2022/03/12 のログ
『調香師』 > 「あなたもこの香りに誘われて?」

唐突に口を開く。まだ目線は捉えたまま
距離を測るよりまず、口から零れた言葉は、
くぐり損ねた自動ドアの様に衝突する

しかし、その直後に首はまた傾く
今度は先程までとは反対の方向に

「...でも、あなたからも香りがする
 ここのお店の様に甘くて...果実も混じった濃厚さ
 クレープを買う前に、こんな匂いって?」

首が傾いたまま、口に手を当てて考える仕草
その間に一歩、歩んでもみていて

神樹椎苗 >  
「――む、喋れんのですか」

 遠目から投げかけられた言葉は、妙な問いかけだった。
 貴女も、という以上、彼女もクレープを目的にやってきたようだが。

「はて、臭いますかね。
 まあさっきまでクレープを食べてましたからね。
 今は次に何を食べようか考えていたところです」

 頬に付いたクリームに気づかないまま。
 妙に匂いに敏感だなと思うばかり。
 

『調香師』 > 「それに、奥の方には...」

さて、機械の身でも気のせいというものはあるのだろうか
測るに、どうにも人体から出てくるとは思えないような、
緑深くに茂る、薫り高い樹木のソレも漂っている?...と

口にまではしなかった。気が付けば、彼女は目前に居たのだろう

「クレープ、二個目。それはとても欲張りな人だね

 でも二個目。食べる前に、私が言っておいた方がいいのかな?
 それが『初めてだ』って顔は出来る様にした方が良いと思うなって」

少し腰を屈めた指先は、貴女の頬をなぞらんと動く
掬い取ってしまえたならば、またこれも鼻先ですん、と
堪能するがごとく、嗅ぎ取ってしまうのだろう

神樹椎苗 >  
「――さて、なんでしょうね」

 どうやら、単なる匂いをかぎ分けてるわけではないらしい。
 とはいえ、特に探られて痛いものもない。
 気にするほどでもなかったが。

「随分と奇妙な言い回しを――んむ」

 伸ばされた指に、頬を撫でられる。
 これと云って忌避はないが、なにかと思えば指先にはクリーム。

「――むう、やっぱり、すこしクリームが多すぎましたかね」

 なぞられた頬を、自分の左手で触る。
 なんともむず痒い。

「別に、しいはそこの屋台はよく使ってますから。
 それに、金を払えば何個食べたってかまわねえでしょう」

 彼女の独特な言い回しに、少しだけ首を傾げつつ。
 立ち上がって屋台に向かうと、店主にクレープを注文する。

「小豆抹茶ホイップ、クリームダブル、キャラメルソース追加で、二つ」

 はいよ、とカロリーが過剰になりそうな注文にも、慣れた様子で店主は答える。
 屋台は外から作る様子が見えるようになっており、クレープが作られていくのを眺める事が出来た。
 

『調香師』 > 嗅ぎ慣れたそれを、最後には口にぱくり
すぐには飲み込まず、舌の上でじっくりと溶かして
広がっていく香りを転がす。さて一息

「小豆抹茶ホイップ、クリームダブル、キャラメルソース追加で......二つ?」

注文も、貴女の背を追って。繰り返そうとした所で、最後の部分に首がまた大きく傾く
あれ、今度は二つ食べるのかな、と。それならとても欲張りさん

言葉の意図に気付いているだろう店員は、はいはいと返事をしながら苦笑を返して
うすーい生地が広がっていく。焼けていく、貴女より高い目線から眺める

少し香ばしさも混じってくる頃に掬われて、そこからまた様々な物に彩られていく
勿論、香りに対しても。古今東西、ありとあらゆる甘味の調和が為されゆこう

神樹椎苗 >  
 クレープはほどなくして焼かれて、やけに巨大な生地に包まれた、大量のホイップクリームが姿を現す。
 小豆と抹茶ティラミスをホイップクリームで埋め尽くし、上からキャラメルソースがたっぷりと掛けられている。
 恐ろしい甘味の暴力が顕現するのだった。

「ん、ちょっとサービスしすぎですよ。
 だから儲かんねーんです」

 そんなふうに言いながら、椎苗が大きなカップに納まるソレを一つ受け取ると、店主は頭を掻いて苦笑い。
 椎苗が振り込んだ電子マネーは、正規料金より一回りほど多かった。

「――ほら、お前も食べに来たんでしょう。
 ここのクレープは美味いですから、遠慮なく食うと良いです」

 左手で受け取ったやけにデカいクレープを、首を傾げてる妙ちくりんに差し出した。
 カップから溢れるサイズのクレープには、大きなスプーンも刺さっている。
 

『調香師』 > 「お店にはそう言う気分もある...って事なのかな
 私はぴったりぴったりだけどね」

やけに親身な言葉でした。彼女自身もお店を持っているのです
察するにはまだまだ、情報が足りないかもしれませんが、
持ち運んでいたバスケットの中身も、仕入れに近い香りの束

で、あるからして。食べに来たというのは少し違う
彼女はまた、香りのサンプル集めに来たというのが正しいのだが...

「それは私に、贈り物。そう受け取っていいのかな?
 うん。ありがとう、出来るだけ美味しく食べられるといいな、いひ」

ほほえみから変わらない表情に、下手な笑う声が漏れる
両手で受け取ってみると、想定よりも重量を感じる

人間が食べるには多すぎる?これを二つ、小さな女の子が
初めの頃の目線とはまた違う、しかし同じく興味深げな目線
クレープと往復した後、彼女はやっとそれに手を付けました

スプーンで掬って。それはそれはゆっくりと、味わう仕草でした

神樹椎苗 >  
「気分でやってると、儲けが出なくなるんですよ。
 まあ――常連としては、悪くない気分ですけどね」

 やはり、特別にサービスをしてもらえると、なかなかいい気分ではある。
 とはいえ、ここの店主は少々サービスが過ぎるのだ。
 原価が安いクレープとはいえ、儲けを出すには薄利多売しかないのだから、その薄利をさらに薄くされると何とも余計な心配をしたくもなるのだった。

「――個性的な笑い方ですね。
 別に贈り物ってほど大したもんじゃねーですから、気にせず食えば良いのです」

 言いながら、自分の分を左手で受け取る。
 クレープを食べ始めた彼女を見ると、満足げに頷き。
 椎苗もまたベンチへと戻っていく。
 膝の上にカップを乗せると、左手だけで器用に食べ始めた。
 

『調香師』 > 「とはいえ、気にするなと言われてもね
 私にとって、それは『私の為』の事

 返せるものは香りしかないけれど、
 香りの事で返せるならそれが一番望ましい」

当然の様に、彼女もベンチへの歩みに連なる
傍から見れば初めましてだとは思えない位に

「私は調香師、名乗りはメロウ
 あなたはだあれ。知ってもいい?」

彼女の内心と言えば、片手で食べるから頬に付くのかな、なんて

神樹椎苗 >  
「返したいっていうなら、精々美味しく食べる事ですね。
 ただの気まぐれですから、気にされても困りますし」

 とはいえ、礼をしたいという意思を無下にするつもりもない。
 椎苗としてはクレープを堪能してくれれば、それで十分ではあるのだが。
 隣に座る彼女は――少々距離が近い。

「調香師――『香り屋』ですか。
 なかなか面白い仕事をしてますね。
 しいは、かみきしいな。
 好きなように呼べばいいです」

 名前を知られて困る事もない。
 ただ少し困る事があるとすれば。

「ええい、近すぎます。
 食べづらいじゃねえですか」

 左手だけでクレープを食べる椎苗は、右手を一切動かしていない。
 動かさないどころか、ピクリとも動く様子のないのは、近くによれば確実にわかる事だろう。
 

『調香師』 > 「それじゃあ、しいなさまで良いかな?」

好きなようにはするけれども、
彼女の選択はへりくだる様な物だった

...そのなれなれしい態度に反して

「食べづらそうだね。腕、動かないね
 私のもの。そこから食べる?」

少し削れたクレープを続いて貴女に差し向ける動き
重量感がある故か、バランスも少し危うい。サービス精神と犠牲

神樹椎苗 >  
「さま、なんて言われるようなもんじゃねえですよ。
 しいはただの備品ですから。
 お前が改まるような相手じゃありません」

 慣れ慣れしいくせに、妙なへりくだり方をする。
 口調も、さま、と付ける割にはため口だ。

「――お前の話し方も少しわかってきましたよ。
 別に、動かねー事には慣れてますから、心配いりません。
 それはお前の分ですから、お前が食べるのですよ」

 そう言いながら、多少不自由そうにしつつも、しっかりとクレープを食べている。
 食べづらいとは言いつつも、片手での生活に慣れている様子は見て取れるだろう。
 

『調香師』 > 「それを言うなら、私もそうだよ?
 人に仕える道具だけど、なんだか色々あって自由のまま
 私は『心』に従って...だってね。んひひ」

確かに、その行動に手助けが必要な様子もない
ならばと、彼女がクレープを引っ込める判断にも問題はない

手出しを嫌うとまでは言わないが。出来る事はちゃんとしたい相手らしい

「うん、なんだか分かる気がするのかもね
『出来る事』は大事にしたい。私もそうだし

 香り屋って言ってたけれど。調香は私のそれだもん」

いわんや、両手が自由な者が綺麗に食べられない訳もなく
スピードは遅くとも、確かにその牙城を崩している様子

「小豆と抹茶、混ざって甘く
 包み込むクリーム、キャラメルのちょっと重い香ばしさ
 ...でも、クリーミーすぎて香りの包み込みが進みすぎ?

 なるほど、口にするとまた学び」

感想の整理とはいえ、ちょっとうるさいかも

神樹椎苗 >  
「ああ――なるほど。
 良いじゃないですか、自由。
 心があって、自由がある。
 それはとても、幸福な事ですよ」

 なんてことはない――人間でないくらい、この島では日常の一部だ。
 その個性的な笑い方も、慣れればどうってことはない。
 彼女が自由の中で得た、立派な個性の一つだろう。

「日々できる事をなして、懸命に過ごし、いずれ訪れる眠りを迎える。
 それが生きるって事です。
 眠れなくとも――せめて生きてるフリくらいはしてえですから」

 そう話してから、口が滑り過ぎたと誤魔化すようにクレープを頬張る。
 初対面の相手に話す事でもなかった。

 一生懸命に感想を言葉にしながら、クレープを食べる彼女の姿は、どこか微笑ましい。
 なるほど味よりも香りが彼女には大事なようだ。

「他にもおすすめがありますから、ごちそうしてやりますよ。
 礼は――そうですね、しいに付き合ってもらいましょうか。
 一人で黙々と食べるのも、味気ないもんですから」

 そう言って、自分の分のクレープを食べつつ。
 食べ終えればまた、断られない限り二人分のクレープを注文する事だろう。
 はじめまして、には少し甘すぎる出会いだったかもしれないが――これもまた、穏やかな日々の一幕。
 

『調香師』 > 「それがお礼になるのなら
 またいつか、私と付き合ってくれると嬉しいな?」

丁度三つ目のクレープを食べ終えた頃だろう
調子に乗って、香りのちゃんぽんである『フルーツソース全部盛り』を試した所で容量は限界
重たくなった胸元をさすりながら、後にそう返す

貴女にきっと委ねられたのは一枚のカード
『Wings Tickle』と書かれた店名、洒落た装飾の名刺

翼の意匠がされたスタンプ、空きは残り2個
それが何かと聞かれても、『来てからのお楽しみ』と微笑む彼女
バスケットを手に、歓楽街の方へと去っていったのでしょう

ご案内:「商店街」から神樹椎苗さんが去りました。
ご案内:「商店街」から『調香師』さんが去りました。
ご案内:「商店街」に『調香師』さんが現れました。
ご案内:「商店街」から『調香師』さんが去りました。
ご案内:「商店街」に修世 光奈さんが現れました。
修世 光奈 > 「卒業かあ…」

のーんびりと、商店街を歩く
私は今年、一応卒業できる…ことになっている
学業成績も上がったし、異能のエネルギー量自体は伸びなかったけれど操作技術は更に習熟が認められ
更に、危険な要素も無い事から無事に卒業できる

ただ、島から出るのは気が進まない
まだまだやり残したことはあるし、それ以外にも例えば―――

友人 > あ、こーな!ひさしぶり~、この前はありがとねー!鍵無くしちゃうなんてドジだよね~!近くにこーなが居て助かったー
修世 光奈 > 少し前に、鍵を探して渡したところから友人になった子が手を振ってくる

「あ。くーちゃん!いいのいいの。何時でも頼ってね!」

それに緩く手を振り返して、すれ違う
商店街の人たちもあれやこれやと時々構ってくれて

「うーーん…」

正直、居心地がいい
勿論、実家には一度帰ったり通話なんかをして…彼の事を紹介したりしたいけれど
この島からずーっと離れるというのは、もうなかなか考えにくい

修世 光奈 > 「…ミアは、どーなんだろーなー…」

彼もなんだかんだ言って残りそう
風紀委員、としてでもあるいは…孤高の弾丸、とか言いそうだなあ…
どっちにしてもかっこいいんだけどさ

「うーん…。」

今日の晩御飯は何にしようかな、という日常の悩みと。
これからの事の悩みを抱えつつ、商店街をぶらぶら歩く

修世 光奈 > 「あ、今日お肉やすーい。おっきいの買ってってあーげよ」

とりあえずは、また相談しよう
とのことで。
賑やかな商店街を後にするのでした

ご案内:「商店街」から修世 光奈さんが去りました。
ご案内:「商店街」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
放課後
そろそろ冷蔵庫の中の食料品もなくなってきていたはず、なので
色々買い込もうと商店街

なんやかんやとこの時期忙しい学生さん
空いた時間は可能な限りに有効に無駄なく使わないといけません

一週間分くらいを買い込めればいいのだけど、自炊をするなら現実的には3、4日に一回は買い物をして帰りたい
生鮮なんかはやっぱりそれぐらが消費の目安である
少し多めに買い込んで冷凍する、というのも手だけど…

「(やっぱり美味しいもの食べて欲しいしね)」

同居をはじめてしばらく経った
食事当番は交互に、と思っていたけど彼が随分と料理好きなので楽をさせてもらっている

伊都波 凛霞 >  
お肉もいいけどやっぱりお魚も
お店の人におすすめなんかを聞いたりしながらお買い物

ちょうど日が傾きはじめて、商店街は茜色に染まっていく
そんな中、学校を終えて帰宅途中なのだろう生徒達の姿もまばらに見える
中には男女仲睦まじく、手をつないでいる子達なんかも

もう3月半ば
まるっと一年間を通して仲良くなった生徒達もきっと多いんだろうな、なんて思ってほっこりする

伊都波 凛霞 >  
ああいうのを見てると、少しうらやましい気もするし
学業に風紀委員に…と少し時間を取られすぎてるのかなと考えたりもする

こう…もう少し学生って青春をエンジョイしても良いものでは?

青春…青春?

「(青春って何だろねえ…)」

気がついたら過ぎ去ってしまうもの、ではないだろうか

なんか色々なことを経験しすぎて若干達観気味になってきている気がした…

ご案内:「商店街」に修世 光奈さんが現れました。
修世 光奈 > 「買い忘れ買い忘れー…。」

ぱたぱたぱたぱた
どうして買い物ってメモしたりしてても忘れ物がでるんだろう
不思議不思議。依頼については忘れた事ないのに

なんて自分の不手際を呪いつつもゆるーい私服でちょっとしたお買い物リターンズ
あら、また買いに来てくれたの?なんてからかってきてくれる人に返事をしつつ目的のお店まで近づいていく途中で…。

「…!…わ、…わ―――…。モデルさんみたい…」

彼が帰ってくるのはいつも遅いから、まだまだ時間に余裕はある
ただ、そんな…ちょっとだけ急いでいる中でも…
ぱ、と近くに眼を向けると。同性でも目を奪われちゃう美人さんがいた
つい、その衝撃に…馬鹿みたいに声を出してしまう

(あ、まずい。これ変な人と思われる!)

その日との向かってそこそこ大きな出してから口を押える
いくら綺麗でもいきなりは変に思われる!と速攻で謝罪しようとするけど、あわあわしちゃって更に注目を集めてしまっている

伊都波 凛霞 >  
「?」

お買い物を終えて、町並みを眺めてちょっと考え事をしていたら近くで女の子の声
不思議に思ってそちらに視線を向けてみると…同い年か、ちょっと下くらい?
そんな風に見える女の子が、なんだかあわあわしていた

トレードマークの長いポニーテールを揺らしながら向き直って

「こんにちわ。…もうすぐこんばんわ、かな?」

にっこり笑って、そう声をかけてみる
なんとなく、あわあわしている理由もすぐにわかってしまったから
少しでも緊張?が解れるといいなという人懐っこい、笑顔

「お夕飯のお買い物?」
 

修世 光奈 > 「あ、あー、えっと。こんばんはー
この時間だとどっちか迷っちゃいますよね!」

元々緊張はあまりしない質だ
だから、優しい対応をしてもらうとしゅぱ、と切り替えられた
やってしまったことはやってしまったこと。
多分年上?だろうからちょっと畏まって
この人が急がないなら、せっかくだしちょっとお話したいな、と思ってみたり

「あはは、そーなんですよ。色々買ってたはずなのに使うものを忘れちゃって」

だから素直に目的を言って頬を掻く
…それにしても、顔もそうなんだけどスタイルが…すごい…。

「えっと、私、光奈っていいます。もしかして、お夕飯買い物仲間ですか?」

商店街を歩いてるってことはそうなのかな、という予想と
こんなプロポーションの秘密はやっぱり食生活に秘密が…?という探りだ

伊都波 凛霞 >  
「ふふ、少しずつ明るい時間が長くなってきたからねー。
 ちょっと前までだったら今頃もうお日様沈んでたもん」

少し前ならこんばんわ、今ならこんにちわ
ちょうどその境目になる時間帯、まあ放課後って大体こんな時間だよね

「私凛霞、伊都波凛霞ってゆーの。
 光菜ちゃんとお夕飯お買い物仲間だね~」

くすくすと小さく笑いながらの受け答え
初対面の割にはちょっと距離感が近いような、壁をあまり感じさせない雰囲気で

「忙しいとあんまり買いにこれないから、3日分くらい買っちゃうんだけどね」

そう言って手提げの買い物袋を掲げてみせる
結構しっかり買い込んである、お肉やお魚、そしてお野菜も
プロポーションに注がれる興味や探りなんかには、当たり前だが特に感づく様子もない

とりあえずまだあったことのない生徒さんとの出会いにちょっとテンションが上がっているくらい

修世 光奈 > 絶対いい人だ、この人
受け答えのスムーズさとか内容からびびっとくる
趣味の関係で色々人と関わってるから、迷惑そうな人だったりはある程度わかるんだけどそんな気配が全然ない

「わ、そうなんだ。…忙しいってことは部活とか?
凛霞ちゃん、人気ありそー!」

相手が砕けてくれたなら、自分も遠慮なく
それが、見た目だけちっちゃくて年上だとかおっきくて年下だとか
そんなことがざらにあるこの島での私のスタンスだ

というか、部活をしているならどこかでもしかしたら会っていたかもしれない
私も良く部活の助っ人頼まれるし…
でも、見覚えは今のところない

気づいていない…もしかすると気づいててスルーしてくれてるのかもしれないけれど
気遣いか、見逃してもらっている内に同性とはいえ視線を送るのは止めとく

「…食材がいっぱいってことは、料理も?
実は私も最近始めたんだー!お料理も仲間だね!…ていっても、もしかすると先輩かもしれないけど…」

今手に持っているのはちょっとしたものばかりだけれど
少し前までは結構重たい買い物袋を持っていた
その痕が自分の腕に軽く残っているのを見つけちゃってそっと隠す

伊都波 凛霞 >  
「そうそう、委員会の活動があってね。
 こう見えても風紀委員なんだよー」

受け答えの間も常に笑顔を絶やさない
無理なくそれを維持するそのスタイルは生まれながら…
あるいは、培われてきた人間性から来るものなのかもしれない

「うふふ、家庭料理レベルだけど、ね。
 お料理に関しては同居してる子がいて、そっちのほうが上手かなぁ…」

女の子としては少し悔しいから頑張りたい部分
彼が料理すると一流料亭みたいなお膳が出てきたりもするから難しそうだけど…
さて先輩かもしれないと言う眼の前の女の子、光菜ちゃん
年の頃は似た感じかなーとなんとなく思ってもいたので…

「あっはは、この島だと見た目ってあんまり当てにならないからねえ。
 私はこの島で育っただけでふつーの17歳、だよ」

上かな?下かな?どっちかなー

ぷろぽーしょんに注がれる意識はなくなった
しかし傾き続ける夕日は無情にも二人のシルエットを並べて商店街の道路上に映し出すのであった

修世 光奈 > うん。風紀委員だとか、同居してるならその人は男の子?女の子?とか色々疑問は浮かぶし
お料理上手なら今度お話聞きたいな、とかそういうお願いもある
特に風紀委員であることについて詳しく色々お話したいのだけど、何よりその前に

「お、同い年――――――…!!
ふ、ふつー?…い、異世界の人でしたー、とかそういう…のは、ないよね…」

始まったばかりだけど、今年一番になるだろう衝撃
嘘を付いているとは思えないし、付く理由もないから本当のことなのだろう
でも、でも

「不公平だぁ………………………」

がーん、と嘆かずには居られない
あやしげな豊胸体操とかつい信じちゃったり、彼がどちらかというとおっきいおっぱい好きなの知ってるから色々試してるのに
そんな様子は微塵も無い完璧さんが目の前に居る
しかも太っているわけじゃなくちゃんと女の子っぽいくびれも完備。完璧

「うぅ…。はぁ…いいなー…。
ミ……、ジェー君も私がそれくらいだったら喜ぶかなあ…。
あ、あ、ね!良かったらだけどその辺座ってお話しよー!」

つい、ぽつりと言ってしまってから慌てて。
まだ少しは時間あるし、久々に会えた彼の…非番の同僚さんだ
もしかしたら普段の様子とか色々聞けるかも、とお誘いしてみる

伊都波 凛霞 >  
「あ、やっぱり?
 近い年頃かなーって思ってたんだー。 ……どしたの?」

なんてテンションがもうちょっと上がったところ、相手は真逆の反応だった

はて…と一瞬呆けたものの
なるほど、そういうことか…と
ちょっとデリケートな部分を察してしまう

「不公平なんて、光菜ちゃんだってまだこれから…は、わからないけど。
 女の子ってそればっかりじゃないよー?」

目の前の光菜ちゃん、が可愛くない、魅力的じゃないなんて微塵も思わない
むしろこうやって初対面の自分とも砕けて近い距離感で話してくれる子なんて、嬉しくなってしまうくらい

お買い物袋には氷もいれてもらったし、少しくらいおしゃべりしても悪くなるものもない、断る理由も当然なくって、むしろ

「いいよー、せっかくだもんお話しよー」

せっかくの学園生活、新しく出来た縁は大事にしたい
商店街の通りにあるベンチあたりに視線を映して、そちらへと促すように歩いてゆく
途中、自販機なんかに寄りながら
時期が時期なら買い食いなんかもできたかな、というのが少しだけ惜しい

修世 光奈 > 同い年とわかれば、もう遠慮はいらない
最高に砕けて楽しい時間の始まりだ
慰めの言葉と、いいよ、って言ってくれる凛霞ちゃんに甘えて
自販機で飲み物を買ってからベンチへ
テンションは高めだけど、ため息から話を始める

「んー、はぁ……、わかってるんだよー?人それぞれだって
わかってるんだけど。いいなーって思っちゃう」

ミックスジュースを一口。
本当に、そこはどうしようもない
お母さんもスタイルが良い方じゃなかったしなーなんて思いながらも
…彼にもっと喜んでもらいたい、という気持ちもあるからどうしても羨んでしまう

「それに!凛霞ちゃんはそれだけじゃないよー何その腰!ほっそい!おかしい!
お肌もつやつやだし髪もさらさらだし…」

だめだ、言ってて自分でダメージを受けてくる
私だって努力してないわけじゃないけど、凛霞ちゃんはすごい。
お世辞じゃなくて周りの人誰もが思ってそうなのにこの自然体もまたずるいと思う

「んん、あーえっと。……本当にモデルさんとかやればいいのに……
やっぱり、悪い人は許せないから風紀委員?」

この可愛さなら雑誌の表紙も余裕で飾れそうだけど
信条とか、そういうのがあるのかなあ、と
自分がダメージを受ける話題から離れて別の事を聞いてみよう

伊都波 凛霞 >  
さてさて、ベンチに場所は移動しまして…
ため息と共に紡がれるのは、やはりプロポーションのお話
年頃の女の子、気になるし気にするのは当然わかる気はする
そうなると持たざる者の気持ちは、持っている者とはどうしても隔たりがあることもわかっているので

「ジェーくん、っていうのは恋人さん?」

さっき言ってたけど、と
どうもその子は大きなお胸が好みらしいと

「恋人さんが光奈ちゃんを好きって言ってくれてるなら、それでいいと思うんだけどな~。
 それにまだ17歳なら伸びしろないこともないない」

勿論羨みの根底はスタイルへの羨望だけではないのだろうけど
きっとこの子は健気なタイプなんだろうなあ、というのは雰囲気からも伝わってくる
恋人の好きな、好みである姿に近づきたいのだ
叶わぬ願いはあるかもしれないけど、未来と可能性は誰にも否定できない
なので明るい方向を見ているほうがきっと良いのだ

「あはは…どうしても風紀委員って目立っちゃうから、だらしない姿は見せられないっていうか。
 一応、見た目には気を使ってるつもりだから褒められると嬉しいな~」

目立つ理由は、風紀委員だからというだけではないかもしれないが。それはそれ

さて話題も少しずつ移り変わり、風紀委員をしている理由を問われると
うーん、と少しだけ口元に指をあてて、考える仕草

「どっちかっていうと、悪いコトに巻き込まれる人が減ったらいいなー、っていう感じかな…?」

『悪い人』も年がら年中24時間『悪いコト』をしているわけじゃない
それを見抜く慧眼は誰にでもあるものではなくて、とても難しい
だから単純な動機だけで風紀委員という一種の権利を行使するのは、少し違うかなと思っていた
なので明確な理由としては、そんな感じなんだろうなと内心でも納得していた

「モデルは、柄じゃないかな~…」

そう言って、苦笑

名前を名乗って特に反応がなかったから彼女は知らないコトだろう
あまりよくない方向で名前と顔が知れ渡ったことも一応あったから、モデルなんてとっても無理

彼女もそのコトを知ったら、幻滅するのかもしれないし、もしかしたらしないのかもしれない
もう過去の話と割り切ったつもり、でもこういった些細な不安は新しい誰かとの出会いのたびに付きまとっていた

修世 光奈 > あ。言うとまずい…………ことはないよね
同じグループの人なんだし

「えっと、うん。ジェレミアって言ったらわかる…?
もしかしたら部署?とか違うかもだけど……」

初対面でも、凛霞ちゃんは軽々に悪いように言いふらしたりはしないだろーなーって思ったから
もう素直に、彼の名前を言ってしまう
からかわれるくらいはするだろうけど、私もクラスでからかわれてたりするし…
それに、彼からもフィードバックが返ってきそうで楽しみだ

「そっかぁ、えっとー。あれだね!守る側ってことだねー
でも、モデルやらないのかぁ…勿体ないなー」

プロポーションの話は、しているだけちょっと沈んできてしまうので…
自分から振っておいてなんだけど、ちょっとだけ横に置いておく
よくよく活動を知っているわけじゃないけど、街を見まわったりして未然にーとかそういうことだと思っておく

本当言うと…名前には、少しだけちり、と引っ掛かるものがあったけど。
それは今は関係ない。私にとっては会った印象が全部だ
初対面でする話でもないだろーし

「……ジェー君、あんまり詳しくは風紀委員のこと話してくれないからさー
いや、いいんだけどね!守秘義務?とかあるんだろーし。でも、やっぱり心配でー
凛霞ちゃんと同居してる人も、心配してくれてる?それとも…凛霞ちゃん、しっかりしてるから行ってこい!みたいな感じなのかな」

だからあくまでゆるーい調子で
ぼんやり夕焼けを眺めながら呟いて
ちょっと境遇というか、今置かれてる状況が似てるなーなんて思ったから聞いてみる

伊都波 凛霞 >  
「じぇれみあ… うん、違う部署の子かもしれないね」

何を隠そう、同じ部署である
但し凛霞の知る彼の名はあくまでも『キッド』という通り名だった
故にその情報が合致することはなく、風紀委員も広い組織なのでそういうこともあるかな、といった具合
わざわざ名簿に乗っている名前と顔を全暗記している凛霞にとっては少しだけ首を傾げることとなった、が

「でもそっか、いいね。青春~。
 彼って優しい?大切にしてくれる~?」

コイバナ大好きスイッチが入ってしまった
こうなると結構グイグイいってしまうのが悪い癖である

「あはは、そうだね。守秘義務もあると思うけど、心配かけたくないんじゃないかな…?
 私なんかもそう。すっごく心配されすぎて、ちょっと大変なくらいだから。あんまり風紀委員の活動のことは話さないなー…」

部署によっては危険と隣合わせになることも珍しくない
もし…

「男の子って、苛烈なところあるから。
 もし私に何かあったら無茶苦茶なことしそうで、そっちのほうが心配だったりして」

あんまり想像はしたくないけれど、自分にもしものことがあった場合
その相手の命を奪うほどに激昂してしまうんじゃないか、とか…そういう心配があったりはした
大切にされていると感じるが故の、危機感である

飲み物を口に運ぶと、目に差し込む夕日が少しだけ眩しかった

修世 光奈 > 「そっか…………あ。
い、今の忘れて!そのー、お付き合いしてるのは…キッドって人!」

しまった
ついつい、ジェー君だとかずーっと呼んでるから彼のカバーネームを忘れてしまっていた
ごめん!と手を合わせて…秘密にしてもらえるようお願いする
同僚さんにももしかしたら隠してるかもしれないことをうっかり言ってしまったから。
気のいい人だから、受けてくれるとは思うけどこれは失敗だ。
そして言ってから、言わなければ繋がらなかったのに、とも思うが…
せっかくできたコイバナ友達に知ってほしーなーという気持ちもあって。
心の中で彼にごめん!と謝りながら本当の事を言おう

「え、えーーー…う、うん。してくれる…
でも、たまーにちょっと意地悪かな?…そこもまた、好きなんだけどー」

何せあの顔がずるいのだ。彼は
性格も実は可愛いのに、あんなイケメンに嫌じゃない程度の意地悪されたらきゅんきゅんするものです
凛霞ちゃんも臆せずぐいぐい聞いてくれるから、つい口が軽くなってのろけてしまう

「あー…!うん、そんな感じ
…私も、危ない事に巻き込まれたら…きっと彼キレちゃうなー…
って!もしかしてもしかして…彼氏と部屋一緒…?、そーだったら、…私といっしょだね?」

ふふ、とちょっと照れ笑い
男の子って、とか言うからこれは間違いない
思わぬところで、料理仲間兼同棲仲間と知りあえた

やっぱり、こんな美人さんでも彼氏と居る時は違うのかなあ、とかじーっと見てしまう

伊都波 凛霞 >  
「……へ、キッドくん?」

あー、と驚いた反応
割と過激なことで知られる風紀委員で、同じ部署でもあまり親密に会話したことはない
慰安旅行のときの印象が強く残っているのもあって、やっぱり距離感次第で印象も違うのだと感心する
意外なところから彼の名前を知ってしまったけれど…

「キッドくんなら同じ部署。へー、そうなんだ…そっかー… …あ、大丈夫、ちゃんと内緒にしとくから!」

へー、へー、なるほどね、と
しかも彼女には優しくしてくれる、大切にもしてくれるそうである、なるほどー
そういう一面もあるんだなあとなんだか嬉しくなってしまう
きっと意地悪な部分は…少年特有の好きな子に意地悪したい病なのだろう、たぶん

「そっか、そうだよね」

彼女もまた、彼の激昂は予感をしている様子
どうして男の子はこう…いや、想う気持ちが強いのだということはわかるのだけど
復讐・報復に際して、命が軽くなってしまう気がして、少しだけ怖くもある

「あ…うん、アパート借りてるんだ。
 私、実家が青垣山にあるから学園に通うのもそこそこ大変だったし、丁度良かったいうのもあって、ね」

丁度一年前あたりから同棲を開始、どうやら彼女も似たような環境らしい

「お互い立場は違うけど、似た感じの生活してるんだねー …? どうかした?」

笑顔で受け答えしつつ、視線に気づいてきょとんとした顔

──彼氏の前ではべたべたの甘えたがりに変貌するのだが、今の凛霞からその印象は欠片もない、多分、きっと

修世 光奈 > 「わ、そーなんだー…。ごめんね、ありがと。
…うーん。私には無理だし、えっと、キッドが反対するだろーけど…働いてる姿もいいだろーなー…」

黙っててくれることにお礼を言ってから
同じ部署、と聞いてまた羨ましくなっちゃう
きりっとした…家とは違う顔とかも見れるんだろうし
…まあ、少し前なら彼が凛霞ちゃんに目移りするかも…なんて心配してたかもしれないけど
今は、そんな疑いを抱く必要もないくらい大事にされてる自覚があるから、しない

「うんー。そうだよねー、そんな雰囲気だよね!
嬉しいけど、心配…みたいな!」

うんうん、と同意を得られたことに頷く
そうなったら彼が自他ともに厭わずに報復しそう、っていうのは思っている

「青垣山!へー…!確かに、お話したりするにはちょーっと遠いよね
私は学生街で一緒に。ラ・ソレイユってお店でバイトもしてるんだー」

今の時代、通信には事欠かないと言っても
やっぱり会いたくなるのが恋人。
すっごく似てるなあ、と思ったし、やっぱり色々話しちゃう
で、視線の訳を尋ねられたら、その理由は一つだ

「…えっと。凛霞ちゃんが彼氏とどう一緒の部屋に居るのか気になってー…
私はね、もう、結構べたべたに甘えちゃうんだけど…
彼が一人でソファに座ってたら、隣に行ってじーっと顔見たくなっちゃうー、とか…、えへへ、凛霞ちゃんはそんなことないかな?ぴしってしてるし!」

すっごく綺麗だけど、話してる感じは…普通の女の子だ
風紀委員だから色々荒事にもなれてるんだろーけど、コイバナの食いつき方凄かったし
だから、私も積極的に返してみる。
せっかくだし、私も色々凛霞ちゃんの事を知りたいから

伊都波 凛霞 >  
キッド、風紀委員刑事部の中でも過激派として知られた名前
彼の銃弾は犯罪者に対して別け隔てなく向けられる
そういう──それだけの人、そう思っていたから余計に意外で、そして
まあ、仕事中の姿をこの子に見られたくはないのかな、という納得もあった
彼の生きてきた世界とは余りにも縁遠そうなこの子が彼の大事な存在になったことは、彼にも少なからず影響を与えたのだろうか───

「大切にされてるって自覚は、ちゃんと持たないといけないって思わされるよね」

彼自身の本音を聞いたら、どう答えるのだろう
風紀委員は警察機構、少なくとも一般の生徒以上には危険が近い委員会だ
彼女と私は、そういった意味で立場が真逆、対照的とも言える
彼女は…彼に、キッドに風紀委員を、危険のある仕事をやめてほしい、とは思わないのかな
少しだけ、そんなことも考える

そしてラ・ソレイユという名前にも覚えがある
神代くんのお店だったっけ?」
話せば話すほどに、互いの繋がりが見えてきてなんだか楽しくなってきた

さて、視線の意味はといえば、なるほどそうきたか…といったところ
続いた言葉に、あまりにも自分と同じで少し笑ってしまったんだけど

「あっはは、私もそうだよー。
 全面的に気を許せる男の子なんて貴重なんだもん。
 ついつい、思いっきり甘えにいっちゃうよねー」

帰るなり疲れたーーーーと言って彼にダイブしたり
特にすることがなかったら、ずっと彼の隣でべったりしていたり…
顔を見る、っていうのもとてもわかりがあって、ずるい

「うん…私の彼もたいそうなイケメンでね……」

惚気けた

修世 光奈 > 彼が組織の中でどういうことをしているのか
ちょっとだけ、というか。大体は想像ついてる
でも、それは止められないし、止めたくない。

「…うん。だから、私は美味しいご飯作って待ってるんだー」

まあ、プロ級なんてご飯は作れないけど
がんばって、彼の好みに合うものをできるだけ作っている
きっと今日も帰ってきてくれるって信じてるし

それに、行方不明、なんてなっても…絶対、私が探し出す、だせるって気持ちもちょっとある
ただ!今はそんなくらーい話よりも!

「うーーわーー…今、凛霞ちゃん滅茶苦茶乙女になってた~~かわいーー…!」

あんまり騒ぐと注目を集め過ぎちゃいそうだから控えめにつんつん、と突つくほうが大事だ

「だよねだよね!外だとさ、彼恥ずかしがって帽子で顔隠しちゃうんだけどー…
家だと、じ~って見れるしね!……ただね…」

うんうんうん、と首が取れそうなほど頷く
一緒なんだなぁやっぱり…彼氏さんも甘えられて嬉しいだろうなあ、とか思ってから
のろけられたら、のろけ返すしかない

命のやり取りは発生しないし、笑って終わるのだろうけど譲れない戦いがここにはある気がする

「イケメン度なら、キッドも負けてないよー?ほらほら、写真見る?っていうか、凛霞ちゃんもツーショとかないの?」

こうなったらもう無敵だ
ふふふ、と笑ってから端末を取り出して、水族館に行った時のデータとか見せちゃおう
かっこいい彼氏を自慢したいのは私だって同じ。凛霞ちゃんの彼氏さんがどんな人なんだろーって興味もあるしね!

伊都波 凛霞 >  
「ふつーに、乙女ですからね?」

囃されるとさすがに少し気恥ずかしいけど
まあ風紀委員といっても普通の女生徒ではあるわけで
年頃の女の子、でもあるわけで

「へー、へー、彼にそんな一面がねー」

こうなってくるともう完全に楽しいモード
写真見る?なんて出してくるものだから見る見るーと食いつく
きっと、自分では見たことのない表情をしているのだろうことを想像して

「あ、写真あるよー。私のほうはどっちかっていうと女顔なんだけどー、
 もー女の私から見ても整ってて、ふえーってなっちゃうの!」

いそいそ、こちらもスマホを取り出して、いつだか撮った部屋での自撮りツーショットを画面に移す
彼はどこか来恥ずかしげ、凛霞自身も普段とは少し違う、柔和な雰囲気を纏った…そんな笑顔

「私の彼は恥ずかしがり屋、ではないんだけど。うーん、少しだけ奥手というか…」

あんまりグイグイ来るタイプじゃないんだよね、と続ける
キッドくんのほうはさて、どうなのだろう
この光奈ちゃんの勢いに引っ張られるタイプなのか、はたまた…

修世 光奈 > 「そうなんだよー。でも、さりげなーく色々守ってくれるし…ちょっと危ない感じするのも放っておけなーいってなっちゃって…」

それが彼の魅力だとも思っている
かっこいいだけじゃなくて、優しいし、ちょっと儚いというか。
支えてあげたくなっちゃう感じ

「やっぱりあるよねー!だせだせー!
――――…おぉー…これは…ほんとだ、かわかっこいい…!」

写真を見てみるとらぶらぶ度合いが伝わってくる
凛霞ちゃんも、安心しきってふんわりしてるし…
水族館の写真は、寄り添って二人で映ってるやつ
彼は帽子を付けたままではあるけど、ちょっと戸惑いながら楽しそうな感じが出てると思う

「奥手かぁ…、でも、少しだけってことはリードしてくれる時もあるんだ?
…キッドもねー、自分からあーしたいこーしたいって言わないんだけど、私のしたいこと察してくれる感じで嬉しいんだ~~
料理の時とかも、待ってるだけじゃなくて…欲しいものを近くに置いてくれたり…」

私が結構暴走したり失敗したりするタイプだし、と続けて
そこをやさしーく見守ってフォローしてくれる彼のことをアピール。どんどんのろけは白熱していく!

伊都波 凛霞 >  
さりげなく、というのがなんだか彼らしいなと思ったりもした
光奈ちゃんの言葉を聞いているだけで、二人の間柄というか距離感がとても密接なことが伝わってくる
意外と言えば、意外
でもなんとなく、そうなのかーと納得できるところもあって
今日以降、少し彼…キッドくんを見る目が変わりそうだ
そんなことを思いながら、水族館でのデートの写真に写る、どこか楽しげな彼の顔を見ていた

「リード…リード……は、ないね…!」

少しだけ、というのはオブラートに包んだ結果だったらしい
いや、いいのだ、いいのだけども

「ふふ、そういうのいいね。以心伝心っていう感じ。
 私の彼は…どちらかというと、私のことならなんか全部受け入れてくれる…みたいな感じかな…
 うん、だからきっと、安心しちゃうんだろうね…」

過度に甘えにいったり、ちょっと我儘なんか言ったりしても、許してくれる、みたいな

「支えてもらってるなあ、って気持ちになるんだよね。
 だから、ついつい甘えちゃう」

そこまで言うと、少し気恥ずかしくなってきたのか、苦笑しながら頬を掻いていた