2022/04/17 のログ
ご案内:「商店街」にアーテルさんが現れました。
アーテル > 「気づけば雨ン中だったとさ。」

黒猫は雨の滴る空を見上げてぼやく。
眼をしぱしぱさせるそのしぐさは、如何にも寝起きだと言わんばかりに、
冷たい空気と裏腹にほんのり暖かく小さな体躯を、既にシャッターを下ろした店の軒下に収めていた。

既に日もとっぷりと落ちた今時分、黒猫の記憶にはまだ薄く雲が伸びる夕方から先がない。
春眠暁を覚えずとも言うが、今朝はばっちり早起きしただけ夕方にしわ寄せが来たらしく、
賑やかだった商店街の雑踏を背景音楽に、ある店の軒先でつい転寝を決め込んでしまったのだ。

「やーだなあ。こりゃ、朝までじっとり降るカンジかねぇ………」

人々の行きかう時間も既に過ぎ、今は通りにさえもひっそりと宵闇の包む頃合い。
都合よく傘でも差した人が通るとは思えないものの、その肢体が濡れそぼつのを嫌がった黒猫は、
淡い期待を胸に止まない雨の中で一匹、商店街の一軒を成す店の軒先で誰ともわからぬ待ち人の訪れを待った。

ご案内:「商店街」にラウネさんが現れました。
ラウネ > 「わー、雨だ、雨雨ぇ~」

【――どちらかというと嬉々として。

 そして飛び込んだ軒下。

 おや、雨宿りに先客が?】

 「あや?」 

アーテル > 「………。」

思ったより早く、素早く、待ち人候補は現れた。
願ってみるもんだな、と黒猫は自らの幸運に驚きながらも、
やってきたのはどうにも初見の相手であることを、丸い瞳であなたの姿を捉え理解したらしい。
ここから濡れずに外に出るには、まずは良好なコミュニケーションから…

「………にゃぁ。」

ごく自然な、猫の一鳴き。
この時ばかりは雨の降るしとしと音が邪魔だけれども、
それでもしっかり自分の存在を、あなたにアピールしようと試みた。

ラウネ > 「えーっと……なんだっけ」

 【なんだっけ、この黒い物体。毛だらけの。
 そう、こんな姿形のヤツはよく見かける。
 
 街中をうろうろしていたり、たまに道端で死んでいるヤツの仲間だ】


 「そう、あなた、猫ね!」

【思い出した】

 「雨だよ、雨。これ雨って言うんだ」

【やはり嬉々としている】


 

アーテル > 「ぅにゃ。」

猫ね、という言葉。
あまり猫についての知識がないのだろうかなとか考えながら、
黒猫はその言葉を肯定するよう頷いた。

「……んん~~………」

くぐもった声を上げながら、前足をふるって僅かついた水気を掃う。
こちらは水気を嫌がるしぐさを見せたくて精いっぱいなのだが、
どうにも待ち人の声が弾んで聞こえたものだから。

「……………。」

改めて、その姿を眺めてみた。
…獣の感ではあるが、彼女は純な人間なのか?と、黒猫は訝しむ。
気のせいにもできようものだが、つい首を傾げてしまった。

ラウネ >  【猫は肯いた。まさしくそう解釈する。

 そしてきっと目線が段違いだろうから、座り込んだ

 水気を払う仕草が見えて】

 「あなたは、雨嫌い? 私は不思議……」

 【黒猫の別の姿なんて、知りもしないのだ】

 「お空からこんなに水が落ちてくるなんて、びっくり。ね?」

アーテル > 「…………んぅ。」

もう一度、くぐもった声で鳴く。
空から水が落ちてくるなんて、それこそある意味当たり前だったから、
永きを生きる獣にとって、疑問に思うことさえ考えなかったこと。
言われてみればと再び空を仰いでから、あなたに目線を向けなおす。

「…………。」

どうにも雨に対する見方も、興味も異なるようだ。
それに彼女は、濡れることにも対して抵抗もなさそうにさえ思える。
当初は猫の魅力で以て宥めすかし、体よく一晩の宿でもと考えていたのだが、
少しそれらしい会話をしてみたい…そんな欲がふつふつと湧くものだから。

「……そうだなぁ。
 今まで、当たり前だと思ってたもんだがよ。
 言われてみりゃあ、不思議なもんだな。」

猫は、饒舌に人の言葉を話すことにした。
この方が、互いの考えをより分かりやすく伝えあえるので。

ラウネ > 「そうだよね、あなたもそう思うよね」

 【雨って不思議だよね。
 肯いたのかそうでないのか。
 しかしただの猫としか認識していないのだもの。
 きっと、肯いたに違いない、肯定の鳴き声に違いない。

 そういうことにしていた】

【あとちなみにホームレスだから、こっちも宿は無いんだ】

 「!?」

【喋った……!】

 「あれ? 猫ってお話しできたんだね! 知らなかったぁ」

【うんうん、雨といい猫といい】

 「ここは、不思議なことで一杯だね!」

アーテル > 「なんだい。猫が喋っちゃ不思議か?
 まぁ、ここならそういうこともあらぁな。」

新たな発見に驚くあなたに、猫はくつくつと笑って見せる。
喋る猫など確かに珍しいものだが、それはここだからだとそれっぽい理由を繕いながら。

「くく。嬢ちゃんは不思議なものが好きなのかい?
 謎、不思議、正体不明……安全なものから、危険なものまでいっぱいさ。
 俺ぁ無害な方だと思ってるがー……、気を付けなー……?」

どうにも不思議なこと全般に興味をもってそうな気がしたものだから、
その不思議のうちの一つとして、僅かばかりのご忠言。
さりげなく、自分は無害だとアピールも含めつつ。

ラウネ >  「だって今までずっと、お話してくれなかったよ?」

【他の猫も実は喋るんだと思っているからね、今は

 そして、ここならそういうこともある、という言葉で、
 (ああ、他の猫も実は話せるんだ)、と思ってしまう所存】

【不思議について】
 「好きかはわからないけど、わくわくするよ?
  キケン? 危ないってこと? そう?」

【ああ、うん、そうだね、思い出したよ】

 「あなたは、あの……そう、車、車はキケンだから……キヲツケナ……?」

【良く轢かれてるもん。さいごのキヲツケナ、はあなたを真似たよ】

アーテル > 「……ぁー。」

車を引き合いに出す意味は、よく分かったようだ。同じ姿のご同輩は道路で転がってることもあるからだろうと。
この猫は人の姿であっても、車にはそれなりに注意する。
例えそれで死ななくても、痛いものは痛いのだ。轢かれないに越したことはない。

「……おう、そうだなぁ。そりゃキケンだ。
 ちゃんと気を付けらぁよ。にしし。」

自分を喋る猫なのだと思ってくれてるあなたに、猫は笑って答えた。
軽んじるつもりもないけれども、言われるまでもないけれども、
自分と同じようにキケンを発信したあなたに、猫は答えたくなったのだ。

「……そういうお前さんはー……
 キケンかい? それとも、キケンじゃあないかい……?」

今までは、あくまで目線を向ける程度であなたと会話をしていたが、
ここにきて、猫は体をあなたの方へと向けた。
するりとしなやかな足取りで、一歩、一歩、ゆるやかに近づく様は、
まるでどこまで近づいてもよいものかと、品定めでもしているかのように。

ラウネ >  「うんうん、おりこう」

 【えらいえらい。撫でないけど。車には気を付けようね】

 「私?」

 【危険か、危険じゃないか?

 さぁ? と首をかしげる。

 しゃがみこんだ状態の所に、黒猫が寄ってくる。

 それに、感じるようなことは何もなくて。

 ただ猫が寄ってくるだけにしか見えなくて

 警戒もしなければ、動きもせず。

 ただ視線で追うのみ。】

 

アーテル > 「そう。お前さん。」

首を傾げ、不思議そうに視線を向けてくるあなたに、
黒猫は目を細めつつ、言葉を繋げる。その間に、一歩。

「まぁ、俺はこんなナリだもんで。」

自分は何者か、なんて、言わなくてもわかるだろう?と言いたげに。
自分が猫であると言葉にしないまま、更に一歩。

「なかなか在り方としては異端でなー…?
 寂しい気持ちを宥める意味でも、交流相手は増やしてぇのよ。」

逃げもしなければ、触れようと手も伸ばしてこない。
そんなあなたに、更に距離を詰めるように、加えて一歩。

「……だから、気になるのさ。
 目の前の相手が、キケンか、キケンじゃないか。」

ラウネ > 「う~ん?」

【自分がキケンかそうでないか、考えたこともない
 だから問われても良く解らない。
 確かに、良く街で見かけるニンゲンと自分は違うだろうことは解っている
 
 でも一方では、ほとんど同じだとも思っている。
 
 ニンゲンはニンゲンを殴ることもあるみたいだけど……。

 私はどうだろう?
 
 ――こんなナリ……?

 そっか、小さいから?】

 「こうりゅう・・・?」

【 言葉は難しいが、意味はなんとなく解る】 
 
 「……いちおう、あなたのことを食べようとは思わないかな?」

【どう? 答えになるかな?
 そしてそろそろ出て行かなきゃ。 するりと立ち上がる】