2020/12/31 のログ
■神代理央 >
突然耳元に響く声。
敵意や悪意には慣れていても、それ以外の感情には鈍感。
かつ、気配察知など微塵も出来ない。故に――
「……う、わっ…!?
き、急に声をかけるな……。というか、何時からついて来ていたんだ…?」
思わずあげた、素っ頓狂な声。
その声を振り払うようにこほん、と一息入れると、突然現れた少女に呆れた様な視線を向ける。
「……いや、お前………ああ、いや。冥が巻いておけ。
風邪でも引いたらいけないし、今日は本当に寒いからな」
ふむ、と少女が巻いたマフラーに視線を向ける。
しかし、少女からマフラーを奪ってまで温まろうというつもりはなかったのか、少女の提案に小さく首を振る。
一緒に巻く、なんて恋愛漫画の様な発想には至らなかったらしい。
「…ああ、丁度良かった。何か必要な物があれば買ってやろう。
元々あの家は大した物は置いていないし…細々した物でいるものがあれば、言って欲しいんだが」
自宅であるマンションには、最低限の家具や生活用品しか置いていない。場合によっては本庁の仮眠室に泊まり込んだり、入院生活の多い己は、家で寛ぐ、という事が余り無かったからだ。
だから、一時的に保護した少女に不便が無いだろうか、と。
首を傾げて尋ねるだろうか。
■比良坂 冥 >
「? ……ずっと、いつでも理央の側にいるよ…?」
振り向いた少年と眼が合えば、気恥ずかしそうにもじもじとしはじめた
返る言葉も要領を得ない。そういうことを聞いてるんじゃないというズレたもの…
「……二人で、え…う、うん……」
二人で巻けるよ。と言おうとしたようだったが、"冥"と名前で呼ばれ黙ってしまった
名前で呼ばれることがそれだけで嬉しいように、てれてれとしている
そして何か必要な物が…と言われれば
「……いいの?」
と遠慮がちに見上げ
「……じゃあ、蛇が欲しい」
あまりにも素っ頓狂な返事が帰ってくるのだった
■神代理央 >
「……ああ、そうか。それは何よりだ。冥が居てくれて私も嬉しいよ」
質問に対する明確な答は得られなかったが、それを追求する事も無い。
小さく溜息を吐き出した後、気恥ずかしそうな様子の少女に苦笑いを浮かべるのだろう。
そして、何か言いかけた後急に黙ってしまった少女を、今度は不思議そうに眺める事になるだろうか。
名前で呼んで欲しい、と少女が願ったからそうしているだけ。
其処から先を思い至れない辺りが、女心に疎い少年の悪い所、なのだろう。
「………蛇?蛇って、生きている蛇か?」
蛇は果たして生活必需品だろうか。
うーん?、と暫し悩む様に天空を見上げる。
空を見上げる頬を冷風が撫でて、直ぐに首を引っ込める事になるのだが。
「………ペットとして飼いたい、というなら別に構わないが。
ちゃんと世話するのと、部屋を散らかさない事を守れるならな」
そうして、寒そうに縮こまった儘悩んだ後。
まあ、そういう動物を愛玩する事もあるだろう、と割とあっさりと少女に頷く事になる。
己の自宅に蛇がいる、という環境にも大して拒否反応を見せる様子は無い。というよりも、自分自身の事に対して若干無頓着であるのだろうか。
「ペット以外の用途で欲しいというなら、理由を聞かないといけないけど」
と付け足しながら。ゆっくりと少女に歩み寄ると、緩んだマフラーをきちんと巻き直そうと手を伸ばすだろうか。
■比良坂 冥 >
きゅん
いてくれて嬉しい、なんて
そんな言葉を向けるものだから少女、冥の眼がきらきらと輝き始める
それが心からの言葉でないにしても、上辺だけの言葉だとしても、冥はそれを本気として受け止めているようだった
人目も憚らず抱きつきに来るまで5秒前
「……うん、蛇…。
おうちで大人しくしてると、退屈だから…飼いたいな、って。
蛇って可愛いから、ずーっと、見てても飽きないし……」
果たしてそうだろうか
という疑問は置いておいて、冥にとってはそうらしい
「……うん、ちゃんと世話も、する。…優しいね、理央。好き」
あっさりそれを承諾してくれた少年に対して、熱っぽい瞳が向けられる…
マフラーを巻き直そうと手を伸ばされた矢先…どんっ、とその身を預けるようにして
それなりに人もいる年の瀬の商店街、人目も気にせず少年…理央へと抱きついた
■神代理央 >
元々、所謂"普通"の恋愛感情にも疎い少年は、少女の瞳が輝き始めた事には気付いても、その理由を察する事は出来ない。
何か良い事あったのかな?くらいに思っている。美味しいスイーツを見つけた、とか。
「…ふむ。確かに私は風紀委員会の仕事で外出している事が多いだろう。退屈しのぎになるのなら、買っておこうか。
ちゃんと世話すること。それだけは、守るんだぞ」
蛇って何を食べるんだろうか。虫とかなら、保管場所が大変だな。
――くらいには思っているが、少女が家で退屈するだろうとは予想していたので、その願いを否定する事は無いだろう。
どうせ部屋も余っているし、一つくらい蛇部屋にしてしまってもいいか、くらいには。蛇部屋ってなんだ、とは思っていない。
世間一般から微妙にずれた二人だからこそ、案外スムーズに会話が進んでいる…のかもしれない。
「……別に優しくは無い。それが冥に必要だと思ったから――!?」
最後迄言葉を言い切る前に、少女の躰が飛び込んできた。
少しだけ踏鞴を踏んでしまうが、辛うじて倒れ込む事無く少女を抱きとめることができた。もう少し鍛えないとな、なんて思考の遠くで思っていたり。
「………あー、よしよし。冥に喜んでもらえて嬉しいよ」
流石に衆目の中で抱き着かれるのは恥ずかしい。
とはいえ、無垢な少女を引き剥がしたり、拒絶の言葉を向けたくもない。
結果として、少女をあやす様にその頭をぽんぽんと撫でながら、妹に接する兄の様な声色で、少女の言葉に応えるだろうか。
彼女の監視役は何をしているのか、とか。
美少女と言って差し支えない少女に抱き着かれて、少なからず思う所があったりとか。
そういう事は、ぐっと飲み込んで。
■比良坂 冥 >
「……優しいよ。私なんかに構って、家に置いてくれて、ご飯もくれて。こうやって欲しいものを聞いてくれて。
理央が優しくない、なんてことになったら、この世の誰も優しくないと思う」
喋りだしこそ遅いものの、饒舌
ぎゅっと少年の痩躯を抱きしめながら、胸元に顔を埋めるようにしてそう言葉を続けて…
「……本当?ほんとに嬉しい?私が喜ぶと、理央も嬉しいの?」
ぱっと表情が見える位置まで身体を離せば、初対面の時に感じた陰鬱さ、昏さはどこへやらといった恋する少女の顔
そしてくっついてみて、やはり寒そうだと思ったのか、マフラーを二人で…理央の首にも巻こうとする
恋人巻き、なんて言うのだったか、理央は、きっと知らないのだろうけれど
「……ありがとう。ちゃんと蛇、お世話もするから…」
ふわっとした笑みを浮かべて、素直に謝辞を延べた
どこかおかしいところがある…意外は素直な女の子、にも見えるだろうか
要監視対象であり、そのどこかおかしいところ、が問題なのは言うまでもないのだが
そして少女がこうやって出歩き、自宅に帰っていないというのにやはり
冥の監視役となっている風紀委員からは音沙汰が一切ないのである
■神代理央 >
話し出せば、意外と言葉を多く紡ぐ少女。
傍目から見れば、普通の少女と何ら変わりは無い。
己の胸元に顔を埋めた少女の頭を撫でながら、そんな事を思ったりもするのだが、それでも――
「…ああ、勿論だとも。冥みたいな可愛い女の子が喜んでくれれば、私も嬉しい。
それに、折角保護した冥が悲しむ様では、私も風紀委員として失格だからな」
それでも、少女は危険な異能を持つ監視対象。
そして己は、偶々少女を保護した風紀委員。
だから、少女に向ける言葉に偽りはなくても、本心でも無い。
気に掛けてはいる。ただ、少女の想いに応えられていないだけ。
とはいえ、マフラーを二人一緒に巻こうとする少女の行動を止める事はない。
"恋人巻き"なるそれを当然知る由も無い己は、少し恥ずかしいな、くらいにしか思わない。あと、動きにくくないのかな、みたいな。
周囲から微笑ましいカップルを見る様な生暖かい視線が向けられていても、それが敵意や悪意でなければ気付けないくらいには鈍感なのだから。
「うん。冥に飼われて良かった、と蛇が思う様に、大事に世話するんだぞ。……蛇が其処まで考えるかどうかは知らないけど」
何処までも素直で、そして可憐に見える少女。
そんな少女だからこそ、此方も向けられた笑みには、穏やかな笑みと共に言葉を紡ぐのだろうか。
少女を保護した日から、監視役の委員にはメールを送っているのだが未だ音沙汰は無い。
此方から報告も入れているのに、返信すらない。
何かあったのか、と思いを馳せながら、少女の体温で温かいマフラーに、僅かに首元を埋めた。
■比良坂 冥 >
「……かわいい、私かわいい…?…うふふ、嬉しい……」
頭を撫でられれば本当に子供のように、目を細めて嬉しがり、
マフラーを巻き終われば、顔を紅くして少年から離れる
「……うん、大事にする…どんな蛇がいいかな……キングコブラ…?」
さすがに売っていないと思う
そしてそれは少女なりの冗談に聞こえない冗談だったらしく
流行のペットであるらしいタマゴヘビなんかがいいな、なんて零しながら…
餌もウズラの卵で足りる、飼いやすい蛇のようだった
「……あ」
そんな会話の中で、突然少女は声をあげる
「……私の監視担当さんね。今、少しだけ体調を崩しているみたい。そのうち、よくなるんじゃないかな…」
ぞわ、と何かが警鐘を鳴らすような違和感と、感覚
まるで理央の内心を見透かしたような言葉はどこか不気味で、唐突だった
■神代理央 >
「ああ、冥は可愛いよ。世の男共がきっと放っておかないだろうさ」
それはまあ、嘘偽りない本心。
少女は美少女と呼んで差し支えない風貌ではある。
可愛い、という言葉は決して世辞や仕事で告げる言葉ではない。
「……流石に、毒蛇の類は勘弁して欲しいものだな…」
と、苦笑いを浮かべつつ。
そんな冗談を交わせる様に少女が落ち着いた事に、内心胸をなでおろしていた。
此の侭なら、少女を家に帰せる日も近いだろう――
「……体調を、崩している?へえ、そうか。そう、なのか」
己は、他者からの好意に鈍感である。
その代わり――敵意、悪意、それに付随するモノ。それらには、幾分敏感であった。
だから、少女の言葉に秘められた闇が。己の内心を見透かした様な言葉が。その言葉を発したタイミングが。
全てが、己に訴える。やはり、此の少女は危険な存在であるのだ、と。
「……わざわざ教えてくれてありがとな、冥。
実は、連絡が取れなくて困っていたんだ。具合が良くなれば、きっとあっちから連絡してくれるだろうな。
良い子には、何か御褒美をあげないといけないな。何か、美味しい物でも買って帰ろうか?」
だから、少女に向ける笑みは変わらず穏やかで、優し気なもの。
此の少女を、己の目の届く所に置いておかなければ、という危機感と義務感。
それが、少女という鎖に囚われ始めている事に――少年はまだ、気付いていない。
■比良坂 冥 >
「……私のこと可愛い、なんて言ってくれるの、理央だけだよ。もしくは、へんなひと」
僅かに伏し目がちに目を伏せ、笑う
「……そう、寒くなってきたし、ね。体調、悪いみたい…。
よくなったら、ちゃんと連絡……するようにさせる、ね」
どこか引っ掛かりを感じるような少女の言葉
──報告書にある、少女の異常異能<イル・センス>には、心を読むだなんて能力はリストされていない
そもそも、異能抑制のための黒いチョーカーをちゃんと首につけ、監視対象としての義務を果たしている
引き千切ったり、外したりすれば別だが、今の時点で少女の首にそれはつけられていた
……もっとも、強力な強制力を持つ力には完全に効果を発揮しない…というのは過去に実証もされていたが
が、目を向けてみればそんなことを感じさせないくらいに、ぱっと笑顔を見せる冥
年頃の、恋する少女の花の咲くような笑顔──
「……ご褒美?嬉しい…」
商店街には露店も並び、暖かいものも売っている
目移りしちゃうね、なんて。旗から見れば二人でマフラーを巻く、学生同士の中の良い恋人…にも見えるのだろうか?
そんな少女の笑みの奥に、じゃらりと音鳴りする鎖が
まるで蛇のように少しずつ、少しずつ、少年──神代理央に絡みついていくのだった
■神代理央 >
「……そうか?じゃあ、私はへんなひと、で構わないさ。
そうすれば、冥の事を可愛いと言っても構わないのだろう?」
瞳を伏せる少女に、小さく首を傾げてみせる。
先ずは少女の自己肯定感を強くしなければ。なんて、思っていたりしての言葉なのだが。
「……ああ。そうして貰えると助かるよ。
必要なら私から本庁にも連絡するし、何か異常があれば風紀委員会がきちんと冥の身柄を保護してくれるだろうから、安心して良い」
そう。己が感じたのは所詮は違和感。単なる警戒心。
それを明確な言葉や数値に表す事は出来ないし、気のせいかもしれない。
少なくとも、報告書に記載された"事実"だけ見れば、これは単なる己の気にし過ぎ、だ。
だけど。いや、だからこそ。その己の感覚を信じて、少女に言葉を投げかけた。
場合によっては本庁に少女を預けるべきだろうか、という言葉は、少なからず少女の身を案じてのものでもあったのだが。
だが今は。鮮やかな笑みを浮かべる少女を保護し、守る事が己の"仕事"だ。
少女の感情に何となく気付かない訳でも無いのだが――それが何処迄本気なのかは、己には未だ分からない。
だから少なくとも。己に縋り、頼って来た少女を守るくらいは、しなければならないのだから。
「……私は結構甘党な方なんだが、冥は、どうかな。
せっかくだから、好きな食べ物とか色々教えてくれると助かるよ」
花咲く少女と連れ立って歩く少年。
此の二人が、落第街に災厄をばら撒く風紀委員と、風紀委員会から監視対象に指定された少女だなどとは、きっと誰も思わないだろう。
仮初か、或いは薄氷か。穏やかな日常の一幕を、二人は過ごして、帰路につくのだろう。
絡みつく鎖に。纏わりつく蛇に。
未だ、気付かない儘――
ご案内:「商店街」から比良坂 冥さんが去りました。
ご案内:「商店街」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「商店街」に葉山翔一さんが現れました。
■葉山翔一 > ついに来てしまった年末。
今までは準備をすることもなく寝て暮らしていた年末年始であったが小海はそれを変えてみようと買い出しに繰り出す。
「と、言ってもなぁ…」
何が必要かなどはさっぱりと解らないもので開いている店を確認してはこれというものを適当に購入して。
「餅に保存食に……干し柿に…あとは何が必要だったっけ…」
いざ準備をするとなると物が有ればあるだけ悩んでしまうもの。
買った物を何処かにしまい込んでは次の店にと足を向ける。
■葉山翔一 > 「こういうのは……いらないか」
次に足を止めたのはそこそこに大きなゲーム屋。
少し前に新作が出たと言う事もあり賑わっているのを眺める。
ただこの方ゲームなどはした事はなく買うのかと言われればそれはない。
ただ画質が綺麗だと感心するようについ眺め。
「暇つぶしにはいいかもしれないんだけどな…」
きっと買えば引きこもってでもプレイを続けそうな気がする。
しかしハードも持っていないのでソフトを買うわけにもいかず。何よりどれがいいかなどさっぱり。
完全に客ではなく冷やかしで店頭のモニターに流れるか像を眺めて。
■葉山翔一 > そうしてしばらくそうしていたがやがて飽き、次へと足を向けて。
ご案内:「商店街」から葉山翔一さんが去りました。