2020/07/12 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」に彩紀 心湊さんが現れました。
彩紀 心湊 > 「ちょっと早く来過ぎたかしら…。」

適当な場所の椅子を見つけて、端末を見ながら時間を潰す。
随分と前に開発された技術ではあるが、電子書籍というものは良いものだ。
既に絶版となったものもこうして手に入るし、時間をつぶすのにもってこいだ。
もっとも、本を読むよりも少しばかり周囲を気にしているには違いないのだが。

「…(待ち合わせ場所…間違ってはないわよね。)」

こうして誰かと待ち合わせをするのはつい最近あったことではあるが、先に待っているのは初めてのことだ。
ほんの少し、不安な心持ちになりつつも待ち人を今か今かと待つ。

ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」に月神 詠さんが現れました。
月神 詠 > きょろきょろと辺りを見回しながら歩いてくる人影がひとつ。
ハイネックの半袖と薄手のロングスカート姿で、胸にはいつも通りサラシを巻いている。

「心湊さん、お待たせいたしましたっ」

すれ違う人々が思わず振り向くのにも目をくれず、探し人の姿を認めれば破顔してそちらへ駆け寄った。

彩紀 心湊 > 「んっ…。」

声を聞いて、端末へと向いていた視線は声の主へと向かう。
これまた、しっかりとオシャレをしてきたなぁと思いつつ自分の服装をチラリ。
白のブラウスに膝ほどまでのスカート。清涼感がある姿だ。

「いえ、こっちが早すぎたくらいだから。
にしても、既に楽しそうね?」

周りの人の視線に思わず苦笑しつつも、しっかりとそちらの顔を見れば優しく微笑んだ。

月神 詠 >  
「これでも早くに家を出たのですが、此処へは初めて訪れたもので……」

最近グランドオープンした場所ということもあり、足を伸ばしたことがなかった。
普段の買い物は商店街を利用している。

「楽しそう、ですか?
 ……こうして誰かと誘い合わせるのも初めてですから、そのせいかもしれません」

そう言って、照れ臭そうにはにかんだ。
同年代の生徒達にとっては珍しくもない事だろうが、詠にとっては新鮮な事ばかり。
無意識に気分が高揚しているのかもしれない。

彩紀 心湊 > 「そうよね…私も全フロア見て回ったかと言われたらそうじゃないし。
それに、私もこうして誰かとショッピングするのは初めてだし、ね?」

お互い様だと、頬を掻く。
本土にいる時もこうして誰かと出かけるだなんてことはそんなになかったなと今更ながらに思い出す。
初めてではないだけであって、こちらも彼女ほどではないにせよ心躍っていたには違いない。

「それじゃあ、早速行きましょうか。
このフロアは色々あるみたいだし…一緒に見て回りましょう。
詠さんはどこか見に行きたいところある…?なければこっちで決めるけど…。」

月神 詠 >  
「まあ……ふふっ。はじめて同士でございますね」

ならば、きっとこの高揚感はお互い共通のものだ。
不思議とそれが嬉しくて、冗談めかして言いながら笑う。

「特にこれ、という目当ては無いですね。
 どんなお店があるかも分からないので……お任せしても?」

彼女のチョイスなら任せても大丈夫だろう、という言外の信頼を添えて。

彩紀 心湊 > 「本当に。お祭りとかの待ち合わせとかは小さい頃やった覚えはあるのだけどねぇ…。」

こうして、単なる日用品を買いに出かけるようになったのはこうして一人暮らしを始めてからだったか。

「それじゃあ、アクセサリーのお店行きましょう。
服は…貴女の場合は既に色々持ってそうだし、今にしてもオシャレね。部屋着は大体浴衣だったしちょっと新鮮ではあるけれど。」

向かうのは小洒落たアクセサリーが並ぶお店。
安物から高級品まで幅広く揃えてある様子だ。ここには行こうと決めておいたのだろうか、やや先導する形で歩いていく。

月神 詠 > 思い返せば、両親とさえ一緒に出かけるようなこともなかった。
世継ぎとして自立を促すためだと承知はしていたが、やはり物寂しさを感じてしまう。
とはいえ、それを顔に出しては折角の楽しい雰囲気が台無しなので、笑顔を浮かべて心湊の後に続いた。

「アクセサリー、小物でございますね。
 実は、そういったものはあまり持っていなくて……服ならあるのですが」

生活に必要不可欠な衣類はともかく、装飾の類を自分から買い求めたことはない。
服装も店員に勧められるまま買ってしまったので、服に着られている状態と言うべきだ。
故に、一人ではまず間違いなく足が向かない店だろう。

彩紀 心湊 > 「そ。
学校でつけるのはあなたのイメージにそぐわないかもしれないけれど、こうして日常でオシャレする分には良いアクセントになるでしょう。

詠さんは美人だし、こういう小物がなくても勝負できるでしょうけど。」

なんて、冗談交じりの笑みを向けて店内を見渡す。
いかにも中学生が興奮しそうな造形のアクセサリーや、変わった形のアクセサリーには目もくれず、本命と思われる落ち着いたデザインのアクセサリーの元へと向かう。

「…詠さんも、なにか気に入ったものとか買ってみたらどうかしら?
貴女の好みも知りたいし、ね?」

思えば、彼女の好きなものなどまだ知らなかったなと思う。
大体、どんな人柄かだとか、どんな環境で育ったかは今まで話してきた中で分かってきたつもりだが、彼女のそんな個人的な部分はまだ深く踏み込んではいなかったなと。

月神 詠 >  
「こんなにも種類があるのですね……奥が深いというか」

アクセサリーショップの品揃えに感嘆の声を漏らす。
なるほど、これだけ色も形も様々なら、組み合わせでいくらでも個性が出せる。
衣服とはまた違ったセンスが問われそうなジャンルだと感じた。

「美人だなんてそんな……ただ、知らなかっただけです。
 こうして見ると目を惹かれるものばかりで……私(わたくし)の好み……」

比較的シンプルな造形のものが並ぶ商品棚をざっと眺める。
ピンクなどの明るい色はなんとなく自分には合わない気がして、隣の棚に視線を移すと───

「あ……」

ふと、青い和柄の髪飾りが目に留まった。

彩紀 心湊 > 「本当よね。
アクセサリーもその手の人からすれば立派なオシャレアイテムらしいけれど。」

ただ、きらびやかに魅せるだけではなくオシャレとして取り込むほど自分にセンスがあるわけではないけれどと苦笑して。
一人で数あるアクセサリーの中から選ぶ姿を隣を歩きながら見守る。
こうして、受け身な彼女が何か自分から見つけてくれるのを待つかのように。

「…ん。それにするの?」

何かを見つけたような反応に、ちらりとそちらの顔を見る。
和柄なのはなんとも"らしい"という感想を抱きつつも、そちらが反応を伺うのなら軽く微笑んで返すだろう。

月神 詠 > それは決して目立つようなデザインでもなく、色違いや似た形のものも沢山ある。
けれど、気が付けばその髪飾りを手に取っていた。

「い、いえ。なんというか……きれいだな、と思いまして」

深い青を湛えた髪飾りと、あなたの顔を交互に見て……ああ。
どうしてこれが目に留まったのか、合点がいった。

「心湊さんの瞳と、同じ色……」

ふたつを見比べながら、そんな呟きを漏らす。

彩紀 心湊 > 「そうね、和柄というのもあって詠さんには似合うと思うわ。
青色も大人しげな色合いだし。」

この髪飾りなら、和装であっても違和感はないだろうなぁと想像をふくらませる。
巫女服にせよ、浴衣にせよ、彼女がそういう姿であることは多いわけだし、と。
そんな事を思っていた矢先――

「ンっ……?!」

そんな呟きに思わず言葉が詰まる。
青色である理由までは分からなかったが、そういう理由かと。思わず顔をそらす。
心臓が跳ね上がるかと思ったと思考が回ることには頰はすっかり熱くなっていた。

月神 詠 >  
「あっ、も、申し訳ございません。私ったら何を……」

あなたの反応で我に返ったようにハッとして、直後には頬を紅潮させた。
漠然とした中から無意識に選び取ったものであり、何を狙っての発言というわけでもない。
変なことを言ってすみません、などと言いながら慌てて棚へ戻そうとする。

彩紀 心湊 > 「ちょ……っと。」

慌てて棚へと戻そうとする手を軽く抑えるように触れて。

「……詠さんが、選んだのだから。
変えないで大丈夫。……そういう理由なら、悪い気分はしないもの。」

やや俯き、同じく頬を赤らめながらもそう告げる。
今の言葉が意図的ではなく、無意識であったのならなおのことだ。
それだけ、意識されていることが恥ずかしいながらも嬉しくないわけがなかった。

月神 詠 > 触れた手の感触に動きを止めて、あなたの方を見る。
深い青を湛えた瞳が遠慮がちに揺れていた。紡がれた言葉は肯定。

「心湊さん…………はい、私もこれが良いです」

選び直そうとしても、これ以上のものはきっと見つからないだろう。
棚へ向かっていた手をそっと引っ込めて、髪飾りを落とさないようにしっかり持った。
先の心湊の分析通り、和柄なので普段着や巫女服などにも合いそうだ。
つい、嬉しくて頬が綻んだ。

彩紀 心湊 > 「…よかった。」

ほっとしたように、そう呟く。
この気持ちは、単純な好意だけではない。
きっと、独占欲だとか優越感だとかそんな醜い部分のものも入り混じってる。
けれども…そんな顔が見れてよかったと、心から思って出た言葉だった。

「…それじゃあ、私も決めないとね。」

すぅ…と気を取り直すように深呼吸をすれば、ネックレスがあるコーナーへと向かい、ちらりと詠の方を見たかと思えば、銀色の星を模したネックレスを手にとった。

月神 詠 > よかった、という言葉に秘められた意味には気付かないまま微笑んで。
髪飾りを手に、今度はあなたのアクセサリー選びを傍らで眺める。

「星型の……首飾りでしょうか?」

一瞬向けられた視線に首を傾げつつ、あなたの選んだネックレスを見て。

彩紀 心湊 > 「ええ。」

手にしたネックレスを、軽く広げて首を通すかのように。
それを…自分にではなく、詠へと向けて見せる。

「……うん。
月か悩んだけれど、やっぱりこっちがいいわね。」

と、小さく笑いながら告げる。
特に止めないのならそのまま真っ直ぐ会計へと向かってしまうことだろう。

月神 詠 >  
「……? 心湊さんによく似合うと思いますが……」

こちらに向けられた意味を測りかねて、さっきとは逆方向に首を傾げる。
月という単語が聞こえて一瞬どきりとしたが、選ばれたのは星型。
なんとなく星に負けたような気持ちになりつつも後に続いた。