2020/09/23 のログ
ご案内:「商店街」に神樹椎苗さんが現れました。
ご案内:「商店街」に園刃 華霧さんが現れました。
神樹椎苗 >  
 いつものように、商店街で食材の買い物中。
 今晩からは娘に作るだけでなく、もう一人食べさせないといけない相手が増えた。
 献立を考える楽しみも増えたが、男女となれば食事量も適切な栄養バランスも異なる。

「――さて、どうしたもんですかね」

 朝食とお弁当の内容も考えなくてはいけない。
 商店街に並ぶ店を眺めながら、献立を考えつつ散歩するように歩いていた。

園刃 華霧 >  
ツバキの"提案"を頭の中で繰り返す。

――『あの子』を安心させてあげてほしい

そんなもの、当然のことだった。
当たり前ではあるが、意識しているのといないのとでは違う。
それに……これは、他にも意識している仲間がいる、とその場でも話にした。
であれば、今まで会ってこなかった相手にも会わなければならないだろう。

……とはいったものの。
風紀委員のいつもの格好で探せば、物々しい雰囲気過ぎて話にならないと思う。
なにより、非常に個人的な話だ。
制服でやるものではなかろう。

そんなわけで自主的にオヤスミをいただいて、なけなしの私服を引っ張り出して。
最近はあちこちを歩き回っている。

「……っても、ナぁ……」

この島は広い。
その島の中で、たった一人を見つけだす。
意外と、どころでなく大変な仕事だ。

「……ま、しゃーナいな……」

あまり怪しくならない程度に周りを見ながら歩く。

「……ん?」

それらしき姿を見つけた。
よし、じゃあ……

……まて、どうやって声かけるかな?
考えてなかったぞ

「ァ―……ちょい、そコのお嬢サん」

……気の利いた台詞は浮かばなかった

神樹椎苗 >  
「――ん」

 声を掛けられると、声の方へと振り向く。
 なぜ声を掛けられたのかと、怪訝そうな表情を浮かべてはいるが。

「なんですか。
 同性趣味は理解できますが、ナンパならお断りです。
 ナンパどころか、子供に声を掛けて路地裏に連れ込むような性倒錯者なら通報しますが」

 と、白昼堂々、言葉を選ばないトゲトゲしい反応。
 じっと、女性を上から下まで眺めるように見る。

園刃 華霧 >  
まあ、トゲな反応が返ってきてもおかしくないよなあ、と身構えてはいた。
返ってきたのは、予想以上にきっつい感じの直球ストレート。

マジでこれがサラの言ってた人物ってのなら、逆に面白い。
そうじゃなかったとしても、いや、面白い娘じゃんか。

「フは、ははは! いや、アタシらしくナかったナ。
 や、確か二怪しカったナ。アタシは園刃華霧。おマえさン、神樹椎苗でいい?」

けらけらと楽しそうに笑って聞く。
そうそう、この方がソレらしい。

「ッテ、ソれも怪しいヨな。アタシは……水無月沙羅の友だち……っていうカ。
 アイツに言わせれば、姉、らシいんダよナ。
 でまあちト、"母"を探しテ三千里しテたんダ。」

はたから聞けば何を言っているかわからないような、そんな言葉で切り出す。
その方は手っ取り早い気がした。
 

神樹椎苗 >  
「怪しさ満点でしたね。
 ――ああ、その名前は覚えがあります。
 ええ、間違いねーですよ」

 娘の名前が出れば、なるほど、と小さく頷いた。

「三千里も歩かせちまったとなれば、悪い事をしましたね。
 でも、名前と顔もわかってれば、風紀なら寮の部屋くらい見つけられるでしょうに」

 最初の戸惑った様子から、一転して砕けた気安い調子。
 女性の態度には、椎苗も警戒を解いたようで表情は和らぐ。

「それで、しいを探してたとすれば、娘の話でちがいねーですね。
 ――場所、変えますか?」

 込み入った話があるのなら、と。

園刃 華霧 >  
「ンー、いヤ。顔と名前調べルだけデも、アタシ的にはアウトなンだヨね。
 だッテさー、そウほいホい勝手に他人のコト調べンもアレじゃン?
 今回は、ちット緊急だったンで掟やブりしたけドさ。」

風紀で追い立てるように調べるなんて、趣味じゃない。
だから、探す時の姿も制服にしていないのだ。

まあ、そこは自分の勝手な主義主張なんだけど。

「あァ、うン……そうダね。
 流石、察しガよくテ助かるヨ」

なるほど、"母"か。
見た目に騙されてはいけない知性があるのがよく分かる。

神樹椎苗 >  
「なるほど、随分とモラルがあるみてーですね。
 それならしいのデータを見た時は驚いたんじゃねーですか?」

 なにせ、全ての経歴から出会った相手、出歩いた場所すら記録されて、公開されているのだ。
 目の前のマトモな感性を持った相手なら、違和感、場合によっては不快に思ってもおかしくないだろう。

「流石、なんて言われるようなもんじゃねーですよ。
 ――そこの甘味処でいいですか?」

 商店街に佇む、和菓子屋。
 茶屋も兼ねていて、座って食べれる小さな空間もある。

園刃 華霧 >  
「モラル、なンてご大層ナもんじゃナいヨ。
 アタシ自身が、そウいうのが好きじゃナいダけ。
 ……ァー……まァ、ね。ちットどこじゃナく驚いタ。」

ちょっと調べようと思ったら、出るわ出るわ。
あれやこれやと出過ぎて見る気も失せるほどだった。
ま、どうせ知りたかったのはサラの関係者ってだけだから、別にいい。

ただ……
そこまで情報が集められている目の前の相手は、何者なんだ、という疑問は勿論もった。

しかし同時に
そんなものはどうでもいいことでもあった

「ン、あぁまあ話せルなら、どこデも」

ああ、よく知ってる店だ。
あそこはいい。

神樹椎苗 >  
「そう言う価値観は悪くねーですね」

 話しながら歩みを進めて、店の中に入る。
 ちょうどスペースは空いていて、椎苗はあんみつとほうじ茶を頼んでから席に座る。

「――で、娘の事ですが。
 最近の様子がおかしいって話ですかね」

 と、左手で頬杖を突きながら問いかける。

園刃 華霧 >  
「そりゃドうも。母のお眼鏡に叶ッタかネ?」

ひひ、と面白そうに笑う。
素直に後についていって……自分は、クリームあんみつと揚げ饅頭とほうじ茶を頼む。

「ン。
 やッパ、気づイてル? ッテいうカ、まズちゃんト家、戻ってルの?」

様子がおかしい、という第一声。
流石に一緒にいるだけあってちゃんと気づいている。
……一緒にいても気づかない間抜けがいそうな気がするが、この際とりあえず忘れる。

神樹椎苗 >  
 眼鏡にかなったかと言われれば、薄く笑って答えるだろう。
 家に戻ってるのかと聞かれて、とりあえずは頷いて見せた。

「一緒にいて気づかねーわけがねーですよ。
 ――帰っては来てますし、しいの前では普通に見せてますね。
 何も言わないので、何も聞かないではいますが」

 そう答えながら、少し目を細めて。

「で、同僚――先輩に勘づかれるって事は、随分目立ったか。
 それとも、直接何かありましたか?」

園刃 華霧 >  
「おー、コワ」

薄く笑う様子におどけて答える。
まったく、手強いことで。
園刃華霧なら、それは面白いと思うだろう。

「気ヅいてナさそーナのも、いるケどナ。
 そレは置いトいて。そッカ……」

"普通"に見せてる。
ひょっとすれば、家でも入れ替わってる可能性もあるか……
目の前の少女は、予想以上に頭がいい。

あまり話さないように、という約束はあったが……この相手ならいいだろうか。

「……そウだナ。両方って言えルかナ。
 アタシもなンとなく、おかシな感じハしてたケど。
 何も言わナいから様子見てタんだけドさ。」

そもそも自分の彼女に対するスタンスがそうなのだから、そうなってしまう。
しかし、そうも言ってられなくなったのは

「……たマたま、落第街のスラムでナ。
 "明らかに違う"アイツと会った。」

さて、どこまで気づいているのか。
いきなり突拍子もない話をふる前に、ちょっとワンクッションを置いてみる。

神樹椎苗 >  
「明らかに違う、ですか」

 ふむ、と口元に左手を添えて、少し考える。
 目の前の女性は鈍感ではない。
 その相手が、明らかに違うというのであれば。

「視覚的にわかる変化であれば、他の連中だって気づきますね。
 ――なんらかの、精神的な変容ですか」

 はあ、とため息が一つ。

「情緒の不安定さは、元からありましたね。
 後は、ストレスをやたら一人でため込む性格でしたが」

 言動や思考傾向の変化、そんなところは感じられた。
 過干渉しないよう、見守っていたが――。

「なかなか、頭のいてえ事になってるみたいですね」

 困ったように、眉根を寄せた。

園刃 華霧 >  
「……」

ふむ、と独りごちる。
流石に、人格が違う、までは気づかないよなあ……
いや、アタシも聞いてなきゃ当たりまでいけたかどうか。

「割と、頭イタイ。
 んデ、その話をもうチっと詳しクしたイんだけド……」

さて、どこから話したものか……と思った時に。
ふと、頭をよぎったことがあった。


「ァー……しぃって呼んデいいカ?
 その話を進める前に確認しタいコトが一個。
 おまえサん……ちょっト前にサラが落第街で事件起こシたの、知ってル?
 内部じゃ、そこソこでカい話にナってハいたンだけド。」

そのときこそが、おそらくは"彼女"がはっきりと表で行動した瞬間。
査問会だのなんだのになったから、一応それなりにはでかい話。
もっとも、不祥事、みたいなもんだしどこまで目の前の少女が知ってるかは……不明だ。

神樹椎苗 >  
「ん、好きに呼んで構わねーですよ。
 風紀の報告で上がっている事なら、ほぼ把握しています。
 娘が同僚に大怪我をさせたって件ですね」

 報告書や査問のやたら低レベルな議事録にも目を通している。
 相手が問題にしなかったから軽い処罰で済んだようだが――相手によっては厳罰になってもおかしくなかっただろう。

「で、その原因がクズやろー――『鉄火の支配者』とか呼ばれて調子に乗ってるヤツなのもわかってます。
 娘が深刻に精神に変調を来す事があるとすれば、またどうせあのクズやろー関係でしょう」

 そこまで言うと、また大きくため息。

「先日の『ディープ・ブルー』の件でも、あいつは大怪我してますからね。
 生死の境を彷徨うようだったそうですが――それが大きなストレスになってるかもしれませんね」

 はっきり言って、あの少年は人格的に未熟な上に傲慢で鈍感で幼稚だ。
 椎苗の個人的な感想を述べるなら、不愉快極まりないクズやろーである。
 それでも、心底不愉快だが、娘の恋人なのだ。

「――それで、娘はどんな状態になってるのですか」

 運ばれてきたあんみつとほうじ茶を受け取りながら。