2020/07/05 のログ
羽月 柊 >  
手に布のかかった鳥かごを持ち、魔道具エリアを歩く男が1人。

「魔道具……杖は使えない…インスタント系エリアに固まってるのか?」

表記を見ながらガラスケースやショーウィンドウに飾られている魔道具を見る。

新しく出来た扶桑百貨店。異能・魔術向けの品を扱っていると聞いて、
この男羽月 柊は見に来ていた。

魔術の素材、品などは伝手を使って買うことも少なくない。
魔術学会はまだ緩いが、協会なんかはまだ古いしきたりが残っていて、
こうやって安易にモノを入手したりするのが難しいことは多い。

「ここで買えるならわざわざアーカムから送ってもらわなくても済むしな…。」

羽月 柊 >  
途中、店員に声をかけられる。
何かお探しですか、と。

「ああ、すまない。
 魔力を使わない…元から魔法がかかってるタイプの品を探しているんだ。
 それと、魔力伝達の良い素材そのものは売っていないか?
 自分で刻印して使いたいんだ。」

異能・魔道具を扱う内店舗だ。
店員だって大方は商品についての知識があるだろう。
もしかすれば、魔力感知を持っている店員だとすれば、
今、相対しているこの男からは、"魔力を一切感じられない"ことが分かる。

ただ、店員はそんなことで表情は崩さない。
己に魔力が無くても魔法を扱うモノはいるのだ。そう、目の前に。

そうして案内を受ける柊の魔法は完全に外付けに頼っている。
基礎的な魔力を感じられるようになることから、何もかも。

魔法具によって身体を魔法が使える状態にしている。

羽月 柊 >  
案内してもらい、ありがとうと礼を言って店員を見送った。
別段商品の営業をしてもらいたい訳じゃない。
モノの良し悪しぐらい、自分で分かっているつもりだからだ。

「…しかし、世も末だな。
 昔は秘匿も秘匿とされていた魔道具の類が、こうも目の前に並ぶとな。」

手に持った籠の中からは小竜達の鳴き声がする。
独り言を呟いているようにしか見えないが、セイルとフェリアと会話はしていた。
竜語の分かるモノにしかわからない会話ではあるが。

「いや、とっくに末か。大変容、終末の起きた後だしな…。」

安い商品はそのままだ。
なんだったらパッケージ化されて、電化製品のごとく並んでいるだろう。

羽月 柊 >  
「アラクネの糸、コカトリスの鱗、ハーピィの風切り羽根…。
 ……養殖ユニコーン…???」

商品を確かめていく。
札には『史上初!養殖成功ユニコーンの鬣(たてがみ)!』なんていうPOPがついていた。
いやまて養殖出来るのかそれは、なんていう内心のツッコミ。

「これでただのペガサスの鬣でしたとか無いだろうな…。」

やめとくか、やめとこう。
危ない橋は渡らないのが大人です。

買い物カゴにぽいぽいと素材を入れていく。

羽月 柊 >  
普段は必要な素材しか買い付けないから余計なモノまで買いそうだ。
とはいえ流石に量産というか、百貨店に並ぶモノ。

「普段使いにはともかく、金属純度は流石に…。」

よろしくはない。
普段使いで消耗するような品は良いのだが、
魔法を刻印して魔力を充填し、何度も使い回すような魔具を作ることには向いていない。

やはりそういうモノは、今まで通りの所から取り寄せた方が良さそうだ。

それにしても、やはりこういう場で無能力の自分は良くも悪くも目立つ気はする。

羽月 柊 >  
まぁ、魔術学会でも協会でも、散々浴びた視線だ。
今更どうこうとそれに怯えることはない。子供じゃあるまいし。

手持ちの不足分をカゴに入れ、会計を通す。
どうにも普段と全く違うせいか違和感が抜けないが。

一応魔法の品々なので普通のレジ袋よりは紙袋に入れてもらえたりなんだり。
そろそろ自分も空間収納を手にするべきだろうか、なんて考えつつ。
しかしあれはやはりそこそこ値が張る。

羽月 柊 >  
「まぁ、多少の無駄遣いも良いか…収入もあったことだしな…。」


さて、しっかりと散財もしたことだし帰るとしよう。
これから日用品でお世話にもなるだろうし、帰りに少し他を覗きつつ。

のんびりと柊は帰路についた。

ご案内:「扶桑百貨店 異能・魔道具エリア(7・8F)」から羽月 柊さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」に月神 小夜さんが現れました。
ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」に水無月 斬鬼丸さんが現れました。
月神 小夜 > とある休日のこと。小夜は斬鬼丸を引き連れて扶桑百貨店を訪れていた。
例によって小夜から呼び出したもので、こうして共に出掛けるのは楽器を買いに行った時以来である。
建前上は軽音部も今後使うことになるであろう催事場の下見。
では本音はというと───

「それじゃ、今日は荷物持ちよろしくね、ザッキー!」

商店街支店エリアの入口でウィンクを飛ばす小夜。
そう、百貨店内に設置されたブティック等を巡るのが目的である……!

水無月 斬鬼丸 > …どうしてこうなった。
正直、また月神さんに誘われるとはまったくもって予想外。
楽器は買い終わったので一緒に出かける必要は…まぁ、ないはず。
催事場の下見も、他の先輩と行けばいいはずだが……

「え。え…下見で、なんの…?」

一体何の荷物を持つというのか。
嫌な予感しかしない。

月神 小夜 > 「アタシが部の用事だけでこんな所に来るわけないっしょ?
 まだ回ったことないコスメのお店もあるし、夏服も見たいし……あ、あと新作スイーツも!」

完全に遊びに来ている客の様相だ。部活動はダシに使われたらしい。
催事場エリアではなく、商店街から支店が出ている様々な店の立ち並ぶ方へあなたの手を引いていく。
軽装の上にピンクのパーカーという少し目立つ服装なこともあってか、周囲の視線を集めることになるだろう。

水無月 斬鬼丸 > たしかに。
彼女の言葉につい納得してしまった。
一緒に部活をやってるうちに、なんとなくだが…どういう人物かわかったような気がする。
というか、下見なんて遠目でざっと見て終わってしまいそうな気がする。
家の嬢の言う買い物がメインイベントというか。
そして自分は荷物持ち…

「え、え、俺そんなに金なんてもってねーっす!」

ナチュラルに手を引かれるとなされるがまま。
しかも目立つので周りが気になる。
彼女の容姿もそうだが、そんな彼女が冴えない男を引っ張っているのだから…。

月神 小夜 > こちらは視線などどこ吹く風。
選り取り見取りの店構えに目を輝かせながら、まずはどこへ行こうかと考えている。

「オゴれ、なんて言ってないじゃん(笑)
 荷物持ちと、あとは感想とかくれたらいーし?
 むしろ付き合ってくれる分、なんか食べ物オゴったげてもいいくらいだし!」

カレシでもないんだから甲斐性とか気にすんな、と口角を上げて。
それでいて、部員の中から彼を選んだのは男性目線の感想が欲しかったからなのだが。
ただ連れ回すだけというのも申し訳ないという気持ちはあるらしい。

水無月 斬鬼丸 > このあたりのテナントなんてろくに見たことない。
服とか量販店とかで済ませてるし、コスメとかはそもそも用がない。
場違い感が半端ない。

「で、でも…なんつーか、なんかこういうときに奢れないとなんかかっこ悪くないっすか?
いや、奢られる義理もないって言われりゃそうなんでしょーけど…
え、ぁ…えー、むしろつき合わせてもらってるほうなんで…」

気まずさもあるが、月神さんほどの美少女と一緒に歩けるのだ。
嬉しくないかと言われればそんなことはない。場所はともかく。
電車での出来事の気まずさは…まぁ…誘ってくれたということは気にしていないということだろう。
むしろ覚えてないかも?

月神 小夜 > 「んー、別に? お金で好感度稼ごうって下心が透けて見えると萎えるし」

過去に"そういう男"と何度か共に過ごした経験から出る感想。
なんの見返りも求めないなら格好良いのかもしれないが、そんな人間はまずいない。
というか、友人関係の相手に期待するものではないと思う。

「それなら、ザッキーも楽しんでくれた方が嬉しいかな。
 この前は……ほら、最後なんか気まずかったし」

忘れもしない、彼の楽器を見繕いに行った日の出来事。
思い返せばさしもの小夜も頬が僅かに赤くなる。

水無月 斬鬼丸 > 「そういうわけじゃないんっすけど…この間のお詫びっつーか…」

好感度稼ぎというか、彼女の言うように前回は気まずかった。
それに関しては、こちらの意識しすぎとか…いわゆる童貞臭さが起こしたことだと思っている。
それに、女の子を連れているのに解消も見せられないようではかっこ悪いような。

まぁ、そういう考えがそもそも…といわれるとぐうの音も出ないのだが。

「あ、えっと、はい。んじゃ、女子の服とか化粧品とかよくわかんないんっすけど…」

彼女がそういうのであればとうなずく。
が、あのときの気まずさを彼女も覚えたと聞かされれば、じわりと頬が熱くなった。

月神 小夜 > 「ザッキーはマジメだな~。でも、そういうトコ嫌いじゃないよ」

変に律儀なところも含めて、この女性慣れしていない感じがむしろ好感であった。
可愛げと言うべきか。かくあるべし、みたいな。
本人に言うと凹みそうなので言わないけれど。

「ま、まぁー男子にはちょっち退屈かもしんないけどね!」

お互い赤面して変な空気になりそうだったので、切り替えて。
ほら行こ行こ! とコスメショップに引っ張っていく。
最近の流行色を押さえたメイク用品がズラリと並ぶ、あなたにとっては未知のエリア。
案の定、他に男性客は見当たらない。

水無月 斬鬼丸 > 「付き合い方が下手ってのかもしれないっすけどね…
でも、そう言ってもらえて少し安心っつーか…いや、硬いっすね、これも」

女性としても友人としても不慣れ。
ボッチ陰キャ歴が長いせいで、人付き合いが下手なのだ。
だが、おかげで少し肩の力が抜けた。

が、その抜けた肩の力もすぐにもどってくる。
そう、コスメショップならね。

「あ…あー…」

見事なまでに女子しかいない。
なんでこんなに種類があるのかわからない化粧品が並ぶ棚の前…
場違い感に押しつぶされそうだ。

月神 小夜 > 『ザッキーも楽しんでくれた方が嬉しい』とは何だったのか。
開始早々、あなたを置いてけぼりにして棚の商品を手に取っては眺めている。
こちとら生まれついての女子。複雑な男心に敏いわけではないのだ───

「ん~、こっちの色もいいけど……
 ねぇねぇザッキー、こっちとこっち、どっちの方がイイと思う?」

試供品のグロスを手の甲に塗って見せてくる。
薄い紅色と淡い桃色、本来は唇に塗る化粧品の色比べだ。

水無月 斬鬼丸 > 流石に楽しむどころではないので月神さんの後を頼りなさげについていく。
手にとっている化粧品の違いがよくわからない。
化粧水ってどう違うんだ?とか思ってしまうのだ。
キョロキョロしていると、前を歩く少女から声がかかる。
見せられたグロスの色の比較…だろうか?

「あー…えっと、普段遣いってならこっち(桃色)っすけど…
舞台映えってならはっきりとした色のほうがいいかも…」

月神 小夜 > 「おお、意外にもマトモな意見……」

まるで最初からアテにしていなかったかのような言い草だが、納得したように頷いている。
そして、結局どちらもカゴに入れた。普段使いと公演用で使い分けるつもりで。

「もっと悩むもんだと思ってたけど、詳しかったり?
 ……あ、それともアタシが"ココ"に塗ってるとこ想像したとか?」

次の棚に向かいながら、振り向きざまに唇に指を添えて笑う。
ギャルを公言しているわりに普段のメイクはナチュラル寄り。
特に目を引くものもないため、自然と視線は唇へ吸い寄せられるかもしれない。

水無月 斬鬼丸 > 「化粧品の違いはわかんないっすけど、色の違いとかならわかるところだし…」

結局両方買うんだ…と、彼女がかごにいれるグロスを見送る。
化粧水で、どっちのほうがいい?ってきかれたらさすがに『どうちがうの?』
となるのだが、今回はグロスで助かった。

「月神さんが使うもんだから、一応そういう想像は……
っ!?いや!想像はしたけど別にやましいこととかじゃなくて!?」

それは当然とうなずき返すも、彼女の仕草に思わずドキリとしてしまう。
そして、彼女の言わんとすることもなんとなく理解してしまった。
月神さんの唇……。凝視してしまう。

月神 小夜 > 「ぷっ……あはは! 誰もそんなコト言ってないって!」

キョドる様子に破顔しつつも、視線を感じればわざとらしく舌を出して上唇をなぞる。
こうやってからかう分には本当に飽きない相手だ。
弄る側に回っている間は先日恥ずかしい一面を見せてしまったことを忘れられる。
あれは本当にどうかしていた。新調したてでセンサー類がどっかおかしかったのかもしれない。

「ほら、次次。このペースじゃ日が暮れちゃうし!」

その後もあなたを引き連れてコスメショップを歩き回る。
化粧水は男子にも有用だからとオススメを教えたり、主に公演用のアイテムを数点見繕ったりなどするだろう。

水無月 斬鬼丸 > 「あ、ああ…そっすね、そうっすよね!!」

想像しました。と暗に言っているようになってしまった。
女の子の下とか唇とかまじまじとみることないのでー
視線が言ってしまえばドキドキしてしまうのも仕方ないのでー
本当にやましいことは考えていないのでー
と、脳内で言い訳しつつも、口元に注目してしまうあたりだめだめであった。

「あ、あぇ、は、っはいっ!」

慌てて彼女の後につく。
教えてもらった化粧品のいくつかは、値段と相談しつつ
買えそうなものを少し買ってみたり。

月神 小夜 > 「いったいナニを想像したのかな~? ほれほれ、正直に言ってごらん?」

脇腹を肘でつついて問いかける。
無理に聞き出すつもりもないので、適度に揶揄ったら止めるが。
気が付けば買い物カゴの中身は様々な化粧品でいっぱいになっていた。

「肌ケアって女子の特権みたいに思われがちだけど、そんなコトないかんね。
 ザッキーには軽音部としてステージに立ってもらうことになるわけだし、今から覚えといて損ないよ」

そんな会話をしながら会計を済ませたショップを後にして。
次に向かうのはブティック。そう、またしてもアウェイ。
今いる通りがそもそも的な話ではあるのだが、クールタイムは与えてくれないらしい。

水無月 斬鬼丸 > 「月神さんの唇をクローズアップしてかんがえただけで…
いや、そんなのはいいじゃないっすか!!早く、次!次へ!」

唇に注視するのもそれはそれでなんか、うん。
そこに視線を近づけるっていうのは、まぁ、そういうことだ。
声を上ずらせながらも話を逸らす。

「そ、そういえばそうっすね…練習だけ、とはいかねぇっすよね…
メイクって…こう、仮面かなんかじゃダメっすかね…」

顔が地味なので、化粧してもステージ映しなさそうという懸念。
そんな懸念をもつものの、たどり着いたのは……

「あー…」

次はここか。下着売り場にはいかないでくれよ…?と心のなかで神に祈るのであった。

月神 小夜 > 「ダメダメ、ビジュアルも勝負なんだから! つか、仮面とか逆に目立ちそう」

慌てふためく様を堪能しつつブティックの扉を潜った。
広い店内が狭く感じるほどの品揃え。
商品棚やハンガーラックには季節ものから肌着まで様々な衣類が展示されている。
当たり前だが全て女物。コスメショップに比べれば男連れがちらほら見えるのがせめてもの救いか。
もっとも、男連れということはほぼカップルということになるのだが。

「推してるブランドの新作が出たらしいんだよね~。楽しみ!」

当の本人は外聞など気にせず店内を闊歩している。
目当ての棚に向かう最中も、目に付いたものは手に取ったり体にあてがって見せてきたり。
下着売り場には向かわないようだ。命拾いである。

水無月 斬鬼丸 > 仮面ボーカルとか俺の素顔よりはインパクトはありそうな気がするがダメなのだろうか?
今回はコスメショップよりは居心地の悪さを感じない。
カップルの姿もみるし、多少はマシだ。
だが、カップルしか見ないということは、逆説的にこちらもそう見えてるのでは?
まぁ、それはいい、いいとしよう。

「月神さんはどういうやつが好みとかあるんっすか?」

今の服を見ていると、カジュアルな服を好みそうな感じではあるが。
服をとっかえひっかえと見ている小夜。
感想を求められれば、見た感じの印象を端的に述べるのだが…。

月神 小夜 > 「ん~、やっぱパリッとしてるのが好きかな。
 ふわふわした感じのとか、ヒラヒラしたのあんまし似合わないし」

ロングスカートなんて履いた日には、裾を自分で踏んで転びそうだ。
身軽で動きやすく、可愛さとかっこ良さの中間くらいが好ましい。

「ザッキーは? あ、自分もだけど女の子の服の好みもね。
 やっぱし"童貞を殺す服"みたいなのが好きなん?」

かなり前に登場したジャンルであり、今も一部の層に根強い人気を誇る服装。
実は小夜も人から選んでもらって一着持っていたりする。
しかし自分には似合わないと思い、滅多に袖を通さないのであった。

水無月 斬鬼丸 > 「へー、そうなんっすね。
やっぱかっこいい感じのやつみたいなのっすかね」

こちらとしてみればそれこそ意外。
可愛いものとか好きそうだが、やはり自分が身につけるとなると違うものなのだろうか。
とはいえ、ふわふわひらひらより活発そうな服のイメージのほうが彼女にはしっくり来る気がする。

「俺は…まぁ、着るときにめんどくない服が…あと動きやすい感じの…
……女の子のもっすか!?
あの手の服はー…あれっす俺はキョドっちゃうからダメっすね…
てか、あんま考えたことない気が…」

女子の服のこととか考えたことない。
改めてどんなのが好きかーと聞かれると、むーっと唸ってしまう。

月神 小夜 > 「そそ。ライブ衣装はやっぱパンキッシュ系かな~って思ってるんだよね」

流石にこんな所で売っているファッションではないが、未来の自分に思いを馳せる。
統一感が出せるかどうかは他の部員の反応次第だ。

「あー、着やすいとか脱ぎやすいも大事だよね。あと脱がせやすいの。
 今の服とか超シンプルだし? 初心者でも安心よ」

そう言って大きく開いた首元の部分を軽く引っ掛けた指でくいくいと。
複雑な構造は一切なく、上に捲り上げるだけで脱げそうな半袖の服。
わざとらしい程にわざとらしい挑発だ!

「……着てるとこ見ただけでキョドるのは流石にアレじゃない?」

実際に手に入れてみて分かったが、露出などは一切ない。
いわゆるセックスシンボルを強調するようなデザインでもないのに何故なのか。
いやまぁ、びっくりするくらい巨乳だったら目立つかもしれないが。それは服のせいじゃない。

水無月 斬鬼丸 > 「パンキッシュ系。あれ、いいっすよね。かわいいしかっこいいしで…
メンズのパンクとかゴシック系はどうしてあんな…」

彼女の言葉に肯定的にうなずく。
ああいう衣装は好きかもしれない。
しかし、メンズとなるとどうしてあんなに尖った印象になってしまうのか。
やはり可愛さとの融合は大事なんだろう。

「そうっすねー…家で急にコンビニ行きたくなったりとかした時ゴチャーっとした服は……
脱がっ!?初心者に聞かないでくださいよ!?」

実にズボラなファッションに頓着のない陰キャ的な意見だと言える。
そういうとこやぞと言われたらぐうの音も出ない。
だが、彼女の言うような用途や状況は残念ながら、未だに経験した覚えはない。
やめてください、こちらの視線を操作するのは。

「……つか、女子と距離が近いのってまだ慣れないっつーか…
衣装より俺の問題かもしれませんが…」

月神 小夜 > 「あははっ、予想通りの反応どうも♪
 なんならアタシで"練習"してみる? なんてね」

脱がす方の練習か、距離を縮める練習なのかは明言せずに。
答えを聞かずに腕を引き、周りのカップルがそうしているように腕を組んだ。
パーカー越しの細い腕や柔肌の感触が、初心者なあなたを襲う───!

水無月 斬鬼丸 > からかっている、明らかに。
それに対しては、むー…と不満そうな表情を浮かべるも怒ったという感じではなく
しかし、練習してみるかなど言われてしまえば…
いや、言葉だけで今更…月神さんはそういう人だし!

「しませんよっ!
そんな練習したって使うきかいが………ぁ?」

それ以上は言葉を続けることができなかった。
腕を取られた、そして組まれた。
ちかっ、っていうか、密着面積!
前の電車ほどではないが!だからこそ、まだ感覚が麻痺していない、正常な状態で彼女の感触や体温を感じれる範囲。

「ぁ、えー…ぇ?練習…?です、か?」

動きが明らかにぎこちない。

月神 小夜 > からかうための行動だが、実のところ小夜にとっても重要だった。
頭のヘッドフォンさえ外れなければこっちのもの。一方的に手玉に取ることができる。
失敗談ばかり思い出すから恥ずかしいのだ。近付いたところでなんともない、そんな経験が大切。

「いざカノジョ作るぞって時にそんなじゃ情けないっしょ?
 このくらい皆やってるコトだし、この機会に慣れちゃっとこ」

周囲を見回しながらそんな事をのたまう。
電車内では正面から向かい合うような形だったが、今は隣であなたを見上げている。
なんて思い出すから恥ずかしくなる。小さく頭を振って記憶を追い出せば、満月色の瞳もつられて揺れた。

水無月 斬鬼丸 > 「そう、かも…っす、けどぉ!」

練習相手として、月神さんは強すぎる。
明るく可愛い軽音美少女などに距離を詰められてしまっては
いくら彼女持ちであろうとこうなるだろう。

もちろん、彼女のいうこともわかる。
もしほんとに彼女が出来た際、これではかっこ悪いことこの上ない。
わかるのだが…
隣の少女に視線を向ける。
彼女の思惑などもちろん気づきはしないし、ヘッドフォンがウィークポイントなどということも知らない。

「(とりあえず深呼吸だ…落ち着いて、胸を張って歩ければ大丈夫、きっと、変には見られない…)」

よし、やるぞ!

月神 小夜 > やめろ、と言われたらやめる気でいた。振り払おうとしたら離れる気でいた。
自分の都合で相手の嫌がる事をするのは忍びない。が、この反応は満更でもなさそうだ。よしよし。

「そうそう、堂々としてたらヘンじゃないって」

まだぎこちなく歩くあなたに笑いつつ、ちゃんと練習にもなるようアドバイスを交えて。
当初の目的であったブランドの新作があるところまで歩いてきた。
ブランド名を示すロゴには『LIBERTY FEATHER』の文字。
カジュアルな軽装を中心としており、いかにも小夜が好みそうなジャンルの服が多く並んでいる。
そんなLFから出たこの夏の新作。
スタイルの良いマネキンを着飾るレースのキャミソールとデニムのハーフパンツを見て、小夜は目を輝かせた。

「うわ~新作めっちゃイケてる! ザッキーもそう思うっしょ?」

見て見て、と言うようにぐいぐい組んだ腕を引いてくる。
そんな事をすれば当然、体の色んなところを押し付けるような形になるわけで。

水無月 斬鬼丸 > 嫌がるなどとんでもない。
女子が嫌いとか、彼女が苦手とか、そんなことはない。
健康的な男子なのだ。陰キャではあるが。
彼女のアドバイスもあって、ぎこちないものの、笑われない程度にはやれている…はず。

「ハ、ハイ。ドーモ…」

とはいえ、声はガチガチだ。
なんとかたどり着いたブランドは活発な女子らしいものが揃っている。
ブランドの名前はもちろん知らないが…
確かに月神さんにはよく似合いそうだ。
似合いそうだ。似合いそうだが!

「ソッスネ…ぇぇぇ!?ひっぱんないで、ひっぱんないで!
あたる、あたってる!!」

堂々、終了のお知らせ。

月神 小夜 > 「これは買いっしょ! あれとあれ合わせて……」

腕を組んだまま、あちこちの棚を見ては頭の中でコーディネートを考える。
首が左右に動くので、体も左右にぐいぐい動く。
あててんのよ、なんて意識はまるでない。無意識の方が恐ろしいとはこれいかに。

「早速試着し……うん? どったの?」

虚勢はもろく崩れ去り、慌てた様子に気付いて首を傾げた。

水無月 斬鬼丸 > 「ぁぁぁ」

なんだこれ。腕と一緒に体も頭もガックガク。
その分、触れている部分は過敏になっているのかもしれない。
抵抗すればいい、たしかに。
だが体が触れ合っているのだから抵抗してしまえば
なんか変なふうに引っかかって月神さんが痛い思いをしてしまうかもしれない。

悪感情をもってる相手だったりなんとも思ってない相手ならそんなことは思わなかっただろうが…

「……なんでもないっす…試着なら、座っててもいいっすか?」

むしろ座らせてください。気づかれないうちに。

月神 小夜 > ぐったりした様子だったので流石に解放してあげる。
こちらもテンションが上がってついはしゃいでしまった。反省。

「ん、そだね。そこに椅子あるから座って待ってて」

それほど大きな荷物ではないとはいえ、前の店で買ったコスメもある。
立たせっぱなしは申し訳ないので、頷いて試着室へと向かうだろう。

水無月 斬鬼丸 > 「うっす…」

なんとか、なんとかまにあった。
よしよし、よかった。
落ち着いて、落ち着いて…深呼吸。
いやじゃない、だからこそ危なかった。
気づかれていたら流石にドン引きでは済まない。ビンタ一発、退部させられていても可笑しくはない。

月神 小夜 > 斬鬼丸の斬鬼丸がおっきまるしたかもしれない件については気が付かなかったようだ。
そのまま店員を呼び、見繕った服を持って試着室へ。
終わりましたらお声かけくださいと言って立ち去る間際、店員があなたを見て微笑んだ。
間違いなくそういう関係だと思われただろう。

「~♪」

しゅるっ……ぱさり。ごそごそ……
試着室の薄いカーテン越しからは、鼻唄に混じって衣擦れの音が聞こえてくる。
もっとも、よほど集中して耳を澄まさない限りはよく聞こえない程度だが……

水無月 斬鬼丸 > 落ち着くための集中。
それは今回、功をなしていた。
そのはずだったのに。
次の瞬間にはその集中が牙をむく。

「………(落ち着け、落ち着くんだ、斬鬼丸!
こういう時は別のことに集中だ
素数とかカブトムシとかのことを考えろ!!)」

こういう客にこそフォローを入れるべきだろ、店員!
誰かと話してれば気は紛れるんだから!
初対面の誰かと話すの苦手だけど!!

店員 > 初々しいなぁ、と思いながら見守っている───
月神 小夜 > それから数分後。
───時間にして本当に数分なのだが、あなたにはとても長く感じられたかもしれない。
試着室のカーテンが開き、装いを変えた小夜が姿を現した。

「じゃーんっ! どぉ? 似合う?」

レースのキャミソールの上に肩口の開いた服を合わせ、下はデニムのハーフパンツとオーバーニー。
ちらりと覗く絶対領域が目に眩しい、快活な印象のコーディネートだ。
ヘッドフォンは試着に邪魔なので一時的に外してハンガーフックにかけてある。
その場でくるりと半回転したりして、あなたの感想を待っているようだ。

水無月 斬鬼丸 > 「ひゃいっ!?」

思考が素数からカブトムシの種類ごとのトーナメント戦にはいって
第三試合の最初のマイクパフォーマンスの最中。
じゃーんと現れた月神さん。
驚いたように声をあげ、顔を上げて視線をむける

「あ、え…すごい、にあってるっすね。
かわいいっつーか…かっこいいっつーか……」

語彙力!!
健康的な色気と、活発さ、可愛らしさ。
それらを内包した彼女の姿はなんと言葉にすればいいか

「小夜さんって感じがするっていうんっすかね?」

月神 小夜 > 「どしたの、変な声あげて」

脳内で繰り広げられていたムシ王者トーナメントなど露知らず。
素っ頓狂な声を上げたのを見て首を傾げた。

「語彙力死にすぎ(笑) もっとあるっしょー? この肩紐がセクシーとかさ」

肩に手を回し、キャミソールの紐を持ち上げて引っ張る。
必然的に両腕を上げる格好になるので、大胆に開いた肩口から腋が覗く……
ムダ毛は見当たらず、普段あまり見えないところにも気を遣っているのが窺える。

「アタシらしいっていうのは……まぁ、似合ってるってことでいいか。
 ザッキーが気に入ったんなら、このまま買って着てこうかな」

イメージに合うという意味なら悪い気はしない。
嬉しそうにはにかんで、壁にかけておいたヘッドフォンを装着した。

水無月 斬鬼丸 > 「あぁ…なんていうか…こういう時どういうもんなんすかね…」

恥ずかしながら、こういうときに使う語彙など…
かわいい、かっこいい、きれい、にあってる、くらいしか思い浮かばない。
服がどうこうーとか言える知識などあるわけではないし。

しかし、なんというか…
人前に立つからだろうか?
きれいな体をしている。肩から腋といった…普段見ないところも…
普段見ないからこそ、すこしどきりとしてしまった。

「似合ってるのはもちろんっすよ。
えっと…俺はそういうの好きっす」

こくりとうなずいて

月神 小夜 > 「そのくらいストレートに普段から言えたら及第点かなぁ」

にひひ、と笑って肩紐を戻した。
そして会計の手筈を店員と進めながら、あなたがくれた言葉を頭の中で反芻する。

「(───"アタシらしい"か)」

本当のアタシを知ったら、どんな顔するのかな。
この身体のこともそうだし、ギャルっぽく振る舞ってることについてもそう。
驚くかな? 怖がるかな? 嫌われるのは、やっぱりやだな。
自分の方がよっぽどストレートに言えないくせして、おかしいよね。

まぁ、でも。
今はこの身体が、このキャラクターが"アタシ"なんだ。
堂々としていよう。そうすればきっと受け入れてもらえる。



「お待たせ。はい、荷物持ちよろしくっ♡」

レジから出てくると、当然のように紙袋をあなたに手渡した。

水無月 斬鬼丸 > 「あざっす…」

正直かなり恥ずいのだが。
もちろん、らしいとはいったが本当の小夜を知りはしない。
あくまで、自分の前の振る舞いを鑑みた結果でしかない。

しかし、それよりも、少年はあることを考えていた。

「(思わず名前で呼んでしまった…)」

大したことはないのであろう。彼女はなにも気にしていないし。
考えすぎるのもよろしくない。
差し出された紙袋は…素直に受け取った。

「…うっす」

月神 小夜 > 「よろしい♪」

並んでブティックを後にする。
現在時刻は、そろそろお腹が空いてくる頃合いだ。

「いったん休憩して、どっか食べれるとこ入りたいかも。
 ザッキーはお腹空いてる?」

買ったばかりの服を纏った姿で隣を歩きながら訊ねる。
名前呼びに関しては気付いているのかいないのか、変わらない態度だ。
これからも気軽に呼んでいいのかもしれない。

水無月 斬鬼丸 > 「そっすね…テキトーにハンバーガーかなんか食ってきます?」

上機嫌そうな様子に思わず声がはずんだ。
はずんだと言っても、柔らかい調子になった位かもしれないが。
それでもなんだか、精神的には楽になったような。

化粧品と服。あわせてもあまり重くないし。

月神 小夜 > 「行く行く! やっぱこういう時はジャンクフードだよね」

デートだから、と気を揉んで普段は行かないようなお高いレストランに連れて行かれることも結構ある。
そんなの、こっちだって息苦しいってのに。食事くらい好きな物が食べたい。
本人はあまり意識していないのだろうが、密かに小夜の好感度が1上がった。

「ザッキーってポテト派? ナゲット派?
 せっかくだから一つずつ買ってシェアしよーよっ」

それに、こういう店の二人以上いるからできる楽しみ方には詳しい方だ。
いつも両方買って食べてる、なんて豪気な人間なら話は別だが。

水無月 斬鬼丸 > 「俺はポテトのほうがなんか、ジャンクフード食ってるって気がするんで…」

そうデートではないのだ、うん。
デートじゃないから気負う必要はない。
デートであってもカネがないからレストランとか無理である。

「そっすね。月神さんってけっこう食べる方っすか?」

彼女のノリにはまだ遠いが、スキンシップがなければ普通には喋れるようになったかも?

月神 小夜 > 「分かる~~~!!
 でもナゲットって他じゃまず見ないじゃん? 時々食べたくなるんだよね」

見かけるとしても黄色くて若干しっとりしたケチャップ付けて食べるタイプのアレくらい。
サクサクの衣に色々なフレーバーが楽しめるのはジャンクフードならではだ。

「って、女の子にそれ聞く~? まぁ人並みって感じだけどさ。
 ザッキーはなんか、食細そうなイメージあるよね」

以前ほどカロリーを気にする必要はなくなったが、元々そんなに食欲旺盛ではない。
三大欲求は別のパラメータに極振りしているようなものである。
彼に対するイメージは人柄からの偏見もいいところだが、男子高校生らしい食欲ならばむしろ安心。
そんな会話をしながら、バーガーショップへと歩いていくのだった。

今は荷物を持たせているので腕を組んだりしていないだけ。
席に着けば「あーん」の洗礼が待っていることを今の彼は知らない。

ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」から月神 小夜さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」から水無月 斬鬼丸さんが去りました。