2021/02/02 のログ
ご案内:「商店街」に杉本久遠さんが現れました。
■杉本久遠 >
『兄ちゃん、恵方巻き受け取ってきてー。
ついでに豆もぼちぼち買ってきてよ。
よろしくねー!』
というわけで、節分である。
商店街を訪れた久遠は、妹が予約していた恵方巻きを受け取った。
今年の恵方は南南東らしい。
妹からそう聞かされていた。
■杉本久遠 >
「今年も来てしまったなぁ」
久遠は少しだけこの行事が苦手だった。
というのも、昔から妹に泣くほど豆を投げつけられていたから、とかではなく。
どうしても、大会の事を想起させられて緊張してしまうからだ。
「だはは、もうあの時とは違うが。
どうにも身構えてしまうなぁ」
■杉本久遠 >
「だはは、もうあの時とは違うが。
どうにも身構えてしまうなぁ」
二年前、はじめて大会に参加した日を思い出す。
自分がどれだけ未熟かを思い知り、才能と言うものを持たないのだと知った苦い記憶。
あれから随分と変わったものだが、それでも転換期の記憶は忘れられるものではない。
「特に今年は新入部員もいるからな。
うむ、情けないところは見せられないな!
だっはっは!」
それでも久遠は笑う。
自分が持たざるものと知って、弱さを知ってもなお笑うのだ。
それが、今の久遠を支えている。
■杉本久遠 >
ふと、自分が掲示した大会のポスターが目に入る。
細い目から濃い青が覗いて、足が止まった。
このポスターを、一体何人が目にしてくれただろうか。
その内、一体何人が興味を持ってくれるだろうか。
そして、一体何人がこの世界に足を踏み入れてくれるのだろうか。
それを思うと、少しだけ寂しさを覚える。
久遠にできる事はそう多くはない。
顔を上げて、笑って、エアースイムは楽しいぞ、と、全身で伝え続ける事しか出来ないのだ。
ご案内:「商店街」にシャンティさんが現れました。
■シャンティ > 闇の差す場所から、光が溜まる場所へ
たまにはこういう場も悪くない……とはいっても、もはや自分にそれを感じる感覚自体はない
ただ、"読み取れる”世界はだいぶ違う
誰も彼もが概ね楽しそうで、誰も彼もが大体幸せそうだ
それはとても明るい光景だろうし、素敵な光景だろう
それが歪む瞬間もまた……
『……男の視線はポスターに釘付けになる。その目には様々な感情が浮かぶ。期待、寂寥、挫折……』
ふと、女は謳い上げる。異質をそこに感じたからこそ。
「あら、ぁ……その、ポスター、が……どう、かした、の……かし、らぁ……?」
■杉本久遠 >
「――おぉ?
だはは、なに、どうというわけでもないんだ。
ただ、この大会、一人でも多く見に来てくれたらいいと思ってなあ」
と、そこで女性を振り向き。
おや、と眉を上げる。
「――エアースイムというスポーツの大会だあるんだ。
オレはその選手であり、広報を請け負っても居てな。
一人でも、参加者や観客が増えてくれたら嬉しいと思っているんだよ」
そうして女性に笑いかけながら、補足を付け加える。
はたして、彼女は興味を持ってくれるだろうか?
■シャンティ > 『「――」男は振り向き、眉を上げる。「――」男は笑いながら、言葉を継いだ。その顔はどこか探るような顔つきでもある』
「――エアー……スイ、ム……?」
記憶を探る。確かに、そのような名前のスポーツがあったような覚えはある。
空を、文字通り"泳ぐ”。そのようなものだっただろうか。
ああ、それはきっと――ティンカーベルのごとく、大空を舞うのだろう。
「底、抜け……の、マイナー……と、までは……いか、ない、けれ、どぉ……そう、ねぇ……メジャー、では……な、い――そん、な……競技、だった……かし、らぁ……?」
見下すでもなく、ただただ純粋に自分に確認するかのような言葉を女は口にする。
「広報……そう、そう、ねぇ……宣伝、した、い……これ、で、人、が……集ま、る、のか……集まって、欲しい……そん、な……気持、ち」
人差し指を唇に当てて、考え込むようにする
「で、もぉ……なん、だか……貴方、の目、はぁ……ただ、それ、だけ…じゃ、なかった、よう、に……思え、た、けれ、どぉ……?」
■杉本久遠 >
その情景を歌うような言葉に首を傾げつつも。
女性からエアースイムについての言葉が出れば、嬉しそうにするだろう。
「おお、知ってるのか!
だはは、たしかにメジャーとは言えない、マイナースポーツだな。
うむ、そんな気持ちだな、こういう機会に一人でも多くに知って欲しいからなあ」
しかし、少し考えこむような仕草から続いた言葉には、困ったように頭を掻いた。
「ん、ああ、そんなふうに見えたか?
だはは、まあ、選手でもあるからな。
大会ともなれば思うところもあるさ」
と、困ったように笑いながら答える。
■シャンティ > 『「――」男は一瞬首をかしげるが、嬉しそうに笑う。』
自分の好きなことに情熱を傾ける人間は、嫌いではない。
少しだけ、自分も気を良くする。
「そぅ、ねぇ……私、は……自分、では……でき、そうに、ない……けれ、どぉ……"覗く”の、は……悪く、ない、かも……しれ、ない、わぁ……私、は……くわ、しく……な、ぃ……けれ、どぉ……空――を、自由、に、泳ぐ……そん、な……競技、で、よかった、かし、らぁ……?」
人差し指を口に当てたまま、小首をかしげて問う
「ふふ……選手、な、ら……そう、ねぇ……試合、への……不安、とか? それ、とも……焦燥、かし、らぁ……?」
手に持った本を撫でながら女は続けて問いかける。
■杉本久遠 >
歌うような言葉に、そんな嬉しそうな顔をしていたのかと、自分の頬を触ってみた。
「できない、という事はないと思うぞ。
まあさすがに競技スイムをするには、困難があるとは思うが。
――うむ、自由に空を泳ぐ、まさにそれがエアースイムだ!」
大げさに頷いて、ぐっと親指を立てた。
「不安、焦燥か。
確かにそれもあるだろうなあ。
だが、なにかというなら、まあ緊張というやつだな!
夏と冬、年二回の大会だから、というのもあるが。
オレの半年が試される瞬間、オレがどこまで行けるのかが試される瞬間だからな。
不安でもあり、楽しみでもあり、やはり緊張するわけだ!」
だっはっは、と口をあけて笑う。
そこには少しの暗さも含まれていない。
不安はもちろん、寂しさや過去の挫折を想起はするが、それでも笑う久遠は力強く前を向いている。