2020/09/01 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 プラネタリウム(20F)」に水無月 沙羅さんが現れました。
ご案内:「扶桑百貨店 プラネタリウム(20F)」に園刃 華霧さんが現れました。
水無月 沙羅 > 本日は風紀委員も非番ということで、扶桑百貨店にあるプラネタリウムにやってきている。
本物の夜空はいつでも見れるが、偶にはこういった趣向も悪くはない。
何より、おそらくは待ち合わせしている人物はそこまで星空に詳しくはないだろうという推測から、初心者入門にもよく使われる場所がいいかなと思ってのことだ。

もっと正直な話をすると、他に遊びに誘う、と言うと行き場所が思い浮かばなかった。
誰かを何かに誘う、という経験自体がほとんどないため、どうかかわっていけばいいかも手探りな状態なわけだ。

以前渋谷で購入した、『森ガール』と呼ばれるらしいロングスカートのファッションコーデで、どこかおかしくはないだろうかとそわそわしている。
一見すれば彼氏と待ち合わせている少女にでも見えるのだろうが、相手は親しく思っている同性の先輩であった。

「かぎりん早く来ないかな……。」

なんとなく周りの視線が気になる、世間一般で言えばおとなしそうな美少女に見えるであろう沙羅は、もぞもぞしながら待ち人を探している。

園刃 華霧 >  
色々な話を聞いたし、さらっちに何処かで会おうかなと思っていた。
そうしたら、向こうからお誘いときた。
なるほど?

「さて、ト」

で、やってきたのは扶桑百貨店。
実は来るの初めてなんだよな。
しかし、あらためてみるとデカイな……

「ま、よクわかンないけド。
 とりアえず、遊び倒セばイいかナ?」

なお、彼女はプラネタリウムという概念を知らなかった。
一体何だと想っているのか。

そんなこんなで百貨店を上まで登って20階

「ン―……さらっち、もウきてルかなー?」

ちょっとお上りさん気分で見回して……
おっと発見。

さてさて、そんじゃ行きますか。
なにかちょっとビクビクしてる感じもあるし……

「おーイ!」

ぶんぶんと手を振りながら歩いていく。

水無月 沙羅 > 「あ、かぎりーん!」

さっきまでの不安そうな顔はどこにやら、待ち人が来たことにぱっと表情を明るくさせ、スカートである事も気にせず全力疾走しようとして。

「へぶっ!!」

ずるっと前のめりにすっころぶ。

足元は少しヒールのあるブラウンのサンダル、上半身が黒ベースで控えめにレースがついて洒落っけがあり、腹部から下はウェーブのかかった、白を基調とした比較的ゆったりとしたワンピースになっている。
茶色いポシェットで可愛らしい少女を演出しているのだが。

とても残念なことにヒールにもスカートにも慣れていない沙羅にとっては動きにくい服装以外の感想は無かった。
遊びに行くならそれ相応の格好をしろという同居人によって選ばれた服装で、逆らえなかったというのもある。

園刃 華霧 >  
向こうも気づいたな
おーおー、走って……

「おー……ッテ!?」

べしゃっところんだ。
べしゃっと。
……いや、かなり痛そうなんだけど……

一瞬、凍りかけたけど慌てて走る。

「……さらっち、急ぎスぎだッテの」

手を差し出して起こそうとする。
いやほんと、大丈夫だよな……?

まあ、こんな走りにくそうな格好してりゃこうもなろうって感じだけど。

水無月 沙羅 > 「いやぁ、あはは、すいません。 この服装まだ慣れなくて……。」

まともに受け身も取れずに顔面から落ちた割には特に怪我はない。
いや、実際には多少の擦り傷はあったのだが立ち上がるまでにはすでに修復されているだけだ。
少々ばかりスカートが黒く汚れてしまったが、沙羅自体はそこまで気にしている様子でも――

「あ、ちょっと汚れちゃった……。」

だいぶ気にしていた。
初めて買った外行の洋服というのもあるが、誰かに買ってもらった大切なものというのもある。

「落ちるかな……。」

とぱたぱた叩くも、残念ながら洗濯しなければこの汚れは落ちないだろう。
ちょっとだけ残念そうな顔をしてから、

「っと、こんにちわかぎりんせんぱいっ!」

と、とりあえず元気に挨拶。
せっかく遊ぶのだから、落ち込んでいる暇はない。
妙なところで合理主義なところが出ている。

園刃 華霧 >  
「ったク、もー……慣れテないナら無理スんなッテ。
 おっかナびっクりくらいデちょードいいッテもんダぞ?」

やれやれ、とため息を一つ。
だいぶ落ち込んでるな……
多分大事なものなんだろう。

「マ、アレだ。破れたリしてナきゃ汚れくラい簡単にオちルだろ。
 ま……そンくらいナら、平気だヨ」

見たところ、あんまり大変なことにはなってなさそうだ。
というか、もしも破れてたりしたらプラネタリウムどころではない。
さっさと撤収しなければいけなくなる。


「はイはい。さらっち、こん二ちは。」

色々言いたいことはあったが、まあいいや。
にっこりお返事してあげよう。

水無月 沙羅 > 「無理しているわけじゃないというか、いつも通りに動こうとしたら上手くいかないというか。
 あはは、確かにおっかなびっくりの方がいいのかもしれない……。」

ため息に苦笑いで返して、差し伸ばされていた手に気が付いて、そっと掴んでは立ち上がった。

「こういう黒汚れって油らしいから、あとで調べないと。
 洗濯の仕方にもいろいろ種類があるらしいし。
 今まで制服とひとつだけある私服を交互に着ていたので気が付きませんでした。」

にへへ、と挨拶を返されると嬉しそうに笑い返した。

「十日間の謹慎から帰還いたしました!
 まぁその、いろいろご迷惑おかけしまして。」

謹慎中という事もあり、誰かと遊びに行ったりお見舞いに行くというのは控えていたので、基本的にその間に風紀で起きた事にはあまり詳しくはない。
当然、色恋沙汰がいろいろ複雑になっていることだって知る由もなかった。

「久しぶりにかぎりんの顔が見たくなって、元気してました?」

そう言いながら、よたよたとした足取りで華霧の周囲を回り始める。
怪我をしていないかとか、元気が無かったりしないかだとか、健康そうかなだとか、そういうものを確認している。

園刃 華霧 >  
「無理っテーか……ン―……
 気をつケろってトコ? まあ、ソんな感じ。」

まあ、慣れない時に普通どおりにやっても良いことはない。
その程度の話なのだ。

「ァ―あー、気にスんなッテ。
 どーセどいツもこイつも、互いに迷惑かケあってンだし」

それこそ、件のことで怪我したエイジやら、りおちーやら、
チェルやら……

結局互いにぶっ倒れて迷惑かけあってるんだから世話はない。
だから、気にしても仕方ないのだ。
かくいう自分だって色々やらかしたわけだし。

まあでも、反省する気持ちは大事だよね。

「ンー? 見てのトーりだヨ?」

なんだか小動物みたいにぐるぐる周りを回って見つめてくるさらっち。
まあ、今日は色々あってチャージできてるから元気いっぱいなはずだ。

水無月 沙羅 > 「うん、気を付けるね。」

もう服を汚したくもないし、走り回るのは止めておこう。

「今度、山本先輩にはちゃんと謝りに行かないと……。
 っと、いや、すみません、今日はそういう話じゃないんだった。」

首をぶんぶんと振って思考を切り替える、謝るべき場所にはきちんと謝りに行くが、此処で落ち込む理由にはならない。
なんなら十分落ち込んだし、いろいろな人に励ましてもらった。

「元気ならよかったです! じゃぁ行きましょうか、プラネタリウム!
 ……一応確認ですけど、プラネタリウムってなんだかわかってます?」

立ち上がる時に握った手をそのまま抱え込むようにして腕を組んで、レッツゴーと開いている手を宙に突き出した。
のはいいが、さて、星に興味があるかもわからない隣の先輩は今回の目的地をご存知なのだろうか。

園刃 華霧 >  
「ァ―ぁー。ま、エイジはだイじょーブだろ。
 さらっちが大丈夫なラ、な? ま、謝るノは悪くナいけどナ」

アレはそういう男だ。
馬鹿で真っ直ぐなアホだしな。


「おウ、行こう行こう!」

まあ、そうそう。
今日はそんな話をするときじゃない。
っていうか、そもそもアタシの仕事はそういう話をすることじゃない。
そういうのは他の誰かに任せておくし、どうせ誰かがやってるだろう。

……ま、やってなかったらアタシが背負うけどさ。

って、ん?

「エ? アー……こう、あ、あとらくしょん?とカいうのじゃナいの?」

微妙に合ってるような間違っているような。
明らかに知らないことを露呈していた。

水無月 沙羅 > 「アトラクションと言えばまぁアトラクションだけど。
 その反応は全然知らなかった感じですね……?
 ま、いいです良いです。
 ぶっつけ本番もいいものかもしれない……あ、いや。」

予想通りまったくご存じないらしかった。
いやしかしだ、退屈になってしまったらそれはそれで申し訳ないというか、夏も終わるのに最後の思い出がそういう悲しいのはちょっと困る。
少しは説明しておくべきか。

「少しは説明しておくべきかな。
 えっと、プラネタリウムっていうのは、ドーム状の暗い部屋の天井一面に星空を映し出す施設の事です。
 季節問わずにいろんな星空を見ることができるし、現代では地上が明るすぎて見えない星だって見えるのが利点なんですけど。
 こう、そこらへんは野山に行ってみる現実の星空にはかなわないというか。
 まぁ、そういう疑似体験ができるっていう……かぎりん、遊園地みたいな、ぶわーってする方が、良かった……?」

実際、華霧はそういう刺激的な遊びの方が好みそうな印象がある。
それでも印象でしかないから、勝手に決めつけるわけにも行かないし聴くほかない。
そういうのも好きだ、というのならばうれしいのだけれど、退屈だったらどうしようという不安を感じているのは、誰の目から見ても明らかだろう。

園刃 華霧 >  
「う、グ……はイはい、知らンかったヨ……
 あンま縁はナかったカんネ……」

自分の知識にはだいぶ偏りがある。
まずは生きるための知恵。
そして、生活するための知識。
エンタメとかそういうのは後回しだ

「ふーン……要する二、昼でも色ンな空……ってか、星が見レるってコとか。
 さらっち、星、好きナんだナー」

そういえば、前に時計塔で待ち合わせたときも星の話をしたっけか。
こっちはロクになんにも知らなかったし、残念に思われなかったかな。


「ンー……や、そノ辺はコダワリないヨ。
 たダ、アタシ、マジでろくに知らナいから。
 なンなら解説でもクレたら嬉しい……話しても良いナら、だケど。」

勉強は好きじゃないけど、"知る"コト自体は嫌いではない。
むしろ、そういうことは得意な方だ。

もっとも、流石にインプット無しで見続けるのはちょっとつらい。

水無月 沙羅 > 「あはは、実際私も知っているのは星とかその周辺ばっかりで。
 料理とか、遊び方とか、人付き合いとか、そういうの全然わからないから、此処しか誘えなかったというか。
 そういうことなら、お揃い、ですかね?」

沙羅自体も、この一年でようやくそう言った『娯楽』に目を向けられるようになって来たばかりだ。
人との付き合い方だってまったくもって分からないと言っても間違いではない。
だから、隣に居る先輩との距離感も手探りで、敬語にため口が混じったりしている。
経験したことの無いことは分からないのは当たり前だ。

「うん、星ね、すごく好き。 大好き、なんだと思う。
 私の転換期には、何時だって星に縁があったし、あの時計塔の、星空の下でいろんなことが起きて、いろんな出会いがあったから。
 夜空も、星も、宇宙も、私の大好きな物。」

好きだからこそ、今一緒に居る、同じ時間を共有する彼女にも知ってもらいたいと思う。
それがどれくらい美しいのかとか、どんな思いが込められているのかだとか。
大好き、そう言葉にする沙羅の顔は無意識にほころんで、子供の様ににこやかだ。

「うん! 教える! かぎりんが良いっていうなら沢山教えるし、しってほしい!
 知らないって、悪いことばかりじゃないと思うの。
 知らないことを知った瞬間とか、初めてそれを眼にした瞬間の感動って、その時にしか味わえないでしょう?
 だからね、かぎりんにその初めてを教えられるのなら、すごくうれしい! 」

初めての経験はいつだって刺激的で、新しい知識はいつだって心を躍らせる。
それが素晴らしい事柄なら尚更に。
華霧が教えてほしいというのなら、断る理由はどこにもない。

「よし! じゃぁ行きましょう! 善は急げだよかぎりん!」

また走ろうとして、華霧の腕をぐいぐいと引っ張った。
散歩が待ちきれない、リードを引っ張る子犬の様にあるいは見えるのかもしれない。
プラネタリウムの入り口はすぐそこだ。

園刃 華霧 >  
「あハは、アタシも勉強シなきゃイけないコト多いかンなー。
 なるホど? 確かにお揃イかもネ。」

けたけたと笑う。
この小動物っぽい後輩は、どこかしら似たところがあるのかもしれない。
まあ、それが気のせいだろうと大した問題でもないけれど。
どっちにしろ仲良くするのは変わらない。

「ひひ、ナらアタシを色々お試しに使ってモいいカんな」


実験台、お試し。
まあ何かに使えるなら使ってもらえばいい。
修行にも相手が必要ってもんだろう。


「ン、なルほど。
 さらっちにとって、好きなダけじゃナくて大事なモノ、なんダな。
 そいつは良いこトだ。」

にこにこと、こちらも少女のように笑う。

「それナら、よろシくお願いシます、ダ。
 沙羅先生?」

にしし、と笑って引っ張られかけ……

「って、ダから慌てンなって。まータ転ぶゾ?」

どうどう、落ち着け落ち着け。
はしゃぐ犬を抑えるように、ゆったりと入口へ向かう。

水無月 沙羅 > 「お試しって……、もうちょっと言い方があるでしょうに。」

ぷくぅっと少しだけ頬を膨らませた。
少なくとも自分にとって特別な人間に試しに、と使うのはためらわれた。
何時だって全力、それが沙羅なりの礼儀というものだ。

「せ、先生って……うわぁなんかぞわぞわする。
 いつも道理でいいよぉ。」

人に教えることは好きだが、先生と言われるほど詳しい訳でもない、筈だ。
語り始めると止まらないときもあるし、どっちかと言うとオタクとかマニアとか、そういう方がきっと正しい。

自分の先生姿を想像して、ぶんぶんと首を振った。
生徒にチビとからかわれる姿が目に浮かんだのは何故だろう。

「う、だってー」

ぱたぱたと腿上げする様に足を動かすたびに、スカートがゆらゆらとゆらめく。
ロングカートだからその奥が見える様な事は無いが、いろんな意味で危なっかしいことこの上ない。
この服装をそういうのがわかったうえで選んだのだとしたら、同居人は慧眼の持ち主と言っていいだろう。

華霧の腕を引っ張って、プラネタリウムに入っていく。
今日はイベントがあるわけでもなく、一定のスピードで星がゆっくりと流れていく、ご自由にご覧下さいと言う仕様になっているようで、中に入ればすでに室内は暗く、天井には一面の星が瞬いている。

「うわぁ……プラネタリウムってこうなってるんですね……!」

現在はちょうど今の時期と同じ、夏の夜空が映し出されているようで、華霧が覚えていれば、以前話した『夏の大三角形』や『天の川』が再現されているだろう。
少なくとも、この街の地上から見える星空とは全く違う、輝きで埋め尽くされた夜空が広がっている。

真下には光を映し出すための機械と、その周りに多くの座席が空席のまま設置されている。

平日という事もあり人は多くない様だ。
 

園刃 華霧 >  
「おット、悪ィわルぃ。
 どッチかっテーと、お気軽二お付き合イくだサいって感じネ。
 肩の力抜いテー、しんコきゅー」

へらへら、と笑って謝る。
これでも一応真面目ではある。
まあ、かしこまらないで行こうっていうことなんだけど……
伝わるかね。

「ほラほら、落ち着ケって。プラネタリウムは逃げナいダろ?
 転んで余計ナ時間つかウより、ゆっくり行こうナ」

羞恥心の欠如、というか。あんまり拘らないのは自分もそう。
なので……危うさにはあまり気づかない。

此の組み合わせ、大丈夫だろうか。神は心配した。


「トっとっと……」

引っ張られるようにプラネタリウムへ入っていく。
目の前に飛び込んでくるのは、巨大なドームに映し出される星々。
ああ、確かにそれっぽい感じ。

お、あれは『天の川』で、あっちが『夏の大三角』だっけ?
うんうん、覚えてる覚えてる。
記憶力は錆びてないな。


「さ、じゃア……解説はよろシくな。
 沙羅せ……おっと、さらっち?」

からかうのはこの辺にしよう、とちょっと訂正。