2020/11/14 のログ
ご案内:「商店街」にレオさんが現れました。
ご案内:「商店街」に神樹椎苗さんが現れました。
■レオ >
夕暮れの商店街を歩く男女が一組。
男女……というには少し違和感のある、10歳にも満たぬであろう少女と、15,6歳ほどの青年。
傍目から見れば兄妹にすら見える二人組が、買い物袋を片手に進む。
「ふぅ……何だかんだで量増えちゃいましたね」
今日からしばらくの間の食材と、マシュマロ……飼っている子猫用の品の数々。
備蓄出来る分補充するとなれば荷物として嵩みやすく、二人で分担して持つ必要が出来るほどの量になってしまった。
尤も、大半は青年が持ってはいるのだが。
「マシュマロも待ってますし、はやく帰らないといけませんね。
…今日の晩御飯は何にするんです?」
くすり、と笑いながら隣にいる少女に尋ねる。
こうしている時間が、青年にとっては一番の癒しの一時だった。
■神樹椎苗 >
「んー、そうですね、寒くなってきましたしおでんやお鍋がいいかも――」
と、青年と寄り添って歩く包帯だらけの超絶美幼女は、ふと自分を指して。
「――晩御飯にしますか?」
そう、外見年齢にそぐわない台詞を言うのである。
■レオ >
「‥‥…‥‥」
この人はまた……
いつも僕をからかう。
それを真に受ける自分も自分なのかもしれないが、人前は流石に色々と、危ない。
「――――こほんっ。
冗談はさておいて、お鍋、いいですね。
偶には他の人も呼んで食べますか?
ほら、沙羅先輩や、園刃先輩とか。
そういう機会あまりありませんでしたし」
軽く咳払いしながら、話題を戻す。
少しだけ耳あたりが熱いのは多分寒さのせいだろう。
きっとそのはず。
それにしても……
自分で言っておいて、誰かを誘うかなんて提案がぱっと出るなんて思いもしなかった。
ある意味、手間を取らせるような事なのに。
あの人達は僕と椎苗さんの事もちゃんと知っている人だから、つい気を許してしまうのかな。
■神樹椎苗 >
「ああ、そう言うのも悪くはないですね」
次女とは普段から一緒に食べてはいるが、長女の方に手料理を食べさせたことはない。
そう言う意味では、いずれそう言う機会を設けるのも面白いかもしれないが。
「ですが、まだしばらくは二人がいいですね。
まあ、クリスマスや年始くらいは、ケーキやおせちを用意して集まるのも考えておきましょうか」
次女の方はともかく、長女の方は案外、クリスマスを過ごしたい相手くらいいそうだが。
それを言えば、椎苗もまた青年とクリスマスを過ごす事に興味がない訳じゃない。
■レオ >
「じゃあ、今日は二人で。
……クリスマスかぁ。
もうそんな時期なんですね。
随分早い…って、なんだか何時も言ってる気がするな」
時の流れは早く、紅葉の季節も過ぎ去りつつあった。
木の葉の落ちた木々を見れば、まるでつい先日に見に行ったあの赤い景色が随分と前の事になったかのように錯覚するのは、この常世島の四季がはっきりとしている……というだけの話でもなさそうだった。
こうして話をしてると、色んな不安もまた時の流れで去っていくのかな。
そんな風に、思いはじめていた…
……そんな風に、思い違いをしていた。
■声 >
「やあ、お二人さん。
買い物の途中に失礼?
少し話……いいかい?」
ふと後ろから、声をかけられた。
■神樹椎苗 >
「そうですよ、ほら、そこももうイルミネーションがクリスマス仕様になってます」
と、商店街の様子を眺めながら、二人で道を歩き。
声を掛けられると、首を傾げて足を止めた。
「ん、何か用ですか――」
そう、後ろを振り返る。
■レオ >
「ん…?
あぁ、はい…大丈夫ですが、何か用d…」
青年もまた、声に反応して後ろを振り返る。
何だろう?
そんな思考もつかの間。
振り返った先にいたのは、見覚えのある人物―――――――
■青年 >
「いやぁ、呼び留めて申し訳ない。
偶然後輩を見かけたからついつい声をちゃった。
―――久しぶり、ってぇ…程でもないか。
元気してたかい、レオ?
そして、名前は耳にしてるよ。
初めまして、神樹椎名ちゃん?」
声の主は振り返る二人ににこりとして挨拶をする。
明るめの茶髪をラフにセットした、サングラスに青いジャケットが特徴の青年。
年は20前後ほどだろうか。
整った顔立ちに、少し軽薄さを感じさせるような笑みを浮かべたその人物は…どうやらレオの知り合いらしい。
「どーも、レオの前の職場の上司やってました。
四方阿頼耶って言います。
以後、お見知りおきを?」
■神樹椎苗 >
「ああ――どうも。
見知るつもりはねーですが、まあ見たら忘れないですよ。
それで、公安のトラブルメーカーが何の用ですか」
相手にはさほど驚く様子もなく。
普段と変わらない声音で応えた。
■レオ >
「――――四方先輩?」
一方のこちらは、少し驚いた様子で。
確かに前に会った時からそれほど時間が空いた訳でもない。
でも、こんな所で会うとは思わなかった。
この人は何時も、タイミングがいいのか悪いのかよく分からない時に、ひょっこりと現れるから。
―――タイミング。
そう考えた時に、一瞬だけ背筋に寒気を感じた。
何となくの、不安。
漠然としたそれは、しかし何故か気のせいには思えなくて……
「その……僕らに、何か…?」
■四方 阿頼耶 >
「そう気構えないで頂戴よ。
ほら、そっちのお嬢さんみたくリラックス、リラックスと。
あ、何? 僕有名人だったりします?
いやぁ、目立つと公安のお偉いに嫌な顔されるんだけどなぁ…なんて」
ハハハと笑うその顔は、彼女が自分の事を知っているのを微塵も意外そうには思っていない様子で。
冗談で言っているというのが、人の機微に疎いものでも分かるだろう。
「ま、後輩見かけたからってのは半分嘘で。
少し話があってね、お二人に。
そうだなぁ‥‥‥ま、単刀直入に聞いちゃおうか。」
少しだけ分かりやすくうーんとしてから、何かを確認するかのように携帯端末を一度見て。
そして青年は、二人の方を向き返し本題に入るだろう。
彼から聞かれるのは、二人のよく知る人物の事だった。
「水無月沙羅ちゃん―――――
彼女……元気してるかい?」
■神樹椎苗 >
「ああ、そのことですか。
ええ、普段通り相変わらずですよ。
あいつは『何も知りません』からね」
そう、しれっと答える。
それこそ、なんでもない事のように。
嘘を吐く必要もなく、騙る理由もない。
真っ正直に娘の様子を話した。
■四方 阿頼耶 >
「…成程ね」
その言葉に、青年は納得したようにそう言い。
そのまま少し考えるようにするだろう。
何の事だか分かっていないのは、その場には一人しかおらず――――
■レオ >
「あの……」
その一人はしかし、漠然と何か”悪い事”が起きているのだけは察した様子で。
その表情を誰よりも、強張らせる。
沙羅先輩の様子を、四方先輩が態々伺った。
それに対し、椎苗さんは”その事”と返した。
何かを、二人は知っていて……自分は知らない。
『何も知らない』って、どういう事なんだ?
二人は何を知っていて、何が起きているんだ?
良くない想像だけが、頭の中を巡らせる……
「沙羅、先輩に……何かあったんですか……?」
口に出す言葉が、震えた。
聞いたら、戻れない気がして。
でも不安から、止まる事もできなくて。
■神樹椎苗 >
「あいつは何もしてませんし、なにもされてませんよ。
少なくとも――お前やしいが関わるような事は、何もありませんね」
と、ある意味では冷たくも取れるような言い方で、青年に答える。
「で、公安は、例の『不幸な事件』でも追ってるんですかね。
しいからすれば、むしろ今まで起きなかったのが不思議な事件でしたが」
■四方 阿頼耶 >
「知らないなら知らないでおくって選択もアリだしね」
まるで突き放すかのような彼女の言葉に、半ば同意するような言葉を返す。
関わるような事はない。
実際そんなものだろう。
仕事じゃない限り首を突っ込んでも損しかない。
態々そんな事を、まして後輩にしてもらう必要もない。
「んー、まぁ急だったからねぇ。
前々から懸念はあったけど――――」
だから、そのまま少しぼかして話をしようとし――――
■レオ >
「待ってくださいよ…っ!!」
その言葉が、怒声にも似た声で遮られる。
■レオ >
「関わる事じゃない、って…何ですか…!?
沙羅先輩が、どうしたんですか…っ!?
何が起きてるんですか…!?」
積もり積もった不安を吐き出すように、言葉を続ける。
前から、予兆はあった。
今起きている落第街の件も、不安を掻き立てていた。
悪いピースは、埋まって一つの絵を作りあげかけていた。
■神樹椎苗 >
「だから言ってるじゃないですか。
『バカ娘は』なにもしてませんし、何もされてません。
そうですね、公安」
そう男に確認する。
「ただ――しいに訊ねてくるって事は、『歓楽街での不幸な事件』の容疑を掛けられてるって事でしょう。
どんな事件かは、まあ、こんな場所で言うもんじゃねーですが。
その点に関しては、しいはアリバイを証明するものを持っていませんし、弁護するつもりもありません」
そう言ってから、青年と男の双方に聞かせるように。
「しいが『証明できない』って事の意味は、お前たちはわかりますね」
■レオ >
「――――――」
信じられないという顔をして、少女の顔を見る。
『歓楽街の不幸な事件』
その言葉で浮かぶのは、一つの事件。
それの容疑を、かけられている。
落第街の武力制圧に近い”調査”の引き金となった事件。
神代理央が行った惨劇の―――――――切欠となる事件の、容疑者。
「…、……‥」
何か言葉にしようとして、何一つとして言葉には、ならなかった。
代わりに、青年……四方阿頼耶の方を見る。
まるで『嘘だと言ってほしい』と、言うかのように。
■四方 阿頼耶 >
「――――随分とドライだなぁ」
その言葉に、軽く返す。
シリアスな顔は得意じゃない。
それに水無月沙羅に関しても、レオのように親しい訳じゃない。
動揺を隠せてすらいない後輩に、真剣な顔を向けた所で何も変わりはしないのだから。
「”神樹ちゃんの言葉の通り”だよ、レオ。
その様子だとま……漠然と不安は抱えてたみたいだけどさ。
ま……こんな詳しくこの子が知ってるのはちょっと予想外だったけど。
流石と言う所かな?」
彼女の素性…というよりは”学園での立ち位置”は知っている。
調べればすぐに目にする事が出来る情報だ。
公安として仕事をして、仮にも一つのチームをまとめ上げている立場で、表で分かってる情報を頭の中に入れていない訳がない。
だから、『バカ娘は』という言葉の意味も理解している。
「しかしその言い方だと…やっぱり”彼女”の方ってワケ。
まぁ腹芸出来るタイプじゃなさそうだしなぁ、彼女。
ちなみに神樹ちゃん、一応聞いてみるけど動機に心当たりは?」
本当に一応、聞くだけ聞くという風に尋ねる。
察しはついている、と言うかのように。