2020/10/24 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」に春日 遥さんが現れました。
■春日 遥 >
錦秋の候。あれほど厳しかった残暑もいつの間にやら過ぎ、涼しく――どころか少しばかり肌寒くなってきた時期となりました。
今日の私は、百貨店に来ています。目的はいくつかありますが、一番は秋冬に来ていくものを見繕うためです。
季節の変わり目ということもあって新作がたくさん並んでいますし、何より、そう。来週の頭は紅葉狩りの予定なのです。何を着て行こうかと、あれこれ考えているのです。
さて、そういうわけで売り場を見ています。ちょうど常世渋谷の方でハロウィンストリートが開かれているので、お店の一角に衣装などが置かれていますが――今回はその脇を通り抜けて、今は秋冬物のエリア。可愛らしい秋冬物が沢山並ぶファッションエリアは、ついつい目移りしてしまいます。
そして、その中でも今私がいる場所は、特に帽子類が立ち並ぶエリアです。
「わぁ、このニット帽、暖かそうですよ! どうですか、みみけだまさま!」
■『みみけだまさま』 >
『んん……む……見た目は悪くない。見た目はな』
遥が指先でつまんで上げたベレー帽の隙間から覗いてみると、もう片手に持つはボリュームのある象牙色のニット帽。なるほど見た目は悪くない。しかし。
『しかしなハルカ、わしは静電気が大の苦手なのを知っておるだろう』
まさか彼に限って、そのことを忘れたわけでもあるまいに。
■春日 遥 >
「ふふ、大丈夫ですよっ。帯電防止の特殊素材らしいです」
冬になるにつれての最大の悩みが、静電気。私は、まあ突然パチッと来た時にびっくりするときはありますけど、そこまで深刻な悩みではありません。
問題は、"けだまさま"のみんな。もふもふの体は電気を溜めやすく、毛が傷んでしまいやすいのだとか。
そういうわけであまりみみけだまさまはニット帽が好きではなかったのですが、今年は違います。
あったかくてもふもふで可愛いニット帽を被ってみたい。そのために色々と調べてきました。するとどうやら、最近では静電気をためにくい素材のニット帽があるらしいです。これならきっと納得してくれるはず!
「お願いしますっ! 私、こういうものを着けてみたいって思ってたんですっ!」
■『みみけだまさま』 >
『ふむぅ……』
なるほどそれは結構だが、実際に被ってみなければどれほどのものかはわからない。
『……まあ、良かろう。ハルカの好きにせい。余程のものでなければ、わしは何も言わん』
――とは、いえ。
孫も同然の彼が、こうして何かを言うのはそうそうない話では、ある。
なれば好きにさせてやろうではないか。
■春日 遥 >
「はい、ありがとうございますっ」
みみけだまさまの許可が頂けました。アイボリーのニット帽をかごに入れて、再び売り場を見ます。
「うわぁ、キャスケットやクロッシェも可愛いのがいっぱい……いくつか買ってもいいかな……?」
私にとって帽子とは、ファッションアイテムであり、トレードマークであり、それと同時に『みみけだまさま』の住処でもあります。
そのせいか、ファッションを考える時にはつい帽子から考える癖がついてしまいました。こういったお店でも、まず覗くのは帽子のコーナーです。
「……ああでも、帽子ばっかり見るのはダメ、ですね。他のところも見てみないと……」
そしてそれは、つい帽子コーナーで長居してしまうことにも繋がってしまいます。私が服屋に寄ったときについついしてしまう、悪い癖の一つ。
かぶりを振って、足を他のコーナーに向けます。そうして、私は売り場で何がいいかと思案に暮れはじめます。
……どうしたものでしょう……。
■春日 遥 >
「――よし、こんなところでいいでしょうか……」
あれから、いくつか気になったお洋服を試着して。良いなと思ったものをかごに入れて行って。
何着かお洋服を購入して、私はファッションエリアを出ます。
「ふふ、満足しました。えっとそれから、お茶を買わないと……」
部屋にストックしてある紅茶がそろそろ無くなるな、と思い出して。
お洋服が沢山入った紙袋を両手に提げて、私はお店を回っていくのです。
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」から春日 遥さんが去りました。