2022/04/18 のログ
アーテル > 「……まあ、答えとしちゃ上々だな。」

食べようとは思わない。という回答に、猫は小さく笑んだ。
…ここで過ごすただの人間なら、まあ思い至らないだろう発想。
治安の悪い落第街やスラムの育ちならあるいはといったところだが、
そんなに生きることが大変そうには見えない出で立ちなのだから。
少なくとも、ただのニンゲンではない。それが分かるだけでもよかった。

「……おろ、このまま出てくのかい?」

なんてほくそ笑んでいると、あなたはするりと立ち上がった。
まるでこのまま駆けだしていきそうな雰囲気に、
しまった…相手を見定めるのに時間がかかったか、と猫は少し焦りつつ声をかける。
流石に急いて事を仕損じたかとばかり、一拍置いて言葉を選ぶ。

「雨の中だがー、濡れてっても構わないってか?
 風邪、引くなよー?」

行くなら止めまい、と。
猫はここで一晩を過ごすつもりのようだった。

ラウネ > 「そお?」

【上々で良かった。】

「うん、昨日見つけた段ボール塗れちゃうから」 

【段ボールにくるまると暖かいんだよ? 屋根の下にあったから大丈夫だと思うけど気になるから見に行ってくる】

「……私、雨好きだよ? でも雨宿りする物なんでしょ?」

【人間てそうするよね? だからそうするんだ……】

「他になにか、いいもの見つけたら持ってきてあげるね」

【猫も自分と同じ宿無しなんだと思ったから。段ボールとか新聞紙とか、毛布があったらもっといいね。ダニ?そんなの気にしてる場合じゃないよ】 

「じゃあね、猫さん!」

【ありがとー。
 ばしゃばしゃばしゃ、と雨など物ともせずに元気に走り去るのでした――】  

ご案内:「商店街」からラウネさんが去りました。
アーテル > 「………なんでぃ。
 さてはお前さんも、俺と同じ宿無しか。」

ちょっぴり残念そう。まさか同じ立場だとは思わなかったようだ。
昨日見つけたという段ボールが濡れるのを気にするような立場なんて、
秘密基地でも作る子供のようなものであって。

「…………。
 雨は好き、だが、雨宿りをするもの……か。
 へぇ。不思議なことをいうもんだな。」

雨で濡れること自体が、嫌いではない。そんな言い方が気にかかる。
まるでニンゲンの真似事をしているのだ、と。
そこまでただのニンゲンではないと思ってなかったが、
目の前のあなたの評価を、また少し変える必要がありそうだと思っていたが。

「…ま、無理して持ってくんじゃあないぞ。
 他の猫は俺みたく喋るようなやつじゃあないからな。
 じゃあな。よくわかんねぇ嬢ちゃんよ。」

別れの時は唐突に。
そんな無粋なことは後にして、今は雨の中をかけていくあなたを、
猫は店の軒下で尻尾をゆらりと揺らしながら、言葉で以て送るのでした。

アーテル > 「…………さて。」

黒猫は再び、雨の降りしきる空模様を仰いだ。

「止まねぇなぁ………」

外に駆け出る気も起きないままに、店の軒先…閉じたシャッターのすぐ傍に寝そべって、
何か起きないものかと、ぼんやりと時を過ごすことにしたようだった。

ご案内:「商店街」からアーテルさんが去りました。