2020/07/27 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」にマルレーネさんが現れました。
シスター > 「昔々、今よりもずっと昔の話………」

子供たちに語り聞かせる年老いたシスターの声。
今日は催事場で子供たちに、「誘惑に打ち勝つ心」を啓蒙するためのショー。
教会が協力して、信仰によらず、様々な立場の子供に対して「誘惑に打ち勝つ」ことを説くことが目的のショーである。

マルレーネ > うーんなるほど、今日はこういう試練ですか、なるほどなるほど。
変化球が思いっきり内腿に食い込んでるんですけど。
神はあれですね、再起不能狙いですね?

ふふふ、ふふふ、と遠い目をして笑う女が一人、催事場の裏で座っていた。
今日の彼女はいつもの修道服ではない。 ないのだ。

つやっつやのエナメル製黒マント。
流石に襟元こそしっかりファスナーを上まで止められているが、身体のラインをがっつり出す黒のライダースーツ。
カチューシャタイプの角。
身長ほどのパイプに銀色に塗装されたプラスチックの刃がついた鎌。

そう、彼女の配役は「誘惑をする悪魔」だった。

何が悲しくて遠い世界で悪魔の役をやらねばならんのか。
自問自答するが答えは出ない。

マルレーネ > 長い棒を振り回す技術があって、動けて、長いセリフを覚えられる人が他にいますか? と年配のシスターに言われてしまえば、異邦人で外様の彼女が逆らえるはずが無かった。

知り合いに見られていたらもう恥ずかしさで死ぬしかない。
むしろ殺して。
死んだ目のまま、出番ですよー、と言われれば舞台袖。
もうこれは飛び降りるしかあるまいて。 己の冥福を祈って。

マルレーネ > 「ふふふ……、夏休みの宿題は後回しにして遊びましょう?」

すっごく頭の悪い誘惑をしながら妖艶に笑う女。
地獄の鎌(プラスチック)をひゅんひゅんと振り回して、覚えた型を披露すれば、おおぉーー、っと歓声があがる。
なんかちょっと違う歓声もあがっている気がしなくもないが、うん、今はいいのさ全てを忘れて。

「さて、皆さんが誘惑に負けそうな時はありますかー?
 どんな誘惑に、いつ負けそうになりますかー? 悪魔のおねーさんに教えてー?」

悪魔らしいところは本当に最初だけ。
マイクを握って観客に声をかける。

ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」に雨見風菜さんが現れました。
雨見風菜 > ふらりと百貨店を訪れた風菜。
催事場でなにか面白いことをやっている、と思えばセクシーな衣装の悪魔役の女性が。
ああいうのもいいなぁ、と風菜は考えた。

さて。
誘惑についての話をしているところで。
このバスト3桁の清楚そうな美少女がノースリーブのワンピース姿で現れれば。
それに誘惑されないと果たして言えるのだろうか。

マルレーネ > 視線がざわっと動いて少女に集まるのが分かる。
うーん、すごい目立つ。 とはいえ、シスターは女性である。
しかも今はトンデモ恰好である。 彼女本来のツッコミは失われ、業務を遂行することに命を懸けるしかできない。
ある意味、知り合いでなくてよかった。

「………はーい、ボクは……ゲームをやりたくなっちゃうと。 しかも、宿題をやる前とか寝る前とかにやりたくなっちゃうんだねー。」

なるほどー、そうだよね、やりたくなっちゃうよね。
うんうん、と頷きながら少年の誘惑に負けそうになる話を聞いて。

「それじゃあ、そこのお嬢さんはどうですかー?
 どんな誘惑に負けそうになるか、いつ頃そうなっちゃうか、あるかなー?」

子供番組のお姉さんのような身振り手振りで必死に演技。
清楚そうな少女にも尋ねてみる。

雨見風菜 > 本来注目が集まるべき司会の女性よりもこちらに視線が集まる。
それに悪い気はしないのだけど司会の女性には悪いかなと思ったら。

「え、私ですか?」

いきなりの指名に驚く。
さて、どう答えたものか。
こんな子供たちの前で、本音の回答……痴女ムーブをするわけにも行かないし。

「……手持ちのお金が少ないときに、可愛いぬいぐるみを見ると買いたくなっちゃいますね」

なんとか答えをひねり出した。

マルレーネ > 集めたくないんや。 集めたくないんや!
思わず最近読んだ漫画のキャラよろしく地方の言葉になってしまう。
むしろ代わってほしいという切なる思いは歓声と共に消える。

「あー、なるほど、なるほど。 可愛らしいですねー!」

ぱちぱちぱち、っと拍手が起こる。 
視線がそちらに集まってもらってむしろ好都合。 ここで一気に蹴りをつけるしかあるまい。

「そうです。 その……本来はダメなのにやってしまいたくなるその気持ちが誘惑。
 フフフ、………でも、ちょっとくらいなら大丈夫じゃないかしら。」

妖艶にまた微笑む女。目を細めて唇を持ち上げ、精いっぱい悪い顔をする。

「ちょっとくらい、ちょっとくらいなら………」

囁く、囁く、囁く。 皆を誘惑の園へ引きずり込もうとして。

シスター > 「皆さん、そんな誘惑に負けてはいけません。
 誘惑されそうになったら、それに負けた時に失うものを想像するのです………!」

年老いたシスターが皆に声をかける。
誘惑に負けてはいけないと、滔々と説く。

雨見風菜 > ああ、でもなんかホッとしたような表情を悪魔役の女性がしている。
子どもたちも司会の女性の話を聞いている……が、こちらにちらちら目線が来ているのを感じる。
とりあえず指名されたわけだし見守っておこう、そう風菜は自己の行動を決定した。

この清楚な見た目の美少女、なにもしなくても誘惑まみれで青少年のなんかが危ないが。

シスター > 「誘惑に負けないぞ、という方はこちらを見てください……!」
「誘惑に負けそうな方は、本当にそれでいいのか考えてください……!」

「みんなの強い気持ちが悪魔を追い払うのです!」

カッ、と年老いたシスターがキメ顔をする。
その結果、視線が年老いたシスターへ集まり、悪魔であるマリーがやられたー! と追いやられて舞台が終わるのがこの舞台の流れ! よし、もう終わる! これでENDだっ!!

男子勢 > (バストサイズ3桁を見る)
マルレーネ > 「………………」

退場できない。どうすればいいんだ。
完全に困ったマルレーネ。 硬直しながら左右に視線が揺れる。
まさかの事態に年老いたシスターも困った表情を見せて。

雨見風菜 > あ、これあかんやつや。
風菜は理解してしまった。
完全に誘惑……風菜の躰に負けてる。
司会役の女性も悪魔役の女性も凄い困惑してる。
だがだからといってどう収拾付けたものか。

『糸』を使って離脱する?いやますます注目が集まるだろう。
『触手』を使う?いや子どもたちの目の前で出すには如何なものか。
『液体収納』?いやコレは絶対に悪化する。
『物体収納』?そもそもこの状況を打開できる材料あんの?

さあ、どうしようこれ。

シスター > 「……なるほど、ではこの悪魔に力を集中させるのです!
 皆で悪魔を見て、追い払いましょう!」

キッ、と決め顔を作って、年老いたシスターが流れる水の動きでマルレーネへと近づいて。

マルレーネ > しゅー。

ライダースーツの前のファスナーを掴んで、下着をつけていない素肌がお臍が見えるかどうかまで一気に引き下ろす。

「んなひゃぁぁあっ!?」

悲鳴をあげる修道女。あれ、悪魔ってこの人じゃない?
白い素肌を露骨に露出させていく。

「シスター・マーベ、一体何をして………!!
 いやはりあう意味がわかんないんですけど!!!」

こそこそと小声で大変文句を言いながらも、大勢から視線を集め直すことに成功すれば、あ、あははは、あはははは、と、悪魔設定を忘れて赤い顔で照れ笑い。

流石百戦錬磨のシスター・マーベ。
一気に視線を引き戻すことに成功した。

雨見風菜 > 一時はどうなることかと思ったが。
悪魔役の女性の恥じらいを犠牲に通常の進行に戻ったようで。
風菜ちゃん内心ほっと一安心。

……でもこれ自分が彼女の、退散させられる役を代わればよかったのではないだろうかとも考えた。

マルレーネ > 「あーれー、負けたー!」

凄い情けない声をあげながら、ライダースーツをぎゅっと握り締めながらくるくると回転しながら舞台袖から退場していくシスター。

知り合いに見られたらもう生きていけない。
舞台裏でがっくりと膝をついて涙をはらはらと流すのでした。

ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」からマルレーネさんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 商店街支店エリア/催事場エリア(1~3F)」から雨見風菜さんが去りました。
ご案内:「扶桑百貨店 異能・魔道具エリア(7・8F)」にハルシャッハさんが現れました。
ハルシャッハ >  
――とある男は、ある店を求めてこのコンクリートの迷宮の中に居た。
初めてみるコンクリートの迷宮、万魔殿にも感じるような大型の建物。
元の世界ではまずありえないほどのヒトの密集と、溢れる物。

何を見てもド級。

商店と言えば、こじんまりとしたものしか知らない男は目をただ丸くするだけだ。
ボタンについてや、乗り物について最低限の知識しかない男からすれば、
エレベーターなど転移装置の類にさえ感じる。
ヒトに聞いたり、地図を見たり。 時にちょっとびっくりしては物陰に身を隠したり。
おっかなびっくりの初めての買い物になりながら。

男は目的の場所にかなりの時間を掛けてついたのだ。

「……ここが魔道具店……。」

宇宙の背景さえ見えそうな、目を丸くするばかりの世界に圧倒されながら。
男にとっては実用品の店である魔道具の店へ。

ハルシャッハ >  
――カネならば有る。 いや、正確には稼いできた。
落第街やスラムと寄り添い生きる男といえど、違法組織の摘発の先鋒や、
時に襲撃の手引をすればカネは入る。
最悪の最悪、もしカネに困るなら黄泉の穴にも潜ろう。
違法な物品を隠密裏に引きずり出すのは盗賊の得意とするところである。
そう考えれば、この島は盗賊からすれば稼ぎ口には困らないとも言えた。

「……どんな品揃えが――。 おっ!
 これ、コッチで売ってたのか……。」

男が見つけたのは小型の注射型の回復薬。
人工血液に魔力を通すことで肉体の再生を促し、失った血液を補充する魔道具。
使い捨てだが、緊急時には極めて役に立つ回復薬だ。
価格もそれなりだが、時間が惜しい時にはこれ以上のものはない。
5、6本。 2本ひとまとめでセット分を買い込んでセットに組み込む。
これだけで、血なまぐさい修羅場から生き残れる確率は跳ね上がるだろう。

ハルシャッハ >  
他にも回復効果のついた包帯、ガーゼ、回復薬……。 目移りするほどの現物が有るが、
大漁のものを買ったところで使いこなせなければ無駄になる。
男からすれば使い方も知らない物ばかりだ。 買い出すのは後でも間に合う。
――物は逃げない。そう考えれば焦る必要が絶無だった。

「……しかし、これが『豊かさ』か……。」

落第街からすれば、考えられないほどの豊かさに思わずポツリと声が出る。
男は武器、防具の店に足を運びながら、同時に目移りするほどの物を見て回っていた。
カネさえあれば何でも手に入る世界。
恐ろしくも有り、同時に眩しすぎて直視しづらい世界でも有り、
そして、感覚が狂ってきそうな程の物の波に揉まれる世界。
元世界では絶対に、考えられない。

ハルシャッハ >  
――武具の世界に軽く足を運ぶ。
スローイングダガー、ブロードソードは競技用であったり、
魔化によって投げれば戻ってくる品々であったり、極めて利便性が高い。
その中で、男が手にしたのはスローイングダガーと特殊ダガーの類だった。

「……。 やれるだけのこと、かね。」

そう、ポツリとこぼせば。男はスローイングダガーをカゴの中へと。
ひとしきりの装備の最低限に、ほんの少し加わればまずはそれでいいくらいだ。
買い物、と言うには小規模だがそれでもまずはそれでいい。
会計は、きちんと済ませていけば何も咎めることはないだろう。

――ウィンドウショッピングを、男は小さく楽しんでいた。

ご案内:「扶桑百貨店 異能・魔道具エリア(7・8F)」からハルシャッハさんが去りました。