2020/09/09 のログ
ご案内:「商店街」に織機 雪兎さんが現れました。
織機 雪兎 >  
コロッケがたべたい。
お昼過ぎ、急にお肉屋さんのコロッケが食べたくなった。
その後ずっとコロッケのことを考えながら仕事を蹴散らし、定時ですっぱり上がって商店街に直行。
お肉屋さんに並んでいた揚げ立てコロッケを十個ほど買い、商店街のベンチに座ってむしゃむしゃ。

「――はぁ」

一つ目のコロッケを半分ほど食べて溜息。
ここのところよろしくない。
二級学生引き上げの面談もそうだったし、昨日の潜入捜査でもなにも出来なかった。
潜入捜査の報告書だって殆どかぎりんに頼っていたし。
よくよく考えてみればここのところなんて話ではない。
警邏に行けばなにかしらやらかすし、書類のミスも多い。
反省文や始末書も何枚書いたっけ。

「はぁ……」

深いため息。
風紀委員向いてないのかな、辞めた方がいいのかな、なんて考えがぐるぐる回っていて、あんなに食べたかったコロッケの味があんまりわからない。

ご案内:「商店街」にレオさんが現れました。
レオ > 「大丈夫ですか?」

ため息をついているのを見て、声をかける人物が一人。
制服姿に風紀委員の腕章をつけ、ベージュ色の髪と、濁った金色の目。
年頃は15,6といった所。

お茶のペットボトルを手に持って「よければ、飲みますか?」という青年は、一目で風紀委員だと分かるだろう。
でも、みたことはないかもしれない。
何せまだ風紀に入って一週間もしていないのだから。

織機 雪兎 >  
「ん」

声を掛けられた。
見れば、同い年くらいの少年。
自分と同じように風紀の腕章を付けている。

「んー、大丈夫、へーきへーき」

へら、と笑って手を振る。
お茶は遠慮しておこう。
気持ちはありがたいが、別に喉は乾いていないし。

レオ > 「そうですか?」

まぁ、見ず知らずの他人だ。自分も声をかけるか少し悩んだ。
風紀委員の腕章をつけていたから、先輩だと思い、すこし声をかけてみたが……お節介だったかもしれないか。

「風紀委員…の方ですよね。
 3日前から風紀委員で働かせてもらってます。レオ・スプリッグス・ウイットフォードです。
 えっと……何か、悩んでいたようだったので。
 お邪魔でしたら、すみません」

少し苦笑した。

織機 雪兎 >  
「まぁ大したことじゃないよ。ありがと」

へらへらと笑う。

「ん、僕は織機雪兎、ゆっきーで良いよ。風紀委員同士よろしくね」

そうしてコロッケ食べる?とコロッケを一個差し出そう。
晩御飯分も買ったとはいえ十個もあるのだ。
一つや二つ減ったところで問題はない。

レオ > 「ああいえ、お気になs…」

と言いかけて、公安の頃の先輩の言葉を思い出した。

『先輩からの施しは甘んじて受け取っときなさいよ~』

「……じゃあ、その…一つだけ。
 すみません何か、気を使わせてしまって」

我ながら優柔不断だなと思いながら、差し出されたコロッケを受け取る。
熱々のコロッケだ。出来立てなんだろう。
火傷しないように一口齧る。
サクッ、という音が心地よい。

「おいしいですね。好きなんですか?コロッケ」

立ったままも気を使わせるかと思い、そのまま隣に座る。
女性だから、少し距離は開けた。
あまり近すぎるのも嫌かもしれないし。

織機 雪兎 >  
「いいよぉ、美味しいものはおすそ分け」

コロッケを渡し、こちらも半分ほど残ったコロッケを齧る。
うーんお肉屋さんのコロッケって感じ。
ソースなんて掛けなくてもしっかり味がある。
美味しい。

「ん? んー、そんな言うほどって感じだけど。たまにならない、特定のものが凄く食べたくなる時」

急に「あっアレが食べたい」みたいな感じ。
今日はそれがコロッケだったと言うだけ。

レオ > 特定のものが凄く食べたくなる時。
そういうものなのだろうか。

…そういえば、食事を気にした事なんてなかったな。

「あー…確かに、ありますね。
 何かあった時とか、特に」

でも『ない』と言うのはどうなんだろう、なんて思って、話を合わせる。
食事は大きな欲求だから、別の欲求が満たされない時に代用で求める時がある、なんて。何処かで聞いた気がしたから。

「…平和ですね、常世島は。
 偶に風紀委員なんて必要じゃないんじゃないかって思う時があるくらい」

すくなくとも、島の中枢地域に限れば。
普通な日常がゆっくりと流れている。
そんな気がする。

織機 雪兎 >  
「こう、なんていうんだろな。今日は完全にコロッケの口!みたいな」

ろくろを回しながら。
コロッケの口ってなんだろうな。
よく言うけどよく考えたら変な言い回しだ。

「平和、かなぁ。風紀委員やってると色々あるよ。誰かが怪我させられたとか、行方不明だとか」

そう言えばどっかのシスターが行方不明になってる、なんて噂もあったっけ。
書類でそう言うの見た覚えはないから、あくまで噂レベルだけど。

レオ > 「はは…まぁ、あるところにはありますから。
 でも、そうですね。風紀委員は警察みたいなものですし、そういうものですよね」

表向き平和だとしても、何も起こらないなんて事ない。
何処でも同じだろう。

「まぁ、でも…平和はそれを維持するように努める人間がいて初めて成立するものですから。
 それが一応、風紀委員の仕事ですもんね」

誰も努力しないで平和な場所なんて、何処にもない。
色々な土地に行ったが、それは何処にいっても変わりはしなかった。

織機 雪兎 >  
「ん、まぁ、うん……そう、だね」

治安維持が風紀の仕事。
だからこそ、ミスをするのは許されない。
そうなのではないだろうか。
ちょっと俯く。

「風紀委員の仕事って、大事だよね……」

そんな大事な仕事、自分みたいなぽんこつがやってていいのだろうか。

レオ > 「……風紀の仕事、大変ですか?」

沈んだ先輩の姿を見て、そっと聞いてみる。
やっぱり、仕事の事で何かあったんだろうか。
まだ入って間もないとはいえ、戦闘も事務の仕事もある。
目の前の先輩が言った通り、風紀をやっていれば普通では見ないような出来事も多く目にするのだろう。
打ちのめされる者も、当然いるだろう。
自分にも経験はある。

「……気休めに聞こえるかもしれないですけれど。
 前に会った別の風紀の先輩が、『我々は本当に困ったら助け合う』って言ってくれていました。
 凄く…優しい人だなって僕は思いました。

 僕も若輩者ですけれど、風紀委員の…織機先輩の後輩ですから。
 何か困っているなら、僕に何が出来るかって言われたら分からないですけれども……
 手助け…悩みを聞くくらいなら、出来るかなって思います」

困ってるなら、助け合う。
まだあまりしっくりとこないが、とりあえず同じ先輩に言われた『思い立ったら即行動が出来るくらいに度胸と意識を付けておいた方が良い』というのを、実践しようと思った。
これで合っているかは、まだわからないが。
 

織機 雪兎 >  
「大変、うん、大変だねぇ」

大変だ。
書なきゃいけない書類も多いし、外回りもしなきゃいけない。
ミスをしないように気を配らなきゃいけないし、人と話すときに気を付けないことも多い。
どれも、出来ていない。

「んー、なんてのかな。僕、結構ミス多いし出来ることも少なくてさ」

コロッケをくるくる手の中で回しながら。
前々から思ってはいたことだけれど、改めて自覚したと言うか。

「――向いてないのかな、って。風紀委員」

レオ > 「ミス……ですか」

出来る事も少なくて
風紀委員、向いていないのかもしれない

詳しくは聞いていない。だから何があったかは分からない。
けど、きっと目の前の先輩は色々と失敗をしたのだろう。
失敗は、自分を責め立てる。
風紀に入って日は短いが、風紀委員での仕事なら…その失敗が、誰かの運命を左右する事だってある筈で。
もっと大きな事なら、多数の人の運命に関係するかもしれなくて。

でも自分は一人だ。
一人が大勢の運命を背負ってしまって、それで失敗なんてすれば。
それを下手に直視してしまったら、耐えきれる人などそうそういない。

「…向き不向きは、誰にでもありますから。
 苦手な事をやってミスするのは、誰だって仕方がないですよ。
 僕も、恥ずかしながら学園の授業とか、あんまりしっかり追えていない自覚ありますし」

小さく苦笑する。「数学とか苦手で…」自分の苦手な所を例に挙げながら。

織機 雪兎 >  
「うん」

ミスは誰にでもある、と言うのはわかっているのだけれど。
けれど、あまりに多い。
成功もそれを帳消しにするほど多いわけでも無い。

「それがねー、成績もよくないんだよねぇー」

ハハ、と自嘲染みた笑い。
これで成績も良ければまぁ、救いようはあったのだが。
はぁ、と溜息。

レオ > 「は、ははは……」

墓穴を掘ってしまったッ!!!!!!!

「(ダメだ、成績の話を出したのは逆効果だったかもしれない…!
  …う、-ん、どうするか…)」

これ以上沈むような事は言っては駄目だ。なんとかしなければ…!
気を取り直して話を続けよう。
失敗で落ち込んでいる先輩だ、見捨てるのはあまりにも忍びない。


…少し息を吸って、言う事を考えた。
無理に励ますのも違うと思う。
なら、何を言うべきか。
…考えながら口を開く。

「まぁ、でも……
 その、織機先輩は、失敗した…んですよね?
 それは、やろうとした結果、ですから。
 他の人なら確かに、上手くやれた事なのかもしれないですけれど…
 でも、そこにいたのは、織機先輩だったので。
 任されたのか、偶然居合わせたのか…僕は、詳しくは知らないですけれども。

 …でも、そこでやったのは、それが出来たのは…失敗しても少なくとも『やった』のは織機先輩なので。
 そこに居なかった誰かが、色々言う事は、出来ると思います。
 けど、実際にそこにいた人間しか、それは…できません。
 僕はそう思います。

 だから、えっと…
 やって失敗したのは、仕方ないし、落ち込みます。僕も。
 でも…『そこにいる』事が出来たのが、大事だったんじゃないかな…って。

 何かがあった、起きた…あるいは起きるって時に
 織機先輩は、そこにいたんです。
 冷たい言い方に聞こえるかもしれないですけれど……
 上手くできる人がいたって、その場にいないなら、ただの飾りですから。
 その場にいた織機が、他の人ならって思う必要はないと思います、僕は。
 
 …それでも、ミスしたら凹みますよね。はは……
 でも、そこにいるのと、いないのとじゃ全然違いますから。」

何言ってるんだろうな、と自分でも少し思う。励ましになってないかもしれない。
自分の考えを出しただけだ。それがどう届くかは、わからない。

「…僕は織機先輩の話を聞いて、向いてないっていうのは、そうかもしれないかもって思います。
 でも、同じくらい向いてるとも思います。
 逃げる人は、どんな時でも逃げます。
 どれだけ能力があっても、出来ると分かってても、やらない人は、やりません。

 ミスした織機先輩は、逃げれなかっただけかもしれないけど…結果として、逃げてはいないじゃないですか。」
 

それは、凄い事です。と、少し遠くを見ながら言った。
本音だ。本当に、凄いと思う。

織機 雪兎 >  
「……」

逃げようとしない。
それは、良いことなのだろうか。
ぼくばかだからよくわかんない。

「ん、まぁ、そうだね。ありがとう」

でもきっと慰めようとしてくれたのはわかる。
やる気のある無能がどうとかっていう話は聞いたことがあるが、ここでそれを持ち出すのは彼の気持ちを無視することになってしまう。
それはよくない。

「あぁあああああ有能になりてぇなぁあああああああむしゃむしゃ」

ヤケクソ気味にコロッケをむしゃむしゃ。

レオ > 「うわっ!?」

すごい勢いでコロッケを食べはじめた先輩におどろく。
お腹が凄いすいたのだろうか。話長かったもんな(?)
喉に詰まらせたら、とりあえずお茶を出してあげようと思った。

「まぁ…逃げるのが悪いとは思いませんけど、ね」

少し苦笑して言う。

「ただ逃げないのは凄いっていうのは本音です。
 …僕は逃げてきましたから。
 逃げない…やるしかない、やらなきゃいけない事をやろうとするのが、難しいのは、分かりますから」

レオ > 「何より本当にダメなら上司からクビ宣告されますから。」

乾いた笑いを浮かべた。
これは『経験のある』顔だ。
かなしいなぁ

織機 雪兎 >  
「ウ゛ッ゛」

レオ > 「大丈夫です。言われるときは一瞬なので。
 まだ何もしてないのにクビって言われる事もあるので…」

経験談を語る。
言葉が重い。

織機 雪兎 >  
クビ。
その言葉に変な声を出す。
ついでに喉が詰まった。
ドンドンと胸を叩いて事なきを得た。
胸が薄くてよかった。
うるせぇ。

「ま、まぁ、うん、そうだね……」

クビかぁ……。
後どのぐらいでクビ宣告されるんだろう……。
どんより。

織機 雪兎 >  
「う゛う゛っ゛っ゛」

また詰まった。
ドンドン。

レオ > 「うわぁっ!?あ、の、飲み物飲みます!?」
慌ててお茶を出す。どうぞと

織機 雪兎 >  
「……!!」

お茶を受け取って、一気に飲み干す。
ごっごっごっと音を立てて全部。

「――っぷはぁ、ありがと……」

つい全部飲み干してしまった。
あとから買ってあげよう。

「そう、うん、クビになってないならね、うん、大丈夫だよね……」

クビと言う言葉が頭の中でぐるぐる回っている。

レオ > 「大丈夫ですか…?」

心配するように見ている後輩。
何かまずい台詞を言ってしまっただろうか。
本人にはわからない。

「まぁ、僕は三日で公安クビになりましたから、比べる訳じゃないですけど…

 …大丈夫ですよ!それよりは…マシですから…ね!」

ぐっとガッツポーズ。
言っていて悲しくなった。
でも先輩の励ましになるならこんなもの屁でもないさ。

空しい笑顔で励ました。

織機 雪兎 >  
「うん、だいじょうぶ、まだクビになってないから、だいじょうぶ」

ちょっと死んだ目。
しかし続く彼の言葉。

「三日で」

三日で。
それは、なんて言うか。

「……よしよし」

思わず彼の頭に手を伸ばして撫でる。
なんだろう、なんて言うか。
言葉に出来ない。

レオ > 「????」

撫でられた。
なんで?

レオ > まぁでも、ほんの少しでも気持ちがマシになるなら結果オーライだろう。

そう思いながら撫でられ続けた。
大型犬のような少しごわっとしてふわっとした撫で心地だ。
別に拒否もしないので撫でられ続ける。
躾けられてるなぁ

織機 雪兎 >  
ごわごわしててふわふわしてる。
なんか犬っぽい。

「あっごめん」

我に返ってさっと手を離す。
失礼だったな。

「いやぁ、なんて言うか……」

言葉を探す。
ええと、どう言ったものか。

「――三日でクビって失礼な話だよね! 三日じゃなにもわかんないのにね!」

レオ > 「あはは……自分も何が悪かったのかなぁって思ってます
 あ、いえ。別に大丈夫ですよ」

苦笑をして。
同年代に頭を撫でられるのは少し反応に困るが、本人の気が楽になるのであれば別に構わない。
失礼なんて、思う訳がない。

「―――少し、落ち着きました?」
ふわっとした笑みで聞く。

織機 雪兎 >  
「でも風紀は続いてるんでしょ? 大丈夫、れおっちがクビにされそうになったら、僕が先に僕をクビにしろー!って言ってやるからさ」

ぐっと親指を立てて。
だって明らかに彼の方が有能っぽい。
無能を残すよりも有能を残した方が絶対に良い。
自分が先にクビになりそうなのはまた別の話。

「ん、うん。ありがと、ちょっと元気出たよ」

ありがとね、ともう一度言いながら笑って見せて。

レオ > 「3日目なので今日が山場だと思ってますね…」

哀愁が漂う

織機 雪兎 >  
「ウン……まぁ、大丈夫、ウン……」

山場。
まぁ、公安を三日でクビになったのなら、そう思ってしまっても仕方ないかもしれない。

「うん、大丈夫! 僕なんて初日にパトロールで迷子になってもクビになってないから! ないから……」

なんで僕クビになってないんだろ???

レオ > 「成程…なら、大丈夫ですね!」

何が大丈夫なのだ????

「っと…じゃあ、僕はこの辺で失礼します。
 仕事で一緒になる事もあるかもしれないですし、その時は、よろしくお願いしますね」

立ち上がって、ぺこり、と頭を下げて柔らかく微笑んだ。
そしてそのまま、青年は去っていくだろう……




















青年が去って少ししてから、スマホにメッセージが届くかもしれない。
織機の従兄からだ。

織機 雪兎 >  
「ん、元気出たよ、ありがと」

じゃあね、と頭を下げる彼に手を振って。
そうしてしばらくベンチでぼんやりしてから帰ろうとしたら、

「――あれ、あら兄からだ」

スマホを見れば公安の従兄から。

四方 阿頼耶識 > 『やっほーゆっきー元気にしてるかい?
公安は毎日常世の平穏の為に暗躍してるよ。
そっちはまた風紀でミスったんだって?相変わらずバカやってるねぇ

そういえば公安クビになったウチの後輩がそっちに配属される事になったから
レオって言うんだけど、常世島来て日短いから色々不便してると思うんだよね
気が向いたら仲良くしてやってよ








まあ、クビにしたの俺なんだけどさ。
HAHAHA』

レオ > こんなメッセージが、届いていた。
ご案内:「商店街」からレオさんが去りました。
織機 雪兎 >  
「――あら兄……」

おまえのしわざか。
HAHAHAじゃねーんだよ。
がっくりと肩を落とす。
とりあえず、彼は多分風紀をクビになることはないだろう。
たぶん。
スマホをしまってコロッケを持ち、改めて家に帰ろう――

ご案内:「商店街」から織機 雪兎さんが去りました。