2021/03/29 のログ
藤白 真夜 >  
私を見る彼の瞳が、どこか遠いなにかを見ているような気がしたけれど、構わない。
人は見たいものを見る生き物だし。
彼が視ているものは、きっと"そう"でもあるのだ。


「い、いえ、私が勝手に先輩呼びしてしまっただけですし、気にしないでくださいねっ」

少し頬を赤くしながら、ふと気づいて慌てて手を離せば。
やっぱり、少し離れて立つ。
……実際のところ、やはり先輩な気がしているし。

「……わ、私ですか?
 夢見が悪いのは、生まれつきな気がしていますから、あんまり気にしていないんですけどね
 きっと、慣れているだけでしょう。
 ……でも、う~ん……」

私のは、きっと、悪夢ではないのです。
ただ、思い出して、忘れないようにするために必要なもの。
だから、それは忌み嫌うものでもなく。
事実、慣れているだけ。

……だから。
顔を赤くしながら、もじもじとしながらも、聞いてしまいます。

「あのぉ……。私の、血の匂い。
 ど、どれくらい、匂いますか……?」

き、聞いてしまったぁ~っ!
よ、よりによって男の人に……!で、でも、やっぱり気になるというかっ。いえ、仕事帰りなのが良くなかったんです祭祀局の仕事じゃ絶対血が出るからどうしてもというか、これで結構臭うとか言われたら絶対お風呂の時間が3倍とらないとというか……!

照月奏詩 > 「気にするなって言われてもやっぱり気になるんだよなぁ。どうみても中等部って感じじゃないし」

 つまり最低でもタメ、場合によってはこっちが後輩。なのに先輩というのにどうしても違和感が生じてしまう。
 彼女の夢をきけば少し顔をしかめる。

「それは中々辛いな……って匂い?」

 うーんと考える。
 少しだけ悩んでから。

「……今回の場合俺が無駄に過敏だったってのもあるし。鼻が利くんだよな俺。だからその辺考えると……別に普通くらいじゃないか? 近寄って匂い嗅ごうとしなきゃ気が付かないと思うぞ。まぁ俺みたいに鼻が良い奴とか。荒事に慣れてる風紀なんかだと気が付くかもしれないけど」

 女性相手に言うのははばかられるので言わないが。つまるところ汗の臭いの代わり程度に感じただけで別に強い血の臭いとかそういうレベルではなかったと思う。
 だから鼻が良い相手でなければ気が付かないんじゃないかと告げて。

「……気になるなら消臭スプレーとか。お香とか持ち歩いてみるのも良いかもしれないな?」

藤白 真夜 >  
「……!そ、そうなんですね……!よ、よかったです……
 私の匂いがあんまりにもアレでトラウマを刺激したとかそういうのではなくて……」

……ほっ。あんまりセーフではない気もするのですが、私は割とポジティブ思考なのです。

「……消臭スプレー、微妙に効きが悪いんです……。
 本来汗の匂いを消すものだとかで……」

しくしく。すでに通った道でした。
いっそお香で匂いを混ぜたほうがいいのでは……なんて、しょんぼりしながら考えつつも。


「……顔色、良くなりましたね」

……彼を見れば、少し笑顔。
大切なお話も、他愛ないお話も、少しは気が紛れると、いいのですが。

「私も、そろそろ帰らないといけないのですけど。
 ……もう、大丈夫ですよね。
 照月せんぱい?」

結局、先輩と呼びながら、からかうように笑ってみせて。

照月奏詩 >  
「むしろそんなにアレだったらトラウマより先に真夜の体の心配するって。怪我してるとか大量に血を使ったんじゃないかとか」

 むしろそこまで強烈だったなら逆に何事もなかったかもしれない。なんて少し冗談めかして言って。
 試したらしい反応を見ればあぁと少しだけ目線が泳ぐ。

「まぁ、うん……色々とがんばれ。研究とかで解決するといいな」

 彼女としてもやはり気になる事なのだろう。年頃なら当たり前と言えば当たり前の悩みなのだろうが。
 そして心配されれば少しだけ笑って。

「ああ、おかげ様で……でもあれだ。遅くなったし、俺が付き合わせたって負い目もあるからさ。せめて近くまで送らせてくれ。これで帰り何かありました……なんていったらいよいよもって救いようのない悪党になっちまう」

 それくらいは許してくれるだろなんて言いながらベンチから立ち上がる。

「そういうわけだから行こうぜ真夜先輩?」

 こっちもこっちで負けるかと少しだけからかうように。相手の学年は聞いていないのでこちらも雰囲気から。
 なんとなくお姉さんっぽい雰囲気がしていたのでもしかしたら学年が上ではないかと思った。とはいっても自分の場合自身の年齢がわからないので本当に年上かどうかはわからないのだが。
 そうして許可されれば近くまで、断られれば自分の帰路へと向かって歩き始めるだろう。

藤白 真夜 >  
「はい!……じゃ、じゃあ、一緒に帰りましょう……か」

……そう、答えたはいいものの。
男の人と帰るとかあんまりしたことがなく、やっぱり今更顔が赤くなってくるのですけど。

「も、もうっ。
 結局、この学園だと年齢とか学年とか色々ありますし、呼びたいように呼ぶのが良いとは思うのですけどっ
 こう、照月さんの精神性というか、困った人にさらっと声をかけられるのが私としても先輩というかですね……」

などなど。
他愛ないおしゃべりをしながら帰るのでしょう。
別れ際に、

「ちゃんとご飯食べてくださいねーっ」

なんて、食欲が無いと言っていた彼を心配しながら……。

ご案内:「商店街」から藤白 真夜さんが去りました。
照月奏詩 >  
「癖みたいなもんだよそれは」

 そんな自身の精神性を褒められればそういって。
 さらりと先輩が外れているのを少しだけ笑っていたりもしたが指摘はせず。そうして歩いていく。
 食事に関してはすぐにいつも通りとはいかないが、戻ってから少しは食べた事だろう。

ご案内:「商店街」から照月奏詩さんが去りました。