2020/08/02 のログ
ご案内:「商店街」に修世 光奈さんが現れました。
■修世 光奈 > 「へふ……手がかり、今日も無し。
…仕方ないけど、じっくり長期的に色々回るしかない、かぁ」
商店街のベンチ。
惣菜屋からの威勢のいい声が響く中。
衝動買いしたコロッケをもぐもぐと食べる光奈。
こんなところに、今探しているものの手掛かりは無かったけれど。
既に…その探し物については短期的な計画から長期的な計画に切り替えていた。
できるだけ色々なところを巡り、痕跡を辿っていく作業。
ただ、問題なのは…痕跡をいくら集めたところでその探し物自体にはたどり着く可能性が低いという事。
だから、何かしらの打開が必要だ。
自分の異能でも、特殊能力でもまだ足りない。
あと一歩…かどうかはわからないが。隙間を埋める何かが。
■修世 光奈 > 人を頼る…それもありだろう。
もしかすると今まで会った人たちの中に打開策となりうる異能もあるかもしれない。
けれど、それは考えられなかった。
探し物は自分で見つける。そんな思いがあるから。
「はぁ―――――………」
悩み事はそれだけではない。
『友達』のこと。
一人は捕まっているし、一人は聞きたいこともある。
思考を別に回そうとすれば別の悩みが浮き上がってくる。
中々、難しい。一般ぴーぷるな光奈の頭の容量はいっぱいいっぱいだ。
珍しく、眉根を寄せてため息を吐く。
■修世 光奈 > そんな午後が、過ぎていく―――
ご案内:「商店街」から修世 光奈さんが去りました。
ご案内:「商店街」にラピスさんが現れました。
■ラピス > 普段は保健室に引きこもってる小娘だが、今日は珍しく外出中。
買い溜めしておいたお菓子やらお茶っ葉やらが良い感じに減ってきたから、買い出しである。
最初は扶桑百貨店で一度に済ませてしまおうかと思っていたのだが、空は素敵な晴れ模様。
こういう日は、冷房の下じゃなく外を歩くべき、なんて意気揚々と飛び出したのだが――。
「あ~づ~い~……」
じぃじぃ、蝉の鳴き声が騒々しくすら思える中、その足取りには覇気がない。
それもその筈、梅雨時から冷房の下で快適ライフを過ごしてきたのだ。
夏の暑さに順応してなんかいない。お陰で、少し歩くだけでも汗が吹き出る。
これは失策だったなぁ、と反省しながら、とぼりとぼり。早くも挫けかけていた。
ご案内:「商店街」に黒井結城さんが現れました。
■黒井結城 > 喫茶店での手伝いを終え、気晴らしに外へと向かいました。
今日も外は物凄く暑いのですが、いざと言う時の為にも鍛錬は欠かせません。
あれ?
いつも保健室で見かける先生でしょうか?
雪のような色の髪が特徴的な女性が重そうな足取りで歩いています。
いつも保健室で見かけるのに外に居るなんてとっても不思議です。
ともあれ、あのまま放っておくと不味い気がします。
「こんにちは、先生。
今日は暑いですけど大丈夫ですか。」
近づいてお声をお掛けしました。
身長的に僕の方が少し屈む体制になります。
■ラピス > ぎらぎらと降り注ぐ日差しは、夏真っ盛りと言わんばかりに苛烈だ。
こうして暑いと、有り体に言えば溶けそうになる。でろーん。
そう言えば、背丈が低い子供などは、地面の輻射熱を受けるから体調を崩しやすいのだとか。
そこまで小さくはないのだけれど――とは思いたいが、実際暑い。目玉焼き焼けそう。
そんなこんなで、ぐったりぼてぼてしていた少女に、近寄ってくる誰かの気配。
かけられる声の方に視線を向ける。声から察するに、男性っぽい気がする。
「――んぅ、こんにちはー、ですよー。
溶けそうですけど、だいじょーぶ、です」
にへら、と笑みを浮かべてみせるが、その頬はほんのりと赤い。
熱中症とまではいかないまでも、軽く風呂でのぼせた様な状態だった。
■黒井結城 > 「う~~~ん。」
背の低い先生の顔をじっと覗き込みます。
頬は朱に染まり、もともとのんびりした方でしたら気持ち余計にのんびりしているような気もします。
これは放って置いたらそのうち体調を崩しそうです。
僕はまだ成ったことはないのですが、かかると大変な病気と聞いてます。
「大丈夫そうじゃないですよ、先生。
うちのお店で休んで行きましょう。」
小さな先生の両手を掴み、手を引くようにして誘導しようと試みます。
先生が派手に暴れたいしないのなら、今しがた出てきたばかりの喫茶店に先生をご案内です。
僕の家でもある喫茶店はこれと言った特徴のない普通の喫茶店ですが、優しい養父と養母が出迎えてくれます。
ちなみに冷房はほどよく聞いています。
■ラピス > 「おおう、そ、そんなに見つめられると照れますよぅっ!?」
いつも通り、どこかすっぽ抜けた反応のへっぽこ教師である。
とは言え、彼の推察する通り、このまま放っておくと本当に溶けかねないのも確かで。
「んぅ、そ、ですかね?――でも、そうですね、そうかもしれないです。
それじゃ、お言葉に甘えまして――っとと、逃げないから大丈夫ですよぅ?」
とは言え、手を引いてくれるなら、逆らうこともあるまい。
素直に従い、向かった先は、彼のご両親がやっているという喫茶店。
中に入ると、迎えてくれたのが恐らく彼の親御さん。ペコリと一礼してご挨拶。
程よくひんやりした空調は、心地よいことこの上なかった。
■黒井結城 > 「ぇぇぇ!? 違いますよ~。」
僕は目を白黒させてしまいました。
あまり保健室にお邪魔したことがないので先生とじっくりお話しするのは初めてです。
いきなりの先制攻撃にドキドキしてしまいます。
先生の手を引いて店に戻ります。
カラコロと鈴の音が鳴ると、新聞を読んだりテレビを見ていた養父と養母が振り返ります。
どちらも孫と祖父母に間違えられたりするような年齢差です。
養子なので仕方がありませんが。
養父母に学校の先生だと伝えると、二人とも腰が折れそうな位に頭を下げていました。
早速、先生は店の中央にあると席に座ってもらうことに。
厚手のソファと広いテーブルの席です。
他にもお客さんはいるのですが、少し離れた席に案内しました。
「先生、何を飲みます?
うちは普通の喫茶店なのであんまりマニアックなのはないんですけど。
そのかわり、ちゃんとケーキもありますよ。」
僕は先生の隣からお水とメニューを差し出します。
■ラピス > 「うや、違いましたかー、なぁんて、ふふり」
彼の様子に笑みを零すと、後はそのまま彼の店。
からんころん。鈴の音がなんとも可愛らしくて好みな気配。
ご両親とは大分年が離れている様子。とは言え、踏み込むほどぽんこつじゃない。
何やら彼が事情を話すと、妙にペコペコと頭を下げられてしまう。
だからか、同じ様に腰が低くなって、一緒になってペコペコ。
「いやぁ、お外が暑かったので、お陰様で助かりました」
ぺこぺこ、ぺこり。一通り挨拶が済んだら、お店の真ん中の席へ。
他の客達も、皆それぞれに喫茶店を満喫中らしい。
「ん、それじゃ、アイスティーとケーキをくださいな。
――ふむ、どれを頼むか目移りしちゃいますので、ケーキはおすすめのやつで!」
差し出された水のグラスとメニュー。まずは注文を決めることにして。
さっと目を通すも優柔不断なへっぽこ教師は、彼のセレクトに従うことにしてみる。
冷たい水は、ちびちびと、無理のない程度に嚥下して、体の中から冷やしていこう。
■黒井結城 > 「違うも何も僕とほとんど話したことないじゃないですか…。」
こんなとんでもない先生だったとは…認識を改めないといけません。
入店してすぐはお互いにお辞儀合戦でした。
僕が学園の先生をお連れする機会なんてそうないので、養父母も大層驚いています。
ちょっとだけ、見てて面白い気もします。
「今日は一段と暑いから先生は気を付けた方が良いですよ。
最低でも日傘はしないと。」
店の中と外で温度差が凄いです。
外は熱風が吹き荒れています。
誰かが熱いバトルでもしたのでしょうか?
「じゃあ、用意しますね。
少々お待ちください。」
メニューを閉じるとテーブルの上に置いてから。
僕はアイスティーとケーキを取りに向かいます。
数分程してから、御盆に載せてお持ちします。
「おまたせ、先生。」
僕は慣れた手つきで先生の前にアイスティーとケーキを二つお出ししました。
グラスに入ったアイスティーはレモンが浮いてますし、ケーキはこの時期らしく糖度の高いミカンを用いた
チーズケーキと、苺を用いたゼリーケーキです。
普段は1ピースだけをお出しするんですが、養父母が気を利かせたようです。
■ラピス > 「おや、ばれてしまいましたねー、冗談ですよぅ?」
にこにこ。先の反応は、からかい半分、天然半分だったりする。
お辞儀合戦を終えて、冷たいお水でのんびり休憩。やはり文明の利器はいいものだ。
「あぁ、日焼け止めとかはしっかり塗ってましたが、日傘は盲点でしたね。
せっかくですから、今度お洒落なのを見繕っておくことにしますよぅ!」
外はじぃじぃと蝉達が元気に鳴く灼熱の世界。
中はひんやりと涼やかで、ぱりっと乾いた空気が心地よい世界。
――これ、もう一回外に出るのが拷問なんじゃありませんかね?
「わぁい、のんびり待ってますねー?」
注文が通れば、のんびり休憩。はふー、と冷たい空気を楽しむ。
汗で湿ったブラウスは、思った以上にすぅすぅした。
そうこうしている内に、やってくるのは素敵なケーキと紅茶のセット。
一個注文したはずなのに、二個届いたのは嬉しい誤算。無論、食べる気満々だ。
これでも教師。嗜好品に大盤振る舞いできる程度には貰っているのだから。
「――うや、ありがとですよー?」
満面の笑顔で受け取ると、まずはアイスティーを一口。
さっぱりしたレモンの香り。お茶は渋みが軽めで喉越しが良い。
つい、ごくごく飲めてしまいそうなそれを、しかし今は我慢。
紅茶にはちゃんとケーキを合せなくては。そう、マリアージュは大切だ。
どちらにしようか悩んだ末に、先にチーズケーキへと手を付ける。
好物は最後に食べる派で、苺が大好物。悩みはすれど、選ばれたのは必然だ。
フォークをすっと通して一切れを持ち上げると、ぱくり。
口一杯に拡がるオレンジの爽やかさと酸味、チーズケーキの甘みを楽しんで。
「ふわぁ、美味しいですねぇ――はむっ……んぅー♪」
アイスティ、ケーキ、アイスティ、ケーキ。無限循環は最高だった。
■黒井結城 > 「そもそも僕の名前知ってます?
一年の、黒井結城です。」
のっけから揶揄われてしまった僕は、自分の顔を指さして念のために自己紹介をしました。
自分で言うと悲しくなるのですが、僕は見た目もあまり特徴がないので影が薄いです。
「扶桑百貨店でしたっけ? あそこに行けばお洒落な傘とかいっぱいありそうですもんね。」
閉め切っている店内にもセミの声が聞こえる程に賑やかです。
先生にはもう少し日差しがおちついてくるまでゆっくり休んで行ってもらいましょう。
「ごめんね先生、うちの両親がいつもお世話になっているからって。」
なんだかこういうのは少し照れてしまいます。
両親は積極的に僕たちの会話に参加する気はなさそうですが、
最初のあのお辞儀ぶりからすると相当恐縮して居そうです。
「お口に合いそうで良かったです。」
僕は先生の向かいの席に腰掛けると、一緒に持ってきたコーラフロートを飲んでいます。
先生が甘いもの好きとは聞いてましたが、どちらも喜んで暮れているようで何よりです。
苺を後にしたと言うことは、苺の方が好きなのでしょうか?
アイスティと交互に食べています。
見ているだけで幸せそうです。
「アイスティーはお代わりしてもらって大丈夫ですよ。
それはそうと、今日は何しに出かけてたんですか?」
■ラピス > 「――んゆ、実は、存じ上げなかったりするのです、申し訳ないですよぅ。
ほむ、一年の黒井結城君、ですね。えぇ、覚えましたよぅ。大丈夫です!
あ、先生も自己紹介しときます?多分、声かけてくれたから既にご存知かもですけど」
どっちが良いでしょう?なんて彼に首を傾げてみせる。
なお、へっぽこ小娘は、一応名前を聞けば覚えるタイプだ。偶に抜けるけど。
それでも、助けてくれた彼の名前は、ちょっとやそっとじゃ忘れないはず。
「ん、あそこ、いろんなお店入ってますものね。今度行ってみますよー!」
彼のおすすめに、コクリと頷く。へっぽこ小娘も同意見だ。
今日はもう買い出しはほっぽりだして、このまま日が傾くまで休もうと思う。
「ん、いえいえー。先生、甘い物大好きなので、嬉しいですよ!
それにしても、ご両親は黒井君のことを凄く大切にしてるみたいですねぇ」
先程の挨拶の中でも、その端々に彼を思う心が伝わってきた。
そんなに恐縮しなくても、とは思ったけれど、とやかくは言うまい。
「ん、甘々で美味しいですよー。こっちのオレンジのチーズケーキは、香りが良いですね。
爽やかで華やかなので、紅茶の香りに負けずにぐぐっと攻めてくるのが好印象なのです」
もぐもぐ、ちびちび、むぐむぐ、ちびちび。紅茶とケーキをせっせと往復。
そうしている内に、チーズケーキは少しずつ小さくなって、やがて全て消えていった。
すかさず次に手を出すのはイチゴのケーキ。ぷるぷるゼリーの赤色が可愛らしい一品だ。
「――おぉ、苺の赤がキラキラで可愛いですねぇ……!
先生、苺大好きなんですよぅ――はむっ……んふふ~♪」
にこにこ。一口食べたら、幸せそうにもぐもぐ。甘酸っぱさが弾けて消える。
下のクリームも甘すぎず、苺の酸味と調和して絶妙なハーモニー。幸せがそこにあった。
「ん、それじゃお言葉に甘えちゃいますよー?
今日は、買い出しに来てたのですけど、暑くて駄目でしたねー」
よくよく考えれば、買い出しを終えたら荷物を抱えて帰るのだ。
そのまま居たら、きっと途中で潰れていたはず。だから彼には感謝しかなかった。
■黒井結城 > 「ああ、やっぱり…。」
予想通りの返答に脱力してしまいます。
「大丈夫ですよ、ラピス先生でしょ?」
これで間違ってでもしていたら僕の方こそ大恥です。
なのでまあ、少し得意げに答えます。
「いつも人が凄いので僕はまだ行った事ないんですよ。
あと、なんだか高そうだし。」
僕も興味はありますがなんだか行く機会がありませんでした。
主に財政的な理由で…。
「僕は所謂異界人なんですけど、たまたま養父母と出会ってからはずっとよくしてもらっています。
今日はいきなり先生が来られてびっくりしたみたいですけど、多分喜んでますよ。」
調べたらわかることなので、僕は軽くですが事情を説明しました。
これから先お世話になる先生には知って貰っても問題はないでしょうから。
「うちはケーキは良いのを用意してますから。
良かったらまた来てくださいね。」
ここぞとばかりにお店のPRもしておきます。
それにしても先生の表現は凄いですね。
なんだか専門家の人が食べているみたいです。
「それ、見た目も涼し気でいいですよね。
この時期に関わらずいつでも人気です。」
僕もたまに食べているので、先生の喜ぶ顔はよく分かります。
気づけば店の自慢ばかりしてしまっています。
「時間もありますし、ゆっくり飲んで下さいね。
買い出しとなると、保健室で食べてるお菓子とかですか?
良かったらお付き合いしますよ。 一人だと大変でしょうし。」
■ラピス > 「あー、うー、もう覚えましたので、大丈夫、大丈夫ですよぅ、黒井君!」
覚えましたから、とあわあわしながらフォローに入る。
生徒の名前を覚えておくのは、教師として大事なことなのだから、と。
「ですです。ラピス先生ですよー。改めてよろしくです」
ぺこん、と一つ頭を下げておく。
へっぽこ小娘も実は異世界人だが、今はもう慣れたものだ。
「ん、先生も一度か二度しか行ったことないですねー。
こう、人がすごいので、わちゃわちゃされて、もみくちゃになるのです」
ミニマムサイズ故、致し方なし、といった感じの難点を挙げる。
財政的には、まぁ高いものじゃなければ手を伸ばせる程度だ。
「うや、そうなのですねぇ。良いご両親に巡り会えたようで何よりです。
そうだと良いのですけれど、あまりサービスしすぎなくても良いですからね?」
先の恐縮具合だと、この喫茶店に来る度にケーキが2つ付いてきそうだ。
それはそれで捨てがたいが、お店の利益にならないのはよろしくないだろう。
――無論、お金を払って2つ食べる、というのがこのへっぽこ教師なのだが。
「ん、勿論ですよ。これだけ美味しいケーキなら、是非また来ますとも。
先生、お料理やケーキ作りもするのですけれど、ここまでの完成度は出せないですねぇ」
やっぱり、プロは違うなぁ、ともぐもぐ。
ゼリーの部分の酸味がついつい後を引くからか、ケーキはハイペースでお腹に消えていく。
なお、もう一個食べたいなぁ、というのを顔に出さなかった程度には、大人だった。
「ん、見た目も良いですし、ゼリーが甘すぎないのが好印象ですね。
夏の暑さに合わせて、ケーキもしつこくない様に気配りされている様ですし」
うんうん。専門家じゃないけど専門家っぽくレビュー。
美味しいものは美味しい、でいいのだが、つい饒舌になってしまう。
「なるほど、そういう事なら、今度お手伝いしてもらっても良いです?
今日は、折角なのでこのお店を目一杯に満喫しようかと思いますので」
すっかり店を気に入ったへっぽこ小娘は、長居する気満々である。
それこそ、夕方までは梃子でも動かない所存だった。