2020/09/05 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 展望レストラン「エンピレオ」」に神代理央さんが現れました。
■神宮司蒼太朗 >
「……はてさて。最近は随分と面倒をかけてくれたねえ。まあ、君と僕の仲だし、別に構わないんだけどね。後輩の面倒を見るのも、先輩の務めだし?」
もちゃもちゃと、相変わらず豪華な飯を頬張る。
此処のご飯美味しいんだけど、堅苦しいのは嫌なんだよね。
ベルトがキツイ。お腹周りが辛い。
「『異能殺し』の件。君の恋人の件。いやもう、久し振りに働いたね。2日間も歓楽街いけなかったから、ストレスで痩せちゃったよお」
もぐもぐ。あ、この赤ワイン美味しいな。
■神代理央 >
「……その点については、本当に申し訳なく思っています。
また、御尽力頂いた事、心から感謝しています。先輩がいらっしゃらなければ、より拗れていたと思いますので」
殆ど手が付けられていない料理の前で、深く頭を下げる少年の姿。
整えられた礼服には皺一つなく、頭を下げて垂れた黄金の髪が小さく揺れた。
「……勿論、今回の件も含めて先輩には色々と『お礼』をさせて頂ければと思っています。『何時ものところ』に、何時もの『モノ』を――」
彼の個人口座に振り込む金額は、少し色を付けておいた方が良いのだろう。理由はどうあれ、彼が手を回してくれたことによって、面倒事を回避できた事は事実なのだから――
■神宮司蒼太朗 >
「そういうのは、いらない」
■神宮司蒼太朗 >
「必要なのは、委員会内部で我々が確固たる武力を持つ事だ。
夏季休暇で君も理解しただろう?一時的とはいえ、風紀委員会の戦力に影響を及ぼす様な事件が続けば、体制そのものが揺らがずとも『我々』が面倒だ」
「手駒の引き抜き合いが始まり、穏健派と我々の間で不要なやり取りをする回数が増える。頭の中にお花畑を造成している様な連中と顔を合わせるのは、実に不愉快だ」
もぐもぐ、と料理を頬張って飲み込む。
この肉は今いちだな。美味しいけど、もうちょっと柔らかい方が好みだ。
ドラゴニックサーロインか。歯ごたえがウリの料理は好みじゃないね。
『簡単に噛み切れる』方が、良い。
「分かる?僕はね、面倒事が大嫌いなの。自分の為にならない事と、自分の得にならない時間は過ごしたくないの。
連中の顔眺めて会議している時間があれば、お気に入りの店で腰振ってた方が良いだろう?」
■神代理央 >
――どうやら、今回は『金』ではないらしい。
とはいえ、己は既に彼の手駒。風紀委員会右派の忠実な戦力。
此れ以上己に何を求めるというのか。
「……仰る事は良く分かります。それでは、先輩は私に何をせよと仰るのでしょうか。
戦力の増強という点では、先日も風紀委員会へ一名勧誘が成功しております。我々の派閥に加わるかどうかは、分かりませんが」
「装備の充実と言うのであれば、実家に連絡を取れば或る程度の都合はつきます。当然、先輩を通して搬入や契約が行われる様に致しますが…」
■神宮司蒼太朗 >
「何をしろ、だって?」
赤ワインを一気に飲み干す。
酒に強いっていうのは良いよね。酩酊せずに、気持ち良く成れる。
「君が以前出した企画書と新規部隊の設立。あれ、通すから。
ただ、中身は変えたよ。あんな綺麗事の部隊じゃ、戦力にならないからねえ」
ごそごそと、鞄から取り出した資料を彼に手渡す。
あー、デザートまだかなー。お腹空いてるんだけどなー。
■神代理央 >
資料に、目を、通す。
己が送った企画書は『示威活動を主体とした特務広報部隊』であった筈だ。
しかし、此れは。此れは――
「……示威活動、という点においては私の案より遥かに優秀でしょう。しかし、此の部隊に所属する人員は、過剰なストレスを背負う可能性があります。
此れは、我々の様な『子供』がするべき仕事では――」
■神宮司蒼太朗 >
「黙れ」
■神宮司蒼太朗 >
「此れは決定事項だ。予算と事務要員は確保している。
ただ、実戦要員は今のところ君だけかな。補充する予定はないから、欲しければ自分で勧誘したまえ」
「正直、君が卒業する為に『悪名』を広めて貰えばそれで良いからさあ。こっちとしては、数年後を見据えて動いていきたいんだよね。だって君、何も無ければあと2年半で卒業するだろう?」
「進路は何処かなあ。君ならどこだってやっていけそうだしねえ。
本土なら神代重工?それとも、君の御父上の息がかかった会社かな?それとも…あの、Alte Krone、だったかな。君の御父上の民間軍事会社。あそこなら、将来の支社長様だ」
目の前の少年を見つめる僕の瞳の色は、きっと昏い。
「……君は『持てる者』だ。なら、少しぐらい施してくれなきゃ。
高貴なる者の義務を果たしてくれなきゃ。そこに年齢なんて関係あるものかな」
げっぷを吐き出しながら、立ち上がる。
デザートはもう良いかな。そろそろ、娼館の予約があるしね。
今日はお気に入りの子を予約してあるから、遅れる訳にはいかないし。
「じゃあね。辞令は近々出すと思うから、宜しく」
のっしのっし、とお腹を揺らせながら。
生意気な彼の元から立ち去ろう。次は寿司屋が良いなあ。
■神代理央 >
立ち去る彼を一礼して見送った後。深く深く、溜息を吐き出した。
「……仕事が増えるな。いや、それは別に構わないのだけれど」
渡された資料の中身は、己が草案したものとは異なる性格のもの。
違反組織や違反生に『恐怖』を振りまき。場合に寄っては同僚すら手にかける様な――
「……私に相応しい場所ではあるか。沙羅を最初から組み込んでいないのは、奴なりの慈悲なのか。それともそれすら交渉のカードなのか」
もう、料理を食べる気にはなれない。
ボーイを呼びだして会計を済ませれば、後に残ったのは殆ど手の付けられていない料理の山ばかり。
ご案内:「扶桑百貨店 展望レストラン「エンピレオ」」から神代理央さんが去りました。