2020/07/03 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 展望台(20F)」に天月九郎さんが現れました。
天月九郎 > 「失敗した……」

喉の奥から搾り出すように悔恨の言葉を口にする。
つい最近オープンして話題になっている総合百貨店、それも様々な施設が詰め込まれた夢のような場所。
地元の田舎ではこれより遥かに小さなショッピングモールが老若男女が憩いの場として使うような環境だったのだ、ワクワクするに決まっている。
試験勉強もいい感じに脳が煮えてきてちょっと生き抜きするかー!飯は高そうだし展望台でのんびりするか!と思ったのが失敗だった。

イチャイチャである、イチャイチャパラダイスである。
男女二人組じゃないと行動できねぇのかよクソと歯軋りするほどに完膚なきまでにデートスポットと化していた。

天月九郎 > これが大人ならまだ納得しよう。大人の世界というのは子供にはまだ早いから言う。
同年代のカップルもちらほら見えるのだ。
これはマジ許せんよなあ……テスト前に浮つきやがって!
と自分用の棚の上から吐き捨てたい気持ちでいっぱいである。

「まあ、景色はいいよな……」
時計塔に勝手に登ったときとはまた違う感覚、剥き出しの生身ではなくガラス越しに見る世界は切り取られた絵画のように綺麗だった。
孤独と考えるから居た堪れなくなる、孤高と考えよう、否むしろ一人で星のように輝く孤光、これだ。

天月九郎 > 「なんか飲も……」
ここですごすごと出て行ったらなんか負けた感じがするとかそういうアレではない。
展望台でゆったりと景色を眺めながら飲み物でも傾ければ絵になるのではないだろうかという思春期特有のシチュエーションにこだわりたいアレである。

自販機に足を運び、財布から小銭を取り出し、気付く。
『ランダム』と書かれた虹色の缶が存在を主張しているではないか。

「買うわこんなもん」
他のラインナップを一瞥もせずにスパンと指がそこをタップしていた。
仕方ねえだろ男の子なんだから。
商品を表示していた液晶が変化して歯車がキリキリと回り出す。
ギュイン!と回転数が上がり歯車が金色になる、ギュオン!とさらに回転数が上がり虹色の光があふれはじめる。

『すげぇ…SSR確定だぜ』
え?そういうのあるやつなの?
ガコンと音を立てて落ちてきた缶をわくわくしながら回収する。

天月九郎 > 「………」
そこにあったのは『おーい!無茶!』と書かれた缶であった。
抹茶風エナドリらしい。
濃縮飽和カフェイン含有、これでどんな無茶でも出来なくもない!
と茶人らしいイメージキャラクターが上半身の筋肉をムッキムキにして服を引き裂いていた。

「ここでエナドリかあ……」
これ飲んで勉強しろという事だろうか。
シャレオツな展望台に不似合いではないだろうか?
とりあえず小刻みに震えて目を血走らせたサラリーマンが『アレがあればもっと無茶をしても…』と息を荒げて怖いので窓際でゆっくり飲むとしよう。
窓に向かうベンチに腰を降ろしてほっと一息。
左右の別のベンチにカップルが座っていて完全に挟まれているが気にしない。
オセロみたいに挟まれた俺も変化してカップルシートになんねぇかなあ、なんて不毛な思考が浮かんでくる。

ご案内:「扶桑百貨店 展望台(20F)」にセレネさんが現れました。
セレネ > 「…うわ、人が多い…。」

人が多い場所は苦手だ。
視界内の情報量が多すぎるから。
ただでさえ己は他の人より”視えている”ものが多いのだし。

もうこの時点で酔ってきてしまった。
でも折角此処に来たんだしなぁ…と思い、少しげんなりした表情で
休む為に座れそうなベンチへと歩く。

左右のベンチは使用されているから…一人でいる真ん中の人に声をかけよう。

「…あの、すみません。
もし良ければお隣に座らせて頂いても構わないでしょうか。」

眉をハの字にして、申し訳なさそうな表情。

天月九郎 > 「ふぇ?」
高エネルギーが圧縮されていそうな缶とにらめっこしているところで唐突に声をかけられ、思わず変な声が出てしまった。
見上げると年上っぽい女の人、その時点でぶわっと汗腺が開く。
俺の邪念漏れてないよな!?っていうか声かけたの俺だよな!?とぶんぶんと周囲を見渡し確認してからゆっくり深呼吸。

「あ、どーぞどーぞ。人いっぱいだもんな」
内心の動揺はぐっと飲み込み、明るい調子で隣をどうぞとぱんぱんと叩きながら隅っこに寄る。
腰がぐりっと手すりに押し付けられるくらい隅っこに。

セレネ > 「ぁ、ぇと、すみません…驚かせてしまって…!」

飲むと一時的にパワーアップでも出来そうな缶を睨み付けている相手。
顔を見るに、恐らく年下…なのかな?
そして己が話しかけた事に相当驚いたのか左右確認をし深呼吸された。
近くに近づいた事により、出先用につけていたローズのトワレがほんのりと香るかもしれない。

「有難う御座います。
…ちょっと、人酔いしてしまって…少し休んだらお暇しますから。」

明るく振舞う相手の雰囲気。
だから、そう。そんなに端っこに寄らなくても良いのよ…?
己もなるべく端っこに座るつもりだけど。
座ったらドッと疲れが出てきた。
小さな溜息一つ。

天月九郎 > 「ああ、いや俺がボケっとしてただけだから気にしないで。なんか皆連れ立ってるから話しかけられるとも思ってなくてさ」

大丈夫、と相手に気を使わせてしまったようなのでなんでもないとひらひらと手を振り笑う。
表面上はにこやかに友好的に振る舞ってはいるが内心ではうわいい匂いするけどなんだこれ……と心臓さんがアップを始めていた。
女の子=いい匂いであり香水とかそういう発想は0のピュアボーイであった。

「いや、わかるよ。人がごった返して声が聞き取れないくらい混じってると頭くらってなるよな……
 迷惑じゃないから元気になるまで休めばいいよ、っていうかここ俺の場所でもないしさ」

どうにも消耗している様子に共感を覚え、冗談めかして大丈夫と付けたす。
なんとなく間が持たなくて恐る恐る眺めていた缶を開け、くいっと一口。
苦くて甘いカフェインの味がガツンと脳に響き、知覚能力が一回り拡張されたような感覚に。
ヤバいもん入ってないかこれ。

セレネ > 「…まぁ周りを見るに、カップルさんが多いみたいですしね。」

そう思うのも仕方あるまい。
相手の脈が早まっている事などついぞ思いもしない天然は、
初対面でも友好的に接してくれる彼へ苦笑の顔を向けた。

「貴方も人酔いしてしまうタイプなのです?
私と同じですね。
いえ、でも先に座っていらしたのは其方なのですし…。」

緩く首を傾げそう問いを投げかけては
持っていた缶のプルタブを開けて中身を飲む相手を不思議そうに眺め。
…美味しいのかな?

天月九郎 > 「ん゛っ……まあ、色んな施設あるしデートスポットには丁度いいんだろうなあ……知らんけど」

ついさっきここもカップルシートになれ!なんて邪悪な願いを迸らせた身としては一瞬意識がそっち方向へ向かいかけ、手綱を引っ張り引き戻す。
映画にショッピングに食事、遊ぶ場所が一箇所に固まっているのだからそりゃ集まるだろうなあと、一瞬だけ遠い目を。

「ああ、故郷が田舎だったからさ、こんなに人が集まる場所は初めてだ。
 この島でだいぶ慣れた気で居たけど……もうビルって言うか一つの街だよなぁ……。
 いーのいーの、それに俺も一人でぼんやりするよりこうして話してる方が楽しいし」

気遣い出来る人だなあと自分の周りには居なかったタイプに感心しながらも、気を使わなくていいと首を振る。
まあ女の子と話すのはあんまり慣れてないから間をもたすために缶を口に運ぶのだが。
そのたびに自分のエナジーが高まり一つ上のステージに昇れそうな全能感が満ちてきて絶対ダメなやつだろコレ……と心なしか毛艶が良くなっていく。

セレネ > 「本当に沢山ありますよね。
私は今日は下見も兼ねて来てみたんですけど…色々ありすぎて迷ってしまいます。」

それはそうだよなと、相手の言葉に頷く。
つい最近出来たというのもあるかもしれないが、此処の店の豊富さは人が集まるには充分な建物だ。

「田舎。…所謂田畑が広がる田園風景…みたいな?
ちょっとした街くらいの人は居そうですよねぇ、こんなに多いと。
そう、ですか?楽しいと思って下さってるなら私も嬉しいのですが…。」

気を遣わなくて良いと伝えてくれるのは有難いものの、これは最早癖みたいなものなので気にするなと。
…心なしか、何だか髪の毛艶が良くなっているような?
そんな即効性のある美容成分が入っている飲み物なのだろうか。
困惑するよう蒼目を瞬かせ。

天月九郎 > 「ほんと、一日二日じゃ回りきれなさそうだ。まあ俺には縁がないなって場所も割りとあるけど。
 でっかい映画館とか風呂はちょっと気になるなあ」

さっき軽くうろついたレストランエリアなどは自分にとっては少々お高すぎる。
気合を入れれば手が出る範囲ではあるが間違っても遊びに来たついでに入れるような場所ではない。
自分はバーガーかファミレスでも食べていればいいのだ。

「そそ、そんな感じ。お裾分けで近所の人が野菜くれるようなレベル
 周りは山ばっかだし遊ぶのも外って感じだったなあ。
 だからまあ回りは皆身内みたいなノリでちょっと気安いかも知れないけど許してくれな。
 あ、これ?これはなんか……自販機にランダムってやつがあって、押したら出てきた」

楽しそうに故郷の事を笑いながら語り、そういえば自分は初手から距離感近いらしいと指摘された事を思い出し大丈夫だろうかと小首をかしげ。
どうもおーい!無茶!を見られている気がして軽く掲げながら説明する。
魔法や霊薬の類ではなくそんな気配はなく、純粋に薬効的なアレコレでこの効果を発揮しているらしく、逆に怖い。
たぶん薬局で買うと自販機に入れた金額の数倍は絶対にするだろう。

セレネ > 「映画館やお風呂は、お友達と一緒に行った方が楽しいと思いますから…今度は仲良しな子と来るというのも一つの手でしょうね。
少なくとも一人で寂しい思いはせずに済みますし。」

学生の身分では少々手が届きにくい場もいくつかあり、成程なと小さく頷きつつ。
まぁそういった所は無理に行かず、自分が楽しめる場所で楽しめば良いのだと思う。

「そうだったのですね。
でも、こういった場所とは違ってのんびり出来そうなイメージがあります。
いいえ、お気になさらず。貴方はきっとお友達が多い人なんだろうなーって思うくらいですので。
自販機にランダム要素が…?」

それは、悪しき文明であるガチャというものでは…?
首を傾げる相手へは微笑んで大丈夫だと伝えよう。
彼が先程から飲んでいる飲み物の説明については
不審そうな顔を浮かべ。

「体に違和感があったら、迷わず捨てるのですよ?」

何だか不安になってきた。

天月九郎 > 「まあ一人で行くにはちょっとハードル高いよなあ……風呂はなんか水着付けて遊べるような場所?もあるらしいし……
 いや寂しい思いなんてぜんぜんしてませんけど?試験勉強の息抜きだし……」

一人で寂しい場所という言葉が独り身という変換をされドス!っとイマジナリィな音を立てて突き刺さる。
彼女にそんなつもりは無いとしてもちょっと否定しないわけにはいかないと妙な意地を張ってしまって。

「まあのんびり出来るけどのんびりしか出来ないと言うか……
 遊べる選択肢は多いのは間違い無くこっちだな……。
 ん、そういって貰えると俺も助かるよ。ああ、ランダムって押したらなんか歯車が回る演出が始まってさ。
 虹色に光ってコレが出てきたんだ」

どこからどう見てもガチャ演出であった。

「あ、大丈夫大丈夫。半分くらい飲んだけど気分がいいくらいだ」

空でも飛べそうなくらい、と爽やかに笑う。
声をかけた時よりも若干テンション上がり気味なのが伝わるかもしれない。

セレネ > 「へぇ…そうなのですね。ただ身体を癒す為だけではないのか。
――え?ぁ、あぁ、そうですか。それは失礼しました。」

無自覚に言葉の刃物で刺していた事に気付かず、謝罪を述べる。

「そういった場所には行った事ないので…ちょっと行ってみたい気もしますね。
一種のテーマパークみたいなものですよね、此処。
……それは、ソシャゲのガチャに似てるような…。」

しかも虹色ってすごいレアなものじゃなかったっけ。
という事はその飲み物はレアものという事…?

「――本気で空を飛んだりしませんよね?」

いや己は飛べるのだけども。
キマってきてる感じがして何だか怖い。相手が不審な動きをしないか目を光らせておかねば。

天月九郎 > 「まあ癒しの効果も凄いらしいけどな。美容にもいい?とかクラスの女子が言ってたし。
 あ、いやちょっとムキになたかも、こっちこそ悪かったよ」

うん、別に一人で遊び歩くとか変な事じゃないし。
ちょっとカップルが当たり前みたいな空気で浮いてただけだし。
それはそれでクるものがあるな…と自傷ダメージが追加で入る。

「ん~まあ船使って電車使ってバス乗ってって遠いからなあ俺の故郷は……
 この辺だと雰囲気近いのは農業区とか青垣山とか?
 まあ郊外は女の子にはちょっと危ないか……。
 あーそうそうそんな感じ、施設の雰囲気もいいし見てるだけも楽しいよなあ……。
 まあ最悪ハズレでも水とかだろうし、10連しても飲みきれないだろうから大丈夫だよ」

限定ガチャで小遣い溶かした顔した友人の姿を思い出し、ああはなるまいと誓ったのだ。
気になるゲームがあるがガチャ要素強いからと諦めた事もある。

「んん……大ジャンプは出来るけど飛ぶのは無理っぽいな……」
するにしてもこの高さは無理だろう、まあ飛ばないから大丈夫だけど。
ふとこちらを見る視線に気付き、くすぐったいような照れくさいような落ち着かない気持ちでなに?とはにかみ笑いを返す。
まさかヤク的なアレを心配されているとは夢にも思うまい。

セレネ > 「それは…俄然興味が湧いてきましたね。美容は女性にとっては嬉しいものですから。
ぇ、あ、いえいえ!私の方が悪いですし…!」

逆に謝られてしまえば胸の前で両手を振る。
まさかの相手自身の追加ダメージ。

「それは…なかなか大変そう…。
あー…そう、ですね。誰かと一緒なら安心ですけど一人で行くにはちょっと不安です。
そうですねー。人混みが苦手な人にとっては遠くから雰囲気を楽しむだけでも充分だったりしますよね。
…本当にそれは大丈夫なのでしょうか。」

やはりガチャは悪しき文明。
ついこの間スマホは買ったばかりだけど、己も気をつけなければいけないな。

「大ジャンプは出来るのですか…?!
それはあの、なんですっけ、赤い帽子にオーバーオールの…。」

キノコ食べたら色々起こるキャラクターみたいな。
己の視線に流石に気付いたか、はにかむ相手に
笑みを繕って何でもないと首を横に振る。
不安だ。

天月九郎 > 「そこんとこ男に判んない感覚だよなあ…十分綺麗じゃん?って思っても皆そう言うし
 あ、いやいやほんと気にしないで」
ぽろっとそんな綺麗な肌なのにとか考えてしまう。
が、すぐにぶんぶんと手を振り首を振り謝罪合戦が始まりそんな思考もどこかへすっ飛んで。

「まあ帰省するのに気合がいるって程度で困った事はないけどな
 治安とか行き届いてないところもあるだろうし、なにより迷いやすいだろうしなあ。
 苦手なわけじゃないけど耐性付いて無いから弱るって感じだなあ俺は……。
 まあさすがにジュースで自制心を無くすってことはないんじゃないかな……そんなに」

ふと自分がこれを手にしたのをめっちゃ見ていた男の姿を思い出す。
社会人って大変なんだな、うん。

「身体強化出来るからそれなりに。
 あのヒゲの人シリーズによってだいぶスペック変わるからなあ……派手な事しなくても3mくらいはいけると思う」

本気出したら星から星へ飛ぶからなあとやたらと殺意の高いゲーム画面を思い返し。
笑みを向けられるとどうにも直視出来ずに景色を眺めるふりをして視線をそらす。
油断して傾いてしまった缶から中身が近くの花壇に零れてしまうもツボミが花開くだけで特になにもなかった。

セレネ > 「ふふ、そう言ってくれる方ってなかなかおりませんよ?
――いえいえそんな…っ!
これ、堂々巡りになりそうですね…。こういう時はお互い様って事で一つ。」

国が、世界が違う者同士の謝罪合戦。
奇妙だろうなぁなんて思うとピッと人差し指を立ててはそう提案。

「そう、なのですか?
私、あまり争いごとは得意ではないので…うん。ちょっと気にはなりますけどこの時期陽も強くなりそうですし…。
…耐性ってつくものなんです…?
――だと、良いのですが。」

己の杞憂であるなら良いのだ。

「……それは、魔術や異能とかで?
そうなのですか。あの手のゲームはまだやった事がないんですよね…。」

そもそもあまりゲーム自体にも触れてこなかったし。
視線を逸らした相手から、零れた飲み物が花壇へ落ちた。
すると先程まで蕾だった花が見事花開いたではないか。
驚いて目を丸くする。
…え、そんな危険なものを飲んでいるの…?

天月九郎 > 「ああ、ええっと……うん、綺麗、な、髪!だと思う
 うん、そうだな、やめとこう、やめとこう」
他にも色々大人びてるなとか、色々思う事はあるけど、無い知恵と経験値を絞ってここなら褒めても失礼に当たらないはずと声を微妙に上擦らせ。
謝罪キャッチボールの打ち切りのお知らせをこくこくと受け入れる。

「通学するならめっちゃ不便だろうけど寮住まいだしなあ。
 護衛と送り迎えは出来る、と思うけど日光だけはどうにもなんないな……。
 ああ、都会生まれの人らは人酔いとかしないらしいし、慣れるんじゃないか?
 俺は最近はガラガラじゃない電車にも慣れてきたし」

「ああ、異能で。ここで見せると派手になっちゃうから見せれないけど、何にもしなくてもある程度は強いと思う
 俺は友達に遊ばせて貰ったり、自前だと割りと雑食で色々遊ぶなあ
 スペースデモンス狼とか」
宇宙の狼がダークな世界観で死ぬのを繰り返しながら探索するゲームタイトルをぽつりと、ちょっとマニアックすぎただろうか。
こちらをじっと見る視線に小首をかしげながら、また缶をぐいっと、慣れてきたからぐいぐいいける。そろそろ空だろうか
もうちょい飲みたいな……

セレネ > 「へ?髪?…あぁ、髪も勿論いつもきちんと手入れは欠かせておりませんから。
はい、やめましょう。不毛ですし。」

髪だけに。
仮に見た目や雰囲気を褒められても照れるだけで失礼とは思わない質。
言われ慣れてはいれど、恥ずかしさはずっと抜けないのが困りものではあるけど。
謝罪のキャッチボールじゃなく言葉のキャッチボールをしましょう。ドッジボールにはならないようにしたい。恐らく大丈夫だとは思うが。

「寮の方が楽ですよね、色々と。
どうにも、昔から日光に弱くて。…あぁでも、そういった種ではないですよ?吸血鬼とかではないです。
……私もいつか慣れるかなぁ。」

まずは視界の情報量を減らす為何らかの処置を施す必要がありそうだが。

「――貴方は異能が使えるのですね。具体的にはどういう…
あ、差し支えないのであれば教えて頂きたく。
…スペース…?」

相手の言うゲームにピンと来ず、首を傾げ。
ながらも遠慮なく飲み進める相手に戦々恐々。
何も起こらなければ良いのだが…。

天月九郎 > 「ああ、うん、自分で浴室道具揃えるときシャンプーだけじゃなくて色々あってびっくりした……
 ん、気をつけよう、おたがいに」

少々押しが強い知り合いが多いのでなんだかホッとすると笑みを浮かべ。
なにやら今一瞬面白い空気が流れたような気がするけどきっと気のせいだろう。
気が付けば周囲の事など気にもせずに、景色と会話を楽しめていて、最初は感じていた緊張もどこかへ行ってくれたようだ。

「共同生活ってのは最初はびっくりしたけど部屋は一人だし、寝坊しかけても周りが慌しくなるおかげで起きれるしなあ。
 ああ、苦手な人居るらしいな、俺の場合太陽浴びてないと落ち着かないタイプだし……
 あー……良かったら、軽くぶらつく?話しながらだと気がまぎれるだろうし」

不躾だろうか?とはらはらしながら提案し、ふと名前も告げてないと気付きハッとする。

「あ、俺は天月九郎、そういや自己紹介すっかり忘れてた……
 俺の異能は……ううん、上手く説明しにくいな。
 こういう……弾丸みたいに圧縮された力を扱えるんだ。
 あとフルに使う時はちょっと……姿も変わる」

ゲームの話題が通じなければ選択ミスった!っと内心ひやりとして。
向こうから話題を振ってくれればホッとして、手の中に銀色をした紋様の刻まれた弾丸を出現させる。
魔力を感知する能力があれば高密度なエネルギーが渦巻き、その分融通が効かなさそうな雰囲気を感じ取れるだろう。
タロットでいう運命の輪、転換の力を宿した器。

両手がふさがってしまったのでエナドリを手早く飲み干しぽいっと投げる。
無造作に投げられたように見えるそれはゴミ箱の縁に触れる事も無くダイレクトに中に、今なら針の穴にラクダでも通せそうな気分だ。

セレネ > 「シャンプーからトリートメント、ヘアマスクとか色々ありますからね。美容にお金をかける分、より綺麗になるんですけど…お金はいくらあっても困りませんし…。」

押しが強い人が身近にいると大変だよね、分かる分かる。
面白い空気はきっと気のせいだろう。何も思ってはいない。そう、気のせい。
相手の緊張、己の緊張、互いに解れただろうか。
良かったと内心安堵。

「メリットデメリットはそれぞれありますよね。
太陽浴びてないと落ち着かない…?肌焼けません、それ?
――それ、は。デートのお誘いでしょうか?」

相手の提案には、少し考えて。
どうせこれから暇なのだし、相手と仲良しになれるのなら願ってもない事。
コク、と小さく頷いて相手の提案を呑んだ。

「天月さんですね。私はセレネといいます。
――へぇ。これはまた…なんというか。」

相手の手に生まれた銀の弾丸。
刻まれている紋様とその力に、興味を強く惹かれた。

缶の中身を飲み終えた相手は、見事なコントロールでゴミ箱に缶を放り投げた。
おぉ…と小さな拍手。

天月九郎 > 「シャンプーリンス一体型のお世話になってる俺には遠い世界の話だ……」

母親が風呂上りに色々なものを髪の毛にペタペタしていたのも覚えている。
髪は女の命って言うけど大変なんだなあと重々しくうなずく。
女の化粧や美容の品を馬鹿にするな、腎臓一個持ってかれても文句ぁ言えねえぞ。と爺ちゃん言われた事をちらっと思い出して。

「俺料理出来ないから寮に食堂あるのはほんと助かるよ。ほんとの一人暮らしはまだ無理そうだ。
 ん?焼けるなぁ、夏場は風呂入るとぴりぴりしてちょっと辛いけどすぐ慣れるし
 は?デェ!?あ、いや、デ……トと、言うか。違わ……いや誘ったけど…! い、行く?」

夏って日焼けするもんだよなあ…という小学生マインドの少年には刺激の強い単語が剛速球で飛んできた。
いや女の子を遊びに誘うとかそれデート?みたいな浮ついた気持ちが無かったとは言えない。クラスの友人に自慢してやろうなんてヨコシマな気持ちが無かったわけではない。
だが見た感じちょっと年上の落ち着いた女の子、デートとかそんな……俺ぁそんなつもりじゃねぇやいと意地を張りたい気持ちと是非ともお願いします!という気持ちが心の中でぶつかりあう。
結果めっちゃ上擦ってどもりまくった。

「ああ、よろ、よろしくセレネ。
 えっと、なんか運命の力?とか俺にも良く判んない、古代の遺産らしい
 とりあえず、俺の気持ちには応えてくれるし、使いこなせる様に頑張り中」

自分の相棒とも呼べる力に興味を持ってくれるのはなにやら嬉しい。
手の中に光の粒子に変わり消えていくさまを見せ、魔力の流れは丁度心臓の上へと収まって。

「どこ行く?なんか食べるなら男一人はちょっと難しいなあ……ってクレープ屋とかあったし。人ごみ避けるなら書店かな?
 でかいから人まばらだし、騒がしくもないし。
 あ、もちろん行きたいところあったら付き合う」

立ち上がり、行こうかと振り返る。
缶の重みが無くなった手の中が妙に寂しい、喉が渇いた気がする……。
 けれど目の前の事に意識を戻せばその感覚も薄れて消えていく。

セレネ > 「髪もお肌も女性にとっては大事なんです。
人によっては、男性も気を遣ってる方はいらっしゃいますけどね。」

とはいえそれも極一部だろうし、気持ちはあまり分からなくても仕方のない事か。
ただ、相手の祖父の言う通り馬鹿にしてはいけないのだという事は覚えていてくれたら有難い。

「献立考えるのも大変ですからねー。
…それだけ肌が強いのは羨ましいですね。私、色素が薄いので…。
――ふふふ、そんなに驚かなくても。少し意地悪しただけですよ。」

相手の分かりやすい反応にはクスクスと口元に手を添えて笑い。
ちょっとからかって遊んでみただけだ。他意はない。

「えぇ、宜しくお願いします。
…古代の。という事は貴方自身の力ではない、という事ですね?
そんな人も居るのか…。」

魔力の流れを見るに、相手の異能の源は心臓の上に位置するらしい。
蒼目を細めるも、何も言わず。

「ん、クレープ屋さんも行ってみたいですし、書店も気になりますね。
折角ですし二人でもう一度色々周ってみませんか?
きっと良い思い出になりますよ。」

立ち上がる相手に微笑んでは己もゆっくり立ち上がり。
若干見下ろす形となる。