2022/12/16 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 久延毘古書房(9F)」に鞘師華奈さんが現れました。
鞘師華奈 > ――委員会の仕事も本日は一段落。週末の賑わいの中、扶桑百貨店の9階フロア――『久延毘古書房』。
常世島内でも随一の規模を誇る巨大書店に、仕事帰りの女の姿は在った。

「……んーー…やっぱり、新刊・新品の類だと私の探す系統の書物は置いてないっぽいかな…。」

ぽつり、と呟きながら目当ての書物を探して書架を一通り探るように歩き回る。
週末という事もあり、クリスマスも間近なせいか夜の時間帯でも人の姿はそれなりに多い。
あまり人込みは好かない女ではあるが、今は目的があるのでそこは然程気にはならないけれど。

(結界…結晶化についてはほぼ確実に出来るようになってきたし、また折りを見て薫と相談して二回目の魔術談義をしないとね…。)

そう、心の中で今後の予定の一つを立てながらも視線は並ぶ書物の背表紙のタイトルをざっと眺めており。
先程から小一時間ほど探し続けているが、矢張り目当ての――手掛かりになりそうな書物は見当たらない。

(…まぁ、人柱の儀式――人身御供の類は、それこそ”本物の”古書か研究論文とかの方かもしれないしねぇ…。)

自分自身の【蘇生】の原因、というより大元であろう儀式…その詳細を合間を見て調べているが、手掛かりが中々に乏しい。

鞘師華奈 > 「…古書街か、落第街の――ブラックマーケット辺りが狙い目かな…んーー…。」

時々、目に留まった背表紙の本を抜き出して軽くパラパラとページを捲って流し読み。
直ぐに本棚へと戻し、また目に留まった本を抜き出して…と、いった事を何度か繰り返し。

(……駄目か。まぁ、正直期待はあまりしていなかったし予想通りと言えばそれまでなんだけど…。)

ドンピシャとはいかずとも、ヒントの欠片くらいはと思ったが、早々簡単には行かないものか。
小さく吐息を人知れず零しながら、手に取っていた本をそっとまた本棚へと戻しておく。

「…まぁ、焦ってもしょうがないし気長に探すしかないって事だよね。」

正直、何処かに”焦り”にも似た感覚を覚えているのは確かで。だが焦燥感に駆られて見落としがあっては困る。
一先ずの結論として、この書房ではお目当ての書物は無い、と結論付けるしかあるまい。