので言葉を返す頃にはニッコリと、楽しそうな笑みを浮かべて応えて。

アージェント・ルーフ > 「ありがとうね~」

ボクは特徴である間延びした声を発した後に、少女の隣に座り、本来の予定を遂行する為に使われるはずだったからのトートバッグを机の上に置かせてもらう。

チョコレートのシェイクを安住の地に着いた所で落ち着いて嗜みながら、ふと、彼女の持つドリンクに目を向ける。ここの出店での商品は何回か頼んだ事があるものの、ちょっと違ったドリンクである様で

(んー?『期間限定 プリン醤油風味シェーキ』、かぁ……ん!?)

名前から見てさぞアンバランスであろう組み合わせに心の中で驚嘆する。和洋折衷のレベルなぞとうに越しているであろうドリンクを考えた開発陣は当時暑さでぶっ倒れでもしたのだろうか。

「す…凄いもの飲んでるね~…美味しいのかな?」

自分がこの席に着く直前の彼女の状態から考えると到底肯定の返事は期待できないだろうが、好奇心からか聞いてみる。

サクラ=ウィンスピー > 「んーこれー?」

隣りに来た子のために場所を空けて、こちらは休憩で休んでいるだけなのでなにかしているわけでもなくモシャモシャとクッキーを頬張っているがこちらは普通のプレーン味である。

そしてズルズルとドリンクを見る目が。
味を聞かれてしまえばなんだろうか、美味しいという概念がそもそも少なく食べられないモノでもない限りは基本的にはちゃんと食べる方だが…。

「どうかなー。ローパーの味噌にミルクぶち込んだみたいな味だけど飲めなくはないよ、飲んでみる?」

これまで食べたものの中でそれっぽい雰囲気の食べ物を告げつつ、せっかく出し飲んでみればと、持っていたドリンクを相手に向ける。
重心が動いて傾いたストローの先端は相手の方に向いていて、そのまま飲んでしまっても構わない雰囲気でいて。

アージェント・ルーフ > 「…いや、遠慮しておくよ~」

当然、その様な摩訶不思議を具現化した様なドリンクを唯々飲みたくないと言うのも理由の一つであるが…

(かっ、間接…っ)

無論、そういうのを気にしない人である可能性もあるのだが、こちらも裏の世界を知る身。口を付けてしまってはその気がある、とでも思われそこらの怪しい店に連れていかれるという話を耳に挟んだだけあって、光景が脳裏に過る。

しかし、想像とは素直な物として作られるものである。ボクの頬は口では遠慮の意を示しながら、少し紅梅色に染まる。

「まぁ新しいものに手を出すのは嫌いじゃないから、又の機会に試してみるよ~」

相手の厚意を断ったままでは空気が澱むだろう。時間を先延ばしにする事で言い包めようとする。

サクラ=ウィンスピー > 「んー……?そう?……ならいっか。」

こちらとしてはキスをするのに抵抗もない、遠征の非常時にムサイおっさんから同性の綺麗なお姉さんまで一緒の水筒を飲み回す事なんて日常茶飯事だったため何故、ドリンクを向けているだけで頬を赤くしているのかわからない様子で首をコテンと傾けて不思議そうな表情をしていて。

もちろん、騙す気もなくコレを不味いとも思っていないのでいらないならと手元に戻すとまたストローを咥えて啜っていく。

断ったのを別に気にしてはおらず、テーブルに置いてあるトートバッグに興味を持つと訪ねてみて。

「お兄さんも勉強でもするの〜?」

自分はつい最近来たため関係はないが学園は今、テスト期間だ。
クラスの人たちもずっと図書館に行ったり教室で勉強をしていたが相手もそうなのだろうかと訪ねてみて

アージェント・ルーフ > テスト期間の事について言及されると共にトートバッグへの目線に気づく

「あぁ、ボクはただ買い物しに来ただけだよ~

あとテスト勉強だけど、こう見えて結構頭は切れている方なんだよ~」

ボクはトートバックを片手で開き、中に何もないことを示す。また、テスト勉強については実際同年代の中では中の上をキープしているので、今回のテストも範囲をチラッと見て試もうとしている次第である。

「最も、好物に釣られてついこれを買っちゃったボクが言ってもっていう話なんだけどね…」

もう片方の手に持つシェイクを示す様少しだけ上にあげながら、頬を掻く。

「そう言えば、君は一学年かなぁ?二学年の顔ぶれでは見かけなかったけど…」

テスト勉強の話からリンクして、ふと彼女の事を聞いてみる。

サクラ=ウィンスピー > 「ほぇ〜そうなんだ。もっと良い成績取りたいッ、とかはないの?」

どうにも生徒の一定数勉強をしていないのはこの子みたいた人がいるかららしい。
ある程度出来るからこそ最低限で済ますというのは自分の感覚からすると不思議なもので、出来ることはする、出来ないことも無茶を通すのが日常のため首を傾げて単純に疑問を口にしてみる。

「にゃはは、この辺りは美味しいものいっぱいあるから目移りしちゃうよね〜。」

この辺りは特にそういった商品も多いため自分もよく来ていてわかると笑顔で応える。

「ココには来たばっかりの新人さんなのです。だから、えーと…。なんだっけ? 学園で一年から始めるってことになったのかな。」

聞かれるとまだ来たばかりで一年という割り振り自体はわかっているのだが感覚的に理解していないため若干疑問系になりつつもわかっていることを正直に言って。

アージェント・ルーフ > 「いやぁ、なんだかもう少し上に行くのに高い壁がある様でね~…
それに、折角だからやっぱり趣味とかには時間を掛けたいんだよ~」

学園内でもやはり学力の壁と言うのがある様で、上位はそれこそ賢者というレベルの人達が跋扈しているため、現状維持が安定するという旨を伝える。それに、趣味に時間を掛けてこその生だとも考えているため、その事も含めながら説明する。

話を聞くにやはり、一学年であるとの事。しかし、会話の節々に?の形が現れている為、恐らく自分の処遇もよく分かって無いとも推測できる。よって、

「んー、その話し方からすると、やっぱり違う世界から来た感じかなぁ?こっちでの生活は大丈夫そうなのかな?」

異世界から来た、と考えるとこちらの学園のシステムもあまり合点がいっていないのも、自分のストローをこちらに差し出すという行為にも納得できる。そう考えながら、質問してみる。

サクラ=ウィンスピー > 「なるほどなるほど。ここはみんなが好きなことが出来て楽しそうだね。」

相手の言葉から察するにここじゃあ、出来ることよりも好きなことを重視出来るようだ。
勉強なんてごく当たり前のように出来て、生きること意外の事をする事を許されている。夢のような場所なんだろう。
それでもそれが全てでは無いのだろうけども。

そんなことをニコニコと相手の言葉を聞いては楽しそうに答えて。

「生活ならこっちの方が楽なくらいだよ。ほら、ボクってば翻訳機持ってないでしょ? それくらいのことは出来るんだ。」

相手の質問にはむしろこちらの方が楽だと笑顔で答える。
実際に生きるか死ぬかの世界よりはこちらの方が全然マシなのだから。

ついでに異世界から来たヒトによく使われている首輪のような翻訳機がいらない程度には優秀なのを見せるように自身の髪を掻き上げて首筋を晒して見せて。

アージェント・ルーフ > 「おぉ~、やっぱり似たような世界なのかなぁ、この世界も楽しんで貰えて何よりだよ~」

返答から察するに、向こう側の世界は生死をコンマの差で揺さぶられる様なものなのだろう。こちらの世界も決して安全が約束できる訳ではないのだろうが、それでもこちらの世界に馴染めていると彼女の笑顔を見て、ボクも嬉しくなる。

彼女との談笑を楽しんでいる所ではあったが、楽しい時間は早く過ぎ去るものである。この場に留まる為の理由である手元のドリンクを飲んでいたため、その内ズズズッという音と共に手元の重量が軽くなっているのを感じ取る。

「ん、もうそろそろボクは行こうかな、話に付き合ってくれてありがとうね~

あっ、自己紹介が最後になってしまったね。ボクの名前はアージェント・ルーフ、さっきも言った通りで二学年の生徒だよ~」

ボクはテーブルの上に置いてあるトートバックを引き寄せながらも、彼女との最後の会話を楽しもうとする。

サクラ=ウィンスピー > 「そりゃあ楽しまなきゃ損だものね。かわいい子も多いしね♪」

結局のところ、訳のわからない所に飛ばされたとしても楽しんだもん勝ちなんだろう。
普通に話しているこの時だけでもサイゲツで脅すこともなく、ただ知らない人ともテーブルをのんびりと囲める環境は良いものだ。

相手の笑顔に釣られてこちらの頬まで綻んでくる。
ずっと楽しそうではあるがそれでも見た目通りの年齢の柔らかい笑顔を見せながら自分もと、先に立ち上がる。

「ボクも行くよ。頑張って飲んでみたけどやっぱりこれはダメだね。…あ、ボクはサクラ、一年生のサクラ=ウィンスピー。それじゃあアーくんまたねーッ、」

相手の飲んでいたドリンクの残りも無くなり去ろうとするのを見ると自分も立ち上がる。
なんだかんだと飲んでいた自分の『プリン醤油風味のシェーキ』だがやはり全部飲みきれはしなかったらしい。
まだ中身の入った音のするカップを持ったまま立ち上がると苦笑しながら告げる。

相手の名前を聞いて自分も名乗っていないのを思い出したのかテーブルを挟んで向かい合い自分の名前を告げると先輩だというのにも関わらず敬いの欠片すら見せない態度でクスクスと笑いながら空いた手を振り雑踏の中へと消えていった。

ご案内:「商店街」からサクラ=ウィンスピーさんが去りました。
アージェント・ルーフ > 「サクラ=ウィンスピー、覚えておくよ~」

自分が立ち上がると同時に彼女―サクラも立ち上がる、同じタイミングでこの場を離れるようだが、生憎進行方向は真逆である。

「また出会ったらよろしくね~」

そう言いながら、ボクは後ろ手に手を振り、買い物を再開する…

ご案内:「商店街」からアージェント・ルーフさんが去りました。