2021/11/27 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」にイェリンさんが現れました。
■イェリン > 家族連れの多いエリアから打って変わって穏やかなBGMの流れるファッションエリアの婦人服売り場。
おしゃれして見せる、なんて同寮の友人に意気込んで宣言してはみたからにはと訪れたが、
自分に似合う服を探すとなるというのは難航していた。
動きやすい服装にばかり目が行ってしまい、つい彼女と話した趣旨とは違う物を買い物かごに入れてしまいそうになる。
(スカートは……やっぱりあまり好きではないのよね)
マネキンに着せられたフェミニンな衣服をしげしげと眺めて思う。
頼りなさというのだろうか、ロングスカートのコーナーには暫く時間を取って滞在したが、ピンと来る物が無い。
ふと、先にトップスを見ようと腰を上げた時、マネキンを飾る一着が目に留まる。
■イェリン > 落ち着いた色味の黒のプルオーバーと手触りの良いワンピース。
肌寒い時期に嬉しい白のボアロングコートのセットだ。
比較的自由を残された足元にはスニーカーやブーツと合わせても違和感は無さそうだ。
「かわい……くない値段ね。
コートだけ手持ちから合いそうなの探そうかしら」
ふらふらと吸い寄せられるようにして近寄ってみれば、
生活費を大きく圧迫するレベルの金額。
諦めたようにため息一つついて、隣の棚からプルオーバーとワンピースだけ買い物かごに入れる。
■イェリン > 「……うん、これにしよう」
サイズや色を変え、手持ちのコートに近い物も一緒に持ち込んだりして、数回の出入りの果てに満足気に。
試着室で袖を通した分には気になる所も無くせた。
暗色ながらも素材とデザインが柔らかな印象を与えてくれる。
今まであまり買ってこなかった類の服。
じきにクリスマスの時期というのもあってか、長蛇とは言わずとも長くなったレジの列に並ぶ。
(あとは……プレゼントよね。
ぬいぐるみ、何にしようかしら)
約束のプレゼントを何にするか。
ぼんやりと悩みながら、数分待ってようやく会計を済ませる。
■イェリン > 小さな買い物袋を片手にエスカレーターを降っていく。
気になるのは手触り、大きさ、デザイン。
あとは――
「材質、よね……洗える方が良いと思うし」
ビーズクッションのような物にしよう。
コートを断念したおかげで幾らか予算に余裕はできていた。
「――先輩、喜んでくれるかしら」
小さく呟き、クリスマス用のラッピング袋が目を引く方へ。
数量限定、セール品。
叫ぶような店員の生徒たちの声と殺到した人の波に呑まれて、姿を消していくのだった。
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」からイェリンさんが去りました。