2020/11/15 のログ
■神樹椎苗 >
「しいは娘が選んだ事なら、何であっても受け入れます。
娘の行動に伴う責であれば、共に背負います。
ですが、余計な庇い立てをするつもりはありませんね」
そう、はっきりと口にする。
動揺する隣の青年には、小さな足でスネを蹴っ飛ばした。
「お前はもう少し腰を据えやがれです。
一々動揺して狼狽えてるんじゃねーですよ」
しっかりと青年の手を握って、眉を顰めながら。
「――しいに聞くまでもなく、動機なんてわかり切ったことじゃねーですか。
こうなる可能性なんて、いくらでも想定できたでしょう。
事前に手を打たなかった、組織の怠慢ですね」
■レオ >
「っ……すみ、ません…」
スネを蹴られ、少しはっとしたように返す。
腰を据えろ。
一々動揺するな。
全くもって、その通りだ。
動揺したって、何も解決しはしないのだから。
「……神代先輩の事、って事ですよね。
ずっと沙羅先輩が気にしていた事なんて、それくらいしか思い浮かばないですから……
……だからって」
やりすぎだ、と…言いたくなってしまう。
落第街で起きている事を思えば、猶更。
それを見て……つい先日も無用な血が流れているのだから。
やるせない。
気付けばぎゅっと、拳を握りしめていた。
■四方 阿頼耶 >
「まっ‥‥…気持ちは分かるよ。
俺もヒーヒー言いながらあちこち走り回ってるし、その原因が一組の色恋沙汰が原因とあっちゃあ……言いたい事は色々出てくるもんでしょう。
ただまぁ……個人の問題でこんだけ騒ぎが大きくなった、っていうのが問題でさぁ」
ため息を吐きながら続ける。
「”風紀による落第街の攻撃が、風紀委員の内ゲバが原因だった”
実際それが表に出るとどうなるだろうね?
正直俺としちゃ、そっちのが気がかりでさぁ」
言ってしまえば、落第街を攻める理由を作る為に、わざと犯人を知っていて放置している。
それが現状の”特務広報部”のやり口だ。
いくら攻撃しても犯人は出てこず、出てくるまで同じことを続ける。
それを止める方法は犯人を見つける事だが……
水無月沙羅は風紀委員の人間だ。
落第街の人間では、ない。
むしろ、落第街を攻撃している側の人間。
もしも攻撃を受け、怒り心頭の落第街の住人達がこの事を知ればどうなるだろうか。
風紀委員の一人芝居の結果で自分達の生活が脅かされていると知られれば、どう思うだろうか。
「公安としてはね、だーいぶいやーな流れな訳。
こうなる前に止めないと駄目だったっていうのは事実だし返す言葉もないんだけどね。
で、だ……こっからが本題
水無月沙羅ちゃん、俺ら…公安に引き渡してもらえない?」
■神樹椎苗 >
「公安や風紀がどうなろうと、しいには知ったことじゃねーです。
少なくとも、常世島に住んでる大多数の一般学生、一般職員にはどうでもいい事ですね。
そんな『些細な事』で崩れる組織体系でも、仕組みでもありませんし。
ほとんどの人間にとっては、『そんな事もあったんだ』で終わる話ですから」
だからこそ、その上の上位組織――生徒会や財団は無関心でいるのだ。
何人――何百人かが多少暴れたところで、この島は何も変わらない。
その程度でこの島が揺らぐのなら、記録に残っている五年前の複数の事件によって、この学園はとっくに崩壊しているだろう。
「――かと言って、行動の結果には責任が伴わなくてはなりません。
『娘たち』には清算すべき事柄が多いのも事実です。
学外追放――はむしろ危険ですね。
かなり軽く見ても、厳重監視の上に行動制限、一定期間の拘束、その程度はあるでしょう。
あの状態ですから、精神鑑定も必要になるでしょうが」
そう淡々と口にするが、傍目に見ても関心があるとは言えない様子だろう。
言葉にしている通り、椎苗の『娘たち』には今回だけでなく、これまで繰り返した問題行動の積み重ねもある。
それらも正しく清算されていると言えない以上、どのような処分を受けようと異を唱えるのも厳しい。
「ですが、なぜしいに確認をとるのですか。
直接本人を拘束すればいいでしょう。
表に出ないよう生徒一人を拘束するくらい、出来ないはずがないのですから」
その程度も出来ないようなら、公安という組織は必要がない。
問題が表に出る前に対応するのが公安委員会の仕事なのだから。
■四方 阿頼耶 >
「平和ってのは口開いてればやってくるものじゃないんでね。
『些細な事』…っていうのは、結構簡単に物事の常識をひっくり返すもんだよ。
それこそ大々的に起きた事件よりも、事が大きくなりかねない事ってのは多い。
だからこそ俺達みたいな公安委員会って組織が存在してる訳だしね」
公安委員会の活動が表になる事など殆どないが、しかし確かに存在し日々活動をしている。
その仕事量は表で駆け回る風紀委員よりも膨大な可能性すらある。
その中には後ろ暗いやり取りも、今回のような事件も多くある。
それらを処理して、今曲りなりにも”平和”に学園が運営出来ているのは事実だ。
「ま……普通にそうだろうね。
経歴みただけでも結構な問題児だったっぽいし。
まー……表沙汰にならなくても十分罪は問われる。
それは確実
その上で確認とってる理由?
そりゃぁ……」
その次の言葉を言おうとして、一度二人をちらりと見る。
神樹椎苗と、レオ・スプリッグス・ウイットフォード。
この二人、ないし”どちらか”には事前に話を通しておく必要があった。
理由は、単純。
「…今後の事態の転がり方によっては、”君たちのうちのどちらかの力を使ってもらう必要がある”からだよ」
ひどく冷めた、言葉。
冗談で済ます事の出来ない、言葉。
その意味は……単純明快だろう。
■レオ >
「――――――えっ?」
『君たちのうちのどちらかの力を使ってもらう必要がある』
その意味が分からないほど、頭が働かない訳ではない。
水無月沙羅に対して、自分か、神樹椎苗の力が必要になる。
その事が意味するのは……
”水無月沙羅を、殺害する必要が出てくるかもしれない”という事。
―――沙羅先輩を、殺さないといけないかもしれない。
可能性の話だ。
それは分かっている。
でも、”そうしなければいけない可能性がある”
頭が、くらくらとする。
吐き気がこみあげてくる。
何時ぞやに自分が言った言葉が、今になって返ってくる。
『いざという時は僕が殺します』
あれから、自分は変わった。
”変わってしまった”
その言葉が、更に自分を刺し貫いてしまう程に。
「ぁ…っ、それ、は…‥‥」
口から、漏れ出す声。
その声は―――――――それ以上続く事はなく。
■神樹椎苗 >
「――なるほど。
そこまでの問題とは思いませんが、そういう事ならしいが受けますよ。
元々そう言う『役目』もありますし、約束もありますからね」
一般学生からすれば遠い出来事だが、組織として看過出来る事ではないのは確かだ。
なにかを言おうとする青年を遮って、椎苗は平然と頷いた。
「まあ『そういう可能性』も否定はできませんが。
現実的にはあり得ないでしょうね。
悪くても『無期限の補習』、そんなところでしょう」
はあ、とため息一つ。
それで要件は終わりか、と言わんばかりだ。
■四方 阿頼耶 >
「少なくとも今のままならね。
でも万が一の場合はある。
抵抗した時とか……更に罪を重ねた場合とかね。
ただ……」
少し困った顔をしながら青年は、言葉を続ける。
万が一の場合が起きるというのも厄介だが……一番困っているのは、もう一つ。
「ウチにさぁ……その”万が一”が起きて欲しくないって言う奴が一人いる訳。
『そんな事があったら娘に顔向けができねぇ』…ってさ。
だから態々、身内に事前に声かけしてそれが無いように万全策を取らなくちゃいけなくてね。
参っちゃうよ」
部下の個人的な要望。
正直な所、そんなの無理と言うのは簡単だが……それは自分が仕切る組織の意義に反する。
部下が望むなら、出来る限りの事はしなければならない。
上司としての務め。
自分が集め、自分が掲げた目的のために働く下の者に対する礼儀。
「だから、出来れば協力して欲しいんだよねぇ……水無月沙羅ちゃんの身柄の確保。
お願いできない?」
■神樹椎苗 >
「協力。
出頭でも促せってんですか?
まだ容疑の段階でしょう」
男の言葉に、首を傾げる。
「しいに出来る事なんて、精々が事後処理くらいですよ。
まあでもそうですね――しいを盾にすればいくらでも応じるでしょう。
抵抗の様子があれば、しいの立場を利用したらいいです。
そうしたら大人しくなるでしょう」
そう、躊躇う事もなく、自分を利用するように促した。
それだけ、『娘』の中で自分の存在が大きいという自覚がある。
椎苗の立場が危うくなるとすれば、『娘』も抵抗するような事は出来ないだろう。
「上手くしいを使う分には、好きにしやがれって所です。
名前を出すなり、人質にとるなり好きにすりゃあいいでしょう」
■四方 阿頼耶 >
「いやぁ、今出頭されるのも色々面倒でさ。
だからといって罪をなかった事にもできないからね。
何しでかすか分かんないし、とりあえずウチで”保護”しときたい訳なのよね」
何せ今迄やってきた事が事。
監視し、下手を打たぬようにはしておきたいというのが公安としての考えでもある。
その上で、相手の目論見を聞き出し、取るべき手を考えてゆきたい。
その為の、協力者。
神樹椎苗と、レオ・スプリッグス・ウイットフォードというカード。
「水無月沙羅ちゃんにはこっちから接触試みるけど……そうだね、そのときの保険になってもらえるとありがたいかな。
レオも同じく、って所。
それに加えて、もしも何か水無月沙羅ちゃんの為に何か動きたいっていうなら仕事は回すけど……
どうだい?
受ける気、ある?」
この中で一番、冷静ではいられていない人物にそう問いかける。
動くな、という言葉も、今の彼には酷な話だろう。
なら……これがせいぜい、こっちから出来る事だった。
■神樹椎苗 >
「――ああ、そう言う事ですか。
ええ、保険に使えるなら使ってください。
あの娘なら、その保険も必要ないとは思いますが」
おそらく、同行を告げられた時点でおとなしく従うだろう。
「しいは特に、そこに干渉するつもりはありませんよ。
まあ事が納まってからは多少、やる事もあるでしょうが――お前は、どうしますか?」
と、繋いだ手が汗ばみ、狼狽しているだろう青年に問いかける。
■レオ >
「…、……」
返事に、詰まる。
知らされた事実が大きすぎる事……目の前の彼女のように、事の顛末を見届けるという立場もある。
だがレオは、風紀委員である。
それも、所謂前線組と称される立場。
落第街に赴くこともそう珍しい事ではない。
今回起きている落第街での問題事は、風紀委員である以上他人事ではない。
それでも、今眼を瞑り時間の流れに任せておけば……深く関わる事はないのかもしれない。
しかし彼には、残された時間は短い。
あまりにも、短い。
もしかすれば…水無月沙羅と自分が関われるチャンスは、これが最後になるかもしれない。
二度と会う事なく、自分が先に”去る”可能性が、十分にあった。
だからこそ……
「……少し、考えさせてください」
迷っていた。
目の前の少女と共に待つのも選択肢の内なのは、間違いない。
今この場で……どうにかしたいという気持ちだけで動いていいのか。
分からない。
分からないから……その返事を、しっかりと考えないといけなかった。
ぐちゃぐちゃになりそうな心を抑え込みながら、絞り出すように言い切った。
■神樹椎苗 >
「――そうですか」
青年の答えに頷いてから、男に視線を向ける。
「という事ですが、問題ありますか?」
確認するように男へ訊ねた。
■四方 阿頼耶 >
「いいや?全然OK」
絞り出された声に反して、返ってくる言葉はひどくあっさりとしていて。
それでいいよと言わんばかりにいつもの調子で四方は言葉を続ける。
「じゃあ、答えが決まったら連絡入れなよ。
どっちを選んでも俺達はちゃーんと仕事をする。
ま……悪いようにはしないさ。
安心なさい」
未だ強張った表情のレオの肩にポン、と手を添え。
『それまでは任せろ』と言うかのように、彼の横を歩いてゆく。
「今こう言うのは皮肉に聞こえるかもしんないけどさ。
…いいんじゃない? 二つ返事で考え投げ捨てて言われた事やってた頃よりは、ずっとさ。
よっぽど人間らしいよ、今の君の方が。
だから悩みなよ。
悩みまくるのは若者の特権、だぜ?」
そう言いながら、四方は進んでゆくだろう。
■レオ >
「…‥‥」
かつての上司が立ち去り、再び二人になれば。
まるで張り詰めた糸が切れるかのように、少年の体がぐらりと揺れる。
顔色は悪く、上手く呼吸ができていないのか息遣いが荒い。
大分、堪えていたようだ。
「…、……すみ、ません」
青ざめた顔で、少女に謝罪する。
何に対しての謝罪なのか。
それすら彼には、曖昧で。
■神樹椎苗 >
揺れた青年の身体を引き寄せて、全身を使って支えた。
特に椎苗に何かしてやれる事があるわけではないが――。
「――えらかったですね」
そうして、微笑みながら、答えを急かなかった事を褒めてやる事は出来る。
「大丈夫です、落ち着いてから、ゆっくり考えましょう」
青年の背中に手を回して、小さな体でしっかりと抱きしめて。
少しでも落ち着けるように、あやすように、背中を優しく叩く。
■レオ >
「―――、―――――……」
支えられた体には、力は殆ど感じられず。
買い物袋を落とさなかっただけでも十分奇跡的だった。
震える手で荷物を抱え、俯く姿は……ひどく弱っていて。
怯えた子供のようにも、見えた。
「………、っ……、……はい……」
小さく、それだけを返し。
商店街の真ん中でしばらく……立ち尽くすだろう。
……これは、始まり。
彼がこの島へとやってきて最初の…苦難の始まり。
■神樹椎苗 >
少しの間立ち尽くした青年を落ち着けてから。
さあ、とばかりに左手で手を掴みなおす。
それもぼそりと小声で魔術も発動しながら。
「――さ、買い出しの続きに行きますよ。
今夜は鍋ですからね、何か面白いモノでも見つけましょう!」
と、強引に手を引いて歩き出す。
青年のリアクションなどお構いなしだろう。
それも楽しそうに、左右に立ち並ぶ商店を眺めながら。
■レオ >
「――――っ‥‥…は、い」
先ほどと同じ、返事。
手を引かれるがままに、彼女へとついてゆくその姿は……
まるで生まれて間もない、幼子。
年も背も、少年の方が明らかに上なのに。
彼女に支えられ、なんとか進んでいる。
――――弱いな。
弱くなった、僕は。
どうしようもなく…弱くなっている。
四方先輩は、今のがいいと言ったけれど。
自分にはそうは…思えない、思いたくなかった。
「(強く……なりたいな)」
彼女の事に関わると決めたのに、今は何もできる気はせず。
そんな泥沼から……抜け出したい思いだけが積っていった。
■神樹椎苗 >
青年はきっと、今の自分を情けなく思っているのだろう。
けれど、それは違っていると椎苗は感じていた。
「ん、あれは――」
引いていた青年の手を話して、軒を連ねる商店へと駆け寄っていく。
陳列された商品から、あるものを手に取ると、笑顔で青年に振り向いた。
「今日の鍋はこれにしましょう!」
そして椎苗の手には、椎苗の顔を二つ並べるよりも巨大な爬虫綱。
トコヨスッポンが小さな手に抱えられていた。
――トコヨスッポン。
爬虫綱カメ目スッポン科に分類される、スッポンの亜種。
常世島近海でのみ見られる、最大1mを超える巨大なスッポンである。
原種のスッポンの特徴に加え、肉もまた非常に食べやすくなっている。
なお、血液がそのまま出汁になるほど旨味が濃縮されており、『常世の血鍋』としてメニューに載る高級飲食店もある。
また、滋養強壮、健康増進に非常に強力な作用があり、特にED治療や不妊治療において他の追随を許さない治療成績を生んでいる。
近代漢方の生薬として重宝されており、また高級食材として知られている。
――引用:ねこと学ぶ常世島の動物
「一度食べた事がありますが、これの血鍋は本当に美味いのですよ。
食事に感心がないしいでも美味いと感じたのですから、お前も食べれば元気になるはずです!」
と、自信満々に満面の笑みで言うのだ。
■レオ >
「――――そうですね。
楽しみだなぁ」
普段なら、何かしら変に感じる筈の彼女の様子にも青年は上の空で。
言葉に生返事を返すのが精いっぱいだった。
暗い心中を、どうにかしようと。
その顔だけは穏やかにと、微笑みを作り――――
「――――――――」
その顔はひどく、空虚に見えた。
仮面を貼り付けたように、空虚。
心を押し殺した、生きてない顔。
それが……苦しみに対して唯一出来る事。
彼と最初に出会った頃の顔に、よく似ていた。
■神樹椎苗 >
「――ふむ」
まるで以前に戻ったかのような青年の様子に、スッポンを抱えながら唸ると。
「てい」
スッポンを振り上げて、その顔面に叩きつけた。
■レオ >
「――――――」
叩きつけられたすっぽんに、反応する事もなく。
ずるり、と顔からすっぽんが落ちても、変わらぬ空虚な顔のまま。
「――――食べ物で遊んじゃ、だめですよ」
微笑みを貼り付けたまま、注意をするのみだった。
「……椎苗さん。
大丈夫ですよ。
僕は、大丈夫」
■神樹椎苗 >
「その顔で大丈夫、なんて言うんじゃねえですよ」
困ったように微笑みながら、小さなため息一つ。
落ちたスッポンを拾い上げて、唖然としている店主に支払いを済ませると大きな袋を抱えてもって帰ってくる。
「さ、帰って鍋にしましょう。
ああ、その調子ではぐれたりするんじゃねーですよ。
その時は迷子の呼び出しを頼みますからね」
そう言って体で押し出すように、青年の背中を押して。
「――お前はちゃんと前に進んでいます。
お前が倒れそうなときは支えてやりますから、安心して歩けばいいんですよ」
言葉通り全身で支えながら、力強く押し出す。
例え青年が躓き、倒れ、転びそうになっても、こうして支えてやれれば――そう思う。
青年の時間はようやく動き出したところなのだから。
■レオ >
「――――支えてもらって、ばかりだなぁ」
小さく、ほんの小さく、苦笑した。
弱く苦しい笑みだった。
青年の島での生活は、これまで出来すぎな程に…恵まれていた。
だからこそな部分も、あるのだろう。
それが崩れかけた時の痛みが、今こうして圧し掛かっている。
でも、そんなものだ。
進んでも、何処かで障害にぶつかる。
そうでなくても足をもつれさせる事なんて、いくらでもある。
転ばぬ道など、何処にもない。
誰だって、同じだ。
今こうして支えてくれる少女にだって、起き得る事。
焦る必要はない。
それが分かるのは…もう少ししてからだろう。
だから今は。
こうして……支えられていればいい。
自分で立てるようになった時、同じように彼女が躓いた時。
今度は、少年が支えられるように。
「……今は、お願いします」
支えられていればいい筈なのだから。
ご案内:「商店街」から神樹椎苗さんが去りました。
ご案内:「商店街」からレオさんが去りました。