2021/11/17 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」にクロロさんが現れました。
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」にセレネさんが現れました。
クロロ >  
今回ばかりは何時のままじゃいられない。
またまた手間暇準備をかけ、この体は炎より人間へと一時的に変化した。
感じる重力、室内の空調。微妙な暖かさに違和感を感じながら顔を顰める。

「あッつ……」

この服も色々と魔術的細工をしているが、如何にもここの空調は効きすぎている気もする。
そんなこんなで似つかわしくもないこの扶桑百貨店、しかもファッションコーナーにやってきた。
理由は色々あれど、とりあえず人間になったのは単純明快。
下手打って、辺り一帯を火事には出来ないからだ。
ついでの理由を言えば、そう。今まってる待ち人は、多分こっちの方がいい。

「…………」

ポケットに手を突っ込み、微妙な暑さにイラつきながら天井を眺めてた。
傍から見れば、唯のヤンキーだ。

セレネ > 「――お待たせしました…っ!」

待ち合わせの時間には間に合った筈だ。
本来なら彼より早く着くべきだったのだろうけれど、
最後の最後まで服装が決まらず、結果彼より遅く待ち合わせ場所に辿り着いてしまった。

彼は見目も相まって立っているとすぐに分かる。
その顔もなんだかイラついていたように見えたので、己が遅かったせいかと内心冷や汗。
薄く化粧も施して、待ち合わせ場所にいる彼に駆け寄る様子はまるでデートに向かうようだ。

切れる息を整え、少し乱れた髪を手櫛で整えて先に待っていた相手へ告げる。

「ごめんなさい、待たせてしまいましたか…?」

相手の顔を下から伺う様はしょんぼりと。
蒼目も上目遣い。

クロロ >  
しかし困った。確かに外は寒かったが、中はこんなに暑いのか。
普通の人間なら多分寒いのかもしれないが、元が元のせいなのか。やたら暑く感じる。
じんわりと服の裏に僅かに汗ばむ感触が鬱陶しい。
いっそ脱ぐか。いや、万一"戻った"時が拙い。
自分の言うのも何だが、完全な術じゃない。
いざというときに、この服は着ていないと大惨事だ。

「……チッ」

何とも不便な体になってしまったものだ。
そこいらで楽しそうに服を選ぶカップルが羨ましい。

「ンァ……よォ」

そうこうしていると待ち人がやってきた。
金色の双眸が其方へと向き、軽く手を上げて会釈した。

「別に待ッてねェ、さッき来たとこだし。
 つーか、なンかいつもと格好違ェな。冬服ッて奴か?」

随分とお洒落な格好をしている。
女性はそう言うのが好きらしい。
どういう理由かなんて、コイツが勘づくわけもない。

「何しょぼくれてンだ?別にキレちゃいねェよ。
 空調ッてのに慣れてねェから暑ィンだ。それより行こうぜ?」

「オレ様、ファッションわからンからお前に見てもらいてェンだよ」

くぃ、と店の奥を顎で指して早速歩こうとする。

セレネ > 「……もっと他に言う事ないのですか?」

いやまぁ、変に勘繰られないよう気合の入り過ぎない服装で来たつもりだけれど。
よりにもよって第一声で告げた言葉がそれなのかと口元への字。

「暑いのならアウターを脱げば良いのでは…?
――ファッション?」

見た目では彼が普段の体質か人間体か判別つかないので
首を傾げつつ、ファッションについて聞いたなら
不思議そうに思いながらも彼の後ろをついて行くとしよう。

「女性もののファッションでしょうか。
それとも男性ものなのです?」

言いながら、チクリと心に棘が刺さる。
唇を噛み締めるのは、相手に見えないと良いのだけど。

クロロ >  
「他……?」

何の話だ、と首を傾ける。
残念ながらこの男にデリカシーなんてものはないし、未だに乙女心は理解していない。
己の立場と相手の立場を省みても、一夜で煮え切らない態度を出したのだから当然だ。
当然、デリカシーというものも未だ薄い。残念極まりない。

「オレ様の服は"特別性"だ。オレ様が漏れねェようにしてンだよ。
 今はそうじゃねェけど、突然何かの拍子に戻ッたら困るだろーが」

要するに、火の入れ物だ。
この服を着ている限り、炎が漏れる事は無い。
だが、熱は漏れる。そこまで完璧なものが作れるなら、一々人間に戻る必要ないは無いと言う事だ。

「アー……」

何とも微妙な声を出した。
ちらりと見やった彼女の表情に、少し人選ミスを感じた。

「マー、それもあるな」

とは言え、嘘は吐けないタイプだ。
正直にしれっと答えた。女性のものも入っている。
少しばつが悪そうに、自分の首を撫でてる最中にまず、目的のエリアにやってきた。

「ココか。ココだな。なァ、お前こーゆーファッションとかわかンだろ?
 なンつーか、こう。そう、ちょッと大人しめな可愛げのねーガキなンだが、そう言うファッションもわかるか?」

そう、そのエリアと言うのがズバリ"少女向け"。
小~中学生程度の女子が着るようなサイズが並んだエリアだ。
まさしくこれは、場合によっては誤解を生むことになる場所だが
当の本人はただただ知り合いの服を選びに来ただけだから気づかない……!

セレネ > 「…分かりやすく言いましょうか。
可愛いとか、綺麗だとか、似合ってるだとか。
そういった言葉の一言くらいないのかと聞いているのです。」

己としては、自身を異性として見て欲しいのは伝えたつもりだけれど。
そんな事言われなくとも言えるようになってほしいというのは…かなり難しい話なのだろう。

「私も魔術師なのをお忘れですか?
咄嗟のハプニングくらいどうにか出来る腕は持ち合わせています。」

彼の予防は尤もだが、それで終始イラつかれても困る。
今は人の身体であるのなら恐らく問題はないだろうと。

「……。」

嘘はつかず、素直に告げる相手に有難くも胸の痛みは止まらない。
とはいえ、それはそれ、これはこれだ。
無言で相手の後ろをついて行きながら

「……え、と。
その人は貴方のご友人でしょうか?」

こう見えて娘も居た身。
しかも丁度、十代前半頃だ。
分からない訳ではない。だが、案内されたエリアに流石に困惑した。

クロロ >  
「…………」

そう言う事らしい。
そこまでストレートに言われて気づかないほど間抜けではない。
だからこそ、表情もばつが悪い。
とは言え、確かに彼女の外見は良い。
ただ、ファッションという概念自体に美醜を感じる程のセンスを持っていない所もある。
まぁ、要するに興味が無い。おまけにここから相手の機嫌を考えると……。

「(……難易度高くね?)」

確かに何度か一緒に過ごす事は在った。
だけど、こんな事を考える事がかつてあっただろうか。
ある意味、彼女を異性として見始めてる兆候では在る。
さて、どうしたものかと思いながら、一旦返事は保留にしておこう。

「アー、まァダチだな。イケすかねェクソガキと大人しいクソガキとマセたガキ」

おう、とおくびにも出さずに肯定した。
言ってる事は事実だし、嘘は吐いてない。
但し、紹介の情報は何一つファッションの役に立たないぞ!

「なンか知らンがオレ様の周りにはガキが多いらしい。
 まー、ついでだから見に来たンだよ。女ッて、見てくれ気にするらしいし」

その理由は今さっき嫌なほど理解した。

「そーゆー子供向け?のファッションわかンなら見てくれや。三人分。ちょッと多いけどいけるか?」

セレネ > 「……。」

暫し待ってもどの返事も無し。
行儀は大変宜しくないが、あからさまに溜息を一つ吐いて

「分かりました。
次回があればもう少し分かりやすく着飾るようにします。」

保留をするくらいなら流してくれた方が良い。
声に滲むのは意気消沈した声音。
大小はあれ、傷ついたのは確か。

「……あの。服を選ぶのは私なのですよ?
しかもその何れの方もお会いした事ないのですし、もう少し具体的にお願いします。」

聞いて居るのは彼の主観ではない。
客観的に見てどうなのか、という話だ。
雑な説明に呆れも隠さず。

「貴方の言う子どもがいったいどの年齢か、というのも認識しておかねばなりませんね?
子どもと一言で言うにも、
十代前半までのキッズか半ばから後半までのティーンかでも結構ファッションは変わるのですよ?」

三人分。いけなくはないが彼の説明次第による。
勿論、己のセンスもかなり問われる事になるが。

「その方々の写真か、若しくは性別や体格、詳細な見た目や性格…
くらいないと難しいです。
貴方、見ず知らずの人の服を見繕えって無理強いをしているのと同じなのですよ。」

たかが衣服、されど衣服。
個人によって似合う服も異なるのだ。適当に選ぶわけにもいかない。

クロロ >  
「あ、や、そーじゃなくてだな……」

しまった。どうやら悪手だったらしい。
恐らくだが、如何やら服装と言うのはそこまでの意味を持つもの、らしい。
互いに価値観の差異が大きく出てしまった。
だが、それを言い訳にしてしまうのはもっと拙い。
この感じ、この雰囲気。間違いなく傷ついてるし、飽きれてる。

「お、おう。アー……その、なンだ……」

更にダブルパンチ。
幾ら何でも興味が無さ過ぎるからって適当過ぎた。
ワシャワシャと自分の髪を掻きまわし、溜息を吐いた。

「悪ィ……」

素直に先ずは謝罪。
表情も流石に申し訳なさそうだ。

「選ンでほしい奴はー……なンだ」

「一人は大人しそうでミステリアスな感じで、大人しめで…白髪ッて感じだ」

「もう一人が朱……アー、黒。黒でいい。なーンかいけ好かないクソガキだけど
 見た目だけでいやァ……文学少女?みてーなの。多分。オレ様も表現が出てこねェ」

「ンで、最後が金髪で童話にいそうなタイプ。なンつーか、金髪碧眼の将来的に美人になるタイプじゃね?」

「全員年齢は知らンが、身長と体格の差異はねーし、ここにありそうなモンだけどな……」

とりあえず一通りさっきよりはましな説明。
説明がヘタクソなのは恐らくデフォルトかもしれない。
クロロは『自分では理屈付け出来るけど人には説明できないタイプ』のようだ。

「正直オレ様は、こういうのに興味がねェし、あーだーこーだ言えるセンスがねェ。
 とりあえず、その辺はお前にある程度任せるけど、まァ、なンだ」

頬を掻けば、横目で彼女を見やる。

「機嫌治せッてオレ様が言える立場じゃねェけど、お前は何時見ても綺麗だよ」

酷く儚く、美しい。
護ってあげたくなるタイプだ。
クロロは不器用なりに嘘は吐かない。
とりあえずファッションの事は分からないが、遅れながらにそのことは伝えておこう。
こういう時にこういう事をするのは、ちょっと露骨な機嫌治しなんじゃないかと思わなくは無いが
折角の人間の体だ。彼女の気が済むならそれでもいいし、ん、と抱きやすいように片腕を差し出しておいた。

セレネ > 目の前の相手もそうだが、己の父もファッションにはあまりに疎い方だったので
その真逆をいく己としてはだいぶ意味のある事だ。
衣服一つ、化粧一つ、身嗜み一つ。たかがそれ、されどそれ、だ。

「……。」

申し訳なさそうな表情と言葉に、そんな顔をする事もあるのだなと
意外そうに思いつつ。

「性別は全員女性で宜しいでしょうか。
それと、その人達に似合うファッションを選ぶ事で間違いはないですね?」

一番は、その彼女達に試着してもらうのが早いのだけれど。
此処に居ないのだから仕方ない。
己の選んだファッションが彼女達の好みに合わずとも己は責任は負わないぞと言うように。

「貴方は男性ですから異性のファッションは仕方ないにしても、
せめてもう少し興味を持って頂ければと思います。
――…その言葉、後でまた言ってくれるのなら信じましょう。」

今一度の嘘ではないのなら。
差し出された腕に抱き着き、柔らかな感触を相手に齎しながら服装を吟味する。

まずは一人目の、ミステリアスな少女。大人しめと聞くと、
己と似たような服装でも問題はなさそうだけれど…。

「ミステリアスな方の、普段の服装はどんなものか分かりますか?」

名前が分からない以上便宜上の言葉を用いつつ。
情報を得ようと話を持ち掛ける。

クロロ >  
「ああ、全員女だ。なンつーか、やたら縁があるらしい」

別に好き好んで出会ったわけじゃない。
合縁奇縁。結ばれた縁がどれもそう言う女性だったというだけだ。
決して、"そう言う趣味"じゃない。そう言う感情も持ちえない。

「後でッてなァ……や、まァお前ン家に泊まる予定だッたけどよォ」

一度人間の体に変化してしまったら、このままのこのこ戻るわけにはいかない。
彼女の下にいるのが、こっちでは一番安全だと思っている。
それに、彼女が心変わりしていなければ、泊まる事自体は嬉しいはずだ。
それにしても、"後"と言う事はそう言う事なんだろうか。
男女と言うのは、最終的にあそこ迄混じりたいものなのか、よくわからない。
まぁ、求められるのであれば応じるつもりだが、さて。
何とも言えない感じで口元がへの字になっていた。

「次からベンキョーしとくよ。それに、お前のセンスは信じてる」

彼女が選ぶ服なら間違いない。
さっぱりとした信頼がそこにはあった。

「ア?普段。普段……」

とりあえず当人、ミステリアス事組織のトップの事を思い浮かべる。

「…………」

なんていえばいいんだ、あの服か。
うーん、と思わず眉間にしわを寄せた。

「ッス……なン、つーか……マント?マントと軍服ドレスみてーな。黒ずくめ?」

みてーな。語彙力は死んだよ。

セレネ > 「……他の人から見れば羨ましい状態なのでしょうね、貴方。」

そういう感情がなくとも、そういう縁に恵まれるのは他の男性から見れば
もしかしたら羨ましい状態かもしれない。
己からしてみると、彼にその気が無くとも
他の女性からもしかしたら、というのがある可能性もあるので
気が気ではないのだけれど。

「――あぁ、なら貴方人の身体なのですね。」

以前と同じく、元の身体に戻るまでのお泊り。
それについては全く問題ない。むしろ、嬉しいとも思う。
己が告げた言葉の真意は、さて。

「…あまり期待はしないで下さいね。」

信頼してくれるのは有難い。
けれど、不安があるのは当然だ。

「黒。…とりあえず、シックな色合いが多いという事でしょうか。
となると…白や明るい色も取り入れるとまた違う印象になりそうですね。」

白のワンピースとかどうだろうか、と彼から離れ一つ手に取る。
それこそ己が普段身に纏うような、儚い印象のものだ。