2020/07/04 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 元祖本格握り寿司専門店「常世鮨」(回転寿司エリアあり)」に戸田 燐さんが現れました。
戸田 燐 >  
商店街の福引で、常世鮨のお食事券が当たった。(二枚)
でも、私は本土にいた頃に結構、あちこちの寿司屋に連れて行ってもらっていて。
まぁ、なんというか。寿司にうるさいのです。

回転寿司じゃないお寿司屋。楽しみたいと言えば楽しみたいけど。
期待できるのかなぁ……どうかなぁ…
お食事券は彩子の分を残して今日はソロ寿司。
さてはて。どんなものだろう。

カウンターに座る。
チラ、と見えたツケ場は。まぁまぁ本格的に見えた。
食券を見せて試合(ファイト)開始。

ああ、今日はお腹すいたなぁ。

戸田 燐 >  
私の前にお茶が出される。
口にすると、ホウ、と唸ってしまう。

濃く熱いお茶。

寿司屋で玉露なんかは好まれない。
お茶の甘みの主成分、テニアン(グルタミン酸エチルアミド)で寿司の味なんてまるでボケてしまう。
そういう点で言えば、常世鮨。
100点満点のお茶を出してきた。
渋く、熱く、濃く。これが理想形。

そして最初に出された寿司は。
一貫。なんだけど、普通の倍くらいのサイズの寿司だ。
なんか葉っぱに包んである。おにぎりかな?

ため息が出そうになる。奇を衒うな!!
普通に白身か何かの寿司を出してくれればいいのに……

戸田 燐 >  
内心、ひどく失望しながらその寿司?を口に運ぶ。
すると……美味しい。
これは……高菜、の寿司………だろうか?

茎と葉脈を取り除いた、高菜の塩漬け。
それを酢飯で包んで寿司にしているんだ!!

これは……特製のタレと高菜の塩漬け、そうか!!

めはり寿司!!

目を見張るほど大きな寿司を言葉の源流に持つ!!
日本最古のファストフードのひとつ!!
寿司の中には刻んだ葉脈と茎が入っていて、歯ざわりが小気味良い!!

あ、あああ……! 信じられない!!
あんなに大きな寿司を一つ、食べたのに……
お腹がさっきより空いている気がする!?

これが前菜(Appetizer)としての寿司!!
────攻めの布陣だ!? 全く気が抜けない!!
常世鮨、恐るべし!!

ご案内:「扶桑百貨店 元祖本格握り寿司専門店「常世鮨」(回転寿司エリアあり)」に四十九 ニ三さんが現れました。
四十九 ニ三 >  
そんなめはり寿司に舌鼓する少女の後ろに、いつの間にかソイツはいた──────。

「……ええ食いっぷりですなぁ~~~お客はん♪」

「さながら飢えた狼!心じゃ『やだ……信じられない……』と言ってそうでんがな!」

おほほほ。扇子を広げて口元隠す女…!
不審者……!圧倒的不審者……!
教師にあるまじき姿……!

戸田 燐 >  
「!!」

背後を……取られていた!?
振り返ると、そこにいたのは。
没する夕日を思わせる美しい髪色の女性。
扇子で口元を隠している。

い、一体彼女は………!?

「……それはね………私も一応、そこそこ寿司は食べてきましたから…」
「それでも……初手にめはり寿司は………想定にありませんでした…」

次はもう負けない!!
キッと謎の女性と視線を合わせて前を向く。
相手が攻めの寿司で来るなら。
こっちも攻めの客であるべき!!

四十九 ニ三 >  
「ほほ~、ええ目をしてはりますなぁ~♪タイの鱗よりツヤツヤやん。目から鱗ってかぁ~!」

\ハハハ!/
 
/ドッ\

元祖本格握り寿司専門店「常世鮨」
荘厳でアットホーム(秒間矛盾)な空気が張り詰めた。
この女、見た目と違って氷結系の能力者のようだ……!

「ほうほうほう、あんさんは結構のグルメ~っちゅーことやねぇ。」

「なら、興味ありまへんかぁ?も~っと手ごわい寿司に。」

にんまり。扇子の裏で女はほくそ笑む。
その強い視線を嘲笑うかのように、彼女を挑発する……!


尚この女もどちらかと言わずとも客なので、別に寿司を握るわけでもないし、店員さんでもない。安心!

戸田 燐 >  
…………まぁ、ノーコメントで。
これ以上私の氷雪系異能のお株を奪われてはたまらない。

「…私は釣り人です、海の幸に多少なりとも知見はあります」

眼鏡クイッ。

「もっと……手強い寿司………?」

相手が誘うは、極楽か……あるいは、屍山血河の修羅道か。
その挑発、乗るしかない。

「興味がありますね」

相手の目を見て頷く。

四十九 ニ三 > 「ほほ~、海の子なんやねぇ。将来漁師にでもなってみぃか?」

女はそそくさ隣に座り、同じく眼鏡をクィッと上げた。
意味は無い。真似しただけだ。
戸田の言葉に、ニヤリと笑みを浮かべてパシッ、と扇子を閉じた。

「よう言うた!それでこそ男や!」

※戸田さんはカワイイ女の子です。

「そんならまずはコイツやねぇ、大将!お願いします!」

当然このトンチキ女は客なので握らない。
注文するのである。

さて、自ら修羅道に突き進んだ戸田選手。
こと、と目の前に置かれたのは一見普通のマグロ寿司。

────しかし、強烈に鼻を突くこのワサビの匂い。
な、なんと!シャリ一つ一つが米では無く練り込まれたワサビになっている!
なんと恐るべきグリーンシー!艶やかな光沢を放つ酢ワサビはまさに芸術の一品!
間違いなく辛そう、というかイロモノ感はある……!
ジョークグッズか何かの間違いじゃないのか?そう疑いたく成る事間違いなしだ……先ずは此れにどう対処する!?



※因みに言う程辛くないし味はマグロの旨味がワサビで引き立てられて普通に美味しいです。ピリ辛好きならハマるタイプのうまさ。

戸田 燐 >  
「釣りは趣味です、趣味を仕事にしたくはありません」

仕事とプライベートは分ける。
それがこの戸田燐の人生哲学。

「女ですよ!?」

さすがにこれにはツッコミを入れざるを得ない。
セーラー服が目に入らねぇのかぁ!!
でもまぁ……この寿司屋ならトンデモ寿司は出てこない。
そういう信頼感がって出てきたよトンデモ寿司!?
見るからに辛そうなのが来たよ!?

「え、えー………」

困惑しながら見る。
よく見ればこのワサビ寿司、乗っているのはわさびの葉っぱだ。
こうすれば寿司にわさびの匂いが移るという裏技。

「女に二言はない……!」

思い切って食べてみる。
すると、鼻孔いっぱいにワサビの香りが貫いた。
私、辛いもの苦手なのに!!
しかし、いつまで経っても激辛はやってこない。

マグロ……そうか、これはカマ下の身肉を使ってるんだ!!
ややもすれば固くなるカマ下のマグロを、隠し包丁で柔らかく食わせている!!
そしてワサビ、ワサビ、ワサビと主張しない絶妙な味わい!!
脂の甘さで調和……いや、ベストマッチ!!

「お、美味しい……」

なんで!? 全ては理の外。

四十九 ニ三 > 「かまへんかまへん、釣りも女も仕事も海の前じゃドーン!とみみっちもんじゃ!」

仕事と趣味も何もかも一緒くたにする女。
それがこの女、四十九 ニ三。

「まじ?コラ失敬、最近流行っとりますからなぁ~。男の娘。」

性別の疑う先が余りにも斜め上過ぎる。

其れは其れとして意を決して食べたようだ。
そう、この店は決して変なものは出さない(出さないとは言ってない。)
真心を込めて、皆を笑顔にする飲食店の鑑だ。

「ええやろぉ?いやぁ~、そのマグロ今朝揚がってまんねん。よーけ油乗っ取ってそりゃもう美味いんやでぇ~♪」

にししー、と得意げに語っている。
別にこいつは漁師でもないので何の苦労もしてない。

「わさび言うても風味や辛味だけじゃありまへんがな。こーやって、シャリの代わりにマグロとコンビ組めるんやでー?」

「あんさんのなかでワサビ革命、おきたやろ~?」

両の人差し指をビシッ!とさしてドヤ顔。
別にこの女は何もしていない。
強いて言えば今の所何も頼んでない。
とんでもねぇ冷やかしだ。これも氷結系異能の由来……!

戸田 燐 >  
「は、はぁ……」

確かに海の前じゃ色んな悩みがちっぽけになるけど!!
それはそうとして人生をちっぽけと断じるわけには行かない!!

「誰が男の娘だッ胸を見て言ったならぶっ殺死ろすッッ!!」

敬語も吹っ飛ぶ。
おおよそ人間の言語では発音できない言葉が私の口から飛び出していた。
おっと、いけない。寿司寿司。

「確かに美味し………そうか、ワサビの辛味は揮発性!」
「それを利用して辛くない、ワサビの風味だけの寿司を…!!」

ワサビ革命(レボリューション)。
そうか、それを知らせるためにこの女(ヒト)は…!!

次に来た寿司は、エビ。
はっきり言ってこれまたセオリー外。
海老は後半の寿司ネタというのが基準。

ボイルした、海老。見た目はなんの変哲もない。
恐る恐る口にする。

あ、甘い……!? 海老が、こんなに……
よく見れば、海老の表面の縞模様がくっきりとしている!!
これは……塩!! 海老を茹でる際に塩を振ってある!!
浸透圧の調整が完璧であれば、海老の旨味は茹で汁に逃げない!!
しかしそれは………手に馴染むのに二年の歳月を必要とするハイレベル・アーツ!!

そして食べる直前に殻を剥くことで、完璧な味わいを出しているんだ!!
海老本来の味……それは、甘いということ………
ふと、残った海老の寿司をめくってみる。
そこにあったのは、ミソだった。え…海老味噌!!
同じ海老から取れた身肉とミソ! こんなベストマッチがあるだろうか!?

「ふっ……どうやら完全に負けみたいですね…」
「あなたのお店、最高です」

ふ、と女性に向かって微笑んだ。

四十九 ニ三 > 「お?なんや?貧乳キャラで売ってくん自分?つーか今何語なん?男の娘語?」

そんな物騒な男の娘そうそういないと思う。

続いて現れたエビに舌鼓。
すっかりとこの店に酔いしれる戸田の姿にうんうん頷きご満悦。
わかるぞ、その幸せ。なんたって美味しいもんね、ここ。
にんまりと、共にうまさを分かち合うことご満悦。

「フフン、ええやろええやろ?あちきの勝ち?ふふーん。」

「ほいじゃあんさん、あんじょうよろしゅう頼んます♪」

とん。
戸田の手前に置かれたのは……この女がさっきまで食べていたお思われる寿司の支払い表……!
この女、見かけによらず結構食ってる……!
豪勢に、寿司をたくさん食っている!

「それじゃ、お後が宜しいようで!ほなねー♪」

それだけを残し、女は嵐のように去っていった────。

ご案内:「扶桑百貨店 元祖本格握り寿司専門店「常世鮨」(回転寿司エリアあり)」から四十九 ニ三さんが去りました。
戸田 燐 >  
「今、目の前の相手をSATSUGAIしてもワンチャン情状酌量つくかなぁ……?」

淀んだ目つき。周囲に冷気が広がって。

「はい?」

そして置かれたのは、伝票。
高級寿司の。伝票。

呆気に取られて彼女が去っていくのを見ていた。

「いや店の人間じゃないんかーい」

ツッコミは虚空を裂いた。

「いや帰るんかーい」

結局、二枚あったお食事券でギリギリ支払いは免れた。
ごめんね彩子……おこづかいあげるから回転寿司で我慢して………

ご案内:「扶桑百貨店 元祖本格握り寿司専門店「常世鮨」(回転寿司エリアあり)」から戸田 燐さんが去りました。