2021/07/09 のログ
ご案内:「商店街」にラヴェータさんが現れました。
ラヴェータ > 日も暮れ客の層も変わり街灯のみが照らす商店街。
一人、周囲を無表情に見渡しながら黒い軍服の少女が歩いていた。

「催しというのはなんとも...
ものの二日でこうも片付けられているのを見ると儚いものに感じてしまうな」

盛者必衰、とは少し違うのだろうが。
七夕から二日経った夜の商店街。
大体の店舗が店じまいを始めており、今見ている店舗は七夕の笹を抱え込んで片付けているところだった。
昼間にはあんなに人がいるここが静かになっていく様を見ているとなんともしんみりとした気持ちになる。

買い食いも立ち読みも話しかける相手もいない。
夕方の頃からここにいるが、その時はあったすべてが今はない。
商店街が息を止める様を眺めているだけでも退屈は感じないが...なんともいえない空虚なものを感じた。

ラヴェータ > 「あんなにも盛り上がっていた七夕も二日も一年後まで忘れられるというのだから解せんな...
願い事というのはしょせんその程度ということか?」

店内にしまわれていく笹を見ながら呟く。
七夕当日の盛り上がりは自身の飼い主が過労で倒れることを心配する規模のものであったが、一日二日経つだけでその形跡もなくなってしまうのはなんとも儚いものに感じられた。
それはつまり、飾られた人々の願いも片付けられてしまうということで。
人々が願いを託した短冊はこのあと精々ゴミにしかならない。
そう考えると願うことに対する人々の価値観がうかがい知れる。
真剣に願っていても、しょせんそれは無責任に投げ出された"願い"でしかないのだろうと。
投げ出された願いがそのあとどうなろうが、知ったことではないのだろう。
それは叶おうが叶うまいが関係ない、ただの願いに過ぎないのだから。

「理央の言う通り、チュールとでも書いておくべきだったかもしれんな」

物欲程度がちょうどいいのかもしれない。

ラヴェータ > そのまま十数分、ほぼすべての店舗が店じまいを終えるまでは何をするでもなくとどまることなく歩き続けていた少女は、すべての店舗の店じまいが終わると同時にその場を去った。
少女がどこに行ったかは誰も見ていない。

ご案内:「商店街」からラヴェータさんが去りました。