2020/09/13 のログ
ご案内:「商店街」に干田恭支さんが現れました。
■干田恭支 >
「これで全部かな、はい!ここ置いとくねー!」
商店街のとある小料理屋さん。その裏手に酒瓶の入ったコンテナを積み重ねる少女の姿があった。
この小料理屋さんにお酒を卸している酒屋さんが急に腰をやったらしく、
たまたま居合わせた生活委員ということでお手伝い中の干田恭支だ。
「浜辺のゴミ拾いに続き、肉体労働が続くなあ。
あ、お構いなく……明日あたり生活委員に依頼が事後報告でされるって話なんでー」
勝手口から女将さんの労いの声が聞こえ、笑顔で応じる。
時刻は既に夕方近く。海に居た時はいつ降り出すかとひやひやした空模様も、少し落ち着いたようだ。
「こういう物流関係も仕事の内なんで、ちゃんと委員会から報酬は出ますし。たぶん!」
たぶん。……たぶん。
正直なところまだ生活委員会の形態が理解出来ていないので自信は無いが、きっと働きに応じた何かは支払われるはずである。
現金か、あるいは商品券とか。少なくともタダ働きということはないだろう。
「そういうわけなんで、何かあれば生活委員までお気軽にご連絡ください!では!」
女将さんに別れを告げて、酒屋からここまで引っ張ってきたリヤカーを転がし始める。酒屋さんの物だし、返さないとならない。
■干田恭支 >
「にしても、酒屋の先輩腰大丈夫かなー
若いうちに腰やると後々苦労するって言うし、俺も気を付けないとなー」
がらがらごろごろ。何も積んでいないリアカーを引きながら商店街を進む。
もうすぐ夕飯時、あちこちの店から美味しそうな匂いが漂ってくる。正直昼から肉体労働してきた恭支にはプチ地獄。
尞の夕飯なんだろなー、とぼんやり考えながら、リアカーをがらごろ。
きゅるるん。恭支の腹が空腹を訴える。
今し方配達を終えた小料理屋と、腰やらかした酒屋さんは一つの商店街の端と端に位置している。
まだ三分の一も進んでないのにこの有様では、途中で誘惑に負けそうかもしれない。
「いやいや、ダメでしょ。ちゃんとリアカー返すまでがお仕事です。」
緩みそうになる気持ちを引き締め直しつつ、生活委員見習い、商店街を行く。
ご案内:「商店街」に真乃 真さんが現れました。
■真乃 真 > 「なっなんだってー!!タダでさえ港の方で事件があったせいで倉庫にあるものの到着が遅れてるのに……
こんなタイミングで台車の車輪が外れてしまってそれで今日納品する予定だった商品が配達できないだって!?」
商店街の真ん中で大げさな動作で電話をしている男が一人。
濃紺のスーツに燃えるようなネクタイ男である。
「じゃあ、私が走って往復して……それじゃあ間に合わないのか……。」
そう、今から真が走って往復したとしてもとてもじゃないが店の開店時間に間に合わない。
「く……こんな時に大量の荷物を一気に運ぶことのできる台車の代わりなるようなものがあれば!!!!」
男は無駄に大仰なポーズで一人嘆いている。
周囲を行く人たちはそれを見たり、写真をとったり、見ないふりをしながら商店街を進んでいく。
商店街は今日も平和だ。
■干田恭支 >
「あれ?何だろあの人だかり……」
浜辺でのゴミ拾いが相当足に来ていたのでのんびりマイペースにリアカーを引いていた恭支。
ふと気付けば前方に人だかりが出来ている。人だかりの中心は、どうやら一人の男性らしい。
「あ、あの!すいません。
良かったら、このリアカー使いますか?自転車とかあれば繋げられますけど!」
ごろごろとリアカーを引きながら、商店街の真ん中でちょっとだけ往来の邪魔になっている真乃へと声を掛ける。
何やら困っていそうで、その困りごとの解決には自分が今使っているリアカーが役に立ちそうだ。
それなら申し出ない理由も恭支にはない。そもそも自分のリアカーじゃないことには目を瞑って欲しい。
どうせ酒屋さんに返しても、肝心の引手が腰やらかしてるし。
■真乃 真 > 「新しい台車を用意すればいいと思うかもしれないだが生憎と商店街の近辺の店では何故か全て台車が売り切れてしまっている状況!!」
一体なにがあればそんな限定的な危機に陥るのだろう。
だが、現在実際起きている。これがこれこそが現実(リアル)……!!
だが、うろたえていても何も始まらない!
限界を超えてダッシュしようと思っていたらそこに…現れたのはリアカーを持った救いの神…いや、女神。
「本当かい!?生憎と自転車はないからね!
じゃあ少し!!少し借りるよ!!」
そういうが早いか叫び声をあげながら商店街の端。
先ほど少女が来ていた方角へとすさまじい速度で駆けていき……。
大量の荷物を乗せて帰って来てそのまま真っ直ぐに……。
それを3回ほど目まぐるしい速度で繰り返し……。
女子生徒の前へと帰って来た。
「ゼーゼーー…あ、ありがとうおかげで無事時間通りに店を開くことが出来るって……。
助かったよ……。」
息を切らせて、滝のような汗を垂らしながら女子生徒へ礼を告げる。
■干田恭支 >
「──、えっと、どう、いたしまし、て。」
親切心からリアカーを又貸ししたまでは良かった。
しかしその後、凄まじい勢いでリアカーを引いて回る真乃の姿を呆然と見つめるしか出来なかった。
手を出すどころか声を掛ける事すら躊躇するような鬼気迫るいきおいに気圧され、呆然とたたずむ事しばし。
「……と、とにかく。間に合ってよかったっすね!
すごい汗っすけど、ええと……大丈夫です?倒れたりしないっすか?」
滝汗状態の真乃へと恐る恐る訊ねる。
気温はそこまで高くないが、湿度はまだまだ高い。
そんな状況であそこまで全力で動けば、熱中症の危険もあるだろうと思いつつ。
■真乃 真 > 「いやあ!本当に助かった!地獄に仏というか渡りに船というか!
こういう事ってあるものなんだね!!」
少しずつ、呼吸を整えて普段の呼吸を取り戻し…
後は汗を拭えば、借りる前までの真乃真!
「大丈夫さ!ちょっと走ったくらいで倒れるような事はないさ!!
水分だっていつもしっかりとってるし!問題ないよ!」
無駄にかっこいいポーズまでつけてそんな風に伝えているが
少し、ふらつくような様子も見える。それだけの距離を走ったのだから仕方ない事ではあるだろう。
「それにしても、よくリアカーとかもってたね!買い物カートの代わりにするにはあまりに大きすぎやしないかい?」
■干田恭支 >
「いや、全然ちょっとじゃないっすよ!?
一往復だけならまだしも三往復くらいしてたっすからね!
んもう……はいこれ、とりあえず水分補給してくださいっす。」
見栄を張る真乃に少しだけ呆れながらも、浜辺のゴミ拾いの終わり際に渡されたスポーツドリンクを差し出す。
帰ったら冷やして飲もうと思って手を着けていなかったのが幸いした。
「あー、俺のじゃないんすよ、これ。
この先の酒屋さんで配送担当の先輩が腰やっちゃって。
でも一軒だけ配送残ってるって言うんで、近くに居た俺が手伝っただけっす。」
生活委員なんで、と制服の上着に着けていた腕章を示す。
ほんのちょっとだけ得意げだ。
■真乃 真 > 「くれるのかい?助かるよ…。」
貰ったスポーツドリンクを半分ほど一気に飲んだ。
やはり、喉乾いていたのでは?
「なるほど!生活委員の人かあ流石だ!…ってあそこの酒屋の人腰痛めたのか結構重いからねお酒の瓶……。」
制服の上の腕章を見ればなるほど、なるほどと頷く。
生活委員。文字通り生活に関することなら大体の事をやっている委員会。
清掃からインフラの整備まで…彼らがいないとこの島での生活は成り立たないのだ。
「本当に生活委員は色んな仕事してるなあ……。」
■干田恭支 >
「ええ、あげますあげます。
俺は別に……そこまで喉乾いてないんで。」
むしろ空腹感がすごい。
呆気にとられている間は忘れていられたが、お腹が空いてたのだ。
きゅぅ、と情けなく鳴く胃の辺りを押さえて、あはは、と苦笑い。
「親父さんより先に息子さんの方がやっちゃったみたいっす。
あそこの酒屋さん面白いっすよねー、息子さんの方が先輩で親父さんの方は俺と同級なんすよ。今年入学したばかりらしくて。」
息子が先に入学し、酒屋を始めたいということで父親がその後入学、親子二代で切り盛りしているらしい。
今回腰を痛めたのは、その息子さんの方。配達担当。
「えへへ、常世島で生きるための事なら何でもやりますから。
あ、俺一年の干田恭支っす。お兄さんは……学生さんじゃなさそうっすね、島外の人?」
■真乃 真 > 「そうかい?悪いね!」
喉が渇いてなくてもお腹空いてるのだろう。
お腹の音が微かに聞こえた気がする。
「珍しいパターンだよね!親子でこの学園に籍置いてるっていうのも珍しいし……。」
卒業生の子供がこの学園に通うという事はよくある。
異能持ちの者や異邦人が行ける場所の選択肢は少なく異能が遺伝するという事も少なくはない。
その父親のように常世の酒に惚れた!とか言う人でなければ学生として入ることは少ないだろう。
普通に店を出すより学生として部活扱いで店を出したほうが様々な恩恵を得られるので生徒になるのは妥当な判断だ。
「僕はこういう者さ!」
そういって自分の名刺を渡す。
有限会社 ゲートコネクト 常世学園支部 真乃真
「もともとここの学生だったんだけど一度卒業して、仕事としてこの島で働いてるのさ!!」
■干田恭支 > 「へえ、有限会社……ゲートコネクト……」
差し出された名刺を受取って、書かれている文字に目を通す。
これで名刺を貰ったのは二人目だ。やっぱり自分の事を簡潔に表すには便利なのだろうか、ちょっと自分の名刺が欲しくなる恭支である。
「何する会社なんです?字面だけだとあんまり想像つかないんすけど。」
さっきの一件から物流関係の仕事なのだろうかと目星をつけてみるものの。
実際にそうであるという保証は無いのだし、素直に訊ねてみることにした。
■真乃 真 > 「そう、異世界から人がやってくる門。
その門とこの世界を繋ぐって感じの会社名だね!
まあ…主に異邦人街の商品を仕入れて本土の方売るって感じの会社だよ!」
割と字面の印象そのままの会社。
常世島にあるのは支社の方、本社は本土にある会社だ。
「ちなみに、本土の方だけじゃなくてこの商店街の方にも販売してたりしてるぜ!」
無駄にかっこいいポーズでそんな宣言をする。
今日の仕事はそれだ。
業者に頼めばいい仕事だが
■干田恭支 >
「ははー、なるほど!
異邦人街の商品を本土で売る。そういう事も出来るんすね。
それならきっと本土で暮らしてる異邦の人たちも、懐かしさとか感じられる……のかな?」
むしろホームシックになったりしないだろうか。
まあ、その辺りは上手いこと何とかするのだろう。本土の会社なのだし。
「あ、常世島内での商業ルートもあるんすね。
それならいずれ俺らも手伝う事があるかもしんないっすね!
何か困りごとが起きたらいつでも窓口に持って来てくださいっす。」
にっこり笑顔を真乃に向け、ちゃっかりと委員会を売り込む事も忘れない。
とはいえ恭支は末端も末端なので、今この場で何か打診されても答え様がない。ゆえに、「窓口で」と付け加える事も忘れなかった。
■真乃 真 > 「本土で暮らしている人向けの方が強いかなあ。
異邦人の人とかは直接通販で買ったりするしね!
少しでも、異邦の事に興味をもってもらえるようなのが目的さ!」
この島以外でも異世界から来た人が暮らしていきやすい世界にしていく。
世界と世界を繋ぐ。
「生活委員には本当にいつもお世話になってるよ!
学生の時も頼りになったけど今もまた更に助けられてる!!
助けられっぱなしさ!!」
生活委員の存在には本当に助けられている。
……商売してるものにとってありがたい存在だ。