2020/08/04 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 異能・魔道具エリア(7・8F)」にフレイヤさんが現れました。
■フレイヤ >
異能・魔道具フロアのエレベーター前。
若干ウキウキした雰囲気の少女が立っている。
エレベーターが到着してはパッと顔が明るくなり、しかし降りてくる人が皆知らない人でちょっとしょぼんとする。
そんなことを先ほどから繰り返している。
ご案内:「扶桑百貨店 異能・魔道具エリア(7・8F)」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
荷物持ちに、と妹分に呼び出されたのがつい先程の事。
どうせ謹慎中。偶には面倒を見てやらねば、と了承の返事を返して、百貨店に辿り着いたのがつい先程。
のんびりとした足取りでエレベーターに乗り込み、他の客が降りたり乗り込んだりを繰り返しながら到着したのは、魔道具エリア。
小気味よいベルの音と共に開いたエレベーターから降り立てば、目の前には己を呼びだした少女の姿。
「……何だ。ずっと此処で待ってたのか?すまないな、待たせてしまって」
■フレイヤ >
何度目かのエレベーターの到着音。
ぱっと顔を上げれば、窓越しに彼の顔が見えた。
それはもう見てわかるほどに顔が輝く。
「――リオ!」
他の客がその場からいなくなるのを待って、ぱっと飛びつく。
「遅いわ! 女の子を待たせるなんてサラに愛想つかされちゃうわよ!?」
口は文句を言いながら、顔はニッコニコである。
■神代理央 >
「悪い悪い。遅くなった詫びだ。幾らでも買い物は付き合ってやるから」
飛びついてくる少女を受け止め、撫で心地の良いその髪を撫でながら苦笑い。
こんなに懐いてくれるなんて、兄貴分冥利に尽きるな…としみじみ思っていたり。
「しかし、フレイヤの買い物と言えば洋服だの家具だのの類かと思っていたんだが…。今日はまた、何を買いに来たんだ?」
と、他の客が来る前に少女の手を引いて売り場へと足を進めながら。
少し不思議そうな表情と共に首を傾げるだろうか。
■フレイヤ >
頭を撫でられ、その手に自分の頭をこすりつけるように。
ゴロゴロと喉がなっていればまるで猫のようだろう。
「服とか家具とか買ってもあの家じゃ入りきらないんだもの」
ぷうと頬を膨らます。
一般的には十分広いと言える家だが、自分には不満だ。
「魔術の道具よ。リオ知ってる? 魔術は準備が八割なのよ」
得意そうに人差し指を立てて。
実家から持って来た魔術道具はあるのだが、ここは魔術・異能の最先端の常世島の百貨店だ。
中々手に入らないものが沢山ある。
■神代理央 >
猫。そう、彼女は正しく猫の様な。
好かぬ相手には毛を逆立て、気に入った相手には喉を鳴らす。
何だか、それが容易に想像出来てしまって。彼女の頭を撫でながら、クスクスと笑みを零してしまう。
「まあ、本国の御屋敷に比べればな。しかし、此の島は夜会だのパーティだのも少ないから、退屈じゃないか?」
所謂"社交界"と呼ばれる類の集まりは此の島では余り無いだろう。
華やかな晩餐会。優雅な舞踏会。時代錯誤と言われようと、貴族を名乗る者達が未だ繰り返す風習。
そういったものが少ない此の島は、彼女にとって退屈ではないかと。
「ほう?それは知らなかったな。では、不肖の我が身に是非色々と御教示願えるかな、フレイヤ先生?」
得意そうな彼女に合わせる様に。穏やかな笑みを浮かべながら言葉を返す。
――実際、魔術面についてそんなに詳しい訳でも無い。己の戦闘スタイルは、異能の火力と物量で押し潰すスタイルだ。
本当に彼女の方が詳しいかもしれないな、と思考を煙らせながら、彼女の求める物を探して歩みを進めるだろうか。
■フレイヤ >
「それほどでもないわ。パーティではみんな兄さまばかり見ていたもの」
問題児であった自分とは違い、双子の兄は優秀だったためいつも周りに誰かが居た。
自分はそれを遠くからぼんやりと眺めているだけだったから。
それに比べれば、いかにこの島が刺激的なことで満ちているか。
最初は狭い島に厄介払いをされたと思っていたが、これはこれで楽しい。
「魔術戦はどれだけ準備したかで勝敗が決まるの。有利な地形に陣地を構えたり、ありとあらゆる状況を想定した道具や仕掛けを準備したりね」
全て実家で魔術の先生に習った事だ。
それを我が事のように得意げに話している。
先生と呼ばれてちょっと調子に乗っているようだ。
■神代理央 >
「…そんな事は無いさ。フレイヤは可愛いから、皆緊張して話しかけられなかっただけだよ」
――初めてフレイヤに会ったのは、アースガルズの主催するパーティだっただろうか。
彼女の『優秀な』兄と、神代家・レーヴェンタール家双方の未来の跡取りとしての自分。親睦を深めろ、と暗にせっつかれ、それなりに交友を深めた。
その合間に。会場の隅でぼんやりと此方を眺めていた少女に、声をかけたのが、彼女との出会い。
「…ふーむ。確かに、今迄戦った魔術師達は自分に有利な場所を選んでいたり、道具の準備に余念が無かった。
大概異能でそのまま押し潰していたが、危ない場面もあった。私も、少しは心掛けないといけないだろうな」
ほうほう、と結構真面目な表情で相槌を打つ。
実際、手酷い目に合わされた事も何度かあるのだ。
得意げに話す彼女に、真面目な生徒の様に話を聞いているだろうか。
微笑ましいな、と言わんばかりの笑みを零しつつ。
■フレイヤ >
「そうかしら」
不満そうに唇を尖らせる。
まぁ、昔のことはいい。
今が楽しいのだから。
「……。ひどいことするのね、リオ……」
ドン引き。
せっかく入念に準備し、想定しうるどんな事態にも対処できるように万全を期すまでにどれほど時間をかけたのか。
そしてそれを想定以上の物量で全てひっくり返すなど、相手の無念さはどれほどのものだっただろうか。
そう言えばそんなアニメが昔あったとかなんとか。
「――とにかく、魔術はお金がかかるのよ。自分の力だけでどうにか出来るほど甘いものじゃないんだから」
そう言って通りがかった店先に並んでいる魔術札に興味を示す。
一定の魔力を保持し、式をあらかじめ刻むことで魔力が使えずとも魔術が使えると言う代物のようだ。
刻んだ式以外の魔術は使えないし、紙を破ることで魔力が放出されるため、それが前提の式を組む必要はあるが、咄嗟の発動に長けているようだ。
■神代理央 >
「そうだとも。だから私は、フレイヤに声をかけたんだから」
と、締め括る。
此方も、彼女が本家に対して良い感情を覚えていない事は承知の上。
それ以上会話を広げる事無く、穏やかに言葉を紡ぐ。
「……そうか?とはいえ、対処仕切れずに取り逃がした事も多々ある。逆に言えば、私の異能程度に押し切られる様では、その程度のモノだったという事だろう」
微妙な反応を見せる少女に、はて、と首を傾げつつ。
返す言葉は、或る意味で傲慢さを含ませたものなのだろう。
"己の異能程度に押し切られる様では魔術師として3流"と言わんばかりのその態度は、矜持の高さを露わにしているかの様。
「そんなものなのか。私は使える魔術が少ないから、道具で補助するのも良いかも知れないな…」
と、頷きつつ少女の横に立って魔術札に視線を向ける。
成程、魔術式を予め組み込んでおく札。
この手合いの道具を使ってきた敵もいたなあ、としみじみ思いながら、興味津々と言った具合に一枚手に取ってみたり。
■フレイヤ >
「お仕事だからわかるけれど。でも卑怯だと思うわ」
そも戦いと言うものに卑怯もクソもないのだが、その辺に慣れていない自分としてはやはりそう思ってしまう。
そこらへんはやはり戦いとは遠いお嬢様、と言うことなのだろうが、自覚はない。
「リオで言うと、銃とか防具とか何もなく、自分の異能だけで正体がわからない相手を捕まえてこい、って言われる感じかしら?」
魔術師は情報を集め徹底的に準備をし、勝てると確信があってから動くものだ、と。
先生からはそう学んだ。
――あくまで貴族の家庭教師としての魔術師の考えであることは知る由もないが。
■神代理央 >
「……卑怯、卑怯…か…」
ちょっと落ち込む。
可愛い妹分に卑怯などと言われて傷付かない兄がいるだろうか。
でも仕事だし…とは流石に言わない。
兄貴分は、黙って妹分の抗議を受け入れる。項垂れつつ。
「…事前情報無し、というものか。成程、それは確かに辛いものがあるな」
因みに、何時も大体そんな感じである。
落第街やスラムで任務中に襲われるのだ。事前情報。甘美な響きだ、是非欲しい。
とはいえ、それを少女に告げる事は無い。妙な心配をかけさせるのも本意では無いし。
ただ、ちょっとだけ。少女に返す言葉に力が無いというか。渇いた苦笑いの様なものになってしまうのは、致し方ないものだろうか。
■フレイヤ >
「そうよ。せっかく準備したのに台無しじゃない。卑怯よ」
戦いを知らない少女は好き放題に言う。
彼の戦術は正しい。
わざわざ相手の土俵に上がる必要もないのだから。
それでもやはり感情としてはそう思ってしまう。
思ってしまえばそれを素直に口に出すのがこのお嬢様なのだ。
「情報とか準備とかは大事なのよ。――リオは魔術学ばなかったの?」
彼も結構いいとこのお坊ちゃんだった気がする。
たしか母方は貴族の血筋だったと思うし。
貴族ならば魔術の一つぐらいは、と思うのだけれど。
■神代理央 >
「…わざわざ準備してきた相手に礼を尽くしていないという訳か。分かった、次はきちんと。全力で御相手する事にするよ」
と、苦笑いを浮かべながら頷く。
かくして、少女の何気ない一言によって、次に少年に狩られるであろう違反生の魔術師の命運は決まった。
「んー…父様が異能の方ばかり集中していたからな。
確かに母様の家は長年魔術を研究しているし、私が使える魔術の一つはその系統だ。
だが如何せん、実用化の早い異能の方が父様の好みだったらしくてな。ずっとドイツに居た訳でもなかったし」
手をぐーぱーしながら己が使える魔術に思いを馳せる。
基本的な発動条件などは学んでいるが、その応用や戦術などは少女に比べると明らかに劣っているのだろう。
母方の実家があるドイツに住み続けていれば違っただろうが、と少女に視線を向けて困った様に笑うだろうか。
■フレイヤ >
「騎士道精神は大事よ。ニホンにもそう言う……ブシドー?精神があるんでしょう?」
騎士道精神と武士道精神は似ているとかなんとか聞いたことがある。
こてん、と首を傾げて。
「ふうん。でもリオの異能はリオにしか使えないでしょう。サラとの子供が出来たら、魔術なら教えてあげられるわよ?」
異能は遺伝するかどうか。
するにしたって、夫婦両方の異能が遺伝するのだから全く同じとはなるまい。
完全に彼等二人が結婚すると決めつけた意見。
「そうだ、私がリオに魔術教えてあげるわ!」
名案、と言うように手を叩く。
教えられるほど熟達しているわけでも無いのだが。
■神代理央 >
「詳しいじゃないか。武士道、侍の心構えという奴だな。……知っているか、フレイヤ。此の島には、冗談抜きで本物の侍がいるんだぞ?
…まあ、侍以外にも色々と愉快な連中が多い島ではあるが…」
一度殺されかけた公安の剣客を思い出しながら。
まるでアトラクションの案内をする様に、クスクスと笑いながら。
しかし最後は何だか溜息交じりに。
少女に言葉を返して。
「こ…子供って…いや、まあ、うん。その時は、御願いしようかな」
少女の言葉はちょっと気が早く無いかとも思うのだが。
少し頬を赤らめて。
少女の言葉に照れくさそうに頷くのだろうか。
「……フレイヤが?私に?魔術を?
……確かに、フレイヤは本家で魔術を学んでいる訳だしな。
そうだな、フレイヤさえよければ、御願いしようかな」
流石に、己も少女から学術的な教えを請えるとは思っていなかったが。
夏季休暇の遊び相手兼暇潰しの相手に選ばれたのだろうと、にこにこ笑いながら頷いた。
よしよし、と言う様に、もう一度少女の髪を撫でながら。
■フレイヤ >
「サムライ!? ほんと!? リオの知り合い!? じゃあニンジャは!? ニンジャはいるでしょう!?」
とっくの昔に絶滅?したと思っていたサムライがこの島にいるなんて。
サムライがいるならばニンジャもいるだろう。
いや、ニンジャは今もいるのだ。
隠れているだけ。
そんなちょっとおかしなニホン感の外国貴族のお嬢様であった。
「あら、だってリオはサラと結婚するんでしょう? だったら子供のことも考えないと」
一方こちらは当然のことだと言うようにサラリと言う。
何故顔を赤らめるのか。
多分知識が少ないからである。
「もちろんよ。リオは私の大事な人だもの。そのぐらいお安い御用よ」
薄い胸を張ってドヤ顔。
実際にどのくらい教えられるかは――うん。
■神代理央 >
「忍者は…どうかな。会った事は無いが、多分いると思う。
というか、いるな。絶対。私も会った事があっても気付いていないだけかもしれない。何せ、ニンジャだからな」
ニンジャ。ニホンに憧れる外国人のマストな幻想職業。
――の筈なのだが。何だか普通にいそうな気がする。
というか、会った事あるかもしれない。忍者とは、隠れ忍んでいるからこそ忍者なのだ。
「ん……まあ、うん。そうなれたらいいな、とは思っているんだが。こう、フレイヤからそういう事を言われると、気恥ずかしいというか…」
己の記憶に間違いが無ければこの妹分は12歳…だった筈。
そんな少女に子供子供と連呼されると、何だか此方が恥ずかしくなってしまうのは理解して欲しい。誰にとは言わないが。
というよりも、アースガルズの面々は"そういう"教育をちゃんとしてから島に送ったんだろうな、と心配になる。
「……ハハ。そうか。ありがとう、フレイヤ。
可愛いフレイヤにそう言って貰えると、私も嬉しいよ」
ドヤ顔を見せる様すらも可愛いもの。
少女が子供らしくしている様を穏やかに微笑んで見下ろしながら、ぽふぽふと頭を撫でる。
■フレイヤ >
「ニンジャにサムライ、楽しみだわ! ペットに出来るかしら?」
ニンジャやサムライを飼えたらとても楽しそうだ。
ニンジャだしサムライは強そうだし。
無邪気に割と不穏なセリフ。
「? なればいいじゃない。ガクセイケッコン?してる人も多いって聞くわよ」
きょとん、として。
ちなみにどうすれば子供が出来るかは知っているし、流石にキスでとかコウノトリがキャベツ畑からとかそう言うレベルではない。
が、それがどういうことかまでは理解していなかったりする。
その辺はまだ子供である。
「私が教えるんだから、ちゃんと覚えなきゃだめよ、リオ?」
撫でられて嬉しそうにしながら釘を刺す。
■神代理央 >
「……ペット、か。そういえば、以前頼まれたフレイヤのペットは、恙なく処理を終えているよ。もう、書類や学生証はとうに届いているだろうけど」
漏れ聞こえた不穏な言葉に、小さな溜息を一つ。
少女は今でも、落第街やスラムで"ペット"を探してさ迷い歩いているのだろうか。
特段それを否定するつもりは無いが、やはり控えて欲しいと思うのが兄心。
「ん、まあ、するつもり、では居るんだが…。こう、切り出すタイミングとか、色々あるじゃないか…?」
きょとんとする彼女に、何とも曖昧な笑み。
己は彼女に想いを告げる資格があるのか、と悩む日々は続いているのだ。
"そういった知識"については、流石に少女よりはあるものの――そ恋愛事については案外、どっこいどっこいなのかもしれない。
「…分かりました、フレイヤ先生。どんな魔術を教えてくれるのか、楽しみにしているよ」
釘を刺されればクスリと笑みを浮かべて頷いて。
一通り少女の頭を撫でた後、そっとその手を離すだろう。